バガヴァッド・ギーター第2章第35節

भयाद् रणाद् उपरतं
bhayād raṇād uparataṁ
バヤード ラナード ウパラタン
戦争の恐怖のためにやめたと

bhayāt【中性・単数・従格】恐れから、驚きから、心配から、恐怖のために
raṇāt【中性・単数・従格】(歓喜の対象としての)戦争から、戦いから、衝突から、格闘から、紛争から、対立から
uparatam【男性・単数・対格、過去受動分詞 upa√ram】静止した;弱まった、中止した;やめた、諦めた;撤退した

मण्स्यन्ते त्वां महारथाः ।
maṇsyante tvāṁ mahārathāḥ |
マンスヤンテー トヴァーン マハーラターハ
偉大な戦士たちはあなたを思うだろう

maṇsyante【三人称・複数・アートマネーパダ・未来 √man】[彼らは]考えるだろう、信じるだろう、想像するだろう;(対格)を(対格)であると思うだろう、見なすだろう、理解するだろう
tvām【単数・対格、二人称代名詞 tvad】あなたを
mahārathās【男性・複数・主格】偉大な戦士たちは、大車を駆る者たちは

येषां च त्वं बहुमतो भूत्वा
yeṣāṁ ca tvaṁ bahumato bhūtvā
イェーシャーン チャ トヴァン バフマトー ブートヴァー
あなたは彼らに高く評価されていたのに

yeṣām【男性・複数・属格、関係代名詞 yad】その人々にとって、あの人々にとって、彼らにとって。ここでは戦場に集結した縁者を指している。
ca【接続詞】そして、また、〜と
tvam【単数・主格、二人称代名詞 tvad】あなたは
bahu【男性】多い、たくさんの、多数の、いくつもの、豊富な、十分な、数々の、幾多の、巨大な、相当な
matas【男性・単数・主格、過去受動分詞 √man】(属格)によって尊重された、尊敬された、厚遇された;高く評価された
→bahumatas【男性・単数・主格】高く評価された、十分な尊敬を受けた
bhūtvā【絶対分詞 √bhū】あって、存在して

यास्यसि लाघवम् ॥
yāsyasi lāghavam ||
ヤースヤシ ラーガヴァム
あなたは軽蔑されることになるだろう

yāsyasi【二人称・単数・パラスマイパダ・未来 √yā】[あなたは]動くだろう、行くだろう、歩くだろう、赴くだろう;〜に帰するだろう、〜に陥るだろう、〜を招くだろう、〜を経験するだろう、〜に到達するだろう
lāghavam【中性・単数・対格】軽薄に、無思慮に;無価値に、卑賤に、細小に;品位の毀損に;軽蔑に

भयाद्रणादुपरतं मण्स्यन्ते त्वां महारथाः ।
येषां च त्वं बहुमतो भूत्वा यास्यसि लाघवम् ॥ ३५ ॥

bhayādraṇāduparataṁ maṇsyante tvāṁ mahārathāḥ |
yeṣāṁ ca tvaṁ bahumato bhūtvā yāsyasi lāghavam || 35 ||
偉大な戦士たちは、あなたが恐怖から戦いをやめたと思うだろう。
あなたは彼らに高く評価されていたのに、軽蔑されることになるだろう。

バガヴァッド・ギーター第2章第34節

अकीर्तिं चापि भूतानि
akīrtiṁ cāpi bhūtāni
アキールティン チャーピ ブーターニ
また人々は、不名誉を

akīrtim【女性・単数・対格】不名誉を、汚名を、悪名を、悪評を
ca【接続詞】そして、また、〜と
api【不変化辞】さらに、また、同様に;されど、なお
bhūtāni【中性・複数・主格】存在物[神・人・動物および植物を含む]は;被創造物は;万物は;世界は

कथयिष्यन्ति ते ऽव्ययाम् ।
kathayiṣyanti te ‘vyayām |
カタイッシャンティ テー ヴィヤヤーム
語るだろう、あなたの消えることのない

kathayiṣyanti【三人称・複数・パラスマイパダ・未来 √kath】[彼らは]語るだろう、話すだろう;物語るだろう;告ぐだろう、報告するだろう;説明するだろう
te【単数・属格、二人称代名詞 tvad】あなたの
vyayām【女性・単数・対格】不滅の、不変の;慳貪の

संभावितस्य चाकीर्तिर्
saṁbhāvitasya cākīrtir
サンバーヴィタッスヤ チャーキールティル
そして、名誉ある人にとって、不名誉は

saṁbhāvitasya【男性・単数・属格、過去受動分詞、使役活用 sam√bhū】尊敬されている人にとって、敬意を表されている人にとって、名高い人にとって
ca【接続詞】そして、また、〜と
akīrtim【女性・単数・主格】不名誉は、汚名は、悪名は、悪評は

मरणाद् अतिरिच्यते ॥
maraṇād atiricyate ||
マラナード アティリッチャテー
死よりも劣る

maraṇāt【中性・単数・従格】死ぬことより;死より;死滅より、停止より
atiricyate【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 ati√ric】[それは]追い越す、超える、凌駕する;卓越する;支配する;過多である、余す;さらに善い(悪い)

अकीर्तिं चापि भूतानि कथयिष्यन्ति तेऽव्ययाम् ।
संभावितस्य चाकीर्तिर्मरणादतिरिच्यते ॥ ३४ ॥

akīrtiṁ cāpi bhūtāni kathayiṣyanti te’vyayām |
saṁbhāvitasya cākīrtirmaraṇādatiricyate || 34 ||
また人々は、あなたの消えることのない不名誉を語り継ぐだろう。
そして、名誉ある人にとって、不名誉は死よりも劣る。

バガヴァッド・ギーター第2章第33節

अथ चेत् त्वम् इमं धर्म्यं
atha cet tvam imaṁ dharmyaṁ
アタ チェート トヴァム イマン ダルミヤン
だが、もしあなたがこの高潔な

atha【接続詞】さて、また、そして、それから;もし
ced【接続詞】そして、;時に;〜もまた、さえも;もし〜ならば
→atha ced:しかしもし、だがもし、またもし
tvam【単数・主格、二人称代名詞 tvad】あなたは
imam【男性・単数・対格】この
dharmyam【中性・単数・対格】合法の、適法の;普通の、慣習となっている;正当の、正直な;高潔な、有徳の、正義の

संग्रामं न करिष्यसि ।
saṁgrāmaṁ na kariṣyasi |
サングラーマン ナ カリッシャシ
戦いを行わないならば

saṁgrāmam【男性・単数・対格】集合を、群衆を、軍隊を;戦争を、戦いを、合戦を
na【否定辞】〜でない
kariṣyasi【二人称・単数・パラスマイパダ・未来 √kṛ】[あなたは]為すだろう、するだろう、行うだろう、作るだろう

ततः स्वधर्मं कीर्तिं च
tataḥ svadharmaṁ kīrtiṁ ca
タタハ スヴァダルマン キールティン チャ
その時は、自分の義務と名誉を

tatas【副詞】そこで、それから、その後、すると、その時
svadharmam【男性・単数・対格】自己の権利を;自分の義務を;自分の属するカーストの義務を
kīrtim【女性・単数・対格】名誉を、名声を、栄光を、賞賛を;陳述を、記載を
ca【接続詞】そして、また、〜と

हित्वा पापम् अवाप्स्यसि ॥
hitvā pāpam avāpsyasi ||
ヒットヴァー パーパム アヴァープスヤシ
捨てて、あなたは罪悪を得るだろう

hitvā【絶対分詞 √hā】捨てて、放棄して、諦めて、断念して、見捨てて
pāpam【中性・単数・対格】罪を、悪を、不正を、悪事を
avāpsyasi【二人称・単数・パラスマイパダ・未来 ava√āp】[あなたは〜だろう]獲得する、得る、入手する;(非難、不和、苦痛等を)被る、苦しむ

अथ चेत्त्वमिमं धर्म्यं संग्रामं न करिष्यसि ।
ततः स्वधर्मं कीर्तिं च हित्वा पापमवाप्स्यसि ॥ ३३ ॥

atha cettvamimaṁ dharmyaṁ saṁgrāmaṁ na kariṣyasi |
tataḥ svadharmaṁ kīrtiṁ ca hitvā pāpamavāpsyasi || 33 ||
だが、もしあなたがこの高潔な戦いを行わないならば、
あなたは自分の義務と名誉を捨てて、罪悪を得るだろう。

バガヴァッド・ギーター第2章第32節

यदृच्छया चोपपन्नं
yadṛcchayā copapannaṁ
ヤドリッチャヤー コーパパンナン
はからずも到来した

yadṛcchayā【女性・単数・具格/副詞】偶然に、はからずも;自然に;不意に
ca【接続詞】そして、また、〜と
upapannam【中性・単数・対格、過去受動分詞 upa√pad】起こった、なった、到達した;獲得した;入手した、発生した、到来した;存在した;与えられた

स्वर्गद्वारम् अपावृतम् ।
svargadvāram apāvṛtam |
スヴァルガドヴァーラム アパーヴリタム
開かれた天界の門に

svarga【男性】天界、天国、天上界
dvāram【中性・単数・対格】門に、門扉に、扉に
→svargadvāram【中性・単数・対格、限定複合語】天界の門に、天国の扉に、天門に
※クシャトリヤは、戦場で殉職すると、天界へ行くと信じられていた(上村勝彦注)
※upapannam svargadvāram apāvṛtamは、同格のyuddhamを修飾している
apāvṛtam【中性・単数・対格、過去受動分詞 apa-ā√vṛ】開かれた、閉じられない

सुखिनः क्षत्रियाः पार्थ
sukhinaḥ kṣatriyāḥ pārtha
スキナハ クシャトリヤーハ パールタ
幸福な武士が、アルジュナよ

sukhinas【男性・複数・主格】幸福な、楽しい、嬉しい、快適な、愉快な
kṣatriyās【男性・複数・主格】クシャトリヤ(王族、士族)が、武士が、支配者が
pārtha【男性・単数・呼格】プリターの息子よ。アルジュナのこと。

लभन्ते युद्धम् ईदॄशम् ॥
labhante yuddham īdṝśam ||
ラバンテー ユッダム イードリシャム
そのような戦いに遭遇する

labhante【三人称・複数・アートマネーパダ・現在 √labh】[彼らは]捕らえる、遭遇する、発見する;看取する;取得する、獲得する、受け取る
yuddham【中性・単数・対格】戦いに、戦闘に
īdṝśam【中性・単数・対格】そのような、そのような状態の、そのような場合の

यदृच्छया चोपपन्नं स्वर्गद्वारमपावृतम् ।
सुखिनः क्षत्रियाः पार्थ लभन्ते युद्धमीदॄशम् ॥ ३२ ॥

yadṛcchayā copapannaṁ svargadvāramapāvṛtam |
sukhinaḥ kṣatriyāḥ pārtha labhante yuddhamīdṝśam || 32 ||
はからずも到来した、開かれた天門に通じる戦い――
アルジュナよ、幸福な武士のみが、そのような戦いに遭遇する。

バガヴァッド・ギーター第2章第31節

स्वधर्मम् अपि चावेक्ष्य
svadharmam api cāvekṣya
スヴァダルマム アピ チャーヴェークシャ
さらにまた、自分の義務を考慮しても

svadharmam【男性・単数・対格】自己の権利を;自分の義務を;自分の属するカーストの義務を
api【不変化辞】さらに、また、同様に;されど、なお
ca【接続詞】そして、また、〜と
→api ca:さらにまた、同様に、〜も〜も
avekṣya【絶対分詞 ava√īkṣ】見て;観察して;注意して、熟慮して、考えて;経験して

न विकम्पितुम् अर्हसि ।
na vikampitum arhasi |
ナ ヴィカムピトゥム アルハシ
あなたはおののくべきではない

na【否定辞】〜でない
vikampitum【不定詞 vi√kamp】(身体が)震えること、身震いすること、おののくこと、戦慄すること
arhasi【二人称・単数・パラスマイパダ・現在 √arh】[あなたは]〜できる、資格がある、権利がある;価値がある、匹敵する

धर्म्याद्धि युद्धाच्छ्रेयो ऽन्यत्
dharmyāddhi yuddhācchreyo ‘nyat
ダルミヤーッディ ユッダーッチュレーヨー ニヤット
なぜならば、高潔な戦いより優れた他のものは

dharmyāt【中性・単数・従格、dharmya】合法の、適法の;普通の、慣習となっている;正当の、正直な;高潔な、有徳の、正義の
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
yuddhāt【中性・単数・従格】戦いより、戦闘より、戦争より
śreyas【中性・単数・主格、比較級】より良い、より優れた、より幸せな
anyat【中性・単数・主格】他の、別の、異なる

क्षत्रियस्य न विद्यते ॥
kṣatriyasya na vidyate ||
クシャトリヤッスヤ ナ ヴッディヤテー
武士にとって、存在しない

kṣatriyasya【男性・単数・属格】クシャトリヤ(王族、士族)にとって、武士にとって、支配者にとって
na【否定辞】〜でない
vidyate【三人称・単数・現在・受動活用 √vid】[それは]ある、存在する、見られる

स्वधर्ममपि चावेक्ष्य न विकम्पितुमर्हसि ।
धर्म्याद्धि युद्धाच्छ्रेयोऽन्यत्क्षत्रियस्य न विद्यते ॥ ३१ ॥

svadharmamapi cāvekṣya na vikampitumarhasi |
dharmyāddhi yuddhācchreyo’nyatkṣatriyasya na vidyate || 31 ||
さらにまた、自分の義務を考慮しても、あなたはおののくべきではない。
なぜならば、武士にとって、高潔な戦いに勝るものは他にないからだ。

バガヴァッド・ギーター第2章第30節

देही नित्यम् अवध्यो ऽयं
dehī nityam avadhyo ‘yaṁ
デーヒー ニッティヤン アヴァッディヨー ヤン
この個我は常に殺されることがない

dehī【男性・単数・主格】人間は;(肉体をそなえた)精神は、魂は;個我は、自我は
nityam【副詞】恒久的に、不易に、常に;不変に
avadhyas【男性・単数・主格、未来受動分詞(動詞的形容詞、義務分詞) a√vadh】犯し難い、殺されない、不可殺の
ayam【男性・単数・主格、指示代名詞 idam】これは、これが

देहे सर्वस्य भारत ।
dehe sarvasya bhārata |
デーヘー サルヴァッスヤ バーラタ
すべての身体において、アルジュナよ

dehe【男性・中性・単数・処格】身体において、肉体において
sarvasya【男性・単数・属格】すべての、一切の、各々の;全体の
bhārata【男性・単数・呼格】バラタの子孫よ。ここではアルジュナのことを指す。

तस्मात् सर्वाणि भूतानि
tasmāt sarvāṇi bhūtāni
タスマート サルヴァーニ ブーターニ
それゆえ、一切万物を

tasmāt【男性・中性・単数・従格、指示代名詞 tad】それ故に、そのために、したがって、だから、その結果
sarvāṇi【中性・複数・対格】すべての、一切の、各々の;全体の
bhūtāni【中性・複数・対格】存在物[神・人・動物および植物を含む]を;被創造物を;万物を;世界を

न त्वं शोचितुम् अर्हसि ॥
na tvaṁ śocitum arhasi ||
ナ トヴァン ショーチトゥム アルハシ
あなたは嘆くべきではない

na【否定辞】〜でない
tvam【単数・主格、二人称代名詞 tvad】あなたは
śocitum【不定詞 √śuc】嘆くこと、悲しむこと
arhasi【二人称・単数・パラスマイパダ・現在 √arh】[あなたは]〜できる、資格がある、権利がある;価値がある、匹敵する

देही नित्यमवध्योऽयं देहे सर्वस्य भारत ।
तस्मात्सर्वाणि भूतानि न त्वं शोचितुमर्हसि ॥ ३० ॥

dehī nityamavadhyo’yaṁ dehe sarvasya bhārata |
tasmātsarvāṇi bhūtāni na tvaṁ śocitumarhasi || 30 ||
アルジュナよ、すべての人の身体に宿るこの個我は、常に殺されることがない。
それゆえ、あなたは万物について嘆くべきではない。

※この詩節は、場面を戦場に借りて、高等な観点から個我の非能動性・不可殺性を強調し、
併せてアルジュナに利己心のない本務の遂行を想起させるためのものである。
利己的動機による戦争や殺傷を容認・正当化するものではない(辻直四郎注)。

バガヴァッド・ギーター第2章第29節

आश्चर्यवत् पश्यति कश्चिदेनम्
āścaryavat paśyati kaścidenam
アーシュチャリヤヴァット パッシャティ カシュチッデーナム
ある人は、希有にそれを見る

āścaryavat【副詞】奇異のように、不思議に、希有に、奇跡的に、驚異的に
paśyati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √paś】[彼は]見る、予見する、認める
kaścit【男性・単数・主格、不定代名詞、kim + cit】誰か、誰かある人
enam【男性・単数・対格、指示代名詞 enad】彼を、それを

आश्चर्यवद् वदति तथैव चान्यः ।
āścaryavad vadati tathaiva cānyaḥ |
アーシュチャリヤヴァッド ヴァダティ タタイヴァ チャーンニャハ
また他の人は、希有に語る

āścaryavat【副詞】奇異のように、不思議に、希有に、奇跡的に、驚異的に
vadati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √vad】[彼は]言う、語る、述べる、話す、伝える、報告する、宣言する、言明する
tathā【副詞】そのように、同様に;そして、また
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
ca【接続詞】そして、また、〜と
anyas【男性・単数・主格】他の、別の

आश्चर्यवच्चैनम् अन्यः शृणोति
āścaryavaccainam anyaḥ śṛṇoti
アーシュチャリヤヴァッチャイナム アンニャハ シュリノーティ
さらに他の人は、希有にそれを聞く

āścaryavat【副詞】奇異のように、不思議に、希有に、奇跡的に、驚異的に
ca【接続詞】そして、また、〜と
enam【男性・単数・対格、指示代名詞 enad】彼を、それを
anyas【男性・単数・主格】他の、別の
śṛṇoti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √śru】[彼は]聞く、聴く、耳にする、傾聴する

श्रुत्वाप्येनं वेद न चैव कश्चित् ॥
śrutvāpyenaṁ veda na caiva kaścit ||
シュルトヴァーピエーナン ヴェーダ ナ チャイヴァ カシュチット
しかしそれを聞いても、誰も知らない

śrutvā【絶対分詞 √śru】聞いて、聴いて、耳にして
api【不変化辞】さらに、また、同様に、とても;されど、なお
enam【男性・単数・対格、指示代名詞 enad】彼を、それを
veda【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vid】(ここでは現在形の意味で用いて)[彼は]知る、理解する、精通する、見出す
na【否定辞】〜でない
ca【接続詞】そして、また、〜と
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
kaścit【男性・単数・主格、不定代名詞、kim + cit】誰か、誰かある人

आश्चर्यवत्पश्यति कश्चिदेनमाश्चर्यवद्वदति तथैव चान्यः ।
आश्चर्यवच्चैनमन्यः शृणोति श्रुत्वाप्येनं वेद न चैव कश्चित् ॥ २९ ॥

āścaryavatpaśyati kaścidenamāścaryavadvadati tathaiva cānyaḥ |
āścaryavaccainamanyaḥ śṛṇoti śrutvāpyenaṁ veda na caiva kaścit || 29 ||
ある人は、希有にそれを見る。ある人は、希有にそれを語る。
またある人は、希有にそれについて聞くが、聞いても、誰もそれを知らない。

※この詩節は、トリシュトゥブの韻律になりますが、2行目は字余りとなっています。
この詩節では、認知されがたく、悟りがたいアートマンの本質を説明しています。

バガヴァッド・ギーター第2章第28節

अव्यक्तादीनि भूतानि
avyaktādīni bhūtāni
アヴィヤクターディーニ ブーターニ
万物は最初は顕現せず

avyaktas【過去受動分詞 a-vi√añj】非顕現の、現れない、認めがたい;不明瞭な、目に見えない、感知できない
ādīni【中性・複数・主格】初めの、最初の
→avyaktādīni【中性・複数・主格、所有複合語】初めは非顕現のもの、最初は目に見えないもの
bhūtāni【中性・複数・主格】存在物[神・人・動物および植物を含む]は;被創造物は;万物は;世界は

व्यक्तमध्यानि भारत ।
vyaktamadhyāni bhārata |
ヴィヤクタマッディヤーニ バーラタ
中間が顕現し、アルジュナよ

vyakta【過去受動分詞 vi√añj】明白な、顕著な、明晰な、明瞭な;顕現した、目に見えた、現れた
madhyāni【中性・複数・主格】中央の、中心の、中間の
→vyaktamadhyāni【中性・複数・主格、所有複合語】中間は顕現するもの、中間は目に見えるもの
bhārata【男性・単数・呼格】バラタの子孫よ。ここではアルジュナのことを指す。

अव्यक्तनिधानान्येव
avyaktanidhānānyeva
アヴィヤクタニダーナーニエーヴァ
最後は顕現しない

avyaktas【過去受動分詞 a-vi√añj】非顕現の、現れない、認めがたい;不明瞭な、目に見えない、感知できない
nidhānāni【中性・複数・主格】終わりは、最後は、結びは
→avyaktanidhānāni【中性・複数・主格】終わりは非顕現のもの、最後は目に見えないもの
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)

तत्र का परिदेवना ॥
tatra kā paridevanā ||
タットラ カー パリデーヴァナー
ここにどんな悲嘆があるだろうか

tatra【副詞】そこに;そこへ;ここに;それのために、その場合に、その時に
kā【女性・単数・主格、疑問代名詞 kim】何、誰、なぜ、どんな、どのように
paridevanā【女性・単数・主格】嘆きが、悲嘆が、不満が

अव्यक्तादीनि भूतानि व्यक्तमध्यानि भारत ।
अव्यक्तनिधानान्येव तत्र का परिदेवना ॥ २८ ॥

avyaktādīni bhūtāni vyaktamadhyāni bhārata |
avyaktanidhānānyeva tatra kā paridevanā || 28 ||
万物は、最初は顕現せず、中間が顕現し、最後は顕現しない。
ここにどんな悲嘆があるだろうか、アルジュナよ。

バガヴァッド・ギーター第2章第27節

जातस्य हि ध्रुवो मृत्युर्
jātasya hi dhruvo mṛtyur
ジャータッスヤ ヒ ドゥルヴォー ムリッティユル
なぜならば、生まれた者にとって死は必定であり

jātasya【男性・単数・属格、過去受動分詞 √jan】生まれたものにとって;生じたものにとって;出現したものにとって
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
dhruvas【男性・単数・主格】確実な、必定の;決心の堅い、安定した、不断の
mṛtyur【男性・単数・主格】死は

ध्रुवं जन्म मृतस्य च ।
dhruvaṁ janma mṛtasya ca |
ドゥルヴァン ジャンマ ムリタッスヤ チャ
また死んだ者にとって生は必定である

dhruvam【中性・単数・主格】確実な、必定の;決心の堅い、安定した、不断の
janma【中性・単数・主格】誕生は、産出は;出現は;再生は
mṛtasya【男性・単数・属格】死んだものにとって
ca【接続詞】そして、また、〜と

तस्मादपरिहार्ये ऽर्थे
tasmādaparihārye ‘rthe
タスマーダパリハーリエー ルテー
したがって、不可避のことのために

tasmāt【男性・中性・単数・従格、指示代名詞 tad】それ故に、そのために、したがって、だから、その結果
aparihārye【男性・単数・処格、未来受動分詞(動詞的形容詞、義務分詞) a-pari√hṛ】不可避の、避けられない、必然の
arthe【男性・単数・処格】〜のために、〜の目的で

न त्वं शोचितुम् अर्हसि ॥
na tvaṁ śocitum arhasi ||
ナ トヴァン ショーチトゥム アルハシ
あなたは嘆くべきではない

na【否定辞】〜でない
tvam【単数・主格、二人称代名詞 tvad】あなたは
śocitum【不定詞 √śuc】嘆くこと、悲しむこと
arhasi【二人称・単数・パラスマイパダ・現在 √arh】[あなたは]〜できる、資格がある、権利がある;価値がある、匹敵する

जातस्य हि ध्रुवो मृत्युर् ध्रुवं जन्म मृतस्य च ।
तस्मादपरिहार्येऽर्थे न त्वं शोचितुमर्हसि ॥ २७ ॥

jātasya hi dhruvo mṛtyur dhruvaṁ janma mṛtasya ca |
tasmādaparihārye’rthe na tvaṁ śocitumarhasi || 27 ||
なぜならば、生まれた者にとって死は必定であり、また死んだ者にとって生は必定である。
したがって、不可避のことのために、あなたは嘆くべきではない。

バガヴァッド・ギーター第2章第26節

अथ चैनं नित्यजातं
atha cainaṁ nityajātaṁ
アタ チャイナン ニッティヤジャータン
またもし、それを常に生まれ

atha【接続詞】また、そして、それから;もし
ca【接続詞】そして、また、〜と
enam【男性・単数・対格、指示代名詞 enad】彼を、それを
nitya【形容詞】常住の、恒久の、永久の、不易の、不壊の
jātam【男性・単数・対格、過去受動分詞 √jan】生まれた;生じた;出現した;成長した
→nityajātam【男性・単数・対格、同格限定複合語】常に生まれる、絶えず生まれる

नित्यं वा मन्यसे मृतम् ।
nityaṁ vā manyase mṛtam |
ニッティヤン ヴァー マンニャセー ムリタム
あるいは常に死ぬものとあなたが考える

nityam【副詞】恒久的に、不易に、常に;不変に
vā【接続詞】あるいは、また
manyase【二人称・単数・アートマネーパダ・現在 √man】[あなたは]考える、信じる、想像する
mṛtam【男性・単数・対格、過去受動分詞 √mṛ】死んだ;去った;無感覚な、亡骸のような

तथापि त्वं महाबाहो
tathāpi tvaṁ mahābāho
タターピ トヴァン マハーバーホー
アルジュナよ、たとえそうであっても、あなたは

tathāpi【副詞、tathā api】たとえそうでも、それでも、それにしても、それにもかかわらず
tvam【単数・主格、二人称代名詞 tvad】あなたは
mahābāho【男性・単数・呼格】強大な腕力を持つ者よ、長い腕を持つ者よ、強い臂を持つ者よ。ここではアルジュナのこと。

नैनं शोचितुम् अर्हसि ॥
nainaṁ śocitum arhasi ||
ナイナン ショーチトゥム アルハシ
それを嘆くべきではない

na【否定辞】〜でない
enam【男性・単数・対格、指示代名詞 enad】彼を、それを
śocitum【不定詞 √śuc】嘆くこと、悲しむこと
arhasi【二人称・単数・パラスマイパダ・現在 √arh】[あなたは]〜できる、資格がある、権利がある;価値がある、匹敵する

अथ चैनं नित्यजातं नित्यं वा मन्यसे मृतम् ।
तथापि त्वं महाबाहो नैनं शोचितुमर्हसि ॥ २६ ॥

atha cainaṁ nityajātaṁ nityaṁ vā manyase mṛtam |
tathāpi tvaṁ mahābāho nainaṁ śocitumarhasi || 26 ||
またもし、それを常に生まれ、あるいは常に死ぬものと考えるとしても、
アルジュナよ、あなたはそれを嘆くべきではない。