バガヴァッド・ギーター第7章第10節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

बीजं मां सर्वभूतानां
bījaṁ māṁ sarvabhūtānāṁ
ビージャン マーン サルヴァブーターナーン
私を万物の種子である

bījam【中性・単数・主格 bīja】[〜は、〜が](植物の)種子、(動物の)精液、穀類の種子、穀粒、インドいちじく樹の根生;胚種、要素;源泉、起源、発端;詩・戯曲の発端;代数学;水銀;[神のマントラに必須な部分を形成する]神秘な文字・音節、仏教の種子(しゅうじ、しゅじ)
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私
sarvabhūtānām【中性・複数・属格 sarvabhūta】[〜らの、〜らにとって]一切の存在物、万物、一切衆生

विद्धि पार्थ सनातनम् ।
viddhi pārtha sanātanam |
ヴィッディ パールタ サナータナム
知れ、アルジュナよ、永遠の

viddhi【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 √vid】[あなたは〜せよ]知る、理解する、気付く、学ぶ
pārtha【男性・単数・呼格 pārtha】[〜よ]プリターの息子。アルジュナのこと。
sanātanam【中性・単数・対格 sanātana】永続する、永遠の、永久の、恒常の

बुद्धिर् बुद्धिमताम् अस्मि
buddhir buddhimatām asmi
ブッディル ブッディマターム アスミ
私は知性ある者たちの知性である

buddhis【女性・単数・主格 buddhi】[〜は、〜が]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定
buddhimatām【男性・複数・属格 buddhimat】[〜らの、〜らにとって]理解力のある;鋭敏な、賢い
asmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[私は〜]ある、存在する、実在する

तेजस् तेजस्विनाम् अहम् ॥
tejas tejasvinām aham ||
テージャス テージャスヴィナーム アハム
私は輝ける者たちの光である

tejas【中性・単数・主格 tejas】[〜は、〜が]鋭いこと;端、鋭い尖端;熱、火、輝く炎、光、光明
tejasvinām【男性・複数・属格 tejasvin】[〜らの、〜らにとって]鋭い、輝く;強い、精力のある;品位のある;光栄な
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私

बीजं मां सर्वभूतानां विद्धि पार्थ सनातनम् ।
बुद्धिर्बुद्धिमतामस्मि तेजस्तेजस्विनामहम् ॥१०॥

bījaṁ māṁ sarvabhūtānāṁ viddhi pārtha sanātanam |
buddhirbuddhimatāmasmi tejastejasvināmaham ||10||
アルジュナよ、私を万物の永遠なる種子であると知りなさい。
私は知者たちの知性であり、輝ける者たちの光である。

バガヴァッド・ギーター第7章第9節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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पुण्यो गन्धः पृथिव्यां च
puṇyo gandhaḥ pṛthivyāṁ ca
プンニョー ガンダハ プリティヴィヤーン チャ
また大地における快い芳香である

puṇyas【男性・単数・主格 puṇya】吉兆の、幸先のよい、幸運な、好都合な、美しい、快い;芳香のある;善良な、有徳の、正しい、価値のある;純粋な、清浄な、神聖な
gandhas【男性・単数・主格 gandha】[〜は、〜が](附著するもの)、香、芳香、香気;薫香
pṛthivyām【女性・単数・処格 pṛthivī】[〜において、〜のなかで](広い)大地、地界;(神格化した)大地;国土、領域;地面;(要素としての)地
ca【接続詞】そして、また、〜と

तेजश्चास्मि विभावसौ ।
tejaścāsmi vibhāvasau |
テージャシュチャースミ ヴィバーヴァサウ
また火における光輝である

tejas【中性・単数・主格 tejas】[〜は、〜が]鋭いこと;端、鋭い尖端;熱、火、輝く炎、光、光明
ca【接続詞】そして、また、〜と
asmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[私は〜]ある、存在する、実在する
vibhāvasau【男性・単数・処格 vibhāvasu】[〜において、〜のなかで]火;火の神;太陽

जीवनं सर्वभूतेषु
jīvanaṁ sarvabhūteṣu
ジーヴァナン サルヴァブーテーシュ
万物における生命である

jīvanam【中性・単数・主格 jīvana】[〜は、〜が]蘇生;存在、生活;存続;生計、活計;生活様式;生命の要素、水
sarvabhūteṣu【中性・複数・処格 sarvabhūta】[〜において、〜のなかで]一切の存在物、万物、一切衆生

तपश्चास्मि तपस्विषु ॥
tapaścāsmi tapasviṣu ||
タパスチャースミ タパスヴィシュ
また苦行者における苦行である

tapas【中性・単数・主格 tapas】[〜は、〜が]熱;火;苦悩;苦行、自責、抑制、宗教的苦行、敬虔
ca【接続詞】そして、また、〜と
asmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[私は〜]ある、存在する、実在する
tapasviṣu【男性・複数・処格 tapasvin】[〜らにおいて、〜らのなかで]苦行者、宗教の帰依者

पुण्यो गन्धः पृथिव्यां च तेजश्चास्मि विभावसौ ।
जीवनं सर्वभूतेषु तपश्चास्मि तपस्विषु ॥९॥

puṇyo gandhaḥ pṛthivyāṁ ca tejaścāsmi vibhāvasau |
jīvanaṁ sarvabhūteṣu tapaścāsmi tapasviṣu ||9||
また私は大地における芳香、火における光輝、
万物における生命であり、苦行者における苦行である。

バガヴァッド・ギーター第7章第8節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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रसो ऽहम् अप्सु कौन्तेय
raso ‘ham apsu kaunteya
ラソー ハム アプス カウンテーヤ
私は水における味である、アルジュナよ

rasas【男性・単数・主格 rasa】[〜は、〜が](草木の)汁、液、果汁シロップ;流動物、液体;水;(ある物の)本質、心髄;乳糜;水銀;一服の水薬、妙薬;一服の毒液;味、風味;味覚の対象物;味覚器官、舌;に対する賞味・嗜好・愛好・親愛;欲望;愛情;快楽、喜び;魅惑;情趣、情緒、情感
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
apsu【女性・複数・処格 ap】[〜らにおいて、〜らのなかで]水
kaunteya【男性・単数・呼格 kaunteya】[〜よ]クンティーの息子、アルジュナの別名

प्रभास्मि शशिसूर्ययोः ।
prabhāsmi śaśisūryayoḥ |
私は月と太陽の光である

prabhā【女性・単数・主格 prabhā】[〜は、〜が](輝き出ること)、壮麗、光輝、光、燦爛
asmi【一人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[私は〜]ある、存在する、実在する
śaśi(=śaśin)【男性】(兎を有する)、月
sūrya【男性】太陽;太陽神
→śaśisūryayas【男性・両数・属格】[〜の、〜にとって]月と太陽

प्रणवः सर्ववेदेषु
praṇavaḥ sarvavedeṣu
プラナヴァハ サルヴァヴェーデーシュ
全ヴェーダにおける聖音オームである

praṇavas【男性・単数・主格 praṇava】[〜は、〜が]聖音オーム
sarvavedeṣu【男性・複数・処格 sarvaveda】[〜らにおいて、〜らのなかで]全ヴェーダ、4つのヴェーダを読誦したブラフマン 【形容詞】あらゆる知識を有する、全ヴェーダを身につけた

शब्दः खे पौरुषं नृषु ॥
śabdaḥ khe pauruṣaṁ nṛṣu ||
シャブダハ ケー パウルシャン ヌリシュ
空における音、人々における力である

śabdas【男性・単数・主格 śabda】[〜は、〜が]音;声、調子、音調、騒音;語;語尾;名前、名称、題
khe【中性・単数・処格 kha】[〜において、〜のなかで]空虚なところ、穴;(特に人体の)孔、感覚器官;傷;車軸の穴;空気;天空、虚空
pauruṣam【中性・単数・主格 pauruṣa】男たること;男らしいこと;男らしい勇気・行為、剛勇、勇敢;力;人の身長;世代;男根 【形容詞】人間の;男らしい;プルシャに属するまたは関する
nṛṣu【男性・複数・処格 nṛ】[〜らにおいて、〜らのなかで]男;男性(文法);英雄;【複数形】男たち、人々、人類

रसोऽहमप्सु कौन्तेय प्रभास्मि शशिसूर्ययोः।
प्रणवः सर्ववेदेषु शब्दः खे पौरुषं नृषु॥८॥

raso’hamapsu kaunteya prabhāsmi śaśisūryayoḥ |
praṇavaḥ sarvavedeṣu śabdaḥ khe pauruṣaṁ nṛṣu ||8||
アルジュナよ、私は水における味である。私は月と太陽の光である。
全ヴェーダにおける聖音オームである。空における音、人々における力である。

バガヴァッド・ギーター第7章第7節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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मत्तः परतरं नान्यत्
mattaḥ parataraṁ nānyat
私より高いものは他にない

mattas【単数・従格、一人称代名詞 mad】[〜から、〜より]私
parataram【中性・単数・主格 parataraparaの比較級)】[〜は、〜が]より大きい、より多い、より高い
na【否定辞】〜でない
anyat【中性・単数・主格 anyat】他の、別の、異なる

किंचिद् अस्ति धनंजय ।
kiṁcid asti dhanaṁjaya |
キンチッド アスティ ダナンジャヤ
それは少しある、アルジュナよ

kiṁcit【中性・単数・主格 kiṁcid(不定代名詞 kim+cid)】幾分か、少し
asti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[彼は〜、それは〜]ある、存在する、実在する
dhanaṁjaya【男性・単数・呼格 dhanaṁjaya】[〜よ]ダナンジャヤ(アルジュナの別名)。名前は「富の征服者」の意。

मयि सर्वम् इदं प्रोतं
mayi sarvam idaṁ protaṁ
マイ サルヴァム イダン プロータン
このすべては、私において繋がれた

mayi【単数・処格、一人称代名詞 mad】[〜において、〜のなかで]私
sarvam【中性・単数・主格 sarva】すべての、一切の、各々の;全体の
idam【中性・単数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これ
protam【中性・単数・主格 protapra√veの過去受動分詞)】〜に繋がれた、〜で貫かれた、〜の上または中に固定された、〜にさし込まれた;(具格)によって浸透された

सूत्रे मणिगणा इव ॥
sūtre maṇigaṇā iva ||
スートレー マニガナー イヴァ
真珠が糸に(繋がれた)ように

sūtre【中性・単数・処格 sūtra】[〜において、〜のなかで]糸、紐、綱;(上位三カーストが左肩にかける)聖紐;墨縄;繊維;線;草案、計画;(繋ぎ合わせる糸=)簡明な規則またはスートラ;簡単な規則からなる;綱要書;経典
maṇigaṇās【男性・複数・主格 maṇigaṇa】[〜らは、〜らが]真珠
iva【副詞】〜のように、〜と同様に、言わば

मत्तः परतरं नान्यत्किंचिदस्ति धनंजय ।
मयि सर्वमिदं प्रोतं सूत्रे मणिगणा इव ॥७॥

mattaḥ parataraṁ nānyatkiṁcidasti dhanaṁjaya |
mayi sarvamidaṁ protaṁ sūtre maṇigaṇā iva ||7||
アルジュナよ、私を超越するものは、他に存在しない。
真珠が糸に繋がれるように、この世界はすべて私に繋がれている。

バガヴァッド・ギーター第7章第6節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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एतद्योनीनि भूतानि
etadyonīni bhūtāni
エータドヨーニーニ ブーターニ
万物は、これが母胎である

etat【中性・単数・主格、指示代名詞 etad】[〜は、〜が]これ
yonīni【中性・複数・主格 yoni】[〜らは、〜らが]子宮、陰門、母胎;膝;生地;家庭、住所、巣、獣穴;生産の場所、起源、出所;貯蔵所、容器、所在、場所;出生、血統、種族、家柄、種姓(階級)
bhūtāni【中性・複数・主格 bhūta】[〜らは、〜らが]存在物[神・人・動物および植物を含む];被創造物;万物;世界

सर्वाणीत्य् उपधारय ।
sarvāṇīty upadhāraya |
サルヴァーニーティ ウパダーラヤ
すべての(万物)は、とあなたは理解せよ

sarvāṇi【中性・複数・主格 sarva】[〜らは、〜らが]すべての、一切の、各々の;全体の
iti【副詞】〜と、〜ということ、以上(しばしば引用句の後に置かれる)
upadhāraya【二人称・単数・パラスマイパダ・使役活用・命令法 upa√dhṛ】[あなたは〜せよ]支持する;(対格)を(対格)と見なす・考える;聞く、学ぶ;理解する、気づく、経験する

अहं कृत्स्नस्य जगतः
ahaṁ kṛtsnasya jagataḥ
アハン クリツナスヤ ジャガタハ
私は、全世界の

aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
kṛtsnasya【中性・単数・属格 kṛtsna】全部の、全体の、完全な
jagatas【中性・単数・属格 jagat】[〜の、〜にとって]すべての動くもの;動物;人;世界、この世;大地;(両数)天上と下界;(複数)諸世界

प्रभवः प्रलयस् तथा ॥
prabhavaḥ pralayas tathā ||
プラバヴァハ プララヤス タター
起源であり、また終末である

prabhavas【男性・単数・主格 prabhava】[〜は、〜が]起源、根源、存在の原因、出生所
pralayas【男性・単数・主格 pralaya】[〜は、〜が]消滅、破壊、死;世界の破滅・終末;(星の)没すること;消滅の原因;気絶
tathā【副詞】そのように、同様に;そして、また

एतद्योनीनि भूतानि सर्वाणीत्युपधारय ।
अहं कृत्स्नस्य जगतः प्रभवः प्रलयस्तथा ॥६॥

etadyonīni bhūtāni sarvāṇītyupadhāraya |
ahaṁ kṛtsnasya jagataḥ prabhavaḥ pralayastathā ||6||
一切万物は、これ※より生じると知りなさい。
私は、全世界の本源であり、終末である。

※シャンカラとラーマーヌジャは、「これ」は高次と低次のプラクリティを指すとする。(上村勝彦注)

バガヴァッド・ギーター第7章第5節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
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अपरेयम् इतस् त्व् अन्यां
apareyam itas tv anyāṁ
アパレーヤム イタス トヴ アニヤーン
これは低次のものである。しかし、これとは異なる

aparā【女性・単数・主格 apara】後方の、遙かな;後の、次の;西方の;劣る;他の;卑しい;反対の;奇異の、異常の
iyam【女性・単数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これ
itas【副詞(idamの従格のように使用される)】これより;ここより、この世より;この点より;ここに、地上に;この故に、それ故に
tu【接続詞】しかし、一方(虚辞としても使用)
anyām【女性・単数・対格 anya】他の、別の、異なる;〜以外の

प्रकृतिं विद्धि मे पराम् ।
prakṛtiṁ viddhi me parām |
プラクリティン ヴィッディ メー パラーム
私の高次の本性(プラクリティ)を知れ

prakṛtim【女性・単数・対格 prakṛti】[〜に、〜を]本来(または自然)の形体・状態;性質、素質、傾向、気分;基本形態、型、標準、規則;自然;(自然の)始原的構成要素[それから他のすべてが展開される]、根本原質;(国家の)構成要素
viddhi【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 √vid】[あなたは〜せよ]知る、理解する、気付く、学ぶ
me【単数・属格、一人称代名詞 mad(mamaの附帯形)】[〜の、〜にとって]私
parām【女性・単数・対格 para】最高の;より優れた、より高い、より良い、より悪い;最上の、卓越した、最善の;最大の

जीवभूतां महाबाहो
jīvabhūtāṁ mahābāho
ジーヴァブーターン マハーバーホー
生命として存在する、アルジュナよ

jīvabhūtām【女性・単数・対格 jīvabhūta】生存する、生きた;(属格)の生命として存在する
mahābāho【男性・単数・呼格 mahābāhu】[〜よ]強大な腕力を持つ(者)、長い腕を持つ(者)、強い臂を持つ(者)。ここではアルジュナのこと。

ययेदं धार्यते जगत् ॥
yayedaṁ dhāryate jagat ||
ヤイェーダン ダーリヤテー ジャガット
それによって、この世界は維持される

yayā【女性・単数・具格、関係代名詞 yad】[〜によって、〜をもって]それ(by which)
idam【中性・単数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これ
dhāryate【三人称・単数・現在・使役・受動活用 √dhṛ】[彼は〜させる、それは〜させる]維持する、支える、担う;着用する;運ぶ;固持する
jagat【中性・単数・主格 jagat】[〜は、〜が]すべての動くもの;動物;人;世界、この世;大地;(両数)天上と下界;(複数)諸世界

अपरेयमितस्त्वन्यां प्रकृतिं विद्धि मे पराम् ।
जीवभूतां महाबाहो ययेदं धार्यते जगत् ॥५॥

apareyamitastvanyāṁ prakṛtiṁ viddhi me parām |
jīvabhūtāṁ mahābāho yayedaṁ dhāryate jagat ||5||
これは低次のものである。しかし、アルジュナよ、私にはこれ以外に
生命(霊魂)として存在する高次の本性(プラクリティ)があることを知りなさい。
それによって、この世界は維持されている。

バガヴァッド・ギーター第7章第4節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

भूमिर् आपो ऽनलो वायुः
bhūmir āpo ‘nalo vāyuḥ
ブーミル アーポー ナロー ヴァーユフ
地、水、火、風

bhūmis【女性・単数・主格 bhūmi】[〜は、〜が]大地;(属格)のための地面、土地;地方、地区、国土、地域;土壌;地点、敷地、場所;(建物の)階、床;地位、役目;(俳優の)役割;(ヨーガにおける)段階;程度、範囲;(愛、信頼の)対象、(娯楽の)機会
āpas【女性・複数・主格 ap】[〜らは、〜らが]水
analas【男性・単数・主格 anala】[〜は、〜が]火;アグニ神
vāyus【男性・単数・主格 vāyu】[〜は、〜が]風、空気;風の神

खं मनो बुद्धिर् एव च ।
khaṁ mano buddhir eva ca |
カン マノー ブッディル エーヴァ チャ
空、思考器官(マナス)、理性(ブッディ)、そして

kham【中性・単数・主格 kha】[〜は、〜が]空虚なところ、穴;(特に人体の)孔、感覚器官;傷;車軸の穴;空気;天空、虚空
manas【中性・単数・主格 manas】[〜は、〜が]心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分
buddhis【女性・単数・主格 buddhi】[〜は、〜が]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
ca【接続詞】そして、また、〜と

अहंकार इतीयं मे
ahaṁkāra itīyaṁ me
アハンカーラ イティーヤン メー
自我意識(アハンカーラ)、以上これは私の

ahaṁkāras【男性・単数・主格 ahaṁkāra】[〜は、〜が]自意識;自己本位;自惚、自尊
iti【副詞】〜と、〜ということ、以上(しばしば引用句の後に置かれる)
iyam【女性・単数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これ
me【単数・属格、一人称代名詞 mad(mamaの附帯形)】[〜の、〜にとって]私

भिन्ना प्रकृतिर् अष्टधा ॥
bhinnā prakṛtir aṣṭadhā ||
ビンナー プラクリティル アシュタダー
八種に分かれた構成要素(プラクリティ)である

bhinnā【女性・単数・主格 bhinna√bhidの過去受動分詞)】破られた、砕かれた;漏水する(船);破壊された;分割された;分離した、離された;全体的でない、(貨幣の)破片;拡げられた、開花した;こめかみから液の流れる(象);反目させられた;はずれた、異常な;不規則な
prakṛtis【女性・単数・主格 prakṛti】[〜は、〜が]本来(または自然)の形体・状態;性質、素質、傾向、気分;基本形態、型、標準、規則;自然;(自然の)始原的構成要素[それから他のすべてが展開される]、根本原質;(国家の)構成要素
aṣṭadhā【副詞】八重に、八種に、八部分のある

भूमिरापोऽनलो वायुः खं मनो बुद्धिरेव च ।
अहंकार इतीयं मे भिन्ना प्रकृतिरष्टधा ॥४॥

bhūmirāpo’nalo vāyuḥ khaṁ mano buddhireva ca |
ahaṁkāra itīyaṁ me bhinnā prakṛtiraṣṭadhā ||4||
地・水・火・風・空、思考器官(マナス)、理性(ブッディ)、そして自我意識(アハンカーラ)、
このように、私の本性(プラクリティ)は、八種に分かれている。

バガヴァッド・ギーター第7章第3節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

मनुष्याणां सहस्रेषु
manuṣyāṇāṁ sahasreṣu
マヌッシャーナーン サハスレーシュ
幾千もの人々のうち

manuṣyāṇām【男性・複数・属格 manuṣya】[〜らの、〜らにとって]人間;男;夫;[複数形]人類の祖先 【形容詞】人の;人々に適当な;人類に対して好意のある
sahasreṣu【中性・複数・処格 sahasra】[〜らにおいて、〜らのなかで]千(また大きな数または多量をあらわすのに用いられる);千頭の牡牛

कश्चिद् यतति सिद्धये ।
kaścid yatati siddhaye |
カシュチッド ヤタティ シッダイェー
稀な誰かは、成就に到達しようと努力する

kaścid【男性・単数・主格、不定代名詞、kim + cit】[〜は、〜が]誰か、誰かある人、何か、何かあるもの(ここでは、稀な〜)
yatati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √yat】[彼は〜、それは〜]立ち現れる、整列する;競う;(具格)と結合する;(処格)と結合されたいと努める、〜に到達しようと試みる;〜を得ようと努める、〜をしようと努める、〜に専念する、〜を切望する;尽力する;用心する;(対格)に予め備える
siddhaye【女性・単数・為格 siddhi】[〜に、〜のために]完成、遂行、履行、完全なる達成、成功;成就、解脱

यतताम् अपि सिद्धानां
yatatām api siddhānāṁ
さらに、努力して成就した人々のうち

yatatām【複数・属格 √yatの現在分詞】[〜している][〜らの、〜らにとって]立ち現れる、整列する;競う;(具格)と結合する;(処格)と結合されたいと努める、〜に到達しようと試みる;〜を得ようと努める、〜をしようと努める、〜に専念する、〜を切望する;尽力する;用心する;(対格)に予め備える
api【不変化辞】さらに、また、同様に;されど、なお
siddhānām【男性・複数・属格 siddha】[〜らの、〜らにとって]先見者、予言者、魔術者、魔法使い;聖者 【形容詞】的中した;成就された、遂行・達成された、生じさせられた、果たされた、実現された、成功した

कश्चिन् मां वेत्ति तत्त्वतः ॥
kaścin māṁ vetti tattvataḥ ||
カシュチン マーン ヴェーッティ タットヴァタハ
稀な誰かは、真に私を知る

kaścid【男性・単数・主格、不定代名詞、kim + cit】[〜は、〜が]誰か、誰かある人、何か、何かあるもの(ここでは、稀な〜)
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私
vetti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √vid】[彼は〜、それは〜]知る、理解する、思う
tattvatas(=tattvena)【副詞】実際は;真実に、正確に;全く

मनुष्याणां सहस्रेषु कश्चिद्यतति सिद्धये ।
यततामपि सिद्धानां कश्चिन्मां वेत्ति तत्त्वतः ॥३॥

manuṣyāṇāṁ sahasreṣu kaścidyatati siddhaye |
yatatāmapi siddhānāṁ kaścinmāṁ vetti tattvataḥ ||3||
幾千もの人々のうち、成就に到達しようと努力する者は稀であり、
努力して成就した人々でさえ、真に私を知る者は稀である。

バガヴァッド・ギーター第7章第2節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

ज्ञानं ते ऽहं सविज्ञानम्
jñānaṁ te ‘haṁ savijñānam
ジニャーナン テー アハン サヴィジュニャーナム
私はあなたに理論的知識と実践的知識とを

jñānam【中性・単数・対格 jñāna】[〜に、〜を]知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
te【単数・為格、二人称代名詞 tvad(tubhyamの附帯形)】[〜に、〜のために]あなた
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
sa【前置詞】所有する、着ている、含む、現す;〜に伴われた、〜と一緒に;〜のほかに、および
vijñānam【中性・単数・対格 vijñāna】識別;〜の知識;熟練、上達、技術;教義;策略、詭計;神聖でない知識、世俗的な知識
→savijñānam【中性・単数・対格 savijñāna】[〜に、〜を]実践的知識に伴われた、経験的知識と一緒に

इदं वक्ष्याम्य् अशेषतः ।
idaṁ vakṣyāmy aśeṣataḥ |
イダン ヴァクシヤーミ アシェーシャタハ
これを、私は残らず語るだろう

idam【中性・単数・対格、指示代名詞 idam】[〜に、〜を]これ
vakṣyāmi【一人称・単数・パラスマイパダ・未来 √vac】[私は〜だろう]言う・話す・告げる・知らせる・記述する;名付ける、呼ぶ;叱る
aśeṣatas【副詞】残さず;全く、十分に、すべて

यज् ज्ञात्वा नेह भूयो ऽन्यज्
yaj jñātvā neha bhūyo ‘nyaj
ヤジュ ジュニャートヴァー ネーハ ブーヨー ニヤジュ
それを知り、この世において、他に何もない

yat【中性・単数・対格、関係代名詞 yad】[〜に、〜を]〜であるもの、〜である人
jñātvā【絶対分詞 √jñā】[〜して、〜してから]知る;〜を察知する、〜の知識を有する、(具格)によって認識する;悟る;覚える、経験する、確かめる、調べる;是認する;〜と考える、〜と仮定する、〜と推測する;認める、証す、許す
na【否定辞】〜でない
iha【副詞】ここで[へ・に];この世で、地上で
bhūyas【副詞】一層多く;もっとも多く;大いに、非常に、はなはだ;その上に;なおまた、さらに、その他に、なお一層;再び、新たに
anyat【中性・単数・主格 anyat】他の、別の、異なる

ज्ञातव्यम् अवशिष्यते ॥
jñātavyam avaśiṣyate ||
ジュニャータヴィヤム アヴァシッシャテー
知るべきことが残される

jñātavyam【中性・単数・主格 jñātavya√jñāの未来受動分詞)】[〜は、〜が]確かめられるべき、了解させるべき、調べられるべき;学ぶべき、知るべき;考えられるべき
avaśiṣyate【三人称・単数・現在・受動活用 ava√śiṣ】[彼は〜される、それは〜される]残る

ज्ञानं तेऽहं सविज्ञानमिदं वक्ष्याम्यशेषतः ।
यज्ज्ञात्वा नेह भूयोऽन्यज्ज्ञातव्यमवशिष्यते ॥२॥

jñānaṁ te’haṁ savijñānamidaṁ vakṣyāmyaśeṣataḥ |
yajjñātvā neha bhūyo’nyajjñātavyamavaśiṣyate ||2||
私はあなたに、この理論知と実践知とを残らず語ろう。
それを知れば、この世で他に知るべきことは何もない。

※シャンカラ「jñānaは、教典や師を通じて、アートマンなどについて理解すること。vijñānaは、それを特別に〔自ら〕経験すること。」(上村勝彦注)

バガヴァッド・ギーター第7章第1節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

श्रीभगवान् उवाच ।
śrībhagavān uvāca |
クリシュナは語った

śrībhagavān【男性・単数・主格 śrībhagavat】栄光ある方、神聖な神、威厳ある尊者。ここではクリシュナのことを指す。
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は〜した]言う、語る

मय्य् आसक्तमनाः पार्थ
mayy āsaktamanāḥ pārtha
マイ アーサクタマナーハ パールタ
私において心に留め、アルジュナよ

mayi【単数・処格、一人称代名詞 mad】[〜において、〜のなかで]私
āsaktaā√sañjの過去受動分詞】執着した;(心を)専注した
manās【中性・単数・主格 manas】心、内的器官、知性、理性、精神、良心、思考、意向、気分
→āsaktamanās【男性・単数・主格 āsaktamanas】(ある事に)心を専注した、心が執着した
pārtha【男性・単数・呼格】[〜よ]プリターの息子。アルジュナのこと。

योगं युञ्जन् मदाश्रयः ।
yogaṁ yuñjan madāśrayaḥ |
ヨーガン ユンジャン マダーシュラヤハ
ヨーガを修めて、私を拠り所とし

yogam【男性・単数・対格 yoga】[〜に、〜を]ヨーガ、精神の集中、組織的な超脱法、瞑想、静慮、心統一
yuñjan【男性・単数・主格・現在分詞 √yuj】[〜している]〜に繋ぐ;接合する、結合する;(祭式を)行う;〜に(精神・思考)を集中する;精神を統一する、深く瞑想する;想起する、回想する
mad【一人称代名詞】私(合成語および派生語に用いる語幹)
āśrayas【男性・単数・主格 āśraya】〜に寄りかかること、〜に付着すること、〜との関係;保護、支持;避難所、隠れ場所、保護所;座、住居;容器;基礎
→madāśrayas【男性・単数・主格 madāśraya】私に依拠する、私に帰依する、私を拠り所とする

असंशयं समग्रं मां
asaṁśayaṁ samagraṁ māṁ
アサンシャヤン サマグラン マーン
疑いなく、完全に私を

asaṁśayam【副詞】疑いなく、確かに
samagram【samagraの副詞形】全く、完全に、全体に、すべて、ことごとく
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私

यथा ज्ञास्यसि तच् छॄणु ॥
yathā jñāsyasi tac chṝṇu ||
ヤター ジュニャーシヤシ タック チュリヌ
どのようにあなたは知るだろう、それを聞け

yathā【接続詞】〜のように、あたかも〜のように
jñāsyasi【二人称・単数・パラスマイパダ・未来 √jñā】[あなたは〜だろう]知る;〜を察知する、〜の知識を有する、(具格)によって認識する;悟る;覚える、経験する、確かめる、調べる;是認する;〜と考える、〜と仮定する、〜と推測する;認める、証す、許す
tat【中性・単数・対格、指示代名詞 tad】[〜に、〜を]彼、それ、あれ
śṝṇu【二人称・単数・パラスマイパダ・命令 √śru】[あなたは〜せよ]聞く、傾聴する、注意する;学ぶ、研究する

श्रीभगवान् उवाच ।
मय्यासक्तमनाः पार्थ योगं युञ्जन्मदाश्रयः ।
असंशयं समग्रं मां यथा ज्ञास्यसि तच्छॄणु ॥१॥

śrībhagavān uvāca |
mayyāsaktamanāḥ pārtha yogaṁ yuñjanmadāśrayaḥ |
asaṁśayaṁ samagraṁ māṁ yathā jñāsyasi tacchṝṇu ||1||
クリシュナは語った。
アルジュナよ、私を心に留め、私を拠り所として、ヨーガを修めれば、
あなたは疑いなく、私のすべてを知るだろう。それについて聞きなさい。