バガヴァッド・ギーター第1章第43節

दोषैर् एतैः कुलघ्नानां
doṣair etaiḥ kulaghnānāṁ
ドーシャイル エータイヒ クラグナーナーン
一族の破壊者たちのこれらの罪過によって

doṣais【男性・複数・具格】罪によって、悪によって、罪過によって
etais【男性・複数・具格、指示代名詞 etad】これらによって
kulaghnānām【男性・複数・属格】家族の破壊者たちの、一族の破壊者たちの

वर्णसंकरकारकैः ।
varṇasaṁkarakārakaiḥ |
ヴァルナサンカラカーラカイヒ
種姓の混乱をもたらすことによって

vaṇa【男性】種、カースト、種姓
saṁkara【男性】混乱、混淆、混合
kārakais【男性・複数・具格】〜を為す、作る、生ずる、起こす、遂行する
→varṇasaṁkarakārakais【男性・複数・具格、限定複合語】種姓の混乱をもたらすことによって、種姓を混乱させることによって

उत्साद्यन्ते जातिधर्माः
utsādyante jātidharmāḥ
ウツサーディヤンテー ジャーティダルマーハ
社会階級の規範が絶たれる

utsādyante【三人称・複数・現在・受動活用 ut√sad】それらは破壊される、それらは絶たれる、それらは中止される
jāti【女性】生まれながらの位置、等級、種姓、階級、カースト、人種、血統、家系
dharmās【男性・複数・主格】秩序、慣例、習慣、風習、法則、既定;規則;義務;得、美徳、善行;宗教;教説;正義;公正;法律;性質、性格、本質、属性
→jātidharmās【男性・複数・主格】階級法が、階級の美徳が、階級の義務が

कुलधर्माश्च शाश्वताः ॥
kuladharmāśca śāśvatāḥ ||
クラダルマーシュチャ シャーシュヴァターハ
また永遠なる一族の慣習が

kula【中性】家族、一族、氏族、群れ、仲間、カースト
dharmās【男性・複数・主格】秩序、慣例、習慣、風習、法則、既定;規則;義務;得、美徳、善行;宗教;教説;正義;公正;法律;性質、性格、本質、属性
→kuladharmās【男性・複数・主格、限定複合語】家族法が、一族の美徳が、一族の慣習が
ca【接続詞】そして、また、〜と
śāśvatās【男性・複数・主格】永遠の、不変の、不滅の、恒久の、果てしない

दोषैरेतैः कुलघ्नानां वर्णसंकरकारकैः ।
उत्साद्यन्ते जातिधर्माः कुलधर्माश्च शाश्वताः ॥ ४३ ॥

doṣairetaiḥ kulaghnānāṁ varṇasaṁkarakārakaiḥ |
utsādyante jātidharmāḥ kuladharmāśca śāśvatāḥ || 43 ||
一族の破壊者たちの、種姓の混乱をもたらすこれらの罪過によって、
永遠なる社会階級の規範と一族の慣習が絶たれます。

バガヴァッド・ギーター第1章第42節

संकरो नरकायैव
saṁkaro narakāyaiva
サンカロー ナラカーヤイヴァ
混乱は地獄のために

saṁkaras【男性・単数・主格】混乱は、混淆は、混合は
narakāya【男性・単数・為格】地獄のために、冥界のために、地界のために
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)

कुलघ्नानां कुलस्य च ।
kulaghnānāṁ kulasya ca |
クラグナーナーン クラスヤ チャ
一族の破壊者たちと、一族にとって

kula【中性】家族、一族、氏族、群れ、仲間、カースト
ghnānām【男性・複数・属格】破壊者たちにとって、殺人者たちにとって
→kulaghnānām【男性・複数・属格、限定複合語】家族の破壊者たちにとって、一族の破壊者たちにとって
kulasya【中性・単数・属格】家族にとって、一族にとって
ca【接続詞】そして、また、〜と

पतन्ति पितरो ह्येषां
patanti pitaro hyeṣāṁ
パタンティ ピタロー ヒエーシャーン
なぜならば、彼らの祖先は落ちるため

patanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √pat】彼らは落ちる、彼らは沈む。インド古来の信仰では、供養を受けられない祖霊は地獄に落ちるとされる。
pitaras【男性・複数・主格】(特に男性の)祖先たちは、先祖たちは、父親たちは
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
eṣām【男性・複数・属格、指示代名詞 etad】彼らの、それらの

लुप्तपिण्डोदकक्रियाः ॥
luptapiṇḍodakakriyāḥ ||
ルプタピンドーダカクリヤーハ
供物と水の供養を失った

lupta【男性、過去受動分詞 √lup】失った、奪われた、取り上げられた
piṇḍa【男性】食物;(祖霊に与える)団子、祖霊祭の供物、祭餅
udaka【中性】水:聖水、浄水
kriyās【女性・複数・主格】祭式、供儀、儀式、供養
→luptapiṇḍodakakriyās【男性・複数・主格、並列複合語】供物と水の供養(先祖供養)を失った

संकरो नरकायैव कुलघ्नानां कुलस्य च ।
पतन्ति पितरो ह्येषां लुप्तपिण्डोदकक्रियाः ॥ ४२ ॥

saṁkaro narakāyaiva kulaghnānāṁ kulasya ca |
patanti pitaro hyeṣāṁ luptapiṇḍodakakriyāḥ || 42 ||
種姓の混乱は、一族の破壊者たちと一族を地獄へと導きます。
なぜならば、供物と水の供養を失った彼らの祖霊は、地獄へ落ちるから……

バガヴァッド・ギーター第1章第41節

अधर्माभिभवात् कृष्ण
adharmābhibhavāt kṛṣṇa
アダルマービバヴァート クリシュナ
悪徳の支配により、クリシュナよ

adharmābhibhavāt【男性・単数・従格】非法の支配により、不正の支配により、悪徳の支配により。adharma(非法)+abhibhavāt(支配)
kṛṣṇa【男性・単数・呼格】クリシュナよ

प्रदुष्यन्ति कुलस्त्रियः ।
praduṣyanti kulastriyaḥ |
プラドゥッシャンティ クラストリヤハ
一族の女性たちは堕落する

praduṣyanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 pra√duṣ】彼女らは堕落する、彼女らは不純になる、彼女らは穢れる
kula【中性】家族、一族、氏族、群れ、仲間、カースト
striyas【女性・複数・主格】女性たちは、婦女たちは、妻たちは
→kulastriyas【女性・複数・主格】一族の女性たちは

स्त्रीषु दुष्टासु वार्ष्णेय
strīṣu duṣṭāsu vārṣṇeya
ストリーシュ ドゥシュタース ヴァールシュネーヤ
女性たちが堕落すれば、クリシュナよ

strīṣu【女性・複数・処格】女性たちにおいて、婦女たちにおいて
duṣṭāsu【女性・複数・処格、過去受動分詞 √duṣ】堕落した、穢れた
→strīṣu duṣṭāsu【絶対処格】女性たちが堕落するとき、婦女たちが穢れれば
vārṣṇeya【男性・単数・呼格】ヴリシュニの子孫よ。クリシュナの別名。

जायते वणसंकरः ॥
jāyate vaṇasaṁkaraḥ ||
ジャーヤテー ヴァルナサンカラハ
種姓の混乱が生じる

jāyate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √jan】それは生じる、それは生まれる、それは起きる
vaṇa【男性】種、カースト、種姓
saṁkaras【男性・単数・主格】混乱が、混淆が、混合が
→vaṇasaṁkaras【男性・単数・主格、限定複合語】種姓の混乱が、カーストの混淆が

अधर्माभिभवात्कृष्ण प्रदुष्यन्ति कुलस्त्रियः ।
स्त्रीषु दुष्टासु वार्ष्णेय जायते वणसंकरः ॥ ४१ ॥

adharmābhibhavātkṛṣṇa praduṣyanti kulastriyaḥ |
strīṣu duṣṭāsu vārṣṇeya jāyate vaṇasaṁkaraḥ || 41 ||
クリシュナよ、悪徳の支配により、一族の女性たちは堕落します。
女性たちが堕落すれば、種姓の混乱が生じます。

バガヴァッド・ギーター第1章第40節

कुलक्षये प्रणश्यन्ति
kulakṣaye praṇaśyanti
クラクシャイェー プラナッシャンティ
一族が滅亡するとき、それらは滅びる

kula【中性】家族、一族、氏族、群れ、仲間、カースト
kṣaye【男性・単数・処格】破壊において、崩壊において、衰退において、滅亡において
→kulakṣaye【男性・単数・処格、限定複合語】一族の滅亡において、一族が滅亡するとき
praṇaśyanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 pra√naś】それらは消滅する、それらは滅びる、それらは衰退する

कुलधर्माः सनातनाः ।
kuladharmāḥ sanātanāḥ |
クラダルマーハ サナータナーハ
一族古来の慣習が

kula【中性】家族、一族、氏族、群れ、仲間、カースト
dharmās【男性・複数・主格】正義、法、美徳、名誉;慣習、しきたり、習わし、義務
→kuladharmās【男性・複数・主格、限定複合語】家族法が、一族の美徳が、一族の慣習が
sanātanās【男性・複数・主格】永遠の、不滅の、果てしない、太古の、古代からの

धर्मे नष्टे कुलं कृत्स्नम्
dharme naṣṭe kulaṁ kṛtsnam
ダルメー ナシュテー クラン クリツスナム
美徳が滅びれば、すべての一族を

dharme【男性・単数・処格】法において、義務において、美徳において
naṣṭe【単数・処格、過去受動分詞 √naś】消滅において、滅亡において
→dharme naṣṭe【絶対処格】法が滅びるとき、法が滅びれば、美徳が滅びれば
kulam【中性・単数・対格】家族を、一族を、氏族を
kṛtsnam【中性・単数・対格】すべての、全体の

अधर्मो ऽभिभवत्युत ॥
adharmo ‘bhibhavatyuta ||
アダルモー ビバヴァティユタ
実に悪徳が支配する

adharmas【男性・単数・主格】非法が、不徳が、悪徳が
abhibhavati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 abhi√bhū】それは支配する、それは圧倒する、それは征服する
uta【接続詞】そして、また、あるいは;実に、真に、まさに(文の終わりに置かれて強意を示す)

कुलक्षये प्रणश्यन्ति कुलधर्माः सनातनाः ।
धर्मे नष्टे कुलं कृत्स्नमधर्मोऽभिभवत्युत ॥ ४० ॥

kulakṣaye praṇaśyanti kuladharmāḥ sanātanāḥ |
dharme naṣṭe kulaṁ kṛtsnamadharmo’bhibhavatyuta || 40 ||
一族が滅亡するとき、一族古来の慣習が滅びます。
美徳が滅びれば、まさに悪徳がすべての一族を支配します。

バガヴァッド・ギーター第1章第39節

कथं न ज्ञेयम् अस्माभिः
kathaṁ na jñeyam asmābhiḥ
カタン ナ ジュニェーヤム アスマービヒ
どうして私たちが知るべきでない

katham【副詞】どうして、いかにして
na【否定辞】〜でない
jñeyam【中性・単数・主格、未来受動分詞(動詞的形容詞、義務分詞) √jñā】知られるべき
asmābhis【男性・複数・具格】私たちによって

पापाद् अस्मान् निवर्तितुम् ।
pāpād asmān nivartitum |
パーパード アスマーン ニヴァルティトゥム
この罪から免れること

pāpāt【中性・単数・従格】罪から、悪事から、悪行から、不正から
asmān【中性・単数・従格、指示代名詞 idam】これから
nivartitum【不定詞 ni√vṛt】逃れること、離れること、免れること

कुलक्षयकृतं दोषं
kulakṣayakṛtaṁ doṣaṁ
クラクシャヤクリタン ドーシャン
一族を崩壊させる罪を

kula【中性】家族、一族、氏族、群れ、仲間、カースト
kṣaya【男性、√kṣiから派生した名詞】破壊、崩壊、衰退、減衰、腐敗、滅亡
kṛtam【男性・単数・対格、過去受動分詞 √kṛ】生じた、為された、作られた
→kulakṣayakṛtam【男性・単数・対格】家族を滅亡させる、氏族を崩壊させる、一族を滅ぼす
doṣam【男性・単数・対格】罪を、悪を、罪過を

प्रपश्यद्भिर् जनार्दन ॥
prapaśyadbhir janārdana ||
プラパッシャドビル ジャナールダナ
理解していることによって、クリシュナよ

prapaśyadbhis【男性・複数・具格、現在分詞 pra√paś】知っていることによって、理解していることによって、識別していることによって。前出のasmābhisと同格のため「〜を理解している私たち」となる。
janārdana【男性・単数・呼格】ジャナールダナよ。クリシュナの別名。名前は「人を悩ます者」の意。

कथं न ज्ञेयमस्माभिः पापादस्मान्निवर्तितुम् ।
कुलक्षयकृतं दोषं प्रपश्यद्भिर्जनार्दन ॥ ३९ ॥

kathaṁ na jñeyamasmābhiḥ pāpādasmānnivartitum |
kulakṣayakṛtaṁ doṣaṁ prapaśyadbhirjanārdana || 39 ||
一族を崩壊させる罪をよく理解している私たちが、
この罪から免れるすべを知らないでよいはずがありません、クリシュナよ。

バガヴァッド・ギーター第1章第38節

यद्यप्येते न पश्यन्ति
yadyapyete na paśyanti
ヤディヤピイェーテー ナ パッシャンティ
たとえ彼らがこれら認めずとも

yadi【接続詞】もし、たとえ
api【接続詞】〜もまた、さえも、さらに
→yadi api:たとえ〜でも
ete【男性・複数・主格、指示代名詞 etad】これら
na【否定辞】〜でない
paśyanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √paś】彼らは見る、彼らは予見する、彼らは認める

लोभोपहतचेतसः ।
lobhopahatacetasaḥ |
ローボーパハタチェータサハ
貪欲に心乱された

lobha【男性】貪欲、強欲、欲望
upahata【過去受動分詞 upa√han】害された、損なわれた
cetasas【中性・複数・主格】心、精神、意志
→lobhopahatacetasas【中性・複数・主格、所有複合語】貪欲に心を損なわれた、貪欲に心乱された

कुलक्षयकृतं दोषं
kulakṣayakṛtaṁ doṣaṁ
クラクシャヤクリタン ドーシャン
一族を崩壊させる罪を

kula【中性】家族、一族、氏族、群れ、仲間、カースト
kṣaya【男性、√kṣiから派生した名詞】破壊、崩壊、衰退、減衰、腐敗、滅亡
kṛtam【男性・単数・対格、過去受動分詞 √kṛ】生じた、為された、作られた
→kulakṣayakṛtam【男性・単数・対格】家族を滅亡させる、氏族を崩壊させる、一族を滅ぼす
doṣam【男性・単数・対格】罪を、悪を、罪過を

मित्रद्रोहे च पातकम् ॥
mitradrohe ca pātakam ||
ミットラドローヘー チャ パータカム
仲間を裏切ることにおける罪悪を

mitra【男性】友人、仲間、同僚
drohe【男性・単数・処格】損害において、危害において、裏切りにおいて、背信において
→mitradrohe【男性・単数・処格】友人を傷つけることにおいて、仲間を裏切ることにおいて
ca【接続詞】そして、また、〜と
pātakam【中性・単数・対格】落ちる(√pat)ことを; 罪を、悪を、罪悪を、罪過を、悪事を

यद्यप्येते न पश्यन्ति लोभोपहतचेतसः ।
कुलक्षयकृतं दोषं मित्रद्रोहे च पातकम् ॥ ३८ ॥

yadyapyete na paśyanti lobhopahatacetasaḥ |
kulakṣayakṛtaṁ doṣaṁ mitradrohe ca pātakam || 38 ||
たとえ貪欲に心乱された彼らが、一族を崩壊させる罪と、
仲間を裏切ることにおける罪悪を認めなくても、

バガヴァッド・ギーター第1章第37節

तस्मान् नार्हा वयं हन्तुं
tasmān nārhā vayaṁ hantuṁ
タスマーン ナールハー ヴァヤン ハントゥン
それゆえ私たちは殺すべきではない

tasmāt【男性・中性・単数・従格、指示代名詞 tad】それ故に
na【否定辞】〜でない
arhā【男性・複数・主格】価値がある、値する、妥当する、〜する資格がある、〜すべき
vayam【複数・主格、一人称代名詞 asmad】私たちは
hantum【不定詞 √han】殺すこと、破壊すること

धार्तराष्ट्रान् स्वबान्धवान् ।
dhārtarāṣṭrān svabāndhavān |
ダールタラーシュトラーン スヴァバーンダヴァーン
ドリタラーシュトラの一族を、自分の親族たちを

dhārtarāṣṭrān【男性・複数・対格】ドリタラーシュトラの一族を、ドリタラーシュトラの息子たちを
svabāndhavān【男性・複数・対格】自分の親族たちを、自分の血縁者たちを。sva(自分の)-bāndhava(親族)

स्वजनं हि कथं हत्वा
svajanaṁ hi kathaṁ hatvā
スヴァジャナン ヒ カタン ハットヴァー
なぜならば、自分の一族を殺して、どうして

svajanam【男性・単数・対格】自分の一族を、同族の者を、親類を、親族を、血縁者を
hi【接続詞】なぜならば、実に
katham【副詞】どうして、いかにして
hatvā【絶対分詞 √han】殺して、破壊して、始末して

सुखिनः स्याम माधव ॥
sukhinaḥ syāma mādhava ||
スキナハ シヤーマ マーダヴァ
私たちは幸せになれよう、クリシュナよ

sukhinas【男性・複数・主格】幸福な、楽しい、嬉しい、快適な、愉快な
syāma【一人称・複数・パラスマイパダ・願望法 √as】私たちは〜だろう、私たちは〜であるかも知れない
mādhava【男性・単数・呼格】マーダヴァよ。クリシュナの別名。名前は「マドゥの子孫」の意。

तस्मान्नार्हा वयं हन्तुं धार्तराष्ट्रान्स्वबान्धवान् ।
स्वजनं हि कथं हत्वा सुखिनः स्याम माधव ॥ ३७ ॥

tasmānnārhā vayaṁ hantuṁ dhārtarāṣṭrānsvabāndhavān |
svajanaṁ hi kathaṁ hatvā sukhinaḥ syāma mādhava || 37 ||
それゆえ私たちは、ドリタラーシュトラの一族、自分の親族たちを殺すべきではありません。
なぜならば、自分の一族を殺して、どうして幸せになれるでしょうか、クリシュナよ。

バガヴァッド・ギーター第1章第36節

निहत्य धार्तराष्ट्रान् नः
nihatya dhārtarāṣṭrān naḥ
ニハティヤ ダールタラーシュトラーン ナハ
ドリタラーシュトラの一族を殺して、私たちに

nihatya【絶対分詞 ni√han】殺して、打ち倒して、破壊して
dhārtarāṣṭrān【男性・複数・対格】ドリタラーシュトラの一族を、ドリタラーシュトラの息子たちを
nas【複数・為格、一人称代名詞(附帯形) asmad】私たちに、私たちにとって

का प्रीतिः स्याज् जनार्दन ।
kā prītiḥ syāj janārdana |
カー プリーティヒ スヤージュ ジャナールダナ
どんな喜びがあるだろうか、クリシュナよ

kā【女性・単数・主格、疑問代名詞 kim】何、誰、なぜ、どんな、どのように
prītis【女性・単数・主格】喜びが、歓喜が、満足が、楽しみが
syāt【三人称・単数・パラスマイパダ・願望法 √as】それは〜だろう、それは〜であるかも知れない、おそらく
janārdana【男性・単数・呼格】ジャナールダナよ。クリシュナの別名。名前は「人を悩ます者」の意。

पापम् एवाश्रयेद् अस्मान्
pāpam evāśrayed asmān
パーパム エーヴァーシュライェード アスマーン
ただ罪過が私たちに宿るだけだろう

pāpam【中性・単数・主格】罪が、罪悪が、罪過が、悪徳が
eva【副詞】まさに、のみ(限定強意をあらわす)
āśrayet【三人称・単数・パラスマイパダ・願望法 ā√śri】それは加わるだろう、それは付着するだろう、それは宿るだろう
asmān【複数・対格、一人称代名詞 asmad】私たちに

हत्वैतान् आततायिनः॥
hatvaitān ātatāyinaḥ ||
ハットヴァイターン アータターイナハ
これらの凶暴な者たちを殺して

hatvā【絶対分詞 √han】殺して、破壊して、始末して
etān【男性・複数・対格、指示代名詞 etad】彼らを、これらを
ātatāyinas【男性・複数・対格】(命を奪うために)弓を引く者たちを、危害を加えようとする者たちを、侵略者たちを、攻撃者たちを、殺害者たちを

निहत्य धार्तराष्ट्रान्नः का प्रीतिः स्याज् जनार्दन ।
पापमेवाश्रयेदस्मान्हत्वैतानाततायिनः ॥ ३६ ॥

nihatya dhārtarāṣṭrānnaḥ kā prītiḥ syāj janārdana |
pāpamevāśrayedasmānhatvaitānātatāyinaḥ || 36 ||
ドリタラーシュトラの一族を殺して、私たちにどんな喜びがあるでしょうか、クリシュナよ。
これらの凶暴な者たちを殺しても、ただ罪過が私たちに宿るだけでしょう。

バガヴァッド・ギーター第1章第35節

एतान् न हन्तुम् इच्चामि
etān na hantum iccāmi
エーターン ナ ハントゥム イッチャーミ
私は彼らを殺すことを望まない

etān【男性・複数・対格、指示代名詞 etad】彼らを、これらを
na【否定辞】〜でない
hantum【不定詞 √han】殺すこと、破壊すること
iccāmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √iṣ】私は望む、私は欲する

घ्नतो ऽपि मधुसूदन ।
ghnato ‘pi madhusūdana |
グナトー ピ マドゥスーダナ
クリシュナよ、たとえ(彼らが私を)殺しても

ghnatas【男性・複数・主格、現在分詞 √han】殺して、殺害して、破壊して
api【接続詞】〜もまた、さえも、さらに
madhusūdana【男性・単数・呼格】マドゥスーダナよ。クリシュナの別名。名前は「(悪魔)マドゥを殺す者」の意。ここでのマドゥは、クリシュナの先祖にあたるマドゥとは異なる。

अपि त्रैलोक्यराज्यस्य हेतोः
api trailokyarājyasya hetoḥ
アピ トライローキヤラージャッシャ ヘートーホ
たとえ三界の王権のためでも

api【接続詞】〜もまた、さえも、さらに
trailokya【中性】三界(地bhūḥ 空bhuvaḥ 天svaḥ)
rājyasya【中性・単数・属格】王権の、主権の、支配権の、王政の
→trailokyarājyasya【中性・単数・属格、限定複合語】三界の王権の
hetos【男性・単数・従格】(属格とともに用いられて)〜のために、〜によって

किं नु महीकृते ॥
kiṁ nu mahīkṛte ||
キン ヌ マヒークリテー
ましてや国土のためには

kim【疑問代名詞】何、誰、なぜ、どんな、どのように
nu【不変化辞】実に、確実に、まさに(強意を示す)
→kim nu:まして、なおさら、況んや
mahī【女性】大地、国土
kṛte【中性・単数・処格】〜のために
→mahīkṛte【副詞】国土のために、大地のために

एतान्न हन्तुमिच्चामि घ्नतोऽपि मधुसूदन ।
अपि त्रैलोक्यराज्यस्य हेतोः किं नु महीकृते ॥ ३५ ॥

etānna hantumiccāmi ghnato’pi madhusūdana |
api trailokyarājyasya hetoḥ kiṁ nu mahīkṛte || 35 ||
クリシュナよ、たとえ彼らが私を殺そうとも、私は彼らを殺したくはありません。
たとえ三界の王権のためでも、ましてや国土のためには……

バガヴァッド・ギーター第1章第34節

आचार्याः पितरः पुत्रास्
ācāryāḥ pitaraḥ putrās
アーチャーリヤーハ ピタラハ プットラース
師たち、父たち、息子たち

ācāryās【男性・複数・主格】師たちが、先生たちが
pitaras【男性・複数・主格】父たちが
putrās【男性・複数・主格】息子たちが

तथैव च पितामहाः ।
tathaiva ca pitāmahāḥ |
タタイヴァ チャ ピターマハーハ
また祖父たち

tathā【副詞・接続詞】同様に、また
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
ca【接続詞】そして、また、〜と
pitāmahās【男性・複数・主格】祖父たちが

मातुलाः श्वशुराः पौत्राः
mātulāḥ śvaśurāḥ pautrāḥ
マートゥラーハ シュヴァシュラーハ パウットラーハ
叔父たち、義父たち、孫たち

mātulās【男性・複数・主格】母方の叔父たちが
śvaśurās【男性・複数・主格】義父たちが
pautrās【男性・複数・主格】孫たちが

श्यालाः संबन्धिनस् तथा ॥
śyālāḥ saṁbandhinas tathā ||
シヤーラーハ サンバンディナス タター
義兄弟たち、親族たちが

śyālās【男性・複数・主格】義兄弟たちが
saṁbandhinas【男性・複数・主格】親類たちが、血縁者たちが、身内たちが、親族たちが、親戚たちが、仲間たちが、同族たちが
tathā【副詞・接続詞】同様に、また

आचार्याः पितरः पुत्रास्तथैव च पितामहाः ।
मातुलाः श्वशुराः पौत्राः श्यालाः संबन्धिनस्तथा ॥ ३४ ॥

ācāryāḥ pitaraḥ putrāstathaiva ca pitāmahāḥ |
mātulāḥ śvaśurāḥ pautrāḥ śyālāḥ saṁbandhinastathā || 34 ||
師たち、父たち、息子たち、また祖父たち
叔父たち、義父たち、孫たち、義兄弟たち、そして他の親族たちが――