バガヴァッド・ギーター第10章第4節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターのサンスクリット原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

बुद्धिर् ज्ञानम् असंमोहः
buddhir jñānam asaṁmohaḥ
ブッディル ジュニャーナム アサンモーハハ
知性、知識、迷いのないこと

buddhis【女性・単数・主格 buddhi】[〜は、〜が]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定
jñānam【中性・単数・主格 jñāna】[〜は、〜が]知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
asaṁmohas【男性・単数・主格 asaṁmoha】[〜は、〜が]意識の明瞭な、冷静な、思慮深い

क्षमा सत्यं दमः शमः ।
kṣamā satyaṁ damaḥ śamaḥ |
クシャマー サッティヤン ダマハ シャマハ
忍耐、真実、自制、寂静

kṣamā【女性・単数・主格 kṣamā】[〜は、〜が]忍耐、寛容;(処格)に対する寛大;柔順;大地
satyam【中性・単数・主格 satya】[〜は、〜が]現実、真実;誠実、真実を語ること;約束、誓い、言質;4ユガ中の最初の(黄金)時代;七界中最高界の名
damas【男性・単数・主格 dama】[〜は、〜が]自制、意志強固;刑罰、罰金
śamas【男性・単数・主格 śama】[〜は、〜が](心の)平静・静穏、沈着、寂静;〜との平和;冷淡;鎮静、平穏、鎮定、緩和、休止、消滅

सुखं दुःखं भवो ऽभावो
sukhaṁ duḥkhaṁ bhavo ‘bhāvo
スカン ドゥフカン バヴォー バーヴォー
苦楽、発生、消滅

sukham【中性・単数・主格 sukha】[〜は、〜が]安楽、歓喜、幸福、享楽、繁栄、成功
duḥkham【中性・単数・主格 duḥkha】[〜は、〜が]不安、心配、苦痛、悲しみ、悲哀、困難、苦しみ
bhavas【男性・単数・主格 bhava】[〜は、〜が]誕生、生起;起源、本源;存在、生;現世の存在;世界;安寧、繁栄;[ある神の名、ルドラ神の随伴者];[シヴァ神の称];[諸人の名];(―゜)となること、〜に変わること
abhāvas【男性・単数・主格 abhāva】[〜は、〜が]非存在;欠如、欠乏;滅;死

भयं चाभयम् एव च ॥
bhayaṁ cābhayam eva ca ||
バヤン チャーバヤム エーヴァ チャ
恐怖、そして無畏

bhayam【中性・単数・主格 bhaya】[〜は、〜が]恐れ、驚き、恐怖、心配、不安
ca【接続詞】そして、また、〜と
abhayam【中性・単数・主格 abhaya】[〜は、〜が]無畏、安全
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
ca【接続詞】そして、また、〜と

बुद्धिर्ज्ञानमसंमोहः क्षमा सत्यं दमः शमः ।
सुखं दुःखं भवोऽभावो भयं चाभयमेव च ॥४॥

buddhirjñānamasaṁmohaḥ kṣamā satyaṁ damaḥ śamaḥ |
sukhaṁ duḥkhaṁ bhavo’bhāvo bhayaṁ cābhayameva ca ||4||
知性、知識、迷いのないこと、忍耐、真実、自制、寂静、
苦楽、発生、消滅、恐怖、そして無畏、

バガヴァッド・ギーター第10章第3節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターのサンスクリット原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。

यो माम् अजम् अनादिं च
yo mām ajam anādiṁ ca
ヨー マーム アジャム アナーディン チャ
私を不生であり、無始である

yas【男性・単数・主格、関係代名詞 yad】[〜は、〜が]〜であるもの、〜である人
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私
ajam【男性・単数・対格 aja】不生の、永遠の、初より存在する
anādim【男性・単数・対格 anādi】無始の、無始より永久に存在する
ca【接続詞】そして、また、〜と

वेत्ति लोकमहेश्वरम् ।
vetti lokamaheśvaram |
ヴェーッティ ローカマヘーシュヴァラム
世界の偉大な主と知る(者は)

vetti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √vid】[彼は〜、それは〜]知る、理解する、思う
loka【男性】空間、余地、場所;地方、地帯、国;世界、宇宙の区分;天;地;人類、一般の人民、国民;男子(複数);(複)団体、仲間;日常生活、慣例、世事、俗事;視ること
maheśvaram【男性・単数・対格 maheśvara】[〜に、〜を]偉大な主、首長;神;シヴァ神およびヴィシュヌ神の名称
→lokamaheśvaram【男性・単数・対格、限定複合語】[〜に、〜を]世界の偉大な主、世界の大神、[クリシュナ神の称]

असंमूढः स मर्त्येषु
asaṁmūḍhaḥ sa martyeṣu
アサンムーダハ サ マルティエーシュ
彼は人中において迷わず

asaṁmūḍhas【男性・単数・主格 asaṁmūḍha(a-sam√muhの過去受動分詞)】当惑しない、明瞭な意識を有する
sas【男性・単数・主格、指示代名詞 tad】[〜は、〜が]これ、あれ、彼
martyeṣu【男性・複数・処格 martya】[〜において、〜のなかで]死ぬべきもの、人;死ぬべきものの世界、地界 【形容詞】死ぬべき

सर्वपापैः प्रमुच्यते ॥
sarvapāpaiḥ pramucyate ||
サルヴァパーパイヒ プラムッチャテー
一切の罪悪から解放される

sarva【中性】すべての、一切の、あらゆる
pāpais【男性・複数・具格 pāpa】[〜らによって、〜らをもって]罪、悪、不正、悪事
→sarvapāpais【男性・複数・具格、限定複合語】[〜らによって、〜らをもって]一切の罪、すべての罪悪
pramucyate【三人称・単数・現在・受動活用 pra√muc】[彼は〜される、それは〜される](具格・従格)から解放される;ゆるめられる;(果実が)落ちる、(従格)から(果実)が落ちる;中止する、思い止まる

यो मामजमनादिं च वेत्ति लोकमहेश्वरम् ।
असंमूढः स मर्त्येषु सर्वपापैः प्रमुच्यते ॥३॥

yo māmajamanādiṁ ca vetti lokamaheśvaram |
asaṁmūḍhaḥ sa martyeṣu sarvapāpaiḥ pramucyate ||3||
私を不生であり、無始である、世界の偉大な主と知る人、
彼は人中において迷わず、一切の罪悪から解放される。

バガヴァッド・ギーター第10章第2節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターのサンスクリット原典講読です。
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न मे विदुः सुरगणाः
na me viduḥ suragaṇāḥ
ナ メー ヴィドゥフ スラガナーハ
神々の群は知らない、私の

na【否定辞】〜でない
me【単数・属格、一人称代名詞 mad(mamaの附帯形)】[〜の、〜にとって]私
vidus【三人称・複数・パラスマイパダ・完了 √vid】[彼らは〜した、それらは〜した]知る、理解する、気付く、学ぶ
suragaṇās【男性・複数・主格 suragaṇa】[〜らは、〜らが]神々の群

प्रभवं न महर्षयः ।
prabhavaṁ na maharṣayaḥ |
プラバヴァン ナ マハルシャヤハ
本源を、大仙たちも(知ら)ない

prabhavam【男性・単数・対格 prabhava】[〜に、〜を]起源、根源、存在の原因、出生所
na【否定辞】〜でない
maharṣayas【男性・複数・主格 maharṣi】[〜らは、〜らが]大聖者;[シヴァ神の称];[仏陀の称]

अहम् आदिर् हि देवानां
aham ādir hi devānāṁ
アハム アーディル ヒ デーヴァーナーン
なぜなら、私は神々の本初である

aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
ādis【男性・単数・主格 ādi】[〜は、〜が]始、初;最初、始め
hi【不変化辞】なぜならば、〜のために;真に、確かに、実に
devānām【男性・複数・属格 deva】[〜らの、〜らにとって]天上の者、神格者、神、神聖な者;祭官、婆羅門;王、王侯;長

महर्षीणां च सर्वशः ॥
maharṣīṇāṁ ca sarvaśaḥ ||
マハルシーナーン チャ サルヴァシャハ
また大仙たちの、あらゆる点において

maharṣīṇām【男性・複数・属格 maharṣi】[〜らの、〜らにとって]大聖者;[シヴァ神の称];[仏陀の称]
ca【接続詞】そして、また、〜と
sarvaśas【副詞】全く、完全に、徹底的に;普遍的に、常に;あらゆる点において、いかなるやり方においても;全般に、一般に

न मे विदुः सुरगणाः प्रभवं न महर्षयः ।
अहमादिर्हि देवानां महर्षीणां च सर्वशः ॥२॥

na me viduḥ suragaṇāḥ prabhavaṁ na maharṣayaḥ |
ahamādirhi devānāṁ maharṣīṇāṁ ca sarvaśaḥ ||2||
神々の群や大仙たちは、私の本源を知らない。
なぜなら、私はあらゆる点において、神々や大仙たちの本初であるから。

バガヴァッド・ギーター第10章第1節

インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターのサンスクリット原典講読です。
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श्रीभगवान् उवाच ।
śrībhagavān uvāca |
シュリーバガヴァーン ウヴァーチャ
クリシュナは語った

śrībhagavān【男性・単数・主格 śrībhagavat】栄光ある方、神聖な神、威厳ある尊者。ここではクリシュナのことを指す。
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は〜した]言う、語る

भूय एव महाबाहो
bhūya eva mahābāho
ブーヤ エーヴァ マハーバーホー
さらに、アルジュナよ

bhūyas【副詞】一層多く;もっとも多く;大いに、非常に、はなはだ;その上に;なおまた、さらに、そのほかに、なお一層;再び、新たに
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)
mahābāho【男性・単数・呼格 mahābāhu】[〜よ]強大な腕力を持つ(者)、長い腕を持つ(者)、強い臂を持つ(者)。ここではアルジュナのこと。

शृणु मे परमं वचः ।
śṛṇu me paramaṁ vacaḥ |
シュリヌ メー パラマン ヴァチャハ
私の最高の言葉を聞け

śṛṇu【二人称・単数・パラスマイパダ・命令 √śru】[あなたは〜せよ]聞く、聴く、耳にする、傾聴する
me【単数・属格、一人称代名詞 mad(mamaの附帯形)】[〜の、〜にとって]私
paramam【中性・単数・対格 parama】最も遠い、最も遠隔の、最も極端な、最後の;最高の、主な、第一位の;至高の、超越した;最も優秀な、最善の、最大の;最悪の;〜より良い、〜より大きな、〜より悪い
vacas【中性・単数・対格 vacas】[〜に、〜を]言葉、語;指図;命令;忠告;言語;(文法上の)数;(鳥の)さえずり

यत् ते ऽहं प्रीयमाणाय
yat te ‘haṁ prīyamāṇāya
ヤット テー ハン プリーヤマーナーヤ
私は、喜ぶあなたに

yat【中性・単数・対格、関係代名詞 yad】[〜に、〜を]〜であるもの、〜である人
te【単数・為格、二人称代名詞 tvad(tubhyamの附帯形)】[〜に、〜のために]あなた
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
prīyamāṇāya【男性・単数・為格 √prīの現在分詞】[〜している]喜ぶ、うれしがる;満足する;愛する

वक्ष्यामि हितकाम्यया ॥
vakṣyāmi hitakāmyayā ||
ヴァクシャーミ ヒタカーミヤヤー
あなたの幸せを願って、私は語ろう

vakṣyāmi【一人称・単数・パラスマイパダ・未来 √vac】[私は〜だろう]言う・話す・告げる・知らせる・記述する;名付ける、呼ぶ;叱る
hitakāmyayā【女性・単数・具格 hitakāmyā】[〜によって、〜をもって](ある人:属格)を益しようとする欲望

श्रीभगवानुवाच ।
भूय एव महाबाहो शृणु मे परमं वचः ।
यत् तेऽहं प्रीयमाणाय वक्ष्यामि हितकाम्यया ॥१॥

śrībhagavānuvāca |
bhūya eva mahābāho śṛṇu me paramaṁ vacaḥ |
yat te’haṁ prīyamāṇāya vakṣyāmi hitakāmyayā ||1||
クリシュナは語りました。
アルジュナよ、さらに私の最高の言葉を聞きなさい。
喜ぶあなたに、私はあなたの幸せを願って語ろう。