バガヴァッド・ギーター第6章第37節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

अर्जुन उवाच ।
arjuna uvāca |
アルジュナ ウヴァーチャ
アルジュナは言った

arjunas【男性・単数・主格 arjuna】[〜は、〜が]アルジュナ
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は〜した]言う、話す

अयतिः श्रद्धयोपेतो
ayatiḥ śraddhayopeto
アヤティヒ シュラッダヨーペートー
信仰をもった非苦行者は

ayatis【男性・単数・主格 ayati】[〜は、〜が]非苦行者;制御されない者
śraddhayā【女性・単数・具格 śraddhā】[〜によって、〜をもって]〜に対する信用・信頼・信仰・信念;忠実、真摯、〜に対する欲望・願望;好奇心 【形容詞】(為格)を信仰する、〜を信頼する
upetas【男性・単数・主格 upetaupa√iの過去受動分詞)】到達した;近づいた;〜に退いた;着手した;〜に赴いた;〜を所有した

योगाच्चलितमानसः ।
yogāccalitamānasaḥ |
ヨーガーッチャリタマーナサハ
ヨーガから逸脱した心をもつ

yogāt【男性・単数・従格 yoga】[〜から、〜より]ヨーガ、精神の集中、組織的な超脱法、瞑想、静慮、心統一
calita√calの過去受動分詞】震動した、不安定な;動いた;去った、出発した、歩いた;通常の道から逸れた、乱された、(心、感情等の)混乱した
mānasas【男性・単数・主格 mānasa】[〜は、〜が]心、精神
→calitamānasas【男性・単数・主格、所有複合語】[〜は、〜が]逸脱した心をもつ(人)、精神が不安定な(人)

अप्राप्य योगसंसिद्धिं
aprāpya yogasaṁsiddhiṁ
アプラープヤ ヨーガサンシッディン
ヨーガの完成に到達せず

aprāpya【a-pra√āpの未来受動分詞】得られない、到達されない
yogasaṁsiddhim【女性・単数・対格 yogasaṁsiddhi】[〜に、〜を]ヨーガの完成、ヨーガの成就

कां गतिं कृष्ण गच्छति ॥
kāṁ gatiṁ kṛṣṇa gacchati ||
カーン ガティン クリシュナ ガッチャティ
どのような道に行くか、クリシュナよ

kām【女性・単数・対格、疑問代名詞 kim】何、誰、なぜ、どんな、どのように
gatim【女性・単数・対格 gati】[〜に、〜を]行くこと、歩態、前進、動作、行動、飛行;退去、出発;行進、進行;成功;〜の獲得;〜に対する服従;路、進路、小径;出口;根源、根底;手段、方法、可能性;策略;避難所;状態、状況、条件、位置;性質;幸福;輪廻、人間の運命;風習
kṛṣṇa【男性・単数・呼格 kṛṣṇa】[〜よ]クリシュナ神;黒い羊飼い
gacchati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √gam】[彼は〜、それは〜]行く、動く、歩む;去る、来る;止む、死す;〜に近づく、〜に達する、〜を得る

अर्जुन उवाच ।
अयतिः श्रद्धयोपेतो योगाच्चलितमानसः ।
अप्राप्य योगसंसिद्धिं कां गतिं कृष्ण गच्छति ॥३७॥

arjuna uvāca |
ayatiḥ śraddhayopeto yogāccalitamānasaḥ |
aprāpya yogasaṁsiddhiṁ kāṁ gatiṁ kṛṣṇa gacchati ||37||
アルジュナは言った。
「信仰をもちながら、自制できず、心がヨーガから逸脱した者は、
ヨーガの完成に到達せず、どのような運命をたどるのでしょうか。

バガヴァッド・ギーター第6章第36節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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असंयतात्मना योगो
asaṁyatātmanā yogo
アサンミャタートマナー ヨーゴー
自己制御できない者にとって、ヨーガは

asaṁyata【a-saṃ√yamの過去受動分詞】結合させられない;拘束させられない、妨げられない;制御されない;閉ざされない;注意せずに読誦する
ātmanā【男性・単数・具格 ātman】[〜によって、〜をもって]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
→asaṁyatātmanā【男性・単数・具格、所有複合語 asaṁyatātman】[〜によって、〜をもって]制御されない自己をもつ、自己を制御しない
yogas【男性・単数・主格 yoga】[〜は、〜が]ヨーガ、精神の集中、組織的な超脱法、瞑想、静慮、心統一

दुष्प्राप इति मे मतिः ।
duṣprāpa iti me matiḥ |
ドゥシュプラーパ イティ メー マティヒ
達し難いと、私の考えは

duṣprāpa【男性・単数・主格 duṣprāpa】達し難い、得難い
iti【副詞】〜と、〜ということ、以上(しばしば引用句の後に置かれる)
me【単数・属格、一人称代名詞 mad(mamaの附帯形)】[〜の、〜にとって]私
matis【女性・単数・主格 mati】[〜は、〜が]敬虔な思想、祈祷、崇拝;讃歌;〜に対する思考、腹案、意図、目的、決心、性向、欲望;意見、観念、印象、見解、信念;知覚、思想、知性、理解、意識、機知、感覚、判断、尊敬、尊重

वश्यात्मना तु यतता
vaśyātmanā tu yatatā
ヴァッシャートマナー トゥ ヤタター
しかし、自制して努力している者にとって

vaśya【男性】〜の力・意志に従う、謙遜な、おとなしい、従順な
ātmanā【男性・単数・具格 ātman】[〜によって、〜をもって]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
→vaśyātmanā【男性・単数・具格、所有複合語 vaśyātman】[〜によって、〜をもって]制御される自己をもつ、自制する
tu【接続詞】しかし、一方(虚辞としても使用)
yatatā【男性・単数・具格・現在分詞 √yat】[〜によって、〜をもって]努力している、〜しようと努めている、〜に専念している、〜を切望している

शक्यो ऽवाप्तुम् उपायतः ॥
śakyo ‘vāptum upāyataḥ ||
シャキョー ヴァープトゥム ウパーヤタハ
正しい方法によって達成することができる

śakyas【男性・単数・主格 śakya√śakの未来受動分詞)】可能な、実行できる、であることができる;克服されるべき、征服できる;字義通りの、明白な
avāptum【ava√āpの不定詞】[〜するため、〜すべく、〜すること]到達する;獲得する、取得する;遭遇する、蒙る、耐え忍ぶ
upāyatas【副詞】如才なく、器用に、方便をもって

असंयतात्मना योगो दुष्प्राप इति मे मतिः ।
वश्यात्मना तु यतता शक्योऽवाप्तुमुपायतः ॥३६॥

asaṁyatātmanā yogo duṣprāpa iti me matiḥ |
vaśyātmanā tu yatatā śakyo’vāptumupāyataḥ ||36||
自己制御できない者に、ヨーガは達成できないと、私は考える。
しかし、自制し努力する者は、正しい方法によって達成することができる。

バガヴァッド・ギーター第6章第35節

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श्रीभगवान् उवाच ।
śrībhagavān uvāca |
シュリーバガヴァーン ウヴァーチャ
クリシュナは語った

śrībhagavān【男性・単数・主格 śrībhagavat】栄光ある方、神聖な神、威厳ある尊者。ここではクリシュナのことを指す。
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は〜した]言う、語る

असंशयं महाबाहो
asaṁśayaṁ mahābāho
アサンシャヤン マハーバーホー
確かに、アルジュナよ

asaṁśayam【副詞】疑いなく、確かに
mahābāho【男性・単数・呼格 mahābāhu】[〜よ]強大な腕力を持つ(者)、長い腕を持つ(者)、強い臂を持つ(者)。ここではアルジュナのこと。

मनो दुर्निग्रहं चलम् ।
mano durnigrahaṁ calam |
マノー ドゥルニグラハン チャラム
意(マナス)は揺れ動き、抑制し難い

manas【中性・単数・主格 manas】[〜は、〜が]心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分
durnigraham【中性・単数・主格 durnigraha】抑制し難い、征服し難い
calam【中性・単数・主格 cala】動く、震える;不安定の、揺れる;波打つ;ひらひらする;ざわめく、混乱する;変わりやすい

अभ्यासेन तु कौन्तेय
abhyāsena tu kaunteya
アッビャーセーナ トゥ カウンテーヤ
しかし、アルジュナよ、常習によって

abhyāsena【男性・単数・具格 abhyāsa】[〜によって、〜をもって]付加;反覆;実行;応用;常習、習慣;熟知;繰り返される読誦;研究
tu【接続詞】しかし、一方(虚辞としても使用)
kaunteya【男性・単数・呼格 kaunteya】[〜よ]クンティーの息子、アルジュナの別名

वैराग्येण च गृह्यते ॥
vairāgyeṇa ca gṛhyate ||
ヴァイラーギェーナ チャ グリッヒャテー
そして離欲によって、それは捉えられる

vairāgyeṇa【中性・単数・具格 vairāgya】[〜によって、〜をもって]蒼白になること;〜を嫌うこと、〜の嫌悪;世俗的物事に対する無関心、厭生
ca【接続詞】そして、また、〜と
gṛhyate【三人称・単数・現在・受動活用 √grah】[彼は〜される、それは〜される]掴む、摂る、付着する、捕らえる、止む;〜を入手する;捕獲する;魅惑する;(病気が)襲う;浸蝕する;盗む、剥奪する;保つ、保留する;要求する;獲得する、受納する;(従格)より受け取る;受理する、採用する;発言する、発音する;知覚する、了解する、聞く、見る、観察する、認める;学ぶ、記憶する;従う、追随する;好む;専心する;意見を有する、考える

श्रीभगवान् उवाच।
असंशयं महाबाहो मनो दुर्निग्रहं चलम् ।
अभ्यासेन तु कौन्तेय वैराग्येण च गृह्यते ॥३५॥

śrībhagavān uvāca |
asaṁśayaṁ mahābāho mano durnigrahaṁ calam |
abhyāsena tu kaunteya vairāgyeṇa ca gṛhyate ||35||
クリシュナは語った。
「アルジュナよ。確かに意(マナス)は揺れ動き、抑制し難い。
しかしそれは、繰り返しの修練と離欲によって捉えられる。

バガヴァッド・ギーター第6章第34節

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चञ्चलं हि मनः कृष्ण
cañcalaṁ hi manaḥ kṛṣṇa
チャンチャラン ヒ マナハ クリシュナ
なぜなら、意(マナス)が動揺するから、クリシュナよ

cañcalam【中性・単数・主格 cañcala】あちこちに動く、動揺する、不安定になる、震える;軽薄な
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
manas【中性・単数・主格 manas】[〜は、〜が]心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分
kṛṣṇa【男性・単数・呼格 kṛṣṇa】[〜よ]クリシュナ神;黒い羊飼い

प्रमाथि बलवद् दृढम् ।
pramāthi balavad dṛḍham |
プラマーティ バラヴァッド ドリダム
攪乱し、力強く、頑固な(意)

pramāthi【中性・単数・主格 pramāthin】切断する;攪乱する、扇動する、悩乱させる、苦しめる
balavat【中性・単数・主格 balavat】強い、力のある、力強い;烈しい(欲望等);濃い;肥満した、重い;広く行われる、主要な
dṛḍham【中性・単数・主格 dṛḍha√dṛṃhの過去受動分詞)】強固な、固い、堅固な、確固たる、強い、動揺しない;猛烈な、大きな、完全な、全体の

तस्याहं निग्रहं मन्ये
tasyāhaṁ nigrahaṁ manye
タッスヤーハン ニグラハン マンニェー
その抑制を、私は考える

tasya【男性・単数・属格、指示代名詞 tad】[〜の、〜にとって]彼、それ、あれ
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
nigraham【男性・単数・対格 nigraha】[〜に、〜を]捉えること;禁止、抑止;(従格)から抑留すること;抑制、拘束、強圧;折檻、処罰、譴責;論争に敗北する誘因・原因
manye【一人称・単数・アートマネーパダ・現在 √man】[私は〜]考える、信じる、想像する

वायोर् इव सुदुष्करम् ॥
vāyor iva suduṣkaram ||
ヴァーヨール イヴァ スドゥシュカラム
風のように、非常に難しいと

vāyos【男性・単数・属格 vāyu】[〜の、〜にとって]風、空気;風の神
iva【副詞】〜のように、〜と同様に、言わば
suduṣkaram【中性・単数・対格 suduṣkara】非常に為しがたい、非常に支えがたい、非常に難しい

चञ्चलं हि मनः कृष्ण प्रमाथि बलवद् दृढम् ।
तस्याहं निग्रहं मन्ये वायोरिव सुदुष्करम् ॥३४॥

cañcalaṁ hi manaḥ kṛṣṇa pramāthi balavad dṛḍham |
tasyāhaṁ nigrahaṁ manye vāyoriva suduṣkaram ||34||
なぜなら、意(マナス)は動揺し、混乱し、力強く、頑固であるから。
それは、風を制御するように、とても難しいと思う。クリシュナよ。」

バガヴァッド・ギーター第6章第33節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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अर्जुन उवाच ।
arjuna uvāca |
アルジュナ ウヴァーチャ
アルジュナは言った

arjunas【男性・単数・主格 arjuna】[〜は、〜が]アルジュナ
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は〜した]言う、話す

यो ऽयं योगस् त्वया प्रोक्तः
yo ‘yaṁ yogas tvayā proktaḥ
ヨー ヤン ヨーガス トヴァヤー プロークタハ
このヨーガは、あなたによって説かれた

yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人
ayam【男性・単数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これ
yogas【男性・単数・主格 yoga】[〜は、〜が]ヨーガ、精神の集中、組織的な超脱法、瞑想、静慮、心統一
tvayā【単数・具格、二人称代名詞 tvad】[〜によって、〜をもって]あなた
proktas【男性・単数・主格 proktapra√vacの過去受動分詞)】宣言された、教えられた、記述された;言われた、語られた;〜であると宣言された、と称された、説かれた

साम्येन मधुसूदन ।
sāmyena madhusūdana |
サーミイェーナ マドゥスーダナ
平等をもって、クリシュナよ

sāmyena【中性・単数・具格 sāmya】[〜によって、〜をもって]均等、同一、類似;同等;平衡、正常の状態;正義
madhusūdana【男性・単数・呼格 madhusūdana】[〜よ]マドゥスーダナ(クリシュナの別名。名前は「(悪魔)マドゥを殺す者」の意)

एतस्याहं न पश्यामि
etasyāhaṁ na paśyāmi
エータスヤーハン ナ パッシャーミ
私は見出せない、この

etasya【男性・単数・属格、指示代名詞 etad】[〜の、〜にとって]これ
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
na【否定辞】〜でない
paśyāmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √paś】[私は〜]見る;眺める;観察する、注意する;凝視する、傍観する;経験する、獲得する;見出す;考察する、思量する;心眼で見る、発見する;予知する、予見する

चञ्चलत्वात् स्थितिं स्थिराम् ॥
cañcalatvāt sthitiṁ sthirām ||
チャンチャラトヴァート スティティン スティラーム
不動の状態を、動揺から

cañcalatvāt【中性・単数・従格 cañcalatva(=cañcalatā)】[〜から、〜より]不安定、動揺;不規則
sthitim【女性・単数・対格 sthiti】[〜に、〜を]立つこと;滞在すること;休息の地、住所;地位、階級、高位、威厳;状態、条件;慣例、習慣、制度
sthirām【女性・単数・対格 sthira】堅固な、固い、固体の、硬直した、強い;定着した、不動の、動かない;ぐらつかない;恒久の、不断の、持続する、続く、変化のない;しっかりした、支持された、がまん強い;秘密にされた、内密の

अर्जुन उवाच ।
योऽयं योगस्त्वया प्रोक्तः साम्येन मधुसूदन ।
एतस्याहं न पश्यामि चञ्चलत्वात्स्थितिं स्थिराम् ॥३३॥

arjuna uvāca |
yo’yaṁ yogastvayā proktaḥ sāmyena madhusūdana |
etasyāhaṁ na paśyāmi cañcalatvātsthitiṁ sthirām ||33||
アルジュナは言った。
「クリシュナよ。あなたは平等のヨーガを説くが、
私は動揺から、この不動の状態を見出せない。

バガヴァッド・ギーター第6章第32節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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आत्मौपम्येन सर्वत्र
ātmaupamyena sarvatra
アートマウパミイェーナ サルヴァットラ
自己(アートマン)との類比によって、すべてにおいて

ātmaupamyena【中性・単数・具格 ātmaupamya】[〜によって、〜をもって]自己を比較の標準となすこと、自己類推
sarvatra【副詞】すべての点において、すべての場合に、常に

समं पश्यति यो ऽर्जुन ।
samaṁ paśyati yo ‘rjuna |
サマン パッシャティ ヨー ルジュナ
平等に見る人は、アルジュナよ

samam【男性・単数・対格 sama】平らな、滑らかな、水平の、並行した;類似の・似た・等しい・同等の・同じ・同一の;不変の;偶数の;正常な;普通の、中等の;無関心の、中立の;善良な、正しい、正直な;容易な
paśyati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √paś】[彼は〜、それは〜]見る;眺める;観察する、注意する;凝視する、傍観する;経験する、獲得する;見出す;考察する、思量する;心眼で見る、発見する;予知する、予見する
yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人
arjuna【男性・単数・呼格 arjuna】[〜よ]アルジュナ

सुखं वा यदि वा दुःखं
sukhaṁ vā yadi vā duḥkhaṁ
スカン ヴァー ヤディ ヴァー ドゥフカン
幸福や不幸を

sukham【中性・単数・対格 sukha】[〜に、〜を]安楽、歓喜、幸福、享楽、繁栄、成功
【副詞】〜かまたは、任意に;〜のように、〜と同様に、あたかも〜のように;ちょうど;しかし;たとえ〜であるとしても;恐らくは、願わくは
yadi【接続詞】もし
→vā yadi vā:〜かまたは〜か、もしくは
duḥkham【中性・単数・対格 duḥkha】[〜に、〜を]不安、心配、苦痛、悲しみ、悲哀、困難、苦しみ

स योगी परमो मतः ॥
sa yogī paramo mataḥ ||
サ ヨーギー パラモー マタハ
かのヨーガ行者は、最も優れていると考えられる

sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
yogī【男性・単数・主格 yogin】[〜は、〜が]ヨーガ行者、修行者、実践者
paramas【男性・単数・主格 parama】最も遠い、最も遠隔の、最も極端な、最後の;最高の、主な、第一位の;至高の、超越した;最も優秀な、最善の、最大の;最悪の;〜より良い、〜より大きな、〜より悪い
matas【男性・単数・主格 mata√manの過去受動分詞)】〜と考えられた、見なされた、思われた、評価された;承認された、認可された、十分に考慮された;〜によって尊重された、尊敬された、好遇された;意図された;憶測された;知られた

आत्मौपम्येन सर्वत्र समं पश्यति योऽर्जुन ।
सुखं वा यदि वा दुःखं स योगी परमो मतः ॥३२॥

ātmaupamyena sarvatra samaṁ paśyati yo’rjuna |
sukhaṁ vā yadi vā duḥkhaṁ sa yogī paramo mataḥ ||32||
アートマンとの類比によって、すべてにおいて幸不幸を平等に見る人、
アルジュナよ、このようなヨーガ行者は、最も優れていると考えられる。

バガヴァッド・ギーター第6章第31節

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सर्वभूतस्थितं यो मां
sarvabhūtasthitaṁ yo māṁ
サルヴァブータスティタン ヨー マーン
万物に存在する私を

sarvabhūta【中性】一切の存在物、万物、一切衆生 【形容詞】至る処に存在する
stham【中性・単数・対格 stha】立っている、存在している、ある;に専念した、に従事した、〜を実践する
→sarvabhūtastham【中性・単数・対格 sarvabhūtastha】万物に存在している
yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私

भजत्य् एकत्वम् आस्थितः ।
bhajaty ekatvam āsthitaḥ |
バジャティ エーカトヴァム アースティタハ
一体観に立ち、礼拝する(者は)

bhajati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √bhaj】[彼は〜、それは〜]分配する、分かつ;実行する、従う、守る;好意を示す;愛する;尊敬する、崇め尊ぶ、崇拝する
ekatvam【中性・単数・対格 ekatva】[〜に、〜を]単一;合同;同一;単数(文法)
āsthitas【男性・単数・主格 āsthitaā√sthāの過去受動分詞)】留まれた、住まわれた;企てられた、遂行された

सर्वथा वर्तमानो ऽपि
sarvathā vartamāno ‘pi
サルヴァター ヴァルタマーノー ピ
どのような状態にあっても

sarvathā【副詞】すべての点において、是非とも;どんな方法でも、しかしながら;全く、全然、極度に
vartamānas【男性・単数・主格 vartamāna√vṛtの現在分詞)】現在の、現存する;存在している、生きている
api【不変化辞】さらに、また、同様に;されど、なお

स योगी मयि वर्तते ॥
sa yogī mayi vartate ||
サ ヨーギー マイ ヴァルタテー
かのヨーガ行者は、私のなかにある

sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
yogī【男性・単数・主格 yogin】[〜は、〜が]ヨーガ行者、修行者、実践者
mayi【単数・処格、一人称代名詞 mad】[〜において、〜のなかで]私
vartate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √vṛt】[彼は〜、それは〜]転ずる、回転する、転がる;進む、進行する、執行される;〜を条件とする、伴う;(ある場所に)ある、止まる、住する、滞在する;存在する、生存する;〜の中に見出される

सर्वभूतस्थितं यो मां भजत्येकत्वमास्थितः ।
सर्वथा वर्तमानोऽपि स योगी मयि वर्तते ॥३१॥

sarvabhūtasthitaṁ yo māṁ bhajatyekatvamāsthitaḥ |
sarvathā vartamāno’pi sa yogī mayi vartate ||31||
一体観に立ち、万物に存在する私を礼拝するヨーガ行者は、
どのような状態にあっても、私と共にある。

バガヴァッド・ギーター第6章第30節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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यो मां पश्यति सर्वत्र
yo māṁ paśyati sarvatra
ヨー マーン パッシャティ サルヴァットラ
すべての中に私を見る者は

yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私
paśyati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √paś】[彼は〜、それは〜]見る;眺める;観察する、注意する;凝視する、傍観する;経験する、獲得する;見出す;考察する、思量する;心眼で見る、発見する;予知する、予見する
sarvatra【副詞】すべての点において、すべての場合に、常に

सर्वं च मयि पश्यति ।
sarvaṁ ca mayi paśyati |
サルヴァン チャ マイ パッシャティ
また私の中に、すべてを見る(者は)

sarvam【男性・単数・対格 sarva】[〜に、〜を]すべての、一切の、各々の;全体の
ca【接続詞】そして、また、〜と
mayi【単数・処格、一人称代名詞 mad】[〜において、〜のなかで]私
paśyati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √paś】[彼は〜、それは〜]見る;眺める;観察する、注意する;凝視する、傍観する;経験する、獲得する;見出す;考察する、思量する;心眼で見る、発見する;予知する、予見する

तस्याहं न प्रणश्यामि
tasyāhaṁ na praṇaśyāmi
タッスヤーハン ナ プラナッシャーミ
彼にとって、私は見失われることがなく

tasya【男性・単数・属格、指示代名詞 tad】[〜の、〜にとって]彼、それ、あれ
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
na【否定辞】〜でない
praṇaśyāmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 pra√naś】[私は〜]失われる;見えなくなる、消える、逃げる

स च मे न प्रणश्यति ॥
sa ca me na praṇaśyati ||
サ チャ メー ナ プラナッシャティ
また私にとって、彼は見失われることがない

sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
ca【接続詞】そして、また、〜と
me【単数・属格、一人称代名詞 mad(mamaの附帯形)】[〜の、〜にとって]私
na【否定辞】〜でない
praṇaśyati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 pra√naś】[彼は〜、それは〜]失われる;見えなくなる、消える、逃げる

यो मां पश्यति सर्वत्र सर्वं च मयि पश्यति ।
तस्याहं न प्रणश्यामि स च मे न प्रणश्यति ॥३०॥

yo māṁ paśyati sarvatra sarvaṁ ca mayi paśyati |
tasyāhaṁ na praṇaśyāmi sa ca me na praṇaśyati ||30||
すべての中に私を見、私の中にすべてを見る者にとって、
私は見失われることなく、また私にとって、彼は見失われることがない。

バガヴァッド・ギーター第6章第29節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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सर्वभूतस्थम् आत्मानं
sarvabhūtastham ātmānaṁ
サルヴァブータスタム アートマーナン
万物に存在している自己(アートマン)を

sarvabhūta【中性】一切の存在物、万物、一切衆生 【形容詞】至る処に存在する
stham【中性・単数・対格 stha】立っている、存在している、ある;に専念した、に従事した、〜を実践する
→sarvabhūtastham【中性・単数・対格 sarvabhūtastha】万物に存在している
ātmānam【男性・単数・対格 ātman】[〜に、〜を]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我

सर्वभूतानि चात्मनि ।
sarvabhūtāni cātmani |
サルヴァブーターニ チャートマニ
そして、自己(アートマン)のなかに万物を

sarvabhūtāni【中性・複数・対格 sarvabhūta】[〜らに、〜らを]一切の存在物、万物、一切衆生 【形容詞】至る処に存在する
ca【接続詞】そして、また、〜と
ātmani【男性・単数・処格 ātman】[〜において、〜のなかで]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我

ईक्षते योगयुक्तात्मा
īkṣate yogayuktātmā
イークシャテー ヨーガユクタートマー
ヨーガによって自己(アートマン)を修練する者は見る

īkṣate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √īkṣ】[彼は〜、それは〜]見る、眺める;〜を視る、〜を注視する;看取する、認知する;沈思する、見做す;想像する、期待する;予言する
yogayukta【男性】瞑想に専心した、ヨーガを行ずる
ātmā【男性・単数・主格 ātman】[〜は、〜が]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我
→yogayuktātmā【男性・単数・主格、所有複合語】[〜は、〜が]ヨーガによって自己を修練する、瞑想によって自己を統制する

सर्वत्र समदर्शनः ॥
sarvatra samadarśanaḥ ||
サルヴァットラ サマダルシャナハ
すべてを平等に見る者は

sarvatra【副詞】すべての点において、すべての場合に、常に
samadarśanas【男性・単数・主格 samadarśana】[〜は、〜が]同じように見える、類似の、(一切の事物や人間を)公平無私に見る

सर्वभूतस्थमात्मानं सर्वभूतानि चात्मनि ।
ईक्षते योगयुक्तात्मा सर्वत्र समदर्शनः ॥२९॥

sarvabhūtasthamātmānaṁ sarvabhūtāni cātmani |
īkṣate yogayuktātmā sarvatra samadarśanaḥ ||29||
ヨーガによってアートマンを統制し、すべてを平等に見る者は、
万物の中にアートマンを見、そしてアートマンの中に万物を見る。

バガヴァッド・ギーター第6章第28節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

युञ्जन्न् एवं सदा ऽत्मानं
yuñjann evaṁ sadā ‘tmānaṁ
ユンジャン エーヴァン サダー アートマーナン
このように、常に自己(アートマン)を修練し

yuñjan【男性・単数・主格・現在分詞・使役活用 √yuj】[〜させている]〜に繋ぐ;接合する、結合する;(祭式を)行う;〜に(精神・思考)を集中する;精神を統一する、深く瞑想する;想起する、回想する
evam【副詞】このように、こんなふうに、そんなふうに
sadā【副詞】始終、常に、何時でも
ātmānam【男性・単数・対格 ātman】[〜に、〜を]気息;霊魂;生命、自身;本質、本性;特色;身体;知性、悟性;我、最高我

योगी विगतकल्मषः ।
yogī vigatakalmaṣaḥ |
ヨーギー ヴィガタカルマシャハ
罪障を離れたヨーガ行者は

yogī【男性・単数・主格 yogin】[〜は、〜が]ヨーガ行者、修行者、実践者
vigatavi√gamの過去受動分詞】散った、去った;死去した;消滅した、行った
kalmaṣas【中性・単数・主格 kalmaṣa】汚物;汚点;屑、廃物、沈殿物;道徳的汚点;犯罪、罪過;暗黒
→vigatakalmaṣas【男性・単数・主格、同格限定複合語】汚点のない、罪障を離れた;潔白な

सुखेन ब्रह्मसंस्पर्शम्
sukhena brahmasaṁsparśam
スケーナ ブラフマサンスパルシャム
容易に、ブラフマンとの融合に

sukhena【中性・単数・具格 sukha】(゜―)幸福に、安楽に、快適に、容易に、苦もなく
brahma(=brahman)【中性】聖智に満ちた者、婆羅門;祭官とくにヴェーダ祭式を総監する祭官;ブラフマンを神格化した最高神、梵天、宇宙の創造者として保持者ヴィシュヌおよび破壊神シヴァとともにトリムルティを形成する神格;理性
saṁsparśam【男性・単数・対格 saṁsparśa】〜との接触、交渉
→brahmasaṁsparśa【中性・単数・対格】[〜に、〜を]ブラフマンとの密接な接触・融合

अत्यन्तं सुखम् अश्नुते ॥
atyantaṁ sukham aśnute ||
アティヤンタン スカム アシュヌテー
永遠の幸福に、彼は到達する

atyantam【中性・単数・対格 atyanta】終わりまで続く、継続する、断絶しない、無限の;完全な;過度の
sukham【中性・単数・対格 sukha】[〜に、〜を]安楽、歓喜、幸福、享楽、繁栄、成功
aśnute【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √aś】[彼は〜、それは〜]到達する;達成する;遭遇する;捧げる;楽しむ

युञ्जन्नेवं सदाऽत्मानं योगी विगतकल्मषः ।
सुखेन ब्रह्मसंस्पर्शमत्यन्तं सुखमश्नुते ॥२८॥

yuñjannevaṁ sadā’tmānaṁ yogī vigatakalmaṣaḥ |
sukhena brahmasaṁsparśamatyantaṁ sukhamaśnute ||28||
このように、常にアートマンを修練し、罪障を滅したヨーガ行者は、
容易に、ブラフマンとの融合という永遠の幸福に到達する。