バガヴァッド・ギーター第2章第7節

कार्पण्यदोषोपहतस्वभावः
kārpaṇyadoṣopahatasvabhāvaḥ
カールパンニャドーショーパハタスヴァバーヴァハ
哀憐の情に本性を曇らされ

kārpaṇya【中性】同情、悲哀、哀憫、哀憐;心貧しいこと、惨めなこと;貧乏、貧困
doṣa【男性】欠陥、欠点、短所;汚点、劣等な状態、悪い性質;害、損傷、損害;罪、悪、罪過
upahata【過去受動分詞 upa√han】苦しめられた、攻撃された、傷つけられた;だめにされた、汚された、曇らされた
svabhāvas【男性・単数・主格】固有のあり方、生まれつきの性質、素質、本性
→kārpaṇyadoṣopahatasvabhāvas【男性・単数・主格、所有複合語】悲哀の罪過によって本性を傷つけられた、哀憐の性質に本性を汚された

पृच्चामि त्वां धर्मसंमूढचेताः ।
pṛccāmi tvāṁ dharmasaṁmūḍhacetāḥ |
プリッチャーミ トヴァーン ダルマサンムーダチェーターハ
義について混乱した心の私はあなたに尋ねる

pṛccāmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √prach】私は尋ねる、私は質問する、私は聞く
tvām【単数・対格、二人称代名詞 tvad】あなたに
dharma【男性】秩序、慣例、習慣、風習、法則、既定;規則;義務;得、美徳、善行;宗教;教説;正義;公正;法律;性質、性格、本質、属性
saṁmūḍha【過去受動分詞 sam√muh】混乱した、困惑した、惑わされた
cetās【中性・単数・主格、形容詞】心、精神、意志;感官
→dharmasaṁmūḍhacetās【中性・単数・主格、所有複合語】正義について混乱した心の、心は義務に関して惑わされた

यच्छ्रेयः स्यान् निश्चितं ब्रूहि तन् मे
yacchreyaḥ syān niścitaṁ brūhi tan me
ヤッチュレーヤハ シヤーン ニシュチタン ブルーヒ タン メー
どちらがよいだろうか、それを私にはっきりと告げよ

yat【中性・単数・主格、関係代名詞 yad】前節の「私たちが勝つべきか、あるいは彼らが私たちに勝つべきか」を受ける関係代名詞。
śreyas【中性・単数・対格、比較級】より良い、より優れた、より幸せな
syāt【三人称・単数・パラスマイパダ・願望法 √as】それは〜であるべき、それは〜であろう
niścitam【副詞】決定的に、確実に、疑いなく
brūhi【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 √brū】言え、語れ、告げよ
tat【中性・単数・対格、指示代名詞 tad】それを
me【単数・為格、一人称代名詞(附帯形) mad】私に、私のために

शिष्यस् ते ऽहं शाधि मां त्वां प्रपन्नम् ॥
śiṣyas te ‘haṁ śādhi māṁ tvāṁ prapannam ||
シッシャス テー ハン シャーディ マーン トヴァーン プラパンナム
私はあなたの弟子、あなたのおみ足にひざまずく私を導かれよ

śiṣyas【男性・単数・主格】生徒、弟子、門弟、学生
te【単数・属格、二人称代名詞 tvad】あなたの
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】私は
śādhi【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 √śās】導け、教えよ、教示せよ;指示せよ、命令せよ;正せ、矯正せよ、罰せよ
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】私に、私を
tvām【単数・対格、二人称代名詞 tvad】あなたに
prapannam【単数・対格、過去受動分詞 pra√pad】達した、到った、来た;人の足にひざまずいた;嘆願する

कार्पण्यदोषोपहतस्वभावः पृच्चामि त्वां धर्मसंमूढचेताः ।
यच्छ्रेयः स्यान्निश्चितं ब्रूहि तन्मे शिष्यस्तेऽहं शाधि मां त्वां प्रपन्नम् ॥ ७ ॥

kārpaṇyadoṣopahatasvabhāvaḥ pṛccāmi tvāṁ dharmasaṁmūḍhacetāḥ |
yacchreyaḥ syānniścitaṁ brūhi tanme śiṣyaste’haṁ śādhi māṁ tvāṁ prapannam || 7 ||
哀憐の情に本性を曇らされ、義について心惑う私はあなたにお訊きします。
どちらがよいのか、私にはっきりと告げてください。
私はあなたの弟子です。あなたのおみ足にひざまずく私を教え導いてください。

バガヴァッド・ギーター第2章第6節

न चैतद् विद्मः कतरन् नो गरीयो
na caitad vidmaḥ kataran no garīyo
ナ チャイタド ヴィドマハ カタラン ノー ガリーヨー
そして私たちはこれを知らない、私たちにとってどちらがより重要なのか

na【否定辞】〜でない
ca【接続詞】そして、また、〜と
etat【中性・単数・対格、指示代名詞 etad】これを
vidmas【一人称・複数・パラスマイパダ・現在 √vid】私たちは知る、私たちは理解する、私たちは分かる
katarat【中性・両数・対格、疑問代名詞 katara】(二者の中の)誰か、いずれか、どれか
nas【属格・複数、一人称代名詞(附帯形) asmad】私たちにとって
garīyas【中性・単数・対格、比較級】より尊い、より価値がある、より重要な

यद् वा जयेम यदि वा नो जयेयुः ।
yad vā jayema yadi vā no jayeyuḥ |
ヤッド ヴァー ジャイェーマ ヤディ ヴァー ノー ジャイェーユフ
私たちが勝つべきか、あるいは彼らが私たちに勝つべきか

yad【関係代名詞】〜であるもの
vā【接続詞】あるいは
→yad vā:〜かどうか、あるいは
jayema【一人称・複数・パラスマイパダ・願望法 √ji】私たちが勝つべき、私たちが征服すべき
yadi【接続詞】もし
vā【接続詞】あるいは
→yadi vā:〜かどうか、あるいは
nas【対格・複数、一人称代名詞(附帯形) asmad】私たちに
jayeyus【三人称・複数・パラスマイパダ・願望法 √ji】彼らが勝つべき、彼らが征服すべき

यान् एव हत्वा न जिजीविषामस्
yān eva hatvā na jijīviṣāmas
ヤーン エーヴァ ハットヴァー ナ ジジーヴィシャーマス
彼らを殺して、私たちは生きたいとは思わない

yān【男性・複数・対格、関係代名詞 yad】彼らを
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
hatvā【絶対分詞 √han】殺して、破壊して、始末して
na【否定辞】〜でない
jijīviṣāmas【一人称・複数・パラスマイパダ・現在、意欲活用 √jīv】私たちは生きたい、私たちは生きたいと願う

ते ऽवस्थिताः प्रमुखे धार्तराष्ट्राः ॥
te ‘vasthitāḥ pramukhe dhārtarāṣṭrāḥ ||
テー ヴァスティターハ プラムケー ダールタラーシュトラーハ
そのドリタラーシュトラの息子たちが、面前において立っている

te【男性・複数・主格、指示代名詞 tad】それらは、彼らは
avasthitās【男性・複数・主格、過去受動分詞 ava√sthā】立っている、立ち並ぶ、配陣した
pramukhe【中性・単数・処格】面前において、目前において;〜に面して、〜に対して、〜の前に
dhārtarāṣṭrās【男性・複数・主格】ドリタラーシュトラの一族が、ドリタラーシュトラの息子たちが

न चैतद्विद्मः कतरन्नो गरीयो यद्वा जयेम यदि वा नो जयेयुः ।
यानेव हत्वा न जिजीविषामस्तेऽवस्थिताः प्रमुखे धार्तराष्ट्राः ॥ ६ ॥

na caitadvidmaḥ kataranno garīyo yadvā jayema yadi vā no jayeyuḥ |
yāneva hatvā na jijīviṣāmaste’vasthitāḥ pramukhe dhārtarāṣṭrāḥ || 6 ||
そして、私たちにとってどちらがよいのか分かりません。
私たちが勝つべきなのか、あるいは彼らが私たちに勝つべきなのか――
彼らを殺してまで、私たちは生きたいとは思いません。
そのドリタラーシュトラの息子たちが、目の前に立っています。

※この節の1行目、2行目には、トリシュトゥブの韻律には珍しい字余りが見られます。

バガヴァッド・ギーター第2章第5節

गुरून् अहत्वा हि महानुभावान्
gurūn ahatvā hi mahānubhāvān
グルーン アハットヴァー ヒ マハーヌバーヴァーン
実に、威厳ある師たちを殺さないで

gurūn【男性・複数・対格】尊敬すべき人たちを、年長の人たちを、師たちを
ahatvā【絶対分詞 a√han】殺さないで、破壊しないで、始末しないで
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
mahānubhāvān【男性・複数・対格】力強い、威厳ある、高徳の、高貴な

श्रेयो भोक्तुं भैक्ष्यमपीह लोके ।
śreyo bhoktuṁ bhaikṣyamapīha loke |
シュレーヨー ボークトゥン バイクシャマピーハ ローケー
この世で物乞いをして生きる方がよい

śreyas【中性・単数・対格、比較級】より良い、より優れた、より幸せな
bhoktum【不定詞 √bhuj】食べること、飲むこと、楽しむこと
bhaikṣyam【中性・単数・対格】施しもので生きること、物乞いをすること、乞食をすること
api【接続詞】〜もまた、さえも、さらに
iha【副詞】ここで[へ・に];この世で、地上で
loke【男性・単数・処格】世界において、地上において

हत्वार्थकामांस् तु गुरून् इहैव
hatvārthakāmāṁs tu gurūn ihaiva
ハットヴァールタカーマーンス トゥ グルーン イハイヴァ
一方、役に立とうとする師たちを殺せば、この世で

hatvā【絶対分詞 √han】殺して、破壊して、始末して
artha【男性】財産、富、金;褒美;利得
kāmān【男性・複数・対格】欲望、願望、欲求;愛、享楽
→arthakāmān【男性・複数・対格、所有複合語】富を希う、有用になることを望む、目的を果たそうとする;富と享楽を
tu【接続詞】しかし、一方
gurūn【男性・複数・対格】尊敬すべき人たちを、年長の人たちを、師たちを
iha【副詞】ここで[へ・に];この世で、地上で
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)

भुञ्जीय भोगान् रुधिरप्रदिग्धान् ॥
bhuñjīya bhogān rudhirapradigdhān ||
ブンジーヤ ボーガーン ルディラプラディグダーン
私は血に染まった享楽を味わうだろう

bhuñjīya【一人称・単数・アートマネーパダ・願望法 √bhuj】私は食べるだろう、私は食べるべき、私は食べるかもしれない
bhogān【男性・複数・対格】享楽を、快楽を、歓喜を;財産を
rudhira【形容詞】赤い、血の;血のように赤い、血で赤く染まった
pradigdhān【男性・複数・対格】〜で塗られた、覆われた、染まった
→rudhirapradigdhān【男性・複数・対格、限定複合語】血で塗られた、血で汚された、血をまとう

गुरूनहत्वा हि महानुभावान् श्रेयो भोक्तुं भैक्ष्यमपीह लोके ।
हत्वार्थकामांस्तु गुरूनिहैव भुञ्जीय भोगान् रुधिरप्रदिग्धान् ॥ ५ ॥

gurūnahatvā hi mahānubhāvān śreyo bhoktuṁ bhaikṣyamapīha loke |
hatvārthakāmāṁstu gurūnihaiva bhuñjīya bhogān rudhirapradigdhān || 5 ||
実に、威厳ある師たちを殺さないで、この世で物乞いをして生きる方が幸せです。
役に立とうとする師たちを殺せば、私はこの世で、血に染まった享楽を味わうことになるでしょう。

※第2章第5〜8節は、トリシュトゥブ(triṣṭubh)と呼ばれる、11音節×4行からなる韻律になります。
バガヴァッド・ギーターの大部分は、8音節×4行からなるシュローカ(śloka)の韻律で構成されます。

バガヴァッド・ギーター第2章第4節

अर्जुन उवाच ।
arjuna uvāca |
アルジュナ ウヴァーチャ
アルジュナは言った

arjunas【男性・単数・主格】アルジュナは
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】彼は言った、彼は話した

कथं भीष्मम् अहं संख्ये
kathaṁ bhīṣmam ahaṁ saṁkhye
カタン ビーシュマム アハン サンキイェー
戦いにおいて、どうして私はビーシュマに

katham【副詞】どうして、いかにして
bhīṣmam【男性・単数・対格】ビーシュマに。カウラヴァ軍の軍司令官。アルジュナの大叔父。
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】私は、私が
saṁkhye【中性・単数・処格】戦いにおいて、戦いの中で

द्रोणं च मधुसूदन ।
droṇaṁ ca madhusūdana |
ドローナン チャ マドゥスーダナ
そしてドローナに、クリシュナよ

droṇam【男性・単数・対格】ドローナに。カウラヴァ軍につくクル族の軍師。アルジュナの弓術の教師。
ca【接続詞】そして、また、〜と
madhusūdana【男性・単数・呼格】マドゥスーダナよ。クリシュナの別名。名前は「(悪魔)マドゥを殺す者」の意。

इषुभिः प्रतियोत्स्यामि
iṣubhiḥ pratiyotsyāmi
イシュビヒ プラティヨーツヤーミ
矢をもって対戦するだろう

iṣubhis【男性・複数・具格】矢によって、矢をもって
pratiyotsyāmi【一人称・単数・パラスマイパダ・未来 prati√yudh】私は戦うだろう、私は対戦するだろう

पूजार्हावरिसूदन ॥
pūjārhāvarisūdana ||
プージャールハーヴァリスーダナ
尊敬に値する二人に、クリシュナよ

pūjā【女性】尊敬;敬意、崇拝;礼拝、供養
arhau【男性・両数・対格】ふさわしい、〜に値する、〜に適する
→pūjārhau【男性・両数・対格】二人の尊敬に値する、尊敬に値する二人に
ari【男性】敵、対戦者
sūdana【男性・単数・呼格】殺戮者よ、破壊者よ
→arisūdana【男性・単数・呼格】敵の殺戮者よ。クリシュナの別名。

अर्जुन उवाच ।
कथं भीष्मम् अहं संख्ये द्रोणं च मधुसूदन ।
इषुभिः प्रतियोत्स्यामि पूजार्हावरिसूदन ॥ ४ ॥

arjuna uvāca |
kathaṁ bhīṣmam ahaṁ saṁkhye droṇaṁ ca madhusūdana |
iṣubhiḥ pratiyotsyāmi pūjārhāvarisūdana || 4 ||
アルジュナは言いました。
「戦いにおいて、私はどうして尊敬に値するビーシュマとドローナに
矢をもって立ち向かえるでしょうか。クリシュナよ。

バガヴァッド・ギーター第2章第3節

क्लैब्यं मा स्म गमः पार्थ
klaibyaṁ mā sma gamaḥ pārtha
クライビャン マー スマ ガマハ パールタ
アルジュナよ、気弱になってはいけない

klaibyam【中性・単数・対格】無能に;女々しさに、小心に、臆病に、虚弱に、小胆に、柔弱に
mā【副詞・接続詞】〜するな、〜することのないように
sma【副詞】つねに、実に、正に
gamas【二人称・単数・パラスマイパダ・アオリスト √gam】あなたは〜(対格)に陥った、あなたは〜(対格)に戻った
→klaibyam mā gamas:臆病に陥ってはならない、気弱になってはいけない
pārtha【男性・単数・呼格】プリターの息子よ。アルジュナのこと。

नैतत् त्वय्युपपद्यते ।
naitat tvayyupapadyate |
ナイタット トヴァイユパパッディヤテー
それはあなたにふさわしくない

na【否定辞】〜でない
etat【中性・単数・主格、指示代名詞 etad】これは
tvayi【単数・処格、二人称代名詞 tvad】あなたにおいて
upapadyate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 upa√pad】それはふさわしい、それは〜に適する、それは〜に値する

क्षुद्रं हृदयदौर्बल्यं
kṣudraṁ hṛdayadaurbalyaṁ
クシュッドラン フリダヤダウルバリヤン
恥ずべき心の弱さを

kṣudram【中性・単数・対格】小さな、微少な;低俗な、卑しい、卑劣な、下品な、恥ずべき
hṛdaya【中性】心、心臓
daurbalyam【中性・単数・対格】弱さを、無能を、無気力を
→hṛdayadaurbalyam【中性・単数・対格】心の弱さを、気の小ささを、意気地のなさを

त्यक्त्वोत्तिष्ठ परंतप ॥
tyaktvottiṣṭha paraṁtapa ||
ティヤクトヴォーッティシュタ パランタパ
捨てて、立ち上がれ、アルジュナよ

tyaktvā【絶対分詞 √tyaj】捨てて、離して、手放して、放棄して
uttiṣṭha【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 ut√sthā】立ち上がれ、起き上がれ
paraṁtapa【男性・単数・呼格】敵を悩ます者よ。アルジュナのこと。

क्लैब्यं मा स्म गमः पार्थ नैतत् त्वय्युपपद्यते ।
क्षुद्रं हृदयदौर्बल्यं त्यक्त्वोत्तिष्ठ परंतप ॥ ३ ॥

klaibyaṁ mā sma gamaḥ pārtha naitat tvayyupapadyate |
kṣudraṁ hṛdayadaurbalyaṁ tyaktvottiṣṭha paraṁtapa || 3 ||
アルジュナよ、気弱になってはいけない。それはあなたにふさわしくない。
恥ずべき心の弱さを捨てて、立ち上がりなさい。アルジュナよ。

バガヴァッド・ギーター第2章第2節

श्रीभगवान् उवाच ।
śrībhagavān uvāca |
シュリーバガヴァーン ウヴァーチャ
クリシュナは語った

śrībhagavān【男性・単数・主格】栄光ある方、神聖な神、威厳ある尊者。ここではクリシュナのことを指す。
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】彼は言った、彼は語った

कुतस्त्वा कश्मलम् इदं
kutastvā kaśmalam idaṁ
クタストヴァー カシュマラム イダン
どこからこの弱気はあなたに

kutas【疑問副詞】誰から、どこから、何故に、どんなふうに、いわんや〜をや
tvā【単数・対格、二人称代名詞(附帯形) tvad】あなたに
kaśmalam【中性・単数・主格】小心は、臆病は、弱気は;優柔不断は;失望は、落胆は
idam【中性・単数・主格、指示代名詞 idam】これは

विषमे समुपस्थितम् ।
viṣame samupasthitam |
ヴィシャメー サムパスティタム
危機において、近づいた

viṣame【男性・中性・単数・処格】難事において、災難において、困難において、逆境において、危機において
samupasthitam【中性・単数・主格、過去受動分詞 sam-upa√sthā】近づいた、生じた、起こった

अनार्यजुष्टम् अस्वर्ग्यम्
anāryajuṣṭam asvargyam
アナーリヤジュシュタム アスヴァルギヤム
貴人の意に適わず、天界に導かない

anārya【形容詞】不名誉な、尊敬できない、不品行な、劣った;アーリヤ人(ヴァイシャ以上の階級の人、尊敬すべき人、貴人)でない
juṣṭam【中性・単数・主格】〜の意に適う、〜に好まれる、〜に受け入れられる、〜に望まれる
→anāryajuṣṭam【中性・単数・主格】貴人の意に適わない、貴人に望まれない、貴人に好まれない
asvargyam【中性・単数・主格】天界に導かない。(svarga 天界)

अकीर्तिकरम् अर्जन ॥
akīrtikaram arjana ||
アキールティカラム アルジュナ
不名誉をもたらすこと、アルジュナよ

akīrti【女性】不名誉、汚名、悪名、悪評
karam【中性・単数・主格】もたらすこと、作ること、産出すること
→akīrtikaram【中性・単数・主格、限定複合語】不名誉をもたらすこと、汚名をそそぐこと
arjuna【男性・単数・呼格】アルジュナよ

श्रीभगवान् उवाच ।
कुतस्त्वा कश्मलमिदं विषमे समुपस्थितम् ।
अनार्यजुष्टमस्वर्ग्यमकीर्तिकरमर्जन ॥ २ ॥

śrībhagavān uvāca |
kutastvā kaśmalamidaṁ viṣame samupasthitam |
anāryajuṣṭamasvargyamakīrtikaramarjana || 2 ||
クリシュナは語りました。
危機に際して、この弱気はどこからあなたに近づいたのか。
それは貴人にそぐわず、天界に導かず、不名誉をもたらすものだ。アルジュナよ。

バガヴァッド・ギーター第2章第1節

संजय उवाच ।
saṁjaya uvāca |
サンジャヤ ウヴァーチャ
サンジャヤは言った

saṁjayas【男性・単数・主格】サンジャヤは。ドリタラーシュトラ王に仕える吟唱詩人。
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】彼は言った、彼は語った

तं तथा कृपयाविष्टम्
taṁ tathā kṛpayāviṣṭam
タン タター クリパヤーヴィシュタム
このように悲しみに打ちひしがれた彼に

tam【男性・単数・対格、指示代名詞 tad】彼に
tathā【副詞】このように、そのように
kṛpayā【女性・単数・具格】哀れみによって、同情によって、慈悲によって、悲哀によって
āviṣṭam【男性・単数・対格、過去受動分詞 ā√viś】沈み込んだ、打ちひしがれた、取りつかれた、〜で悩んだ

अश्रुपूर्णाकुलेक्षणम् ।
aśrupūrṇākulekṣaṇam |
アシュルプールナークレークシャナム
涙に満ちて曇った眼をした

aśru【中性】涙
pūrṇa【過去受動分詞 √pṛ】満たされた、満ちた
ākula【形容詞】うつむいた、意気消沈した、困惑した、混乱した
īkṣaṇam【中性・単数・対格 √īkṣ(見る)から派生した名詞】眼;光景、外観;視察、見ること
→aśrupūrṇākulekṣaṇam【中性・単数・対格、所有複合語】涙に満ちてうつむいた眼をした、涙に満ちて曇った眼の

विषीदन्तम् इदं वाक्यम्
viṣīdantam idaṁ vākyam
ヴィシーダンタム イダン ヴァーキヤム
沈み込んでいる、この言葉を

viṣīdantam【中性・単数・対格、現在分詞 vi√sad】絶望している、落胆している、失望している、沈み込んでいる、疲れ切っている
idam【中性・単数・対格、指示代名詞 idam】これを
vākyam【中性・単数・対格】言葉を、話を

उवाच मधुसूदनः ॥
uvāca madhusūdanaḥ ||
ウヴァーチャ マドゥスーダナハ
クリシュナは語った

uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】彼は言った、彼は語った
madhusūdanas【男性・単数・主格】マドゥスーダナは。クリシュナの別名。名前は「(悪魔)マドゥを殺す者」の意。

संजय उवाच ।
तं तथा कृपयाविष्टमश्रुपूर्णाकुलेक्षणम् ।
विषीदन्तमिदं वाक्यमुवाच मधुसूदनः ॥ १ ॥

saṁjaya uvāca |
taṁ tathā kṛpayāviṣṭamaśrupūrṇākulekṣaṇam |
viṣīdantamidaṁ vākyamuvāca madhusūdanaḥ || 1 ||
サンジャヤは言いました。
このように悲しみに打ちひしがれて沈み込み、涙に満ちた眼を曇らせる彼に
クリシュナは次のように語りました。

バガヴァッド・ギーター第1章第47節

एवम् उक्त्वार्जुनः संख्ये
evam uktvārjunaḥ saṁkhye
エーヴァム ウクトヴァールジュナハ サンキイェー
アルジュナは戦いのさなか、このように言って

evam【副詞】このように、こんなふうに、そんなふうに
uktvā【絶対分詞 √vac】言って、話して
arjunas【男性・単数・主格】アルジュナは
saṁkhye【中性・単数・処格】戦いにおいて、戦いの中で

रथोपस्थ उपाविशत् ।
rathopastha upāviśat |
ラトーパスタ ウパーヴィシャット
戦車の座席に座り込んだ

ratha【男性】戦車
upasthe【男性・単数・処格】台座において、座席において
→rathopasthe【男性・単数・処格】戦車の台座において、戦車の座席において。語末eは、後に続くuと連声してaとなる(rathopastha)。
upāviśat【三人称・単数・パラスマイパダ・過去 upa√viś】彼は座った、彼は座り込んだ

विसृज्य सशरं चापं
visṛjya saśaraṁ cāpaṁ
ヴィスリッジャ サシャラン チャーパン
矢とともに弓を投げ捨て

visṛjya【絶対分詞 vi√sṛj】投げ捨てて、 放り出して
saśaram【中性・単数・対格】矢と一緒に、矢とともに
cāpam【男性/中性・単数・対格】弓を

शोकसंविग्नमानसः ॥
śokasaṁvignamānasaḥ ||
ショーカサンヴィグナマーナサハ
悲しみに心をかき乱された

śoka【男性】悲しみ、悲哀、苦痛、苦悩
saṁvigna【過去受動分詞 sam√vij】動揺した、混乱した、おびえた、かき乱された
mānasas【男性・単数・主格】心、精神
→śokasaṁvignamānasas【男性・単数・主格、所有複合語】悲しみに心をかき乱された、苦悩で精神が混乱した

एवमुक्त्वार्जुनः संख्ये रथोपस्थ उपाविशत् ।
विसृज्य सशरं चापं शोकसंविग्नमानसः ॥ ४७ ॥

evamuktvārjunaḥ saṁkhye rathopastha upāviśat |
visṛjya saśaraṁ cāpaṁ śokasaṁvignamānasaḥ || 47 ||
戦いのさなか、悲しみに心をかき乱されたアルジュナはこのように言うと、
弓矢を投げ捨てて、戦車の座席に座り込んでしまいました。

バガヴァッド・ギーター第1章第46節

यदि माम् अप्रतीकारम्
yadi mām apratīkāram
ヤディ マーム アプラティーカーラム
もし無抵抗の私を

yadi【接続詞】もし
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】私を
apratīkāram【男性・単数・対格】無抵抗の、抵抗しない

अशस्त्रं शस्त्रपाणयः ।
aśastraṁ śastrapāṇayaḥ |
アシャストラン シャストラパーナヤハ
武器を持たない、武器を手にした

aśastram【中性・単数・対格】非武装の、武器のない、武器を持たない
śastra【男性】武器、刀剣
pāṇayas【男性・複数・主格】手
→śastrapāṇayas【男性・複数・主格、所有複合語】武器を手にした

धार्तराष्ट्रा रणे हन्युस्
dhārtarāṣṭrā raṇe hanyus
ダールタラーシュトラー ラネー ハンニュス
ドリタラーシュトラの一族が、戦いにおいて殺すならば

dhārtarāṣṭrās【男性・複数・主格】ドリタラーシュトラの一族が、ドリタラーシュトラの息子たちが
raṇe【男性・単数・処格】歓喜において;(歓喜の対象としての)戦争において、衝突において、対立において
hanyus【三人称・複数・パラスマイパダ・願望法 √han】彼らが殺すとしても、彼らが殺すならば

तन् मे क्षेमतरं भवेत् ॥
tan me kṣemataraṁ bhavet ||
タン メー クシェーマタラン バヴェート
それは私にとって、より幸せなことだろう

tat【中性・単数・主格、指示代名詞 tad】それは、あれは
me【単数・属格、一人称代名詞(附帯形) mad】私にとって
kṣemataram【中性・単数・主格、比較級】より幸福な状態、より幸せなこと
bhavet【三人称・単数・パラスマイパダ・願望法 √bhū】それは〜だろう、それは〜かもしれない

यदि मामप्रतीकारमशस्त्रं शस्त्रपाणयः ।
धार्तराष्ट्रा रणे हन्युस्तन्मे क्षेमतरं भवेत् ॥ ४६ ॥

yadi māmapratīkāramaśastraṁ śastrapāṇayaḥ |
dhārtarāṣṭrā raṇe hanyustanme kṣemataraṁ bhavet || 46 ||
もし武器を持たない無抵抗の私を、武器を手にしたドリタラーシュトラの一族が
戦いにおいて殺すならば、それは私にとってより幸せなことでしょう。」

バガヴァッド・ギーター第1章第45節

अहो बत महत् पापं
aho bata mahat pāpaṁ
アホー バタ マハト パーパン
ああ、何という大罪を

aho【間投詞】おお、ああ
bata【間投詞】ああ、まあ
mahat【中性・単数・対格】偉大な、大きな、強大な
pāpam【中性・単数・対格】罪を、悪を、不正を、悪事を

कर्तुं व्यवसिता वयम् ।
kartuṁ vyavasitā vayam |
カルトゥン ヴィヤヴァシター ヴァヤム
私たちは為すことを決意した

kartum【不定詞 √kṛ】為すこと、行うこと、作ること
vyavasitās【男性・複数・主格・過去受動分詞 vy-ava√sā】決心した、決意した、決定した、企てた
vayam【複数・主格、一人称代名詞 asmad】私たちは

यद् राज्यसुखलोभेन
yad rājyasukhalobhena
ヤド ラージヤスカローベーナ
王権の幸福を貪り求めることによって

yad【中性・単数・対格、関係代名詞 yad】それを。ここでは前文のmahat pāpamを指している。
rājya【中性】王権、主権、支配権、王政
sukha【中性】安楽、歓喜、幸福、享楽、繁栄、成功
lobhena【男性・単数・具格】貪欲によって、強欲によって、欲望によって
→rājyasukhalobhena【男性・単数・具格、限定複合語】王権の幸福に対する貪欲によって、王権の幸福を貪り求めることによって、

हन्तुं स्वजनम् उद्यताः ॥
hantuṁ svajanam udyatāḥ ||
ハントゥン スヴァジャナム ウッディヤターハ
同族を殺すことを企てた

hantum【不定詞 √han】殺すこと、破壊すること
svajanam【男性・単数・対格】自分の一族を、同族の者を、親類を、親族を、血縁者を
udyatās【男性・複数・主格、過去受動分詞 ud√yam】企てた、企図した、準備した

अहो बत महत्पापं कर्तुं व्यवसिता वयम् ।
यद्राज्यसुखलोभेन हन्तुं स्वजनमुद्यताः ॥ ४५ ॥

aho bata mahatpāpaṁ kartuṁ vyavasitā vayam |
yadrājyasukhalobhena hantuṁ svajanamudyatāḥ || 45 ||
ああ、私たちは何という大罪を犯そうと決意したことか……
王権の幸福を貪り求めて、同族を殺そうと企てるとは。