バガヴァッド・ギーター第5章第19節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

इहैव तैर् जितः सर्गो
ihaiva tair jitaḥ sargo
イハイヴァ タイル ジタハ サルゴー
すでにこの世で、彼らによって出生は克服された

iha【副詞】ここで[へ・に];この世で、地上で
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
tais【男性・複数・具格、指示代名詞 tad】[〜によって、〜をもって]それら、あれら、彼ら
jitas【男性・単数・主格 jita√jiの過去受動分詞)】勝った、獲得した、征服した;打ち勝たれた、(欲)の奴隷となった;捨てた、廃した
sargas【男性・単数・主格 sarga】[〜は、〜が]発射;噴出、流れ;一陣(の風);(駿馬を)出発させること;競争;放たれた獣群;大軍;創造;創造物(神的存在、神)生得の性質、気質;決心、目的、意志;節、篇

येषां साम्ये स्थितं मनः ।
yeṣāṁ sāmye sthitaṁ manaḥ |
イェーシャーン サーミイェー スティタン マナハ
心が平等に留まった人々によって

yeṣām【男性・複数・属格、関係代名詞 yad】[〜の、〜にとって]その人々、あの人々、彼ら
sāmye【中性・単数・処格 sāmya】[〜において、〜のなかで]均等、同一、類似;同等;平衡、正常の状態;正義
sthitam【中性・単数・主格 sthita】立っている、立ち上がっている;〜に留まる・残る・位置している;〜に従事した・熱中した・耽った・献身した・実践する・に屈しない;着実な、守られた;定着した
manas【中性・単数・主格 manas】[〜は、〜が]心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分

निर्दोषं हि समं ब्रह्म
nirdoṣaṁ hi samaṁ brahma
ニルドーシャン ヒ サマン ブラフマ
なぜなら、ブラフマンは欠陥がなく、平等である

nirdoṣam【中性・単数・主格 nirdoṣa】過失のない、欠点のない;誤謬のない;無罪の、無垢の
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
samam【中性・単数・主格 sama】平らな、滑らかな、水平の、並行した;類似の・似た・等しい・同等の・同じ・同一の;不変の;偶数の;正常な;普通の、中等の;無関心の、中立の;善良な、正しい、正直な;容易な
brahma【中性・単数・主格 brahman】[〜は、〜が]聖智に満ちた者、婆羅門;祭官とくにヴェーダ祭式を総監する祭官;ブラフマンを神格化した最高神、梵天、宇宙の創造者として保持者ヴィシュヌおよび破壊神シヴァとともにトリムルティを形成する神格;理性

तस्माद् ब्रह्मणि ते स्थिताः ॥
tasmād brahmaṇi te sthitāḥ ||
タスマード ブラフマニ テー スティターハ
したがって、彼らはブラフマンに留まっている

tasmāt【男性・単数・従格、指示代名詞 tad】それ故に、そのために、したがって、だから、その結果
brahmaṇi【中性・単数・処格 brahman】[〜において、〜のなかで]聖智に満ちた者、婆羅門;祭官とくにヴェーダ祭式を総監する祭官;ブラフマンを神格化した最高神、梵天、宇宙の創造者として保持者ヴィシュヌおよび破壊神シヴァとともにトリムルティを形成する神格;理性
te【男性・複数・主格、指示代名詞 tad】[〜らは、〜らが]それ、あれ、彼
sthitās【男性・複数・主格 sthita】立っている、立ち上がっている;〜に留まる・残る・位置している;〜に従事した・熱中した・耽った・献身した・実践する・に屈しない;着実な、守られた;定着した

इहैव तैर् जितः सर्गो येषां साम्ये स्थितं मनः ।
निर्दोषं हि समं ब्रह्म तस्माद् ब्रह्मणि ते स्थिताः ॥१९॥

ihaiva tair jitaḥ sargo yeṣāṁ sāmye sthitaṁ manaḥ |
nirdoṣaṁ hi samaṁ brahma tasmād brahmaṇi te sthitāḥ ||19||
心が平等に留まった人々は、すでにこの世で、輪廻を克服している。
なぜなら、ブラフマンは欠陥なく平等であり、したがって、彼らはブラフマンに留まっているから。

バガヴァッド・ギーター第5章第18節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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विद्याविनयसंपन्ने
vidyāvinayasaṁpanne
ヴィディヤーヴィナヤサンパンネー
学識と規律を兼ね備えた

vidyā【女性】知識、学問、学術(とくに三ヴェーダの知識);呪法、呪術;呪文
vinaya【男性】除去、(衣服を)脱ぐこと;指導、訓練、教授、鍛錬;よい態度、礼儀正しさ、思慮、礼儀正しい作法、よいしつけ、慎み深い行為;職務;律
saṁpanne【男性・単数・処格 saṁpannasam√padの過去受動分詞)】生じた;成就した、完成した;完全な、十分な;〜に十分通暁した、〜に完全に熟練した;授かった、所有した、備えた
→vidyāvinayasaṁpanne【男性・単数・処格、限定複合語】学識と修養を備えた、学術と戒行を備えた

ब्राह्मणे गवि हस्तिनि ।
brāhmaṇe gavi hastini |
ブラーフマネー ガヴィ ハスティニ
バラモンに対して、牛、象に対して

brāhmaṇe【男性・単数・処格 brāhmaṇa】[〜において、〜のなかで](ブラフマンまたは聖智に満ちた)、ヴェーダに通じた人、神学者、祭官、婆羅門、四姓中第一階級に属する人
gavi【男性・単数・処格 go】[〜において、〜のなかで]牡牛;牛乳;牡牛の皮、皮革、革紐;水;感官;(複数形)家畜、牛の群;天体 【女性名詞】牝牛;天空;大地;語;弁才の女神(サラスヴァティー)
hastini【男性・単数・処格 hastin】[〜において、〜のなかで]手(鼻)を有する動物、象(を意味する最古の単語)

शुनि चैव श्वपाके च
śuni caiva śvapāke ca
シュニ チャイヴァ シュヴァパーケー チャ
また犬や賤民に対しても

śuni【男性・単数・処格 śvan】[〜において、〜のなかで]犬、猟犬
ca【接続詞】そして、また、〜と
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
śvapāke【男性・単数・処格 śvapāka】[〜において、〜のなかで]犬を調理する人、ある下層階級

पण्डिताः समदर्शिनः॥
paṇḍitāḥ samadarśinaḥ ||
パンディターハ サマダルシナハ
賢者は平等に見る

paṇḍitās【男性・複数・主格 paṇḍita】[〜らは、〜らが]学者、学問のある人、賢い人;パンディット 【形容詞】学問のある;賢い、怜悧な;教養ある、〜に巧みな
sama【副詞】等しく、同様に、同じように
darśinas【男性・複数・主格 darśin】見る、視る、注意する、見放す;知る、理解する;経験する;示す、教える

विद्याविनयसंपन्ने ब्राह्मणे गवि हस्तिनि ।
शुनि चैव श्वपाके च पण्डिताः समदर्शिनः ॥१८॥

vidyāvinayasaṁpanne brāhmaṇe gavi hastini |
śuni caiva śvapāke ca paṇḍitāḥ samadarśinaḥ ||18||
学識と規律を兼ね備えたバラモンに対して、牛、象に対して、
また犬や賤民に対しても、賢者は平等に見る。

バガヴァッド・ギーター第5章第17節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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तद्बुद्धयस् तदात्मानस्
tadbuddhayas tadātmānas
タッドブッダヤス タダートマーナス
それ(ブラフマン)に心を向け、それ(ブラフマン)を本質とし

tadbuddhayas【男性・複数・主格、所有複合語 tadbuddhi】[〜らは、〜らが]それに心・理性を集中させる(者)
tadātmānas【男性・複数・主格、所有複合語 tadātmān】[〜らは、〜らが]それ・彼と同様の;その性質を有する(者)

तन्निष्ठास् तत्परायणाः ।
tanniṣṭhās tatparāyaṇāḥ |
タンニシュタース タットパラーヤナーハ
それ(ブラフマン)を拠り所とし、それ(ブラフマン)を究極の目的とする人々は

tanniṣṭhās【男性・複数・主格、所有複合語 tadniṣṭha】[〜らは、〜らが]すべてそれに捧げた(者)
tatparāyaṇās【男性・複数・主格、所有複合語 tadparāyaṇa】[〜らは、〜らが]それを(彼等の)最後の目的として有する(者)

गच्छन्त्यपुनरावृत्तिं
gacchantyapunarāvṛttiṁ
ガッチャンティヤプナラーヴリッティン
彼らは最後の解脱に赴く

gacchanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √gam】[彼らは〜、それらは〜]行く、動く、歩む;去る、来る;止む、死す;〜に近づく、〜に達する、〜を得る
apunar【副詞】一回のみ、今回限り
āvṛttim【女性・単数・対格 āvṛtti】入ること;帰来;反覆;日至(夏至および冬至);再生;行程、方向
→apunarāvṛttim【女性・単数・対格 apunarāvṛtti】[〜に、〜を](生存・輪廻よりの)最後の解脱

ज्ञाननिर्धूतकल्मषाः ॥
jñānanirdhūtakalmaṣāḥ ||
ジュニャーナニルドゥータカルマシャーハ
知識により罪過を滅却した人々は

jñāna【中性】知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
nirdhūtanir√dhūの過去受動分詞】振り回された;悩まされた;(―゜)を奪い去られた
kalmaṣās【中性・複数・主格 kalmaṣa】汚物;汚点;屑、廃物、沈殿物;道徳的汚点;犯罪、罪過;暗黒
→jñānanirdhūtakalmaṣās【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]知識によって罪過を払い去った(者)

तद्बुद्धयस्तदात्मानस्तन्निष्ठास्तत्परायणाः ।
गच्छन्त्यपुनरावृत्तिं ज्ञाननिर्धूतकल्मषाः ॥१७॥

tadbuddhayastadātmānastanniṣṭhāstatparāyaṇāḥ |
gacchantyapunarāvṛttiṁ jñānanirdhūtakalmaṣāḥ ||17||
それ(ブラフマン)に心を向け、それを自己の本質とし、
それを拠り所とし、それを究極の目的とする人々は、
知識により罪過を滅却して、最後の解脱に赴く。

バガヴァッド・ギーター第5章第16節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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ज्ञानेन तु तद् अज्ञानं
jñānena tu tad ajñānaṁ
ジュニャーネーナ トゥ タッド アジュニャーナン
しかし、知識によってその無知が

jñānena【中性・単数・具格 jñāna】[〜によって、〜をもって]知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
tu【接続詞】しかし、一方(虚辞としても使用)
tad【中性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]それ、あれ、これ
ajñānam【中性・単数・主格 ajñāna】[〜は、〜が]無知、不注意;無智

येषां नाशितम् आत्मनः ।
yeṣāṁ nāśitam ātmanaḥ |
イェーシャーン ナーシタム アートマナハ
自己の(無知が)消滅した人々にとって

yeṣām【男性・複数・属格、関係代名詞 yad】[〜の、〜にとって]その人々、あの人々、彼ら
nāśitam【中性・単数・主格 nāśita√naśの過去受動分詞・使役活用)】失われた、消滅した、没した、消えた
ātmanas【男性・単数・属格 ātman】[〜の、〜にとって]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我

तेषाम् आदित्यवज् ज्ञानं
teṣām ādityavaj jñānaṁ
テーシャームーディティヤヴァジュ ジュニャーナン
彼らの知識は太陽のように

teṣām【男性・複数・属格、指示代名詞 tad】[〜の、〜にとって]それら、あれら、これら
ādityavat【副詞】太陽のように
jñānam【中性・単数・主格 jñāna】[〜は、〜が]知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官

प्रकाशयति तत् परम् ॥
prakāśayati tat param ||
プラカーシャヤティ タット パラム
かの最高の存在を輝かせる

prakāśayati【三人称・単数・現在・使役 pra√kas】[彼は〜、それは〜]輝かせる;開かせる、開花させる
tat【中性・単数・対格、指示代名詞 tad】[〜に、〜を]それ、あれ
param【中性・単数・対格 para】最高の;より優れた、より高い、より良い、より悪い;最上の、卓越した、最善の;最大の

ज्ञानेन तु तदज्ञानं येषां नाशितम् आत्मनः ।
तेषाम् आदित्यवज्ज्ञानं प्रकाशयति तत् परम् ॥१६॥

jñānena tu tadajñānaṁ yeṣāṁ nāśitam ātmanaḥ |
teṣām ādityavajjñānaṁ prakāśayati tat param ||16||
しかし、知識によって自己の無知が消滅した人々にとって、
彼らの知識は太陽のように、かの最高の存在を輝かせる。

バガヴァッド・ギーター第5章第15節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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नादत्ते कस्यचित् पापं
nādatte kasyacit pāpaṁ
ナーダッテー カスヤチット パーパン
彼は何人の罪悪を受け取らない

na【否定辞】〜でない
ādatte【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 ā√dā】[彼は〜、それは〜]取る、受け取る、獲得する;専有する;(従格)より奪取する、〜より取り去る;(勇気を)損なう;捕らえる、握る、掴む
kasyacit【男性・単数・属格、不定代名詞 kim + cit】[〜の、〜にとって]誰か、誰かある人
pāpam【中性・単数・対格 pāpa】[〜に、〜を]罪、悪、不正、悪事

न चैव सुकृतं विभुः ।
na caiva sukṛtaṁ vibhuḥ |
ナ チャイヴァ スクリタン ヴィブフ
主は、善行をも(受け取らない)

na【否定辞】〜でない
ca【接続詞】そして、また、〜と
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
sukṛtam【中性・単数・対格 sukṛta】[〜に、〜を]善行、功徳ある行為、正義、徳行、道徳的功徳
vibhus【男性・単数・主格 vibhu】[〜は、〜が](―゜)の主・支配者・主権者・長;全能の神(ブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァ) 【形容詞】遠くに広がる、行き渡る、遍在する;豊富な、永続する;威力ある、強力な

अज्ञानेनावृतं ज्ञानं
ajñānenāvṛtaṁ jñānaṁ
アジュニャーネーナーヴリタン ジュニャーナン
知識は無知により覆われ

ajñānena【中性・単数・具格 ajñāna】[〜によって、〜をもって]無知、不注意;無智
āvṛtam【中性・単数・主格 āvṛtaā√vṛの過去受動分詞 )】覆われた、隠された、囲まれた;広げられた
jñānam【中性・単数・主格 jñāna】[〜は、〜が]知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官

तेन मुह्यन्ति जन्तवः ॥
tena muhyanti jantavaḥ ||
テーナ ムッヒヤンティ ジャンタヴァハ
それにより生類は迷う

tena【中性・単数・具格、指示代名詞 tad】[〜によって、〜をもって]それ、あれ
muhyanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √muh】[彼らは〜、それらは〜]迷う、困惑する、混乱する;誤る、欺かれる、惑わされる
jantavas【男性・複数・主格 jantu】[〜らは、〜らが]児、子孫;生物、実在するもの;人;人物;召使い、侍者

नादत्ते कस्यचित् पापं न चैव सुकृतं विभुः ।
अज्ञानेनावृतं ज्ञानं तेन मुह्यन्ति जन्तवः ॥१५॥

nādatte kasyacit pāpaṁ na caiva sukṛtaṁ vibhuḥ |
ajñānenāvṛtaṁ jñānaṁ tena muhyanti jantavaḥ ||15||
主(自我)は、何人の罪悪も、善行も受け取らない。
しかし、知識は無知により覆われ、それにより生類は迷う。

バガヴァッド・ギーター第5章第14節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

न कर्तृत्वं न कर्माणि
na kartṛtvaṁ na karmāṇi
ナ カルトリトヴァン ナ カルマーニ
行為者であることを(創出し)ない、行為を(創出し)ない

na【否定辞】〜でない
kartṛtvam【中性・単数・対格 kartṛtva】[〜に、〜を]作者・行為者であること;能動力
na【否定辞】〜でない
karmāṇi【中性・複数・対格 karman】[〜らに、〜らを]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業

लोकस्य सृजति प्रभुः ।
lokasya sṛjati prabhuḥ |
ローカッスヤ スリジャティ プラブフ
主は創出し(ない)、世人の

lokasya 【男性・単数・属格 loka】[〜の、〜にとって]空間、余地、場所;地方、地帯、国;世界、宇宙の区分;天;地;人類、一般の人民、国民;男子(複数);(複)団体、仲間;日常生活、慣例、世事、俗事;視ること
sṛjatii【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √sṛj】[彼は〜、それは〜]創造する、造る、生む;授ける、与える、支給する
prabhus【男性・単数・主格 prabhu】[〜は、〜が]主人、支配者、王;夫 【形容詞】優れた;力の強い;(従格)より力の強い、(属格)を支配する;〜に匹敵した

न कर्मफलसंयोगं
na karmaphalasaṁyogaṁ
ナ カルマパラサンヨーガン
行為と結果の結合を(創出し)ない

na【否定辞】〜でない
karmaphala【中性 karmaphala】行為の果実、行為の結果
saṁyogam【男性・単数・対格 saṁyoga】〜との接続・連合・結合・接触;〜への専心;〜との友好関係・縁故
→karmaphalasaṁyogam【男性・単数・対格、限定複合語】[〜に、〜を]行為の結果との結合、行為と結果の連鎖

स्वभावस् तु प्रवर्तते ॥
svabhāvas tu pravartate ||
スヴァバーヴァス トゥ プラヴァルタテー
ただ、本性のみが活動する

svabhāvas【男性・単数・主格 svabhāva】固有のあり方、生まれつきの性質、素質、本性
tu【接続詞】しかし、一方(虚辞としても使用)
pravartate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 pra√vṛt】[彼は〜、それは〜]動かされる、行かされる;出発する、去る、行く;〜を進む;(従格)から生じる、発する、起こる、発生する;(不定)しはじめる;〜に着手する・に献身する・に取りかかる・に従事する;(処格)を提訴する・を相手どる・に害をなす

न कर्तृत्वं न कर्माणि लोकस्य सृजति प्रभुः ।
न कर्मफलसंयोगं स्वभावस्तु प्रवर्तते ॥१४॥

na kartṛtvaṁ na karmāṇi lokasya sṛjati prabhuḥ |
na karmaphalasaṁyogaṁ svabhāvastu pravartate ||14||
主(自我)は、世人の行為者である状態も、行為も創出しない。
行為と結果の結合も創出しない。ただ、本性のみが活動する。

バガヴァッド・ギーター第5章第13節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

सर्वकर्माणि मनसा
sarvakarmāṇi manasā
サルヴァカルマーニ マナサー
すべての行為を、意によって

sarva【中性】すべての、一切の、各々の;全体の
karmāṇi【中性・複数・対格 karman】[〜らに、〜らを]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
→sarvakarmāṇi【中性・複数・対格、同格限定複合語】[〜らに、〜らを]すべての行為、一切の業
manasā【中性・単数・具格 manas】[〜によって、〜をもって]心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分

संन्यस्यास्ते सुखं वशी ।
saṁnyasyāste sukhaṁ vaśī |
サンニャスヤーステー スカン ヴァシー
放擲して、支配者は安らかに坐す

saṁnyasya【絶対分詞 saṁ-ni√as】[〜して、〜してから]結合する;放置する;世事を捨てる、苦行者となる;放棄する;放擲する
āste【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √ās】[彼は〜、それは〜]坐す、座る;住む、止まる;住居を構える;休む、留まる、横たわる
sukham【副詞】幸福に、安楽に、快適に、容易に、苦もなく
vaśī【男性・単数・主格 vaśin】[〜は、〜が](属格)の支配者、主 【形容詞】支配する;喜んで〜をする、従順な;自己を抑制する

नवद्वारे पुरे देही
navadvāre pure dehī
ナヴァドヴァーレー プレー デーヒー
九門の城において、自我は

navadvāre【中性・単数・処格 navadvāra】九門、九孔(身体の) 【形容詞】九門を持つ
pure【中性・単数・処格 pura】[〜において、〜のなかで]城、要塞を設けた都市;町
dehī【男性・単数・主格 dehin】[〜は、〜が]生物;人間;(肉体をそなえた)精神、魂;個我、自我

नैव कुर्वन् न कारयन् ॥
naiva kurvan na kārayan ||
ナイヴァ クルヴァン ナ カーラヤン
何も行為せず、行為させず

na【否定辞】〜でない
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
kurvan【男性・単数・主格 kurvat√kṛの現在分詞)】[〜している]為す、動作する;現在の、活動する
na【否定辞】〜でない
kārayan【男性・単数・主格・現在分詞・使役活用 √kṛ】[〜させている]為す、作る、遂行する、用いる

सर्वकर्माणि मनसा संन्यस्यास्ते सुखं वशी ।
नवद्वारे पुरे देही नैव कुर्वन्न कारयन् ॥१३॥

sarvakarmāṇi manasā saṁnyasyāste sukhaṁ vaśī |
navadvāre pure dehī naiva kurvanna kārayan ||13||
すべての行為を、意によって放擲して、支配者である自我は
九門の城において、安らかに坐す。何も行為せず、行為させず。

※九門の城とは、九つの孔(目、鼻、口、耳、生殖器官、排泄器官)を持つ人間の肉体のこと

バガヴァッド・ギーター第5章第12節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

युक्तः कर्मफलं त्यक्त्वा
yuktaḥ karmaphalaṁ tyaktvā
ユクタハ カルマパラン ティヤクトヴァー
専心した者は、行為の結果を捨て

yuktas【男性・単数・主格 yukta√yujの過去受動分詞)】[〜は、〜が]くびき(軛)につながれた、(処格)に従事した、〜に専心した;(具格)に忙殺された、〜に専念した;(処格)に熱中した;集中した
karmaphalam【中性・単数・対格 karmaphala】[〜に、〜を]行為の果実、行為の結果
tyaktvā【絶対分詞 √tyaj】[〜して、〜してから]罷る、見捨てる;棄てる;手放す;遺棄する;(場所より)去る;(人を)避ける;放置する、放つ;断念する、離れる、捨てる、護る

शान्तिमाप्नोति नैष्ठिकीम् ।
śāntimāpnoti naiṣṭhikīm |
シャーンティマープノーティ ナイシュティキーム
究極の寂静に達する

śāntim【女性・単数・対格 śānti】[〜に、〜を]心の静穏、心の平和;(火が)消えること;平和、好運、繁栄;寂静、寂滅;涅槃
āpnoti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √āp】[彼は〜、それは〜]到達する、獲得する、成し遂げる;遭遇する、蒙る、関係する、耐え忍ぶ;起こる
naiṣṭhikīm【女性・単数・対格 naiṣṭhika】最終の、最後の;決定的な、決定した、確立した;無上の、最上の、至高の、完全な;(―゜)に全く精通した;永久の貞潔を誓った(婆羅門)

अयुक्तः कामकारेण
ayuktaḥ kāmakāreṇa
アユクタハ カーマカーレーナ
専心しない者は、欲望のままの行為によって

ayuktas【男性・単数・主格 ayukta】[〜は、〜が]専心しない、心統一しない;不注意な;不適当な;専念しない;集中しない
kāmakāreṇa【男性・単数・具格 kāmakāra】[〜によって、〜をもって]自発的行動;意志の自由;性向に従う行為 【形容詞】(属格)の願望を満たす

फले सक्तो निबध्यते ॥
phale sakto nibadhyate ||
パレー サクトー ニバディヤテー
結果に執着して束縛される

phale【中性・単数・処格 phala】[〜において、〜のなかで]果実;(果実の)核;結果;報い、報酬、利益、果報;報復、罰、損失、不利益;利得、享受;代償
saktas【男性・単数・主格 sakta√sañjの過去受動分詞)】〜にしがみつく・執着する・固執する;〜を所有している;〜に対して執着した・におぼれた・専念する・に夢中である
nibadhyate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 ni√bandh】[彼は〜、それは〜](処格)に縛る、しっかり締める、(処格)に糸を張る;自身に固定する・着る;捕らえる;抑止する、抑制する、禁固する;(処格)に定着する、鋲でとめる

युक्तः कर्मफलं त्यक्त्वा शान्तिमाप्नोति नैष्ठिकीम् ।
अयुक्तः कामकारेण फले सक्तो निबध्यते ॥१२॥

yuktaḥ karmaphalaṁ tyaktvā śāntimāpnoti naiṣṭhikīm |
ayuktaḥ kāmakāreṇa phale sakto nibadhyate ||12||
専心した者は、行為の結果を捨て、究極の寂静に達する。
専心せぬ者は、欲望のままに行為し、結果に執着して束縛される。

バガヴァッド・ギーター第5章第11節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

कायेन मनसा बुद्ध्या
kāyena manasā buddhyā
カーイェーヤ マナサー ブッディヤー
身体により、意(マナス)により、知性により

kāyena【男性・単数・具格 kāya】[〜によって、〜をもって]身体、有形体;集団、多数、多量、集合;(樹の)幹;資本金
manasā【中性・単数・具格 manas】[〜によって、〜をもって]心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分
buddhyā【女性・単数・具格 buddhi】[〜によって、〜をもって]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定

केवलैर् इन्द्रियैर् अपि ।
kevalair indriyair api |
ケーヴァライル インドリヤイル アピ
また単に諸感官のみにより

kevalais【男性・複数・具格 kevala】(為格、属格)に専らの;唯、のみの、単なる、それのみの、他を除ける、純粋の、混じらない;孤立した、絶対の;全き、完全な;すべての、あらゆる
indriyais【男性・複数・具格 indriya】[〜らによって、〜らをもって]神の力;支配;偉大な行為;活力;体力;精力;感官;感覚
api【不変化辞】さらに、また、同様に;されど、なお

योगिनः कर्म कुर्वन्ति
yoginaḥ karma kurvanti
ヨーギナハ カルマ クルヴァンティ
ヨーガ行者たちは行為をなす

yoginas【男性・複数・主格 yogin】[〜らは、〜らが]ヨーガ行者、修行者、実践者
karma【中性・単数・対格 karman】[〜に、〜を]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
kurvanti【三人称・複数・パラスマイパダ・現在 √kṛ】[彼らは〜、それらは〜]為す、作る、遂行する、用いる

सङ्गं त्यक्त्वा ऽत्मशुद्धये ॥
saṅgaṁ tyaktvā ‘tmaśuddhaye ||
サンガン ティヤクトヴァー アートマシュッダイェー
執着を捨てて、自己を浄めるために

saṅgam【男性・単数・対格 saṅga】[〜に、〜を]〜への粘着、妨害;(処格)に執着・接触すること;〜との合一・交際;(処格)に対する欲望
tyaktvā【絶対分詞 √tyaj】[〜して、〜してから]罷る、見捨てる;棄てる;手放す;遺棄する;(場所より)去る;(人を)避ける;放置する、放つ;断念する、離れる、捨てる、護る
ātma【男性 ātman】気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
śuddhaye【女性・単数・為格 śuddhi】[〜に、〜のために](−゜)から清めること、清浄;(危険なものを)除去すること;(−゜)によって無罪を証明すること、釈放すること;真正性、正確さ;(属格、−゜)に関する正確な知識
→ātma-śuddhaye【女性・単数・為格、限定複合語 ātmaśuddhi】[〜に、〜のために]自己を浄めること

कायेन मनसा बुद्ध्या केवलैरिन्द्रियैरपि ।
योगिनः कर्म कुर्वन्ति सङ्गं त्यक्त्वात्मशुद्धये ॥११॥

kāyena manasā buddhyā kevalairindriyairapi |
yoginaḥ karma kurvanti saṅgaṁ tyaktvātmaśuddhaye ||11||
身体により、意(マナス)により、知性により、また単に諸感官のみにより、
執着を捨てて、自己を浄めるために、ヨーガ行者たちは行為をなす。

バガヴァッド・ギーター第5章第10節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

ब्रह्मण्य् आधाय कर्माणि
brahmaṇy ādhāya karmāṇi
ブラフマニ アーダーヤ カルマーニ
ブラフマンに諸行為を捧げて

brahmaṇi【中性・単数・処格 brahman】[〜において、〜のなかで]聖智に満ちた者、婆羅門;祭官とくにヴェーダ祭式を総監する祭官;ブラフマンを神格化した最高神、梵天、宇宙の創造者として保持者ヴィシュヌおよび破壊神シヴァとともにトリムルティを形成する神格;理性
ādhāya【絶対分詞 ā√dhā】[〜して、〜してから]据える、横たえる、置く;(属格)に種子を下ろす;(処格)に(行為を)捧げる;(処格)に(徳を)教え込む;(処格)の方を凝視する;(処格)に意・思念をこらす;注意を払う
karmāṇi【中性・複数・対格 karman】[〜らに、〜らを]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業

सङ्गं त्यक्त्वा करोति यः ।
saṅgaṁ tyaktvā karoti yaḥ |
サンガン ティヤクトヴァー カローティ ヤハ
執着を捨てて行為する人は

saṅgam【男性・単数・対格 saṅga】[〜に、〜を]〜への粘着、妨害;(処格)に執着・接触すること;〜との合一・交際;(処格)に対する欲望
tyaktvā【絶対分詞 √tyaj】[〜して、〜してから]罷る、見捨てる;棄てる;手放す;遺棄する;(場所より)去る;(人を)避ける;放置する、放つ;断念する、離れる、捨てる、護る
karoti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √kṛ】[彼は〜、それは〜]為す、作る、遂行する、用いる
yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人

लिप्यते न स पापेन
lipyate na sa pāpena
リッピャテー ナ サ パーペーナ
彼は罪悪によって汚されない

lipyate【三人称・単数・現在・受動活用 √lip】[彼は〜される、それは〜される]油を塗る、(対格)に(具格)を塗る;汚す、穢す、不潔にする、染める
na【否定辞】〜でない
sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
pāpena【中性・単数・具格 pāpa】[〜によって、〜をもって]罪、悪、不正、悪事

पद्मपत्त्रम् इवाम्भसा ॥
padmapattram ivāmbhasā ||
パドマパットラム イヴァームバサー
蓮の葉が、水によって(汚されない)ように

padmapattram 【中性・単数・主格 padmapattra】[〜は、〜が]昼咲く蓮華の花弁、蓮の葉
iva【副詞】〜のように、〜と同様に、言わば
ambhasā【中性・単数・具格 ambhas】[〜によって、〜をもって]水;天上の水

ब्रह्मण्याधाय कर्माणि सङ्गं त्यक्त्वा करोति यः ।
लिप्यते न स पापेन पद्मपत्त्रमिवाम्भसा ॥१०॥

brahmaṇyādhāya karmāṇi saṅgaṁ tyaktvā karoti yaḥ |
lipyate na sa pāpena padmapattramivāmbhasā ||10||
ブラフマンに諸行為を捧げ、執着を捨てて行為する人は、
水面における蓮弁のように、罪悪によって汚されない。