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インド音楽

189、アーユルヴェーダ音楽療法入門51 (ヤントラ・マンダラと脳機能2)

前回(Vol.186)で述べましたように、
「第一段階:Yantara(Mandala)を眺めているだけ(薬を飲まないのに貰ってくるだけ)でもBetter than Nothing、効果は何もしないことより数倍はあるけれど。当人の精神性・思考性が増徴させる外因と滞りで相殺されてしまうかも知れない」。
「第二段階:Yantraと向かい合うこと(とにかく薬を飲む)ことで、効果は数十倍に違いない。しかし、同上に、当人の精神性・思考性が増徴させる外因と滞りで相殺されてしまうかも知れない」。
「第三段階:もしYantraをより深く理解し、自らの心・思考性・脳機能を改善(復元)し、呼吸法とアーサナを伴って真摯に向かい合えば。その効果は同じでも、当人の精神性・思考性が増徴させる外因と滞りによる相殺をかなり軽減出来るかも知れない。」
「第四段階:もし、同上の努力によって思考回路と脳機能が改善・復旧・活性化されたならば。Yantraの力によって相似性のレベルに至ることが出来れば、その効果は、数百倍に至るかも知れない」
と、「四段階」のレベルアップについて説きました。

改めて、「Yantraなの?Mandalaなの?」という素朴な疑問に対して申し上げますと。
いずれにも共通しているのが「城壁と上下左右の門」の存在です。日本の密教の曼荼羅には、「(足の短い)T字型の門(鳥居にも似ている点が○○ですが.........)」、チベットの曼荼羅にはあります。つまり、インド・チベット・中国・日本のいずれの「曼荼羅」も、「Yantra」と同様に、「城壁と四つの門・方位・そしてその守護神」および「中心の最高位の神(如来)を取り囲むように、さまざまな神々が、極めて重要な定めによって配列されている」ということでは、「YantraもMandalaも全く同じ」ということです。強いて言えば「Yantra」は、図形・幾何学模様・文字に置き換え、「Mandara」は、可視化(他教徒が言う偶像化)された神々で表現されている。ということです。

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今回の図を少しご説明します。
左側は、熱心な方々には、既にお馴染みの、日本の密教に於ける「曼荼羅」の重要なもののひとつです。これは特に「心と思考・脳機能の働きに極めて重要」と説かれているものです。

言うまでもなく、仏教は、後期ブラフマン教を或る意味「批判・否定」して隆盛しましたが、逆に見ると、ブラフマン教の叡智を極めて多く受け継いでもいます。無論、それは論理的に詳しく分析して、翻訳しなければ、仏教の説明だけでは分かり得ませんが。
しかし、密教は、ちょっと複雑な事情があります。
それは仏教全体がヒンドゥー教の弾圧を受ける以前に、仏教主流派からも弾圧を受けたり、中国にて大乗仏教の弾圧を受けたりがあったからです。逆に言うと、或る種の神秘主義から主流派と対立し、自ら地下に潜った場合もあるに違いありません。

問題は、それによって、仏教本流(と言っても時代でかなり変化しますが)の教義と異なる部分が、何時の時代に形作られたか?がはっきりしない点です。或る程度は、チベット仏教、モンゴル仏教、中国に於ける密教、日本に於ける密教などの「差異」を、「時差」などと照らし合わせると見えてくるものがありますが、無論、全てが分かる訳ではありません。
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今回の二図の左は、言うまでもなく、本物の「密教曼荼羅」ですが、右は、それを解析した私の作図です。最も重要なことは、前述したように、この「曼荼羅」が、「心・精神性・思考・脳機能」に深く関わるものだ、ということです。
そして、
ここには極めて興味深い「インド・チベット・(中国)・日本」に共通する要素があります。
それは、「或る時期から、曼荼羅の主流が変わる」ということです。
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前にも何度かご説明しましたが、
仏教では、ブラフマン教後期に二分され、対立構造さえ見え始めた神々。いわゆる「デーヴァ神族」と「アスラ神族」の後者が、一旦は、仏法に背き対立するが、仏法側に屈した後、釈迦の慈悲によって、むしろ仏法の守護者(警護)として、下級神(天)として存続を許されたと説きます。密教・チベット仏教も基本これに倣いますが、部分差異はあります。
それに加えて、
ある時期から、チベットはチベット独自の「守護女神」を大量に創案し、日本い伝わった密教もまた、新たな神々を創造するのです。そして、それは「極めて人間に都合の良い神」という共通点が、あり、或る種の「ご利益宗教」の性質を高めるのです。インドでは、同じ時期に「Shri-Yantra」への信心が高まります。
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今回ご紹介した「密教曼荼羅」は、そのような時代の前に、「最も重要な曼荼羅」とされたものです。基本的にはそれは今日も変わらないはずなのですが、後世に信心が流行した別な曼荼羅がより際立っていることも事実でしょう。
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また、この日本の曼荼羅と、相関関係があるチベットの曼荼羅の双方が、配置された神々の「性質」について、実に様々な解釈がなされています。つまり、前述した「ご利益性の強い新曼荼羅が台頭した」時期に、旧来の本流曼荼羅の神々の「解釈」もまた「ご利益性」が強調された、という性質です。
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その点を吟味し。
「曼荼羅」の二次元上の配置の意味を厳密に検証すると。右図のような「象徴的役割・性質」に尽きることが判明します。

例えば、中心の「五尊の円」の上下左右にも、同じような「五尊」の組み合わせがありますが、その間に、「黄色い円」で示した「四方の四尊」があります。その右上から時計回りに「歌」「技」「愛」「華」と書きましたが、「ご利益系」では、「技」は「舞」とされます。
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「ご利益系」は、或る種の「大衆迎合」であることは否めません。しかし、「歌の神」「舞の神」「愛の神」「華の神」が居られる。だけでは、何の学びも気づきもありません。
しかし「歌=Mantra」であり、「愛=慈愛(他愛)」であり、「華=元気・健康・精神性」であるならば、それは「見る・祈る・学ぶ・気づく者」にとって、極めて深い示唆に富んだ意味に至ります。
従って、その場合は「舞」ではなく、「Mudra」であり「Asana」である。つまり、「自らの体・手先に印を結び、神々のNadaとのリンク(シンクロ)を為すという意味です。
それを「踊る神をんただ眺めるだけ」では、或る意味何も始まらない(変わらない)であり、良くて「祈願者自身が小躍りした」ところで、根本的にズレている、と言えます。

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何時も、最後までご高読を誠にありがとうございます。
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(文章:若林 忠宏

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