バガヴァッド・ギーター第4章第32節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

एवं बहुविधा यज्ञा
evaṁ bahuvidhā yajñā
エーヴァン バフヴィダー ヤジュニャー
このように多様な祭祀が

evam【副詞】このように、こんなふうに、そんなふうに
bahuvidhās【男性・複数・主格 bahuvidha】多くの種類の、多様の、種々の
yajñās【男性・複数・主格 yajña】[〜らは、〜らが](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式

वितता ब्रह्मणो मुखे ।
vitatā brahmaṇo mukhe |
ヴィタター ブラフマノー ムケー
ブラフマンの口において繰り広げられた

vitatās【男性・複数・主格 vitatavi√tanの過去受動分詞】広げられた、広い
brahmaṇas【中性・単数・属格 brahman】[〜の、〜にとって]聖智に満ちた者、婆羅門;祭官とくにヴェーダ祭式を総監する祭官;ブラフマンを神格化した最高神、梵天、宇宙の創造者として保持者ヴィシュヌおよび破壊神シヴァとともにトリムルティを形成する神格;理性
mukhe【中性・単数・処格 mukha】[〜において、〜のなかで]口;あご;顔;(獣類の)鼻口部、(鳥の)くちばし;方向、方位;出口、入り口;前部、先端、尖端、(矢の)頭;刃;表面、頂上、上部

कर्मजान् विद्धि तान् सर्वान्
karmajān viddhi tān sarvān
カルマジャーン ヴィッディ ターン サルヴァーン
これらすべては行為から生じると知れ

karmajān【男性・複数・対格 karmajān】行為より生ずる、行為に原因する
viddhi【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 √vid】[あなたは〜せよ]知る、理解する、気付く、学ぶ
tān【男性・複数・対格、指示代名詞 tad】[〜らに、〜らを]これ、あれ、彼
sarvān【男性・複数・対格 sarva】すべての、一切の、あらゆる

एवं ज्ञात्वा विमोक्ष्यसे ॥
evaṁ jñātvā vimokṣyase ||
エーヴァン ジュニャートヴァー ヴィモークシャセー
そのように知って、あなたは解放されるだろう

evam【副詞】このように、こんなふうに、そんなふうに
jñātvā【絶対分詞 √jñā】[〜して、〜してから]知る;〜を察知する、〜の知識を有する、(具格)によって認識する;悟る;覚える、経験する、確かめる、調べる;是認する;〜と考える、〜と仮定する、〜と推測する;認める、証す、許す
vimokṣyase【二人称・単数・未来・受動分詞 vi√muc】[あなたは〜されるだろう]離す;束縛を解く、解放する;釈放する、救う、救助する

एवं बहुविधा यज्ञा वितता ब्रह्मणो मुखे ।
कर्मजान्विद्धि तान्सर्वानेवं ज्ञात्वा विमोक्ष्यसे ॥३२॥

evaṁ bahuvidhā yajñā vitatā brahmaṇo mukhe |
karmajānviddhi tānsarvānevaṁ jñātvā vimokṣyase ||32||
このように多様な祭祀が、ブラフマンの面前で繰り広げられている。
これらすべては行為から生じると知りなさい。そう知ることで、あなたは解脱するだろう。

いままで述べられてきた12種類の祭祀は、もたらす結果もさまざまです。しかし、最終的には、ブラフマンという同一の目的に導かれます。「すべての道はローマに通ず」という諺のように、この詩節では「すべての行為はブラフマンに通ず」ことが説かれています。
しかしながら、祭祀は、ある特定の願望(欲望)に基づいて行われます。そのため、行為はあくまでブラフマンに至るための手段であることに注意しなければなりません。

バガヴァッド・ギーター第4章第31節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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यज्ञशिष्टामृतभुजो
yajñaśiṣṭāmṛtabhujo
ヤジュニャシシュタームリタブジョー
祭祀の残饌という甘露を味わう者たちは

yajñaśiṣṭa【中性】祭式の供物の残余、祭祀の残饌
amṛta【中性】不死;不滅者の世界;諸神の飲料、神酒、甘露;療治(の一種);薬;供儀の残物;水;乳;光線
bhujas【女性・複数・主格 bhuj】効用、利益、有利;享受;所有 【形容詞】享受する、食う;耐え忍ぶ、経験する;肉欲的に享楽する;支配する、治める;〜の報いを受ける
→yajñaśiṣṭāmṛtabhujas【女性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]祭祀の残饌という甘露を享受する、甘露なる祭祀の残饌を味わう

यान्ति ब्रह्म सनातनम् ।
yānti brahma sanātanam |
ヤーンティ ブラフマ サナータナム
永遠のブラフマンに赴く

yānti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √yā】[彼らは〜、それらは〜]動く、いく、歩く、赴く;前進する、行進する;従う
brahma【中性・単数・対格 brahman】[〜に、〜を]聖智に満ちた者、婆羅門;祭官とくにヴェーダ祭式を総監する祭官;ブラフマンを神格化した最高神、梵天、宇宙の創造者として保持者ヴィシュヌおよび破壊神シヴァとともにトリムルティを形成する神格;理性
sanātanam【中性・単数・対格 sanātana】永続する、永遠の、永久の、恒常の

नायं लोको ऽस्त्य् अयज्ञस्य
nāyaṁ loko ‘sty ayajñasya
ナーヤン ローコー スティ アヤジュニャッスヤ
祭祀を行わない者にとって、この世界は存在しない

na【否定辞】〜でない
ayam【男性・単数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これ
lokas【男性・単数・主格 loka】[〜は、〜が]空間、余地、場所;地方、地帯、国;世界、宇宙の区分;天;地;人類、一般の人民、国民;男子(複数);(複)団体、仲間;日常生活、慣例、世事、俗事;視ること
asti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[彼は〜、それは〜]ある、存在する、実在する
ayajñasya【男性・単数・属格 ayajña】[〜の、〜にとって]供犠なきこと;供犠を行わないこと 【形容詞】祭祀を行わない

कुतो ऽन्यः कुरुसत्तम ॥
kuto ‘nyaḥ kurusattama ||
クトー ニヤハ クルサッタマ
ましてや他の世界があるだろうか、アルジュナよ

kutas【疑問副詞】誰から、どこから、何故に、どんなふうに、いわんや〜をや
anyas【男性・単数・主格 anya】他の、別の
※他の世界:「この世界」は「人間界」であり、天界をも含む。「他の世界」は、ブラフマンの世界、すなわち解脱を指す。(上村勝彦注)
kurusattama【男性・単数・呼格 kurusattama】[〜よ]クル族の最上者(アルジュナの別名)

यज्ञशिष्टामृतभुजो यान्ति ब्रह्म सनातनम् ।
नायं लोकोऽस्त्ययज्ञस्य कुतोऽन्यः कुरुसत्तम ॥३१॥

yajñaśiṣṭāmṛtabhujo yānti brahma sanātanam |
nāyaṁ loko’styayajñasya kuto’nyaḥ kurusattama ||31||
祭祀の残饌という甘露を味わう者たちは、永遠のブラフマンに赴く。
祭祀を行わない者に、この世界は存在しない。ましてや他の世界があるだろうか、アルジュナよ。

祭祀の残饌(プラサード)は、敬意の念を持って扱われています。祭祀の残り物である水や食物を口にすることにより、神の恩恵に与り、人々の心や意識が清められると考えられているからです。
この詩節で言われる祭祀の残饌とは、今まで述べられてきた12種類の祭祀(ヤジュニャ)の結果を意味しています。行為にはさまざまな方法がありますが、その行為に真摯に取り組み、自己の行為をブラフマンに捧げる人々は、やがて永遠なるブラフマンに到達できることが説かれています。
一方で、行為しない人は、あらゆる可能性が閉ざされてしまうことが、後半の詩節で述べられています。

バガヴァッド・ギーター第4章第30節

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अपरे नियताहाराः
apare niyatāhārāḥ
アパレー ニヤターハーラーハ
他の者たちは、食を制限し

apare【男性・複数・主格 apara】[〜らは、〜らが]後方の、遙かな;後の、次の;西方の;劣る;他の;卑しい;反対の;奇異の、異常の
niyata【過去受動分詞 ni√yam】(処格)に結ばれた;握りしめられた;阻止された、抑制された;禁止された、中断された;確定された、確立された、固定した;不変な、一定した;制限された;〜に専心する
āhārās【男性・複数・主格 āhāra】もたらす、入手する 【名詞】もたらすこと、持ち来ること;食物、糧
→niyatāhārās【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]食を制限した

प्राणान् प्राणेषु जुह्वति ।
prāṇān prāṇeṣu juhvati |
プラーナーン プラーネーシュ ジュフヴァティ
気息を気息の中に捧げる

prāṇān【男性・単数・対格 prāṇa】[〜に、〜を]息、呼吸;活力、生気;風気;出息;そよ風、風;気力、精力、力;精神;個人我、全体と一致される宇宙精神;感官
prāṇeṣu【男性・単数・処格 prāṇa】[〜において、〜のなかで]息、呼吸;活力、生気;風気;出息;そよ風、風;気力、精力、力;精神;個人我、全体と一致される宇宙精神;感官
juhvati【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √hu】[彼らは〜、それらは〜](火の中に)注ぐ・投げ入れる、捧げる、供える

सर्वे ऽप्येते यज्ञविदो
sarve ‘pyete yajñavido
サルヴェー ピエーテー ヤジュニャヴィドー
これらすべての者たちは、祭祀を知り

sarve【男性・複数・主格 sarva】すべての、一切の、あらゆる
api【不変化辞】さらに、また、同様に;されど、なお
ete【男性・複数・主格、指示代名詞 etad】[〜らは、〜らが]これ
yajñavidas【男性・複数・主格 yajñavid】祭式に通暁した、祭祀を知る

यज्ञक्षपितकल्मषाः ॥
yajñakṣapitakalmaṣāḥ ||
ヤジュニャクシャピタカルマシャーハ
祭祀によって罪過を滅ぼす

yajña【男性】(祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式
kṣapita【過去受動分詞 √kṣi】破壊された、滅ぼされた、減少した
kalmaṣās【男性・複数・主格 kalmaṣa】汚物;汚点;屑、廃物、沈殿物;道徳的汚点;犯罪、罪過;暗黒
→yajñakṣapitakalmaṣās【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]祭祀によって罪過を滅ぼした

अपरे नियताहाराः प्राणान्प्राणेषु जुह्वति ।
सर्वेऽप्येते यज्ञविदो यज्ञक्षपितकल्मषाः ॥३०॥

apare niyatāhārāḥ prāṇānprāṇeṣu juhvati |
sarve’pyete yajñavido yajñakṣapitakalmaṣāḥ ||30||
他の者たちは、食を制限し、気息を気息の中に捧げる。
これらは皆、祭祀を知り、祭祀によって罪過を滅ぼす者たちである。

インドでは太古より、欲望を制御し、自己を高めるために断食が行われてきました。古代の聖者たちは、さまざまな食材の栄養素について熟知していただけでなく、個々人の気質や体調などの状況に応じて、摂るべき食材を見分けていたといいます。人々の思考や行動を清め、霊的な生活を送るために、食生活は重要な意味を持っています。

バガヴァッド・ギーター第4章第29節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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अपाने जुह्वति प्राणं
apāne juhvati prāṇaṁ
アパーネー ジュフヴァティ プラーナン
呼気を吸気に捧げる

apāne【男性・単数・処格 apāna】[〜において、〜のなかで]下息;肛門;入息
juhvati【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √hu】[彼らは〜、それらは〜](火の中に)注ぐ・投げ入れる、捧げる、供える
prāṇam【男性・単数・対格 prāṇa】[〜に、〜を]息、呼吸;活力、生気;風気;出息;そよ風、風;気力、精力、力;精神;個人我、全体と一致される宇宙精神;感官
※プラーナ(prāṇa)とアパーナ(apāna)という対語は、ブラーフマナやウパニシャッド諸文献に出る。W.Calandは、ブラーフマナとヴェーダ祭式文献を調べ、プラーナを「出息」、アパーナを「入息」とする。しかし、『マイトリ・ウパニシャッド』(2.6)では、プラーナは「上方に吐き出される息」、アパーナは「下方に向かう息」と定義されている。(中略)(上村勝彦注)

प्राणे ऽपानं तथापरे ।
prāṇe ‘pānaṁ tathāpare |
プラーネー パーナン タターパレー
そして他の者たちは、吸気を呼気に(捧げる)

prāṇe【男性・単数・処格 prāṇa】[〜において、〜のなかで]息、呼吸;活力、生気;風気;出息;そよ風、風;気力、精力、力;精神;個人我、全体と一致される宇宙精神;感官
apānaṁ【男性・単数・対格 apāna】[〜に、〜を]下息;肛門;入息
tathā【副詞】そのように、同様に;そして、また
apare【男性・複数・主格 apara】[〜らは、〜らが]後方の、遙かな;後の、次の;西方の;劣る;他の;卑しい;反対の;奇異の、異常の

प्राणापानगती रुद्ध्वा
prāṇāpānagatī ruddhvā
プラーナーパーナガティー ルッドヴァー
呼気と吸気の道を抑止して

prāṇāpāna【男性】呼息と吸息;呼気と吸気
gatī【女性・両数・対格 gati】[〜に、〜を]行くこと、前進、動作、行動、飛行;退去、出発;行進、進行;成功;〜の獲得;路、進路;出口;根源、根底;手段、方法、可能性;策略;避難所;状態、状況、条件、位置;性質;幸福;輪廻、人間の運命;風習
→prāṇāpānagatī【女性・両数・対格】[〜に、〜を]呼気と吸気の道;出息と入息の通路
ruddhvā【絶対分詞 √rudh】[〜して、〜してから]さえぎる、とどめる、はばむ、阻止する;抑止する、妨げる、抑圧する;(埃を)積む;支える、支持する;(処格)に閉じ込める、監禁する;閉じる、塞ぐ;包む、包囲する;閉じる;覆う;隠す、不明瞭にする、充たす

प्रानायामपरायणाः ॥
prānāyāmaparāyaṇāḥ ||
プラーナーヤーマパラーヤナーハ
呼吸法に専念した

prānāyāma【男性】呼吸の一時的停止;調息法;気息調節、呼吸の調節
parāyaṇās【男性・複数・主格 parāyaṇa】[〜らは、〜らが]最高の目的、最後の頼り、保護(処)、主要事、精髄;(属格)を決定するもの 【形容詞】〜に全くふける、余念のない、一身を捧げた、専心した
→prānāyāmaparāyaṇās【男性・複数・主格】調息法に専心した、呼吸法に専念した

अपाने जुह्वति प्राणं प्राणेऽपानं तथापरे ।
प्राणापानगती रुद्ध्वा प्रानायामपरायणाः ॥२९॥

apāne juhvati prāṇaṁ prāṇe’pānaṁ tathāpare |
prāṇāpānagatī ruddhvā prānāyāmaparāyaṇāḥ ||29||
他の者たちは、呼吸法に専念し、呼気と吸気の道を抑止して、
吸気を呼気に、呼気を吸気に捧げる。

ヨーガの技法であるプラーナーヤーマ(呼吸法)について述べられています。呼吸法により、自身と世俗に対する欲望を制御することができます。
プラーナーヤーマにおいて、息を吸い込むことはプーラカ、吐き出すことはレーチャカ、そして息を止めることはクンバカと呼ばれます。プーラカ・クンバカとレーチャカ・クンバカを、ある特定の比率で行うことが、プラーナーヤーマ(呼吸法)の技法となります。

バガヴァッド・ギーター第4章第28節

द्रव्ययज्ञास् तपोयज्ञा
dravyayajñās tapoyajñā
ドラヴィヤヤジュニャース タポーヤジュニャー
財物の祭祀をし、苦行の祭祀をし

dravya【中性】対象、事物;実体、物;材料;財;黄金;商品;器具;適当な物;元素;単一のもの
yajñās【男性・複数・主格 yajña】[〜らは、〜らが](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式
→dravyayajñās【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]財物による祭祀をするもの ※布施に専念するもの
tapas【中性】熱;火;苦悩;苦行、自責、抑制、宗教的苦行、敬虔
yajñās【男性・複数・主格 yajña】[〜らは、〜らが](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式
→tapoyajñās【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]苦行による祭祀をするもの

योगयज्ञास् तथापरे ।
yogayajñās tathāpare |
ヨーガヤジュニャース タターパレー
ヨーガの祭祀をし、そして他の者たちは

yoga【男性】ヨーガ、精神の集中、組織的な超脱法、瞑想、静慮、心統一
yajñās【男性・複数・主格 yajña】[〜らは、〜らが](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式
→yogayajñās【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]ヨーガ(修練)による祭祀をするもの
tathā【副詞】そのように、同様に;そして、また
apare【男性・複数・主格 apara】[〜らは、〜らが]後方の、遙かな;後の、次の;西方の;劣る;他の;卑しい;反対の;奇異の、異常の

स्वाध्यायज्ञानयज्ञाश्च
svādhyāyajñānayajñāśca
スヴァーディヤーヤジュニャーナヤジュニャーシュチャ
またヴェーダ聖典の学習と知識による祭祀をし

svādhyāya【男性】一人で復唱すること、(ヴェーダ聖典の)学習;(ヴェーダ聖典を)声高に暗誦すること
jñāna【中性】知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
yajñās【男性・複数・主格 yajña】[〜らは、〜らが](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式
→svādhyāyajñānayajñās【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが](ヴェーダ聖典の)学習と知識による祭祀をするもの
ca【接続詞】そして、また、〜と

यतयः संशितव्रताः ॥
yatayaḥ saṁśitavratāḥ ||
ヤタヤハ サンシタヴラターハ
誓願を立てた修行者たちは

yatayas【男性・複数・主格 yati】[〜らは、〜らが]指導者;世捨て人、苦行者、隠遁者
saṁśitavratās【男性・複数・主格 saṁśitavrata】自分の誓いを固く守る、義務に忠実な、正直な、有徳の

द्रव्ययज्ञास्तपोयज्ञा योगयज्ञास्तथापरे ।
स्वाध्यायज्ञानयज्ञाश्च यतयः संशितव्रताः ॥२८॥

dravyayajñāstapoyajñā yogayajñāstathāpare |
svādhyāyajñānayajñāśca yatayaḥ saṁśitavratāḥ ||28||
また誓願を立てた他の修行者たちは、財物の祭祀、苦行の祭祀、
ヨーガの祭祀、そしてヴェーダ聖典の学習と知識による祭祀を行う。

バガヴァッド・ギーター第4章第27節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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सर्वाणीन्द्रियकर्माणि
sarvāṇīndriyakarmāṇi
サルヴァーニーンドリヤカルマーニ
すべての感官の働きを

sarvāṇi【中性・複数・対格 sarva】すべての、一切の、各々の;全体の
indriyakarmāṇi【中性・複数・対格 indriyakarman】[〜らに、〜らを]感官の働き、感覚の活動

प्राणकर्माणि चापरे ।
prāṇakarmāṇi cāpare |
プラーナカルマーニ チャーパレー
また気息の働きを、他の者たちは

prāṇakarmāṇi【中性・複数・対格 prāṇakarman】[〜らに、〜らを]気息の働き、呼吸の活動
ca【接続詞】そして、また、〜と
apare【男性・複数・主格 apara】[〜らは、〜らが]後方の、遙かな;後の、次の;西方の;劣る;他の;卑しい;反対の;奇異の、異常の

आत्मसंयमयोगाग्नौ
ātmasaṁyamayogāgnau
アートマサンヤマヨーガーグナウ
自己抑制のヨーガという火の中に

ātmasaṁyama【男性】自制、自己制御
yogāgnau【男性・単数・処格 yogaagni】[〜において、〜のなかで]ヨーガという火、修練の炎
→ātmasaṁyamayogāgnau【男性・単数・処格、限定複合語】[〜において、〜のなかで]自制のヨーガという火、自己抑制の実践という炎

जुह्वति ज्ञानदीपिते ॥
juhvati jñānadīpite ||
ジュフヴァティ ジュニャーナディーピテー
捧げる、知識により燃え立った

juhvati【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √hu】[彼らは〜、それらは〜](火の中に)注ぐ・投げ入れる、捧げる、供える
jñāna【中性】知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
dīpite【男性・単数・処格 dīpita√dīpの過去受動分詞・使役活用)】点火された、燃やされた;燃え上がった、照らされた;興奮させられた;明らかにされた
→jñānadīpite【男性・単数・処格、限定複合語】知識によって点火された、知識により燃え立った

सर्वाणीन्द्रियकर्माणि प्राणकर्माणि चापरे ।
आत्मसंयमयोगाग्नौ जुह्वति ज्ञानदीपिते ॥२७॥

sarvāṇīndriyakarmāṇi prāṇakarmāṇi cāpare |
ātmasaṁyamayogāgnau juhvati jñānadīpite ||27||
他の者たちは、すべての感官の働きと、気息の働きを、
知識により燃え立つ自己抑制のヨーガという火の中に捧げる。

※この箇所における「ヨーガ」は「行為のヨーガ」である。知識に基づく自己制御の実践に専念すること(「行為のヨーガ」)により、感官と気息の働きを制御するというのがこの文の趣旨である。この箇所を、「内面的アグニホートラ(火供)」と結びつけて解釈する説もある。(上村勝彦注)

バガヴァッド・ギーター第4章第26節

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श्रोत्रादीनीन्द्रियाण्य् अन्ये
śrotrādīnīndriyāṇy anye
シュロートラーディーニーンドリヤーニ アニイェー
他の者たちは、耳などの感覚器官を

śrotrādīni【中性・複数・対格 śrotrādi】[〜らに、〜らを]耳やその他の器官、五感
indriyāṇi【中性・複数・対格 indriya】[〜らに、〜らを]神の力;支配;偉大な行為;活力;体力;精力;感官;感覚
anye【中性・複数・主格 anya】[〜らは、〜らが]他の;〜とは異なる;通常の

संयमाग्निषु जुह्वति ।
saṁyamāgniṣu juhvati |
サンヤマーグニシュ ジュフヴァティ
抑制という火の中に捧げる

saṁyamāgniṣu【男性・複数・処格 saṁyamāgni】[〜において、〜のなかで]制御の火、抑制という炎
juhvati【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √hu】[彼らは〜、それらは〜](火の中に)注ぐ・投げ入れる、捧げる、供える

शब्दादीन् विषयान् अन्य
śabdādīn viṣayān anya
シャブダーディーン ヴィシャナーン アニヤ
他の者たちは、音などの感官の対象を

śabdādīn【男性・複数・対格 śabdādi】[〜らに、〜らを]音などの対象、音声をはじめとする感覚の対象
viṣayān【男性・複数・対格 viṣaya】[〜らに、〜らを]活動領域;範囲、限界、区域、届く範囲;感覚の対象;感官の対象;目的、標的
anye【中性・複数・主格 anya】[〜らは、〜らが]他の;〜とは異なる;通常の

इन्द्रियाग्निषु जुह्वति ॥
indriyāgniṣu juhvati ||
インドリヤーグニシュ ジュフヴァティ
感官という火の中に捧げる

indriyāgniṣu【男性・複数・処格 indriyaagni】[〜において、〜のなかで]感官の火、感覚という炎
juhvati【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √hu】[彼らは〜、それらは〜](火の中に)注ぐ・投げ入れる、捧げる、供える

श्रोत्रादीनीन्द्रियाण्यन्ये संयमाग्निषु जुह्वति ।
शब्दादीन्विषयानन्य इन्द्रियाग्निषु जुह्वति ॥२६॥

śrotrādīnīndriyāṇyanye saṁyamāgniṣu juhvati |
śabdādīnviṣayānanya indriyāgniṣu juhvati ||26||
他の者たちは、耳などの感覚器官を、抑制という火の中に捧げる。
他の者たちは、音などの感官の対象を、感官という火の中に捧げる。

バガヴァッド・ギーター第4章第25章

दैवम् एवापरे यज्ञं
daivam evāpare yajñaṁ
ダイヴァム エーヴァーパレー ヤジュニャン
他の者たちは、実に神々に対する祭祀を

daivam【男性・単数・対格 daiva】【形容詞】神々に特有な、神々から来た、神々に関する、神の;王家の;運命に関する、運命によって生じた 【男性名詞】神婚式 【中性名詞】神聖な手の一部[指先];神;諸神(を崇拝する)儀式;天命、運命、宿命;幸運
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
apare【男性・複数・主格 apara】[〜らは、〜らが]後方の、遙かな;後の、次の;西方の;劣る;他の;卑しい;反対の;奇異の、異常の
yajñam【男性・単数・対格 yajña】[〜に、〜を](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式

योगिनः पर्युपासते ।
yoginaḥ paryupāsate |
ヨーギナハ パリユパーサテー
修行者(ヨーギン)たちは、崇める

yoginas【男性・複数・主格 yogin】[〜らは、〜らが]ヨーガ行者、修行者、実践者
paryupāsate【三人称・複数・アートマネーパダ・現在 pari-upa-√ās】[彼らは〜、それらは〜]周囲に坐す、囲む;(敵を)包囲する;(対格)へ坐す;(対格)に加入する;尊敬する、崇める;静観する

ब्रह्माग्नव् अपरे यज्ञं
brahmāgnav apare yajñaṁ
ブラフマーグナヴ アパレー ヤジュニャン
他の者たちは、ブラフマンである火の中に、祭祀を

brahma【中性 brahman】ブラフマン(最高原理)、梵天
agnau【男性・単数・処格 agni】[〜において、〜のなかで]火;火災;アグニ神
→brahmāgnau【男性・単数・処格、限定複合語】[〜において、〜のなかで]ブラフマンの火、ブラフマンである祭火
apare【男性・複数・主格 apara】[〜らは、〜らが]後方の、遙かな;後の、次の;西方の;劣る;他の;卑しい;反対の;奇異の、異常の
yajñam【男性・単数・対格 yajña】[〜に、〜を](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式

यज्ञेनैवोपजुह्वति ॥
yajñenaivopajuhvati ||
ヤジュニェーナイヴォーパジュフヴァティ
実に祭祀によって供える

yajñena【男性・単数・具格 yajña】[〜によって、〜をもって](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
upajuhvati【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 upa√hu】[彼らは〜、それらは〜](供物を)供える

दैवमेवापरे यज्ञं योगिनः पर्युपासते ।
ब्रह्माग्नवपरे यज्ञं यज्ञेनैवोपजुह्वति ॥२५॥

daivamevāpare yajñaṁ yoginaḥ paryupāsate |
brahmāgnavapare yajñaṁ yajñenaivopajuhvati ||25||
ある修行者(ヨーギン)たちは、神々に対する祭祀に専念する。
ある修行者たちは、ブラフマンである火の中に、祭祀によって祭祀を供える。

バガヴァッド・ギーター第4章第24節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

ब्रह्मार्पणं ब्रह्म हविर्
brahmārpaṇaṁ brahma havir
ブラフマールパナン ブラフマ ハヴィル
ブラフマン(最高原理)は献供であり、ブラフマンは供物である

brahma【中性・単数・主格 brahman】[〜は、〜が]聖智に満ちた者、婆羅門;祭官とくにヴェーダ祭式を総監する祭官;ブラフマンを神格化した最高神、梵天、宇宙の創造者として保持者ヴィシュヌおよび破壊神シヴァとともにトリムルティを形成する;理性
arpaṇam【中性・単数・主格 arpaṇa】[〜は、〜が]上に置く、与える;伝送する、託する 【中性名詞】投げること;貫通すること;交付;譲渡;還付;献納、献供
brahma【中性・単数・主格 brahman】[〜は、〜が]ブラフマン(最高原理)、梵
havis【中性・単数・主格 havis】[〜は、〜が](穀物、ソーマ、乳、バターのように)火中に投げられる供物;火

ब्रह्माग्नौ ब्रह्मणा हुतम् ।
brahmāgnau brahmaṇā hutam |
ブラフマーグナウ ブラフマナー フタム
ブラフマンである火の中に、ブラフマンによって捧げられる

brahma【中性 brahman】ブラフマン(最高原理)、梵天
agnau【男性・単数・処格 agni】[〜において、〜のなかで]火;火災;アグニ神
→brahmāgnau【男性・単数・処格、限定複合語】[〜において、〜のなかで]ブラフマンの火、ブラフマンである祭火
brahmaṇā【中性・単数・具格 brahman】[〜によって、〜をもって]ブラフマン(最高原理)、梵天
hutam【中性・単数・対格 huta√huの過去受動分詞)】[〜に、〜を]供物を捧げること、献供

ब्रह्मैव तेन गन्तव्यं
brahmaiva tena gantavyaṁ
ブラフマイヴァ テーナ ガンタヴィヤン
それによって実にブラフマンに達する

brahma【中性・単数・対格 brahman】[〜に、〜を]ブラフマン(最高原理)、梵天
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
tena【中性・単数・具格、指示代名詞 tad】[〜によって、〜をもって]それ、あれ
gantavyam【絶対分詞 √gam】[〜して、〜してから]行く、動く、歩む;去る、来る;止む、死す;過ぎる、経過する;横切る;(対格、為格、処格)に赴く、〜に近づく、〜に達する、〜を得る;知覚する

ब्रह्मकर्मसमाधिना ॥
brahmakarmasamādhinā ||
ブラフマカルマサマーディナー
ブラフマンの行為に専心する人によって

brahmakarma【中性 brahmakarman】婆羅門の任務;祭官の職務;ブラフマンの行為、ブラフマンである祭式
samādhinā【男性・単数・具格 samādhi】[〜によって、〜をもって]組み合わせること、結合させること;(首の)関節;結合、組合せ、連合;実行;調整、決定、解決;正当化、釈明;論証;(処格)に注意すること、熱中していること;(最高我への)深い瞑想、深い専心;三昧
→brahmakarmasamādhinā【男性・単数・具格、所有複合語】[〜によって、〜をもって]ブラフマンである行為へ瞑想する人、ブラフマンの祭式に専心する人

ब्रह्मार्पणं ब्रह्म हविर्ब्रह्माग्नौ ब्रह्मणा हुतम् ।
ब्रह्मैव तेन गन्तव्यं ब्रह्मकर्मसमाधिना ॥२४॥

brahmārpaṇaṁ brahma havirbrahmāgnau brahmaṇā hutam |
brahmaiva tena gantavyaṁ brahmakarmasamādhinā ||24||
ブラフマンは献供であり、ブラフマンは供物である。
ブラフマンである火の中に、ブラフマンによって捧げられる。
ブラフマンの行為に専心する人は、実にブラフマンに達する。

バガヴァッド・ギーター第4章第23節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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गतसङ्गस्य मुक्तस्य
gatasaṅgasya muktasya
ガタサンガッスヤ ムクタッスヤ
執着から離れ、束縛から解放され

gata【男性 √gamの過去受動分詞】行った、来た、〜に陥った、〜に於ける、〜の中にある、〜に含まれた;消えた、失われた;剥奪させられた、〜を免れた
saṅgasya【男性・単数・属格 saṅga】[〜の、〜にとって]粘着、妨害;〜に執着(または)接触すること
→gatasaṅgasya【男性・単数・属格 gatasaṅga】[〜の、〜にとって]執着から離れた、無執着な
muktasya【男性・単数・属格 mukta√mucの過去受動分詞)】[〜の、〜にとって](具格、従格)から放たれた、〜から釈放された;ゆるめられた、離された、落下した;弛緩した;捨てられた、中止された;罪(または)存在の束縛から逃れた、解脱した

ज्ञानावस्थितचेतसः ।
jñānāvasthitacetasaḥ |
ジュニャーナーヴァスティタチェータサハ
心が知識において安定し

jñāna【中性】知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
avasthita【ava√sthāの過去受動分詞】〜に存する・置かれた・配置された・含まれた;〜に従事している・で忙しい・に献身した;確固とした;固く決心した;着実な、信頼するに足る
cetasas【中性・単数・属格 cetas】[〜の、〜にとって]様子;光輝;自覚;知能;感官;心、精神、意志
→jñānāvasthitacetasas【中性・単数・属格、所有複合語】[〜の、〜にとって]心が知識において確立した、心が知識に安定した

यज्ञायाचरतः कर्म
yajñāyācarataḥ karma
ヤジュニャーヤーチャラタハ カルマ
祭祀のために行為している人にとって

yajñāya【男性・単数・為格 yajña】[〜に、〜のために](祈祷または讃歌をもってする)崇拝;祭式の儀礼、祭式
ācaratas【男性・属格・主格 ā√carの現在分詞】[〜している(人)にとって](対格)に近づく;往来する;(対格)に頼る;用いる、使う;振る舞う、行う;取り扱う;交際する;始める、遂行する
karma【中性・単数・対格 karman】[〜に、〜を]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業

समग्रं प्रविलीयते ॥
samagraṁ pravilīyate ||
サマグラン プラヴィリーヤテー
それは完全に消滅する

samagram【samagraの副詞形】全く、完全に、全体に、すべて、ことごとく
pravilīyate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 pra-vi-√lī】[彼は〜、それは〜]見えなくなる、分解される、破壊される

गतसङ्गस्य मुक्तस्य ज्ञानावस्थितचेतसः ।
यज्ञायाचरतः कर्म समग्रं प्रविलीयते ॥२३॥

gatasaṅgasya muktasya jñānāvasthitacetasaḥ |
yajñāyācarataḥ karma samagraṁ pravilīyate ||23||
執着から離れ、束縛から解放され、心が知識において安定し、
祭祀のために行為している人にとって、行為は完全に消滅する。