バガヴァッド・ギーター第3章第33節(シャンカラ注釈)

ではなぜ、彼らはあなたの教説に従わず、他者の職務を行い、自身の職務を行わないのでしょうか。あなたに反論する人々は、あなたの教説を誹ることを、恐れはしないのでしょうか。

知識ある人も、自身の本性(プラクリティ)にふさわしく行動する。
万物はその本性(プラクリティ)に従う。抑制して何になろうか。(3.33)

「ふさわしく行動する」とは、何にふさわしい行動をするのでしょう?自身の本性(プラクリティ)です。本性(プラクリティ)とは、過去に行った良い行為や悪い行為の痕跡が、今生であらわれたものです。愚者については言うまでもなく、知識ある人も、その本性(プラクリティ)にふさわしく行動します。すなわち、万物はすべてその本性(プラクリティ)に従います。抑制や抑止は役に立ちません。私や他の誰かによっても、本性(プラクリティ)は抗しがたいものです。

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バガヴァッド・ギーター第3章第32節

ये त्वेतद् अभ्यसूयन्तो
ye tvetad abhyasūyanto
イェー トヴェータッド アビヤスーヤントー
しかし、これを誹る人々

ye【男性・複数・主格、関係代名詞 yad】〜であるところの
tu【接続詞】しかし、一方(虚辞としても使用)
etat【中性・単数・対格、指示代名詞 etad】[〜に、〜を]これ
abhyasūyantas【男性・複数・主格・現在分詞 abhy√asūya】〜に対して憤慨する、非難する、誹る

नानुतिष्ठन्ति मे मतम् ।
nānutiṣṭhanti me matam |
ナーヌティシュタンティ メー マタム
私の教説に従わない人々

na【否定辞】〜でない
anutiṣṭhanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 anu√sthā】[彼らは、それらは]従う、服従する;実行する、実践する、遂行する、演ずる
me【単数・属格、一人称代名詞 madの附帯形】[〜の、〜にとって]私
matam【中性・単数・対格 mata】[〜に、〜を]意見、見解、教説

सर्वज्ञानविमूढांस् तान्
sarvajñānavimūḍhāṁs tān
サルヴァジュニャーナヴィムーダーンス ターン
彼らをあらゆる知識に迷う

sarva【中性】すべての、一切の、あらゆる
jñāna【中性】知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
vimūḍhān【男性・複数・対格・過去受動分詞 vi√muh】〜に関して途方に暮れた、当惑した、不確実な;愚かな
→sarvajñānavimūḍhān【男性・複数・対格、限定複合語】すべての知識に迷う、あらゆる知識において迷妄に陥る
tān【男性・複数・対格、指示代名詞 tad】[〜に、〜を]それら

विद्धि नष्टान् अचेतसः ॥
viddhi naṣṭān acetasaḥ ||
ヴィッディ ナスターン アチェータサハ
救い難き愚者であると知りなさい

viddhi【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 √vid】[あなたは〜せよ]知る、理解する、気付く、学ぶ
naṣṭān【男性・複数・対格 naṣṭa ⇒ √naśの過去受動分詞】失われた;消滅した;見えない;逃げた;破壊された、損ぜられた、害われた;不成功の、実を結ばない、無益の;死んだ;(訴訟に)敗れた
acetasas【男性・複数・対格 acetas】無感覚な、愚かな、無意識の

ये त्वेतदभ्यसूयन्तो नानुतिष्ठन्ति मे मतम् ।
सर्वज्ञानविमूढांस्तान्विद्धि नष्टानचेतसः ॥३२॥

ye tvetadabhyasūyanto nānutiṣṭhanti me matam |
sarvajñānavimūḍhāṁstānviddhi naṣṭānacetasaḥ ||32||
しかし、私の教説を誹り、これに従わない人々、
彼らをあらゆる知識に迷う、救い難き愚者であると知りなさい。

バガヴァッド・ギーター第3章第31節

ये मे मतम् इदं नित्यम्
ye me matam idaṁ nityam
イェー メー マタム イダン ニッティヤム
常に私の教説に

ye【男性・複数・主格、関係代名詞 yad】〜であるところの
me【単数・属格、一人称代名詞 madの附帯形】[〜の、〜にとって]私
matam【中性・単数・対格 mata】[〜に、〜を]意見、見解、教説
idam【中性・単数・対格、指示代名詞 idam】[〜に、〜を]これ
nityam【副詞】恒久的に、不易に、常に;不変に

अनुतिष्ठन्ति मानवाः ।
anutiṣṭhanti mānavāḥ |
アヌティシュタンティ マーナヴァーハ
従う人々は

anutiṣṭhanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 anu√sthā】[彼らは、それらは]従う、服従する;実行する、実践する、遂行する、演ずる
mānavās【男性・複数・主格 mānava】[〜たちは、〜たちが]人、人間;(複)人類;臣民;人種

श्रद्धावन्तो ऽनसूयन्तो
śraddhāvanto ‘nasūyanto
シュラッダーヴァントー アナスーヤントー
信仰あり、不満なく

śraddhāvantas【男性・複数・主格 śraddhāvat】信じる;同意する、承諾する
anasūyantas【男性・複数・主格・現在分詞 an√asūya】不平を言わない;悪口を言わない、妬まない;親切な

मुच्यन्ते ते ऽपि कर्मभिः ॥
mucyante te ‘pi karmabhiḥ ||
ムッチャンテー テー アピ カルマビヒ
彼らもまた、行為から解放される

mucyante【三人称・複数・受動活用 √muc】[彼らは〜、それらは〜](具格、従格)から放たれる、〜から釈放される;ゆるめられる、離される;捨てられる、中止される;罪(または)存在の束縛から逃れられる
te【男性・複数・主格、指示代名詞 tad】[〜らは、〜らが]それ、あれ、彼
api【不変化辞】さらに、また、同様に;されど、なお
karmabhis【男性・複数・具格 karman】[〜によって、〜をもって]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業

ये मे मतमिदं नित्यमनुतिष्ठन्ति मानवाः ।
श्रद्धावन्तोऽनसूयन्तो मुच्यन्ते तेऽपि कर्मभिः ॥३१॥

ye me matamidaṁ nityamanutiṣṭhanti mānavāḥ |
śraddhāvanto’nasūyanto mucyante te’pi karmabhiḥ ||31||
信仰あり、不満なく、常に私の教説に従う人々、
彼らもまた、行為から解放される。

バガヴァッド・ギーター第3章第30章

मयि सर्वाणि कर्माणि
mayi sarvāṇi karmāṇi
マイ サルヴァーニ カルマーニ
すべての行為を私に

mayi【単数・処格、一人称代名詞 mad】[〜において、〜のなかで]私
sarvāṇi【中性・複数・対格 sarva】すべての、一切の、各々の;全体の
karmāṇi【中性・複数・対格 karman】[〜に、〜を]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業

संन्यस्याध्यात्मचेतसा ।
saṁnyasyādhyātmacetasā |
サンニャスヤーディヤートマチェータサー
放擲して、最高の自己(アートマン)に専心し

saṁnyasya【絶対分詞 saṁ-ni√as】結合して;放置して;世事を捨てて、苦行者となって;放棄して;放擲して
adhyātmacetasā【中性・単数・具格 adhyātmacetas】[〜によって、〜をもって]最高精神に関する瞑想をすること、最高我に専心すること、自己(アートマン)に関して考察すること

निराशीर् निर्ममो भूत्वा
nirāśīr nirmamo bhūtvā
ニラーシール ニルマモー ブートヴァー
願望をもたず、我欲を離れ

nirāśīs【男性・単数・主格 nirāśis】希望・願望をもたない、絶望した、無関心な
nirmamas【男性・単数・主格 nirmama】自己に留意しない、自我のない、利己心を離れた;(処格)を意に介しない;(世俗を)超脱した
bhūtvā【絶対分詞 √bhū】あって、存在して、なって、生じて

युध्यस्व विगतज्वरः ॥
yudhyasva vigatajvaraḥ ||
ユッディヤスヴァ ヴィガタジュヴァラハ
悲しみを脱して戦いなさい

yudhyasva【二人称・単数・アートマネーパダ・命令法 √yudh】[あなたは〜せよ]戦う、戦争する;対戦する、攻撃する、征服する
vigata【過去受動分詞 vi√gam】離れた、立ち去った、止まった、消えた、亡くなった、無くなった
jvaras【男性・単数・主格 jvara】熱;苦痛;悲嘆
→vigatajvaras【男性・単数・主格、所有複合語 vigata-jvaras】熱が去った、悲しみを脱した

मयि सर्वाणि कर्माणि संन्यस्याध्यात्मचेतसा ।
निराशीर्निर्ममो भूत्वा युध्यस्व विगतज्वरः ॥३०॥

mayi sarvāṇi karmāṇi saṁnyasyādhyātmacetasā |
nirāśīrnirmamo bhūtvā yudhyasva vigatajvaraḥ ||30||
すべての行為を私に放擲して、最高の自己(アートマン)に専心し、
願望をもたず、我欲を離れ、悲しみを脱して戦いなさい。

バガヴァッド・ギーター第3章第29節

प्रकृतेर् गुणसंमूढाः
prakṛter guṇasaṁmūḍhāḥ
プラクリテール グナサンムーダーハ
プラクリティの要素に惑わされた人々は

prakṛtes【女性・単数・属格 prakṛti】[〜の、〜にとって]本来(または自然)の形体・状態;性質、素質、傾向、気分;基本形態、型、標準、規則;自然;(自然の)始原的構成要素[それから他のすべてが展開される]、根本原質;(国家の)構成要素
guṇa【男性】紐、網;灯心、弓弦;種類;要素;性質;根本的元素(地・水・火・風・空)の属性;根本的(三)原素
saṁmūḍhās【男性・複数・主格 saṁmūḍha⇒過去受動分詞 sam√muh】混乱した、困惑した、惑わされた;無知な、愚かな
→guṇasaṁmūḍhās【男性・複数・主格】[〜は、〜が]要素に惑わされた人々

सज्जन्ते गुणकर्मसु ।
sajjante guṇakarmasu |
サッジャンテー グナカルマス
要素のなす行為に執着する

sajjante【三人称・複数・アートマネーパダ・現在 √sañj】[彼らは、それらは](処格)にしがみつく、執着する、〜を固執する;ためらう;(処格)の上に固定される・に愛着する・専念する
guṇakarmasu【中性・複数・処格 guṇakarman】[〜において、〜のなかで]要素のなす行為;本質的でない二次的動作

तान् अकृत्स्नविदो मन्दान्
tān akṛtsnavido mandān
ターン アクリツスナヴィドー マンダーン
知識の不完全な愚者たちを

tān【男性・複数・対格、指示代名詞 tad】[〜に、〜を]それら
akṛtsnavidas【男性・複数・対格 akṛtsnavid】知識の不完全な、通暁しない、精通しない
mandān【男性・複数・対格 manda】(処格)において遅い、懶惰な;(為格)に対して冷淡な、無頓着な;弱い、微弱な;かすかな、低い(声)、穏やかな(雨、風);鈍才な、遅鈍な、愚かな;不幸な;病気の、気分の悪い

कृत्स्नविन् न विचालयेत् ॥
kṛtsnavin na vicālayet ||
クリツスナヴィン ナ ヴィチャーライェート
全体を知る者は、動揺させるべきではない

kṛtsnavid【男性・単数・主格 kṛtsnavid】[〜は、〜が]全知の、博識の、全体を知る
na【否定辞】〜でない
vicālayet【三人称・単数・パラスマイパダ・願望法・使役活用 vi√cal】[彼は〜だろう、彼は〜べき]動揺させる;乱す、苦しませる;破壊する;(法を)犯す;疑う;廃止する

प्रकृतेर्गुणसंमूढाः सज्जन्ते गुणकर्मसु ।
तानकृत्स्नविदो मन्दान् कृत्स्नविन्न विचालयेत् ॥२९॥

prakṛterguṇasaṁmūḍhāḥ sajjante guṇakarmasu |
tānakṛtsnavido mandān kṛtsnavinna vicālayet ||29||
プラクリティの要素に惑わされた人々は、要素のなす行為に執着する。
全体を知る者は、知識の不完全な愚者たちを動揺させるべきではない。

バガヴァッド・ギーター第3章第28章

तत्त्ववित् तु महाबाहो
tattvavit tu mahābāho
タットヴァヴィット トゥ マハーバーホー
しかしアルジュナよ、真理を知る者は

tattvavit【男性・単数・主格 tattvavid】[〜は、〜が]真理を知っている
tu【接続詞】しかし、一方(虚辞としても使用)
mahābāho【男性・単数・呼格 mahābāhu】[〜よ]強大な腕力を持つ(者)、長い腕を持つ(者)、強い臂を持つ(者)。ここではアルジュナのこと。

गुणकर्मविभागयोः ।
guṇakarmavibhāgayoḥ |
グナカルマヴィバーガヨーホ
自己が要素と行為から分離しているという

guṇa【男性】紐、網;灯心、弓弦;種類;要素;性質;根本的元素(地・水・火・風・空)の属性;根本的(三)原素
karma【中性】行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
vibhāgayos【男性・両数・処格(属格) vibhāga】分配、配分;部分、構成部分;分割;分離、差別、差異
→guṇakarmavibhāgayos【男性・両数・処格(属格)、限定複合語】[〜において、〜のなかで]要素と行為の差別、要素と行為の役割、(自己が)要素と行為から分離※
※guṇakarmavibhāgayos:個我は原物質から生ずる「グナ」から全く離れ、「グナ」によって行われる行為に全く無関係な非行為者である。(服部正明注)

गुणा गुणेषु वर्तन्त
guṇā guṇeṣu vartanta
グナー グネーシュ ヴァルタンタ
諸要素は諸要素に対して作用する

guṇās【男性・複数・主格 guṇa】[〜は、〜が]紐、網;灯心、弓弦;種類;要素;性質;根本的元素(地・水・火・風・空)の属性;根本的(三)原素
guṇeṣu【男性・複数・処格 guṇa】[〜において、〜のなかで]紐、網;灯心、弓弦;種類;要素;性質;根本的元素(地・水・火・風・空)の属性;根本的(三)原素
vartante【三人称・複数・アートマネーパダ・現在 √vṛt】[彼らは、それらは](処格)に従事・専念・関係する;(処格)に依存する;(処格)に向かって行動する・振る舞う

इति मत्वा न सज्जते ॥
iti matvā na sajjate ||
イティ マットヴァー ナ サッジャテー
と考えて、執着しない

iti【副詞】〜と、〜ということ、以上(しばしば引用句の後に置かれる)
matvā【絶対分詞 √man】考えて、信じて、想像して
na【否定辞】〜でない
sajjate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √sañj】[彼は、それは](処格)にしがみつく、執着する、〜を固執する;ためらう;(処格)の上に固定される・に愛着する・専念する

तत्त्ववित्तु महाबाहो गुणकर्मविभागयोः ।
गुणा गुणेषु वर्तन्त इति मत्वा न सज्जते ॥२८॥

tattvavittu mahābāho guṇakarmavibhāgayoḥ |
guṇā guṇeṣu vartanta iti matvā na sajjate ||28||
しかしアルジュナよ、自己が要素と行為から分離しているという真理を知る者は、
諸要素は諸要素に対して作用すると考えて、執着しない。

バガヴァッド・ギーター第3章第27節

प्रकृतेः क्रियमाणानि
prakṛteḥ kriyamāṇāni
プラクリテーヘ クリヤマーナーニ
プラクリティ(根本原質)の、なされる

prakṛtes【女性・単数・属格 prakṛti】[〜の、〜にとって]本来(または自然)の形体・状態;性質、素質、傾向、気分;基本形態、型、標準、規則;自然;(自然の)始原的構成要素[それから他のすべてが展開される]、根本原質;(国家の)構成要素
kriyamāṇāni【中性・複数・主格・アートマネーパダ・現在分詞 √kṛ】[〜している]為す、作る、遂行する、用いる

गुणैः कर्माणि सर्वशः ।
guṇaiḥ karmāṇi sarvaśaḥ |
グナイヒ カルマーニ サルヴァシャハ
諸行為はすべて、要素によって

guṇais【男性・複数・属格 guṇa】[〜によって、〜をもって]紐、網;灯心、弓弦;種類;要素;性質;根本的元素(地・水・火・風・空)の属性;根本的(三)原素
karmāṇi【中性・複数・主格 karman】[〜は、〜が]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
sarvaśas【副詞】全体に、集団で、完全に、一斉に

अहंकारविमूढात्मा
ahaṁkāravimūḍhātmā
我執に心を惑わされた者は

ahaṁkāra【男性】自意識;自己本位;自惚、自尊
vimūḍha【男性、過去受動分詞 vi√muh】〜に関して途方に暮れた、当惑した、不確実な;愚かな
ātmā【男性・単数・主格 ātman】[〜は、〜が]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
→ahaṁkāravimūḍhātmā【男性・単数・主格、所有複合語】[〜は、〜が]我執に惑わされた者、自我意識に心を眩まされた者

कर्ताहम् इति मन्यते ॥
kartāham iti manyate ||
カルターハム イティ マンニャテー
「私が行為者である」と考える

kartā【男性・単数・主格 kartṛ】[〜は、〜が]行為者、作者、働く者;実行者、設立者;創造者;祭官
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
iti【副詞】〜と、〜ということ、以上(しばしば引用句の後に置かれる)
manyate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √man】[彼は]考える、信じる、想像する

प्रकृतेः क्रियमाणानि गुणैः कर्माणि सर्वशः ।
अहंकारविमूढात्मा कर्ताहमिति मन्यते ॥२७॥

prakṛteḥ kriyamāṇāni guṇaiḥ karmāṇi sarvaśaḥ |
ahaṁkāravimūḍhātmā kartāhamiti manyate ||27||
諸行為はすべて、プラクリティ(根本原質)の要素によってなされる。
我執に心を惑わされた者は、「私が行為者である」と考える。

バガヴァッド・ギーター第3章第26節

न बुद्धिभेदं जनयेद्
na buddhibhedaṁ janayed
ナ ブッディベーダン ジャナイェード
彼は知性の混乱を生じさせてはならない

na【否定辞】〜でない
buddhi【女性】知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定
bhedam【男性・単数・対格 bheda⇒√bhid】破ること、裂くこと、破裂させること、貫くこと、穿孔すること、開くこと;区分、分離;暴露;騒乱、中止、違犯;不和の種をまくこと;迷わせること、誘惑
→buddhibhedam【男性・単数・対格、限定複合語 buddhi-bheda】[〜に、〜を]知性の混乱、精神錯乱
janayed【三人称・単数・パラスマイパダ・願望法・使役活用 √jan】[彼は〜させるだろう、彼は〜させるべき]生む;産出する;創作する;生まれる、起こる、成長する;再生する

अज्ञानां कर्मसङ्गिनां ।
ajñānāṁ karmasaṅgināṁ |
行為に執着する愚者たちに

ajñānām【男性・複数・属格 ajñāna】[〜の、〜にとって]無知な人々、愚者たち
karmasaṅginām【男性・複数・属格、限定複合語 karmasaṅgin】[〜の、〜にとって]行為に執着する(人々)

जोषयेत् सर्वकर्माणि
joṣayet sarvakarmāṇi
ジョーシャイェート サルヴァカルマーニ
彼は一切の行為にいそしませるべきである

joṣayet【三人称・単数・パラスマイパダ・願望法・使役活用 √juṣ】[彼は〜させるだろう、彼は〜させるべき]喜びをもって味わう、愛好する、楽しく聞く、好む、喜ぶ;(対格、属格)を楽しむ;(対格)に献身する、実行する、蒙る、受ける
sarvakarmāṇi【中性・複数・対格 sarvakarman】[〜に、〜を]あらゆる種類の作業・儀式・職業、一切の行為

विद्वान् युक्तः समाचरन् ॥
vidvān yuktaḥ samācaran ||
ヴィッドヴァーン ユクタハ サマーチャラン
賢者は、専心して行為しつつ

vidvān【男性・単数・主格、√vidのパラスマイパダ・完了 vidvas】[〜は、〜が]賢者、知者
yuktas【男性・単数・主格、過去受動分詞 √yuj】くびき(軛)につながれた、(処格)に従事した、〜に専心した;(具格)に忙殺された、〜に専念した;(処格)に熱中した;集中した
samācaran【男性・単数・主格・パラスマイパダ・現在分詞 sam-ā-√car】[〜している](処格)に向かって遂行する・執行する・実行する;(処格)に向かって進む・活動する;(具格)と交際する

न बुद्धिभेदं जनयेदज्ञानां कर्मसङ्गिनां ।
जोषयेत्सर्वकर्माणि विद्वान्युक्तः समाचरन् ॥२६॥

na buddhibhedaṁ janayedajñānāṁ karmasaṅgināṁ |
joṣayetsarvakarmāṇi vidvānyuktaḥ samācaran ||26||
行為に執着する愚者たちに、知性の混乱を生じさせてはならない。
賢者は、専心して行為しつつ、彼らを一切の行為にいそしませるべきである。

バガヴァッド・ギーター第3章第25節

सक्ताः कर्मण्यविद्वांसो
saktāḥ karmaṇyavidvāṁso
サクターハ カルマニアヴィッドヴァーンソー
愚者たちが行為に執着して

saktās【男性・複数・主格 sakta√sañjの過去受動分詞)】[〜らは、〜らが]〜にしがみつく・執着する・固執する;〜を所有している;〜に対して執着した・におぼれた・専念する・に夢中である
karmaṇi【中性・複数・処格 karman】[〜において、〜のなかで]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
avidvāṁas【男性・複数・主格、a√vidのパラスマイパダ・完了 avidvas】[〜は、〜が]愚者たち、無知な人々

यथा कुर्वन्ति भारत ।
yathā kurvanti bhārata |
ヤター クルヴァンティ バーラタ
行為するように、アルジュナよ

yathā【接続詞】〜のように、あたかも〜のように(tathāとともに)
kurvanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √kṛ】[彼らは、それらは]為す、作る、遂行する、用いる
bhārata【男性・単数・呼格】バラタの子孫よ。ここではアルジュナのことを指す。

कुर्याद् विद्वांस् तथासक्तश्
kuryād vidvāṁs tathāsaktaś
クリヤード ヴィッドヴァーンス タターサクタシュ
賢者は、執着することなく行為すべきである

kuryāt【三人称・単数・パラスマイパダ・願望法 √kṛ】[彼は〜だろう、彼は〜するべき]為す、作る、遂行する、用いる
vidvān【男性・単数・主格、√vidのパラスマイパダ・完了 vidvas】[〜は、〜が]賢者、知者
tathā【副詞】そのように、同様に;そして、また
asaktas【男性・単数・主格・過去受動分詞 asakta】〜にしがみつかない・執着しない・固執しない;無執着の;世俗を超越した;束縛のない

चिकीर्षुर् लोकसंग्रहम् ॥
cikīrṣur lokasaṁgraham ||
チキールシュル ローカサングラハム
世界の秩序維持を求めて

cikīrṣus【三人称・単数・意欲活用 √kṛ】[彼は]願って、求めて
loka【男性】空間、余地、場所;地方、地帯、国;世界、宇宙の区分;天;地;人類、一般の人民、国民;男子(複数);(複)団体、仲間;日常生活、慣例、世事、俗事;視ること
saṁgraham【男性・単数・対格 saṁgraha】捕獲、つかむこと;保つこと、保留すること
→lokasaṁgraham【男性・単数・対格、限定複合語 loka-saṁgraha】[〜に、〜を]世界を維持すること、世界の秩序維持

सक्ताः कर्मण्यविद्वांसो यथा कुर्वन्ति भारत ।
कुर्याद्विद्वांस्तथासक्तश्चिकीर्षुर्लोकसंग्रहम् ॥२५॥

saktāḥ karmaṇyavidvāṁso yathā kurvanti bhārata |
kuryādvidvāṁstathāsaktaścikīrṣurlokasaṁgraham ||25||
アルジュナよ。愚者たちが行為に執着して行為するように、
賢者は、世界の秩序維持を求めて、執着することなく行為すべきである。

バガヴァッド・ギーター第3章第24節

उत्सीदेयुर् इमे लोका
utsīdeyur ime lokā
ウツシーデーユル イメー ローカー
この世界は滅亡するだろう

utsīdeyur【三人称・複数・パラスマイパダ・願望法 ut√sad】[それらは〜だろう、それらは〜するべき]破滅する、根絶する;見捨てる;消える
ime【男性・複数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これら
lokā【男性・複数・主格、loka】[〜は、〜が]空間、余地、場所;地方、地帯、国;世界、宇宙の区分;天;地;人類、一般の人民、国民;男子(複数);(複)団体、仲間;日常生活、慣例、世事、俗事;視ること

न कुर्यां कर्म चेदहम् ।
na kuryāṁ karma cedaham |
ナ クリヤーン カルマ チェーダハム
もし私が、行為をしなければ

na【否定辞】〜でない
kuryām【一人称・単数・パラスマイパダ・願望法 √kṛ】[私は〜だろう、私は〜するべき]為す、作る、遂行する、用いる
karma【中性・単数・対格 karman】[〜に、〜を]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
ced【接続詞】そして、;時に;〜もまた、さえも;もし〜ならば
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私

संकरस्य च कर्ता स्याम्
saṁkarasya ca kartā syām
サンカラスヤ チャ カルター スヤーム
そして、私は混乱の創造者となり

saṁkarasya【男性・単数・属格 saṁkara】[〜の、〜にとって]混合、混和;混乱
ca【接続詞】そして、また、〜と
kartā【男性・単数・主格 kartṛ】[〜は、〜が]行為者、作者、働く者;実行者、設立者;創造者;祭官
syām【一人称・単数・願望法 √as】私は〜だろう、私は〜するべき、私は〜となるかもしれない

उपहन्याम् इमाः प्रजाः ॥
upahanyām imāḥ prajāḥ ||
ウパハンニャーム イマーハ プラジャーハ
これらの生類を破滅させるだろう

upahanyām【一人称・単数・パラスマイパダ・願望法 upa√han】[私は〜だろう、私は〜するべき]害する、傷つける、破滅させる;〜に対して打つ、〜と衝突する、触れる
imās【女性・複数・対格、指示代名詞 idam】[〜に、〜を]これら
prajās【女性・複数・対格 prajā】[〜に、〜を]生殖、繁殖、生誕;子孫、子女、家族、後裔;創造物、生きとし生けるもの;人々、民、(王の)臣

उत्सीदेयुरिमे लोका न कुर्यां कर्म चेदहम् ।
संकरस्य च कर्ता स्यामुपहन्यामिमाः प्रजाः ॥२४॥

utsīdeyurime lokā na kuryāṁ karma cedaham |
saṁkarasya ca kartā syāmupahanyāmimāḥ prajāḥ ||24||
もし私が行為をしなければ、この世界は滅亡するだろう。
そして、私は混乱の創造者となり、これらの生類を破滅させるだろう。