バガヴァッド・ギーター第1章第32節

न काङ्क्षे विजयं कृष्ण
na kāṅkṣe vijayaṁ kṛṣṇa
ナ カーンクシェー ヴィジャヤン クリシュナ
クリシュナよ、私は勝利を望まない

na【否定辞】〜でない
kāṅkṣe【一人称・単数・アートマネーパダ・現在 √kāṅkṣ】私は望む、私は欲する、私は切望する
vijayam【男性・単数・対格】勝利を、征服を
kṛṣṇa【男性・単数・呼格】クリシュナよ

न च राज्यं सुखानि च ।
na ca rājyaṁ sukhāni ca |
ナ チャ ラージャン スカーニ チャ
また王国や幸福をも

na【否定辞】〜でない
ca【接続詞】そして、また、〜と
rājyam【中性・単数・対格】王国を、王権を、王位を
sukhāni【中性・複数・対格】安楽を、歓喜を、幸福を、享楽を、繁栄を、成功を
ca【接続詞】そして、また、〜と

किं नो राज्येन गोविन्द
kiṁ no rājyena govinda
キン ノー ラージェーナ ゴーヴィンダ
ゴーヴィンダよ、私たちにとって王国が何になろう

kim【疑問代名詞】何、誰、なぜ、どんな、どのように。(以下の具格をともなって無益無用をあらわす)
nas【複数・属格、一人称代名詞(附帯形) asmad】私たちにとって
rājyena【中性・単数・具格】王国をもって、王権をもって、王位をもって
govinda【男性・単数・呼格】ゴーヴィンダよ。クリシュナの別名。名前は「牛飼いの主」の意。

किं भोगैर् जीवितेन वा ॥
kiṁ bhogair jīvitena vā ||
キン ボーガイル ジーヴィテーナ ヴァー
また享楽や生命が何になろう

kim【疑問代名詞】何、誰、なぜ、どんな、どのように。(以下の具格をともなって無益無用をあらわす)
bhogais【男性・複数・具格】享楽をもって、快楽をもって、資産をもって
jīvitena【中性・単数・具格】生命をもって、命をもって、生活をもって
vā【接続詞】あるいは、また

न काङ्क्षे विजयं कृष्ण न च राज्यं सुखानि च ।
किं नो राज्येन गोविन्द किं भोगैर्जीवितेन वा ॥ ३२ ॥

na kāṅkṣe vijayaṁ kṛṣṇa na ca rājyaṁ sukhāni ca |
kiṁ no rājyena govinda kiṁ bhogairjīvitena vā || 32 ||
クリシュナよ、私は勝利を望みません。王国も幸福も……
ゴーヴィンダよ、私たちにとって王国が何になるでしょうか。享楽や生命が何になるでしょうか。

バガヴァッド・ギーター第1章第31節

निमित्तानि च पश्यामि
nimittāni ca paśyāmi
ニミッターニ チャ パッシャーミ
私は前兆を見る

nimittāni【中性・複数・対格】前兆を、予感を、兆しを、兆候を、しるしを
ca【接続詞】そして、また、〜と
paśyāmi【一人称、単数・パラスマイパダ・現在 √paś】私は見る、私は感じる

विपरीतानि केशव ।
viparītāni keśava |
ヴィパリーターニ ケーシャヴァ
不吉な、クリシュナよ

viparītāni【中性・複数・対格】不吉な、不運な、不都合な、不利な
keśava【男性・単数・呼格】ケーシャヴァよ。クリシュナの別名。名前は「美しい(長い)髪をもつ者」の意。

न च श्रेयो ऽनुपश्यामि
na ca śreyo ‘nupaśyāmi
ナ チャ シュレーヨー ヌパッシャーミ
私は幸せを見ない

na【否定辞】〜でない
ca【接続詞】そして、また、〜と
śreyas【中性・単数・対格】幸福を、繁栄を、祝福を、幸運を、吉兆を、喜びを
anupaśyāmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 anu√paś】私は見る、私は予見する、私は予感する

हत्वा स्वजनम् आहवे ॥
hatvā svajanam āhave ||
ハットヴァー スヴァジャナム アーハヴェー
戦いにおいて、同族を殺して

hatvā【絶対分詞 √han】殺して、破壊して、始末して
svajanam【男性・単数・対格】自分の一族を、同族の者を、親類を、親族を、血縁者を
āhave【男性・単数・処格】戦争において、戦いにおいて、課題において

निमित्तानि च पश्यामि विपरीतानि केशव ।
न च श्रेयोऽनुपश्यामि हत्वा स्वजनमाहवे ॥ ३१ ॥

nimittāni ca paśyāmi viparītāni keśava |
na ca śreyo’nupaśyāmi hatvā svajanamāhave || 31 ||
そしてクリシュナよ、私は不吉な前兆を見ます。
戦いにおいて同族を殺しても、私は幸せを見出せません。

バガヴァッド・ギーター第1章第30節

गाण्डीवं स्रंसते हस्तात्
gāṇḍīvaṁ sraṁsate hastāt
ガーンディーヴァン スランサテー ハスタート
ガーンディーヴァ弓は手から滑り落ち

gāṇḍīvam【男性・単数・主格】ガーンディーヴァは。アルジュナの持つシヴァ神(アグニ神)により授けられた弓の名称。
sraṁsate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √sraṁs】 それは落ちる、それは滑り落ちる
hastāt【男性・単数・従格】手から

त्वक् चैव परिदह्यते ।
tvak caiva paridahyate |
トヴァク チャイヴァ パリダッヒャテー
皮膚は焼かれる

tvak【女性・単数・主格】皮膚は、皮は、表皮は
ca【接続詞】そして、また、〜と
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
paridahyate【三人称・単数・現在・受動活用 pari√dah】それは焼かれる、それは完全に燃やされる

न च शक्नोम्य् अवस्थातुं
na ca śaknomy avasthātuṁ
ナ チャ シャクノーミ アヴァスタートゥン
私は立っていることができず

na【否定辞】〜でない
ca【接続詞】そして、また、〜と
śaknomi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √śak】私は〜できる、私は〜することができる
avasthātum【不定詞 ava√sthā】立っている、状態を保つ

भ्रमतीव च मे मनः ॥
bhramatīva ca me manaḥ ||
ブラマティーヴァ チャ メー マナハ
私の心はさまようようかのよう

bhramati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √bhram】それはさまよう、それは歩き回る、それは迷う、それは揺れる
iva【副詞】〜のように、〜と同様に、言わば
me【単数・属格、一人称代名詞(附帯形) mad】私の
manas【中性・単数・主格】心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分

गाण्डीवं स्रंसते हस्तात्त्वक्चैव परिदह्यते ।
न च शक्नोम्यवस्थातुं भ्रमतीव च मे मनः ॥ ३० ॥

gāṇḍīvaṁ sraṁsate hastāttvakcaiva paridahyate |
na ca śaknomyavasthātuṁ bhramatīva ca me manaḥ || 30 ||
ガーンディーヴァ弓は手から滑り落ち、皮膚は焼かれ、
私は立っていることができず、心はさまようかのようです。

バガヴァッド・ギーター第1章第29節

सीदन्ति मम गात्राणि
sīdanti mama gātrāṇi
シーダンティ ママ ガートラーニ
私の手足は力を失い

sīdanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √sad】それらは座り込む、それらは沈み込む、それらは力を失う、それらは落胆する、それらは失望する、それらは萎える
mama【単数・属格、一人称代名詞 mad】私の
gātrāṇi【中性・複数・主格】手足は、肢体は、四肢は、身体は

मुखं च परिशुष्यति ।
mukhaṁ ca pariśuṣyati |
ムカン チャ パリシュッシャティ
口は干涸びる

mukham【中性・単数・主格】口は、顔は
ca【接続詞】そして、また、〜と
pariśuṣyati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 pari√śuṣ】それは干涸びる、それは乾く、それはしおれる、それは痩せる

वेपथुश्च शरीरे मे
vepathuśca śarīre me
ヴェーパトゥシュチャ シャリーレー メー
私の身体には戦慄と

vepathus【男性・単数・主格】震え、振動、揺れ、おののき、戦慄
ca【接続詞】そして、また、〜と
śarīre【男性・単数・処格】身体において
me【単数・属格、一人称代名詞(附帯形) mad】私の

रोमहर्षश्च जायते ॥
romaharṣaśca jāyate ||
ローマハルシャシュチャ ジャーヤテー
身の毛の逆立ちが起きる

romaharṣas【男性・単数・主格】(歓喜、恐怖、寒さなどで)身の毛が逆立つこと、身の毛が弥立つこと、身震い
ca【接続詞】そして、また、〜と
jāyate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √jan】それは生じる、それは生まれる、それは起きる

सीदन्ति मम गात्राणि मुखं च परिशुष्यति ।
वेपथुश्च शरीरे मे रोमहर्षश्च जायते ॥ २९ ॥

sīdanti mama gātrāṇi mukhaṁ ca pariśuṣyati |
vepathuśca śarīre me romaharṣaśca jāyate || 29 ||
私の手足は力を失い、口は干涸び、
私の身体には戦慄が起こり、身の毛が逆立ちます。

バガヴァッド・ギーター第1章第28節

कृपया परयाविष्टो
kṛpayā parayāviṣṭo
クリパヤー パラヤーヴィシュトー
この上ない悲哀に満たされて

kṛpayā【女性・単数・具格】哀れみによって、同情によって、慈悲によって、悲哀によって
parayā【女性・単数・具格】無上の、非常の、甚だしい、この上ない
āviṣṭas【男性・単数・主格、過去受動分詞 ā√viś】満たされた、悩まされた、陥った、被った

विषीदन्न् इदम् अब्रवीत् ।
viṣīdann idam abravīt |
ヴィシーダン イダム アッブラヴィート
沈み込み、彼はこのように言った

viṣīdan【男性・中性・単数・主格、現在分詞 vi√sad】絶望して、落胆して、失望して、沈み込んで、疲れ切って
idam【中性・単数・対格、指示代名詞 idam】これを
abravīt【三人称・単数・パラスマイパダ・過去 √brū】彼は言った、彼は話した、彼は語った
→idam abravīt:彼はこのように言った

दृष्ट्वेमान् स्वजनान् कृष्ण
dṛṣṭvemān svajanān kṛṣṇa
ドリシュトヴェーマーン スヴァジャナーン クリシュナ
クリシュナよ。これらの親族たちを見て、

dṛṣṭvā【絶対分詞 √dṛś】見て、注視して
imān【男性・複数・対格、指示代名詞 idam】これらの
svajanān【男性・複数・対格】自分の一族たちを、同族の人々を、親類たちを、親族たちを、血縁者たちを
kṛṣṇa【男性・単数・呼格】クリシュナよ。アルジュナの御者を務めるヴィシュヌ神の第8番目の化身。名前は「黒、暗闇、紺青」の意。

युयुत्सून् समवस्थितान् ॥
yuyutsūn samavasthitān ||
ユユツスーン サマヴァスティターン
戦おうとして立ち並ぶのを

yuyutsūn【男性・複数・対格、意欲活用 √yudh】戦おうとして、戦おうと望んで
samavasthitān【男性・複数・対格、過去受動分詞 sam-ava√sthā】立っている、立ち並ぶ、不動の

कृपया परयाविष्टो विषीदन्निदमब्रवीत् ।
दृष्ट्वेमान्स्वजनांकृष्ण युयुत्सून्समवस्थितान् ॥ २८ ॥

kṛpayā parayāviṣṭo viṣīdannidamabravīt |
dṛṣṭvemānsvajanāṁkṛṣṇa yuyutsūnsamavasthitān || 28 ||
この上ない悲哀に満たされて沈み込み、このように言いました。
「クリシュナよ。戦おうとして立ち並ぶこれらの親族たちを見て、

この節の後半部分は、テキストによって次のように書かれている場合があります。

दृष्ट्वेमं स्वजनं कृष्ण युयुत्सुं समुपस्थितम् ॥
dṛṣṭvemaṁ svajanaṁ kṛṣṇa yuyutsuṁ samupasthitam ||
ドリシュトヴェーマン スヴァジャナン クリシュナ ユユツスン サムパスティタム
クリシュナよ。戦おうとして近づいたこの親族を見て、

imam【男性・単数・対格】この
svajanam【男性・単数・対格】自分の一族を、同族の者を、親類を、親族を、血縁者を
yuyutsum【男性・単数・対格、意欲活用 √yudh】戦おうとして、戦おうと望んで
samupasthitam【男性・単数・対格、過去受動分詞 sam-upa√sthā】近づいた、近くに来た

バガヴァッド・ギーター第1章第27節

श्वशुरान् सुहृदश्चैव
śvaśurān suhṛdaścaiva
シュヴァシュラーン スフリダシュチャイヴァ
さらには義父たち、親友たちを

śvaśurān【男性・複数・対格】義父たちを
suhṛdas【男性・複数・対格】親友たちを、友人たちを
ca【接続詞】そして、また、〜と
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)

सेनयोर् उभयोर् अपि ।
senayor ubhayor api |
セーナヨール ウバヨール アピ
両軍いずれもの中に

senayos【女性・両数・属格】二つの軍隊の、二つの軍勢の
ubhayos【女性・両数・属格】両方の、双方の
api:さらに、また、とても(強意を示す)
→ubhayor api:双方いずれもの中に

तान् समीक्ष्य स कौन्तेयः
tān samīkṣya sa kaunteyaḥ
ターン サミークシャ サ カウンテーヤハ
アルジュナはこれらを見て

tān【男性・対格・複数、指示代名詞 tad】これらを、あれらを、彼らを
samīkṣya【絶対分詞、sam√īkṣ】見て、注視して、観察して、凝視して
sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】これは、あれは、彼は
kaunteyas【男性・単数・主格】クンティーの息子は。ここではアルジュナのこと。

सर्वान् बन्धून् अवस्थितान् ॥
sarvān bandhūn avasthitān ||
サルヴァーン バンドゥーン アヴァスティターン
立ち並ぶすべての親族たちを

sarvān【男性・複数・対格】すべての、一切の
bandhūn【男性・複数・対格】親類たちを、親族たちを、血縁者たちを
avasthitān【男性・複数・対格、過去受動分詞 ava√sthā】立っている、立ち並ぶ、配置された、配陣された

श्वशुरान्सुहृदश्चैव सेनयोरुभयोरपि ।
तान्समीक्ष्य स कौन्तेयः सर्वान्बन्धूनवस्थितान् ॥ २७ ॥

śvaśurānsuhṛdaścaiva senayorubhayorapi |
tānsamīkṣya sa kaunteyaḥ sarvānbandhūnavasthitān || 27 ||
さらには義父たち、親友たちを、両軍いずれもの中に……
アルジュナはこれらすべての親族たちが立っているのを見て、

バガヴァッド・ギーター第1章第26節

तत्रापश्यत् स्थितान् पार्थः
tatrāpaśyat sthitān pārthaḥ
タットラーパッシャット スティターン パールタハ
アルジュナは見た、そこに立ち並ぶ

tatrā【副詞】そこに、そこへ、そのときに
apaśyat【三人称・単数・パラスマイパダ・過去 √paś】彼は見た
sthitān【男性・複数・対格、過去受動分詞 √sthā】立っている、立ち並ぶ
pārthas【男性・単数・主格】プリターの息子は。アルジュナのこと。

पितॄन् अथ पितामहान् ।
pitṝn atha pitāmahān |
ピットリーン アタ ピターマハーン
父たち、祖父たちを、

pitṝn【男性・複数・対格】父たちを
atha【接続詞】また、そして、それから
pitāmahān【男性・複数・対格】祖父たちを

आचार्यान् मातुलान् भ्रातॄन्
ācāryān mātulān bhrātṝn
アーチャーリヤーン マートゥラーン ブラートリーン
師たち、叔父たち、兄弟たち、

ācāryān【男性・複数・対格】師たちを、先生たちを
mātulān【男性・複数・対格】母方の叔父たちを
bhrātṝn【男性・複数・対格】兄弟たちを

पुत्रान् पौत्रान् सखींस् तथा ॥
putrān pautrān sakhīṁs tathā ||
プットラーン パウットラーン サキーンス タター
息子たち、孫たち、また友人たちを、

putrān【男性・複数・対格】息子たちを
pautrān【男性・複数・対格】孫たちを
sakhīṁs【男性・複数・対格】友人たちを、仲間たちを
tathā【副詞・接続詞】同様に、また

तत्रापश्यत्स्थितान्पार्थः पितॄनथ पितामहान् ।
आचार्यान्मातुलान्भ्रातॄन्पुत्रान्पौत्रान्सखींस्तथा ॥ २६ ॥

tatrāpaśyatsthitānpārthaḥ pitṝnatha pitāmahān |
ācāryānmātulānbhrātṝnputrānpautrānsakhīṁstathā || 26 ||
アルジュナは見ました――そこに立ち並ぶ父たち、祖父たちを、
師たち、叔父たち、兄弟たち、息子たち、孫たち、また友人たちを、

バガヴァッド・ギーター第1章第25節

भीष्मद्रोणप्रमुखतः
bhīṣmadroṇapramukhataḥ
ビーシュマドローナプラムカタハ
ビーシュマとドローナの前で

bhīṣma:ビーシュマ。カウラヴァ軍の指揮を執る長老。カウラヴァとパーンダヴァの大伯父に当たる。
droṇa:ドローナ。カウラヴァ軍につくクル族の軍師。パーンダヴァ側からも尊敬を受ける英雄。
pramukhatas【副詞】〜の前に、〜の先頭に、〜の対面に、〜の面前に
→bhīṣma-droṇa-pramukhataḥ【限定複合語】ビーシュマとドローナの前に

सर्वेषां च महीक्षिताम् ।
sarveṣāṁ ca mahīkṣitām |
サルヴェーシャーン チャ マヒークシターム
そしてすべての王たちの

sarveṣām【男性・複数・属格】すべての、一切の
ca【接続詞】そして、また、〜と
mahī【女性】大地
kṣitām【男性・複数・属格】支配者たちの、君主たちの
→mahīkṣitām【男性・複数・属格、限定複合語】大地の支配者たちの、王たちの

उवाच पार्थ पश्यैतान्
uvāca pārtha paśyaitān
ウヴァーチャ パールタ パッシャイターン
彼は言った。アルジュナよ、これらを見よ

uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了、√vac】彼は言った、彼は語った
pārthas【男性・単数・呼格】プリターの息子よ。アルジュナのこと。
paśya【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法、√paś】見よ、注視せよ
etān【男性・複数・対格、指示代名詞 etad】これらを

समवेतान् कुरून् इति ॥
samavetān kurūn iti ||
サマヴェーターン クルーン イティ
集結したクルの一族を、と。

samavetān【男性・複数・対格、過去受動分詞 sam-ava√i】集まって来た、集合した、集結した
kurūn【男性・複数・対格】クル族を、クル族の人々を、クルの一族を。クルはパーンダヴァとカウラヴァ共通の先祖に当たる。
iti【副詞】〜と、〜ということ、以上(しばしば引用句の後に置かれる)

भीष्मद्रोणप्रमुखतः सर्वेषां च महीक्षिताम् ।
उवाच पार्थ पश्यैतान्समवेतान्कुरूनिति ॥ २५ ॥

bhīṣmadroṇapramukhataḥ sarveṣāṁ ca mahīkṣitām |
uvāca pārtha paśyaitānsamavetānkurūniti || 25 ||
ビーシュマとドローナ、そしてすべての王たちの前で、
「アルジュナよ。これらの集結したクルの一族を見なさい」と言われました。

バガヴァッド・ギーター第1章第24節

एवम् उक्तो हृषीकेशो
evam ukto hṛṣīkeśo
エーヴァム ウクトー フリシーケーショー
このように言われたクリシュナは

evam【副詞】このように、こんなふうに、そんなふうに
uktas【男性・単数・主格、過去受動分詞 √vac】言われた、話された、語られた
hṛṣīkeśas【男性・単数・主格】フリシーケーシャは。クリシュナの別名。名前は「感官の主」〔hṛṣīka(感官) + iśa(主)〕、あるいは「髪を逆立てている者」〔hṛṣī(逆立てている) + keśa(髪)〕の意。

गुडाकेशेन भारत ।
guḍākeśena bhārata |
グダーケーシェーナ バーラタ
アルジュナによって、バラタの子孫よ

guḍākeśena【男性・単数・具格】グダーケーシャによって。ここではアルジュナのこと。名前は「濃い毛髪の者」〔guḍā(濃い) + keśa(髪)〕の意。
bhārata【男性・単数・呼格】バラタの子孫よ。ここでは状況を報告するサンジャヤから、ドリタラーシュトラ王への呼びかけとなる。

सेनयोर् उभयोर् मध्ये
senayor ubhayor madhye
セーナヨール ウバヨール マッディエー
両軍の中間において

senayos【女性・両数・属格】二つの軍隊の、二つの軍勢の
ubhayos【女性・両数・属格】両方の、双方の
madhye【中性・単数・処格】中央において、中心において、中間において

स्थापयित्वा रथोत्तमम् ॥
sthāpayitvā rathottamam ||
スターパイットヴァー ラトーッタマム
最高の戦車を止めて

sthāpayitvā【使役活用・絶対分詞 √sthā】止めて、留めて
rathottamam【男性・単数・対格、ratha uttamam】最高の戦車を、最上の戦車を

एवमुक्तो हृषीकेशो गुडाकेशेन भारत ।
सेनयोरुभयोर्मध्ये स्थापयित्वा रथोत्तमम् ॥ २४॥

evamukto hṛṣīkeśo guḍākeśena bhārata |
senayorubhayormadhye sthāpayitvā rathottamam || 24||
大王よ、アルジュナにこのように言われたクリシュナは、
両軍の間に最高の戦車を止めて、

バガヴァッド・ギーター第1章第23節

योत्स्यमानान् अवेक्षे ऽहं
yotsyamānān avekṣe ‘haṁ
ヨーツヤマーナーン アヴェークシェーハン
私は戦おうとしている者たちを見る

yotsyamānān【男性・複数・対格・アートマネーパダ・未来分詞 √yudh】戦おうとしている、戦おうとする者たち
avekṣe【一人称・単数・アートマネーパダ・現在 ava√īkṣ】私は見る、私は見守る、私は観察する
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】私は、私が

य एते ऽत्र समागताः ।
ya ete ‘tra samāgatāḥ |
ヤ エーテートラ サマーガターハ
ここに集結したこれらが

ya【男性・複数・主格、関係代名詞 yad】〜であるところの(yotsyamānānの内容を、ete以下で説明する関係代名詞yeの連声)
ete【男性・複数・主格、指示代名詞 etad】これら
atra【副詞】ここに、この場所に、この点において。ここでは「この戦地に」の意。
samāgatās【男性・複数・主格、過去受動分詞 sam-ā√gam】集まって来る、集合した、団結した、結集した

धार्तराष्ट्रस्य दुर्बुद्धेर्
dhārtarāṣṭrasya durbuddher
ダールタラーシュトラッシャ ドゥルブッデール
邪悪な心をもつドリタラーシュトラの息子の

dhārtarāṣṭrasya【男性・属格・単数】ドリタラーシュトラの息子の。ここではドゥルヨーダナのことを指す。
durbuddhes【男性・単数・属格、所有複合語】邪悪な心の、悪意をもつ、悪心の、悪性の

युद्धे प्रियचिकीर्षवः ॥
yuddhe priyacikīrṣavaḥ ||
ユッデー プリヤチキールシャヴァハ
戦争において、喜ばせようとして

yuddhe【中性・単数・処格】戦いにおいて、戦闘において、戦争において
priya【中性】親しい、愛しい、欲しい、最愛の、好きな; 好意、親愛、親切、愛、楽しみ、喜び
cikīrṣavas【男性・複数・主格、語幹cikīrṣuは√kṛの意欲活用の形容詞化】〜をしようと望む、〜を行おうとする
→priyacikīrṣavaḥ【男性・複数・主格、限定複合語】奉仕をしようとして、喜ばせようとして、好意を示そうとして

योत्स्यमानानवेक्षेऽहं य एतेऽत्र समागताः ।
धार्तराष्ट्रस्य दुर्बुद्धेर्युद्धे प्रियचिकीर्षवः ॥ २३॥

yotsyamānānavekṣe’haṁ ya ete’tra samāgatāḥ |
dhārtarāṣṭrasya durbuddheryuddhe priyacikīrṣavaḥ || 23||
私はここに集結した彼らが戦おうとしているのを見ます。
邪悪な心をもつドリタラーシュトラの息子を、戦争において喜ばせようとして……」