サンスクリット語 aで終わる中性名詞

サンスクリット

1.aで終わる男性名詞

前回は、格変化についての説明をしましたが、おさらいで
aで終わる男性名詞の変化表を再度載せます。

deva-(男性名詞、神)の格変化
単数 両数 複数
主格 devaḥ devau devāḥ
対格 devam devau devān
具格 devena devābhyām devaiḥ
為格 devāya devābhyām devebhyaḥ
奪格 devāt devābhyām devebhyaḥ
属格 devasya devayoḥ devānām
処格 deve devayoḥ deveṣu
呼格 deva devau devāḥ

 
2.aで終わる中性名詞

次に、aで終わる中性名詞の代表としてवन- vana-(森)の変化表です。

vana-(中性名詞、果物)の格変化
単数 両数 複数
主格 vanam vane vanāni
対格 vanam vane vanāni
具格 vanena vanābhyām vanaiḥ
為格 vanāya vanābhyām vanebhyaḥ
奪格 vanāt vanābhyām vanebhyaḥ
属格 vanasya vanayoḥ vanānām
処格 vane vanayoḥ vaneṣu
呼格 vana vane vanāni

 
aで終わる男性名詞と比べてみると、
単数の主格、
両数の主格と対格と呼格、
複数の主格と対格と呼格、
が違っています。
ほかの格は語尾が共通しています。

वन- (森)を例に、格の用法について再び説明すると、

主格 वनम् vanam 森は
主語、述語となる形容詞や名詞
 
対格 वनम् vanam 森を
動詞の直接目的語「~を」(「彼は私に本をくれた」という場合の「本を」)、
動作の方向(「彼は町へ行く」というときの「~へ」)
他の用法:時間の継続(「長い年月」)、距離
 
具格 वनेन vanena森によって
道具、手段、原因、方法「~で」(「私はペンで書く」)
受動文の行為者「~によって」(「この仕事は私によってなされた」
 
為格 वनाय  vanāya 森のために、森へ
間接目的語「~のために」「~へ」(「彼は私に本をくれた」の「私に」)
祈りを捧げる神格に対して(「ガネーシャ神へ帰依いたします」)
 
奪格 वनात्  vanāt 森から
ある動作の出発点(「彼は町からやってくる」の「町から」)、原因、理由(「人は訓練から学ぶ」)
他の用法:比較対象(「彼は私より背が高い」の「私より」)
 
属格 वनस्य vanasya 森の
所有、所属(「これは父の家だ」という場合の「の」)
他の用法:為格の代わりに、間接目的語を示すことがある。
 
処格 वने vane 森において
ある状態が起きる場所、また動作の目的となる場所
他の用法:~の間で、時間の経過
 
呼格 वन vana 森よ!
呼びかけ
 

 
3.文章の例

(1)ॐ नमो गणेशाय ।
oṃ namo gaṇeśāya.
オーン、ナモー ガネーシャーヤ
「オーン ガネーシャ神へ帰依いたします」

gaṇeśāyaの部分が為格になっています。
前回出てきたマントラと似ていますが、前回は
ॐ गणेशाय नमः
oṃ gaṇeśāya namaḥ.
オーン、ガネーシャーヤ ナマハ
という語順でした。
語順は違っているけれど、どちらも意味は同じ。
(namoという単語は、namasの語末音がサンディにより変化したものです。)

サンスクリット語はガチガチの規則で固められている
イメージですが、格によって文中の役割を明確に示して
いるので、単語の順番に関してはかなり自由です。
その点は、語順によって意味が大きく変わる英語よりも
わかりやすいかもしれません。

ただ、namasの後ろに来る神の名前の最初の音によって
namas かnamaḥかnamoか、発音が変化します。(サンディの規則)
初心者には、そういう変化が起こらない最初の語順、
「oṃ      namaḥ」
の空欄に神様の名前を当てはめる方が分かりやすいでしょう。

(2)धर्मक्षेत्रे मनुष्याणाम् सुखम्।
dharmakṣetre manuṣyāṇām sukham.
「正義の地では、人間たちには幸福が(ある)」

धर्मक्षेत्रे / dharmakṣetra- ダルマ(正義、秩序、法則etc.)のある地(中性名詞、処格、単数形)
「ダルマの土地に」
मनुष्याणाम् / manuṣya-  人間(男性名詞の属格、複数形)「人間たちの」
सुखम्  / sukha- 幸福、幸せ(中性名詞、主格、単数形)「幸せが」

be動詞はしばしば省略されます。

属格と主格とbe動詞(省略可)で構成される文章の場合、
直訳すると「(属格)の(主格)がある。」
なのですが、自然な文章表現としては
「(属格)には(主格)がある。」
と訳すことができます。

先の例文も、直訳すると
「ダルマの地では、人間たちの幸福が(ある)」
ですが、
「ダルマの地では、人間たちには幸福が(ある)」
と訳すことができます。

(文章:prthivii)

サンスクリット語 aで終わる男性名詞の格

hindi alphabet background

前回に続けて、名詞の語尾変化、今回は「格」について。

1.格(かく)・・・男性名詞の格変化

名詞と形容詞は、文中における役割の違い=格によって語尾が変わります。格は全部で8つあります。
deva- (神)という男性名詞の単数形を例にとりながら、8つの格の意味についておおまかに説明します。
(eを長母音として発音するのを忘れないでください)

主格 देवः devaḥ 神は
主語、述語となる形容詞や名詞
 
対格 देवम् devam 神を
動詞の直接目的語「~を」(「彼は私に本をくれた」という場合の「本を」)、
動作の方向(「彼は町へ行く」というときの「~へ」)
他の用法:時間の継続(「長い年月」)、距離
 
具格 देवेन devena 神によって
道具、手段、原因、方法「~で」(「私はペンで書く」)
受動文の行為者「~によって」(「この仕事は私によってなされた」
 
為格 देवाय devāya 神のために、神へ
間接目的語「~のために」「~へ」(「彼は私に本をくれた」の「私に」)
祈りを捧げる神格に対して(「ガネーシャ神へ帰依いたします」)
 
奪格 देवात् devāt 神から
ある動作の出発点(「彼は町からやってくる」の「町から」)、原因、理由(「人は訓練から学ぶ」)
他の用法:比較対象(「彼は私より背が高い」の「私より」)
 
属格 देवस्य devasya 神の
所有、所属(「これは父の家だ」という場合の「の」)
他の用法:為格の代わりに、間接目的語を示すことがある。
 
処格 देवे deve 神において
ある状態が起きる場所、また動作の目的となる場所
他の用法:~の間で、時間の経過
 
呼格 देव deva 神よ!
呼びかけ
 

日本語では、主語を表すときに「神は…」のように、名詞に助詞「は」を付けますが、
サンスクリット語では、助詞の代わりに語尾を変化させることで、文中の役割を明確にするのです。

(インドの伝統的な文法学では番号で呼ばれます。
名詞は「1番」、対格は「2番」、具格は「3番」…。
呼格は「sambodhanam」)

上のdeva-の例では単数形しか挙げていませんが、
前回出てきた「数(すう)」の説明を覚えているでしょうか。
単数、両数、複数の語尾、それぞれが別の形になるのですね。
つまり、8(格)×3(数)=24の語尾があるということ。

まず、aで終わる男性名詞の代表として
deva-の格変化の一覧表を載せます。

deva-(男性名詞、神)の格変化
単数 両数 複数
主格 devaḥ devau devāḥ
対格 devam devau devān
具格 devena devābhyām devaiḥ
為格 devāya devābhyām devebhyaḥ
奪格 devāt devābhyām devebhyaḥ
属格 devasya devayoḥ devānām
処格 deve devayoḥ deveṣu
呼格 deva devau devāḥ

 
この「格変化の多さ」に面食らう人が多いとは思いますが、
ここでは、「サンスクリット語」について広く知って
欲しいという気持ちで書いているので、
変化表は眺めるだけにして、気軽に読んでください。

2.sandhi(サンディ)

サンスクリット語には「サンディ」(連声)という、前後の音との関係に従って音が変化する規則があります。
1 文末に来た時、語末の-sが -ḥ(visarga)に変わる。
例:devas(神は)→ devaḥ (語尾が-ḥとなっているものは、本来は-s)

2 語末の -mは次に続く単語の語頭が子音の場合、-ṃ(anusvāra)に変わる。
例:「私は神を見る」 देवम् पश्यामि devam paśyāmi → देवं पश्यामि devaṃ paśyāmi
注: 後ろに子音があるとmの発音は自然にanusvāraになっているので意識しなくても大丈夫です。

3.文章の例

(例文中では、本来起きるはずの音の変化(サンディ)は無視しています)
(1)कृष्णः सर्वज्ञः।
kṛṣṇaḥ sarvajñaḥ.
「クリシュナは一切を知る者である」

単語をひとつひとつみていくと、
कृष्णः / kṛṣṇa- クリシュナ(男性名詞)の 単数、主格
सर्वज्ञः / sarvajña- 全知者(男性名詞)の 単数、主格

「AはBである」という文章では、AもBも、それぞれ主格です。
最初の単語kṛṣṇa-は主語であり、sarvajña-は述語で、
be動詞にあたるものが省略されても文章として成り立ちます。

(2) कृष्णः।
kṛṣṇaḥ.
「クリシュナがいる」

कृष्णः / kṛṣṇa- クリシュナ(男性名詞)の 単数、主格

be動詞が省略されて、名詞の主格形1つだけでも
「クリシュナがいる」という意味の文章になります。

(3) ॐ गणेशाय नमः
oṃ gaṇeśāya namaḥ.
「オーン ガネーシャ神へ帰依いたします」

ॐ / oṃ 聖音
गणेशाय / gaṇeśa- ガネーシャという意味の男性名詞、単数、為格。「ガネーシャ神へ」
नमः / namas 動詞nam-(拝む)から出来た中性名詞で「南無」「礼拝」「帰依」の意味。
(中性名詞ですが、格変化をしない不変化辞として扱います。)
ナマステー नमस्ते namaste という挨拶の言葉の「ナマス」と同じ。
namas、namo、namaḥは全部同じ単語です。(サンディの影響で変化)

namas という単語や、動詞nam-は、為格「~に対して」とともに使います。
ですので、
     नमः
oṃ      namaḥ.
の下線部分に、好きな神様の名前の為格単数を入れれば祈りの言葉になります。
aで終わる男性名詞の為格単数は、語尾を-āyaに変えるだけ。

例えば

शिवाय śivāya シヴァ神へ
इन्द्राय indrāya インドラ神へ
कृष्णाय kṛṣṇāya クリシュナ神へ

(他の母音や子音で終わる名詞の場合は語尾が異なります。)

(4) अर्जुण ईश्वरेण मनुष्याः उत्पन्नाः।
arjuṇa īśvareṇa manuṣyāḥ utpannāḥ.
「アルジュナよ、至高神によって人間は生み出された。」

अर्जुण / arjuṇa- アルジュナという意味の男性名詞の単数、呼格です。意味は「アルジュナよ」
ईश्वरेण / īśvara- 至高神(イーシュヴァラ)という意味の男性名詞の単数、具格。「至高神によって」
मनुष्याः / manuṣya- 人間という意味の男性名詞の複数、主格です。つまり主語。「人間たちは」
उत्पन्नाः / utpanna- 動詞utpad-からできた過去受動分詞で、「生み出された」という意味です。これが述語にあたり、動詞の代わりになっています。分詞は名詞と同じように格変化し、主語「人間」と同じ男性形、複数、主格です。
主語と述語は、性と数と格が一致していることが原則です。

次回は、aで終わる中性名詞を紹介します。

(文章:prthivii)

サンスクリット語 名詞の性と数

Close-up of the open Bible

今回からは、文法について少しずつ触れていきたいと思います。

サンスクリット語が世界一難解な言語、と呼ばれる理由の一つが、
「語尾変化の多さ」です。
いきなり完璧に覚えようと思えばハードルが高すぎるので、
とりあえず、「サンスクリット語ってこういう特徴があるのか」ということを
ちょっと知るだけでもいいと思います。
それだけで、マントラや聖典の言葉が違って見えてきますよ。

まず、名詞の語尾が変化するとはどういうことなのか説明します。

1. 性(せい)・・・男性、中性、女性

サンスクリットの名詞には、文法的な性別という分類があります。
男性名詞、中性名詞、女性名詞、の3つ。

人や神や生き物を表す名詞の場合は、生物学的性別と一致します。

例:विष्णु- viṣṇu-(ヴィシュヌ)男性名詞、 काली- kālī-(カーリー)女性名詞
पितृ- pitṛ-(父)男性名詞、 मातृ- mātṛ-(母)女性名詞
अश्व- aśva-(牡馬)男性名詞、 अश्वा- aśvā-(牝馬)女性名詞

(*単語の後に “ – ” の記号を付けているのは、語尾が変化する前の語根であることを表します。)

ところが無生物の場合、性は文法的な分類以上の意味はありません。

例: ग्राम- grāma-(村)男性名詞、 नगर- nagara-(都)中性名詞、 सेना- senā-(軍隊)女性名詞

軍隊が女性名詞、というのは不思議な気がしますね。
なかには、文法的性に従って男性的イメージや女性的イメージが付いている単語もあります。

例:नदी- nadī-(川)女性名詞、 भूमि- bhūmi-(大地)女性名詞=女神のイメージ
सूर्य- sūrya-(太陽)男性名詞=男性神

形容詞は、修飾する名詞の性に応じて語尾が変化します。

例:「黄色い」という意味の形容詞गौर- gaura-の場合

男性名詞を修飾するとき गौरः gauraḥ (主格単数のとき)
中性名詞を修飾するとき गौरम् gauram ( 〃 )
女性名詞を修飾するとき गौरी  gaurī  ( 〃 )

性に応じて語尾が変化する、というのは、日本語や英語にはないので、最初はピンと来ないかもしれません。
普通、それぞれの名詞は固有の性が決まっていますが、男性と中性のいずれにもなる名詞もあります。

例えば、
ब्रह्मन् brahman ブラフマンという単語は、文中の主語として出てくるとき、

宇宙原理としてのブラフマンの意味なら、ब्रह्म  brahma (中性名詞、主格単数)
神格としてのブラフマー神の意味なら、ब्रह्मा brahmā (男性名詞、 〃 )

というふうに、性によって意味が変わり、語尾も変わります。

また別の例では、「神」の意味の देव- deva-
という名詞がありますが、これは男性名詞なので
「女神」の意味なら語尾が変わって、女性名詞 देवी- devī-になります。

2.数(すう)・・・単数、両数、複数

サンスクリットの名詞や動詞は、単数、両数、複数、という数(すう)で語尾が変化します。
単数は一つのものを表し、両数は二つのものを表し、複数は三つ以上のものを表すときに使われます。
(形容詞も、修飾する名詞の数にあわせて変化します。)

例えば देव- deva-
देवः devaḥ 「一柱の神は~」 (男性名詞、主格、単数)
देवौ  devau 「二柱の神は~」 ( 〃 、 〃 、両数)
देवाः devāḥ 「複数(=三柱以上)の神は~」 ( 〃、 〃 、複数)

devaḥ と devāḥ のように、最後の母音が短母音か長母音かの違いだけで、一柱の神なのか、複数の神なのか、意味が違ってきます。

以前にも書きましたが、インターネット上では短母音と長母音の区別があまり注意を払われずに転載されているので、マントラなどを参照するときには注意が必要です。

次回は、文中の役割を表す名詞の「格」について説明します。

(文章:prthivii)

デーヴァナーガリー文字の書き順 子音編

Background with ancient sanskrit text etched into a stone tablet

今回は子音の書き順を紹介します。
発音については過去の記事をご参照ください。

母音の書き順のときと同じ説明の繰り返しになりますが、
基本的には、左側から右側へ、上から下へ、と書きます。
慣れれば一筆書きで書ける文字もあります。
形が合っていれば、ご自分の書きやすい順番で大丈夫です。
以下の表では、左→右に文字の形が変わっていくのを表しています。

pdfファイルをダウンロードできるようにしましたので、
印刷してご利用ください。

ka

説明: 書き順ka.png

kha

説明: 書き順kha.png

ga

説明: 書き順ga.png

gha

説明: 書き順gha.png

ṅa

説明: 書き順nga.png

ca

説明: 書き順ca.png

cha

説明: 書き順cha.png

ja

説明: 書き順ja.png

jha

説明: 書き順jha.png

ña

説明: 書き順~na.png

ṭa 説明: 書き順Ta.png

ṭha 説明: 書き順Tha.png

ḍa

説明: 書き順Da.png

ḍha 説明: 書き順Dha.png

ṇa

説明: 書き順Na.png

ta

説明: 書き順ta.png

tha

説明: 書き順tha.png

da

説明: 書き順da.png

dha

説明: 書き順dha.png

na

説明: 書き順na.png

pa

説明: 書き順pa.png

pha

説明: 書き順pha.png

ba

説明: 書き順ba.png

bha

説明: 書き順bha.png

ma

説明: 書き順ma.png

ya

説明: 書き順ya.png

ra

説明: 書き順ra.png

la

説明: 書き順la.png

va

説明: 書き順va.png

śa

説明: 書き順za.png

ṣa

説明: 書き順ssa.png

sa

説明: 書き順sa.png

ha

説明: 書き順ha.png

デーヴァナーガリー文字の書き順-子音編.pdf

デーヴァナーガリー文字の書き順 母音編

Background with ancient sanskrit text etched into a stone tablet

前回までで、発音と文字を紹介しました。

今回は書き順を紹介します。
発音については過去の記事をご参照ください。

デーヴァナーガリー文字の書き順には、日本の漢字学習のように
教科書的に「必ずこの順番で書きましょう!」と目くじらを
立てられることはあまりないようです。
ここで紹介する以外の書き順もいろいろあります。
そういう点は、文字に重きを置かなかったインド文化圏らしいですね。

特に手書きの場合は書く人の癖が強く、単語ごとにまとめて最後に書く
横棒(シローレーカー)を、一文字ごとに書き足していく人もいます。

基本的には、左側から右側へ、上から下へ、と書きます。
慣れれば一筆書きで書ける文字もあります。
形が合っていれば、ご自分の書きやすい順番で大丈夫ですので、
気楽に書いてみてくださいね。

以下の表では、左→右に文字の形が変わっていくのを表しています。
pdfファイルをダウンロードできるようにしましたので、
印刷してご利用ください。

a

説明: 書き順a.png

ā

説明: 書き順aa.png

i

説明: 書き順i.png

ī

説明: 書き順ii.png

u

説明: 書き順u.png

ū

説明: 書き順uu.png

説明: 書き順R.png

説明: 書き順RR.png

説明: 書き順L.png

e

説明: 書き順e.png

ai

説明: 書き順ai.png

o

説明: 書き順o.png

au

説明: 書き順au.png

デーヴァナーガリー文字の書き順-母音編.pdf

(文章:prthivii)

特殊な文字(結合文字)

これまでにサンスクリット語のすべての子音と母音を紹介しましたが、
デーヴァナーガリー文字には独特な表記法があり、
二つ以上の子音が続く場合、構成する子音の文字が結合して
別の一つの文字のように書かれます。
それを結合文字(結合体)と呼びます。

結合文字の一覧表(画像、pdf)を添えました。
構成する子音の原形と見比べ、
どのように結合しているのか確認しながら結合文字に慣れていきましょう。

結合文字一覧表1

結合文字一覧表2

結合文字一覧表3

結合文字一覧表4

結合文字一覧表5

結合文字一覧表.pdf

<注意>
お使いのパソコンまたはスマホの環境やインストールされている
フォントの種類によって、結合文字の見え方が異なる可能性があります。
そのような違いを避けるため一部の文字は画像にしてありますが、
基本的にデーヴァナーガリー文字にはwindowsに標準装備の
mangalというフォントで表示することを前提としています。
ご了承ください。

ほとんどの結合文字は、元の文字の一部を残しているため、
子音の形をしっかり覚えておけば読み取れる文字がほとんどです。

例  : त्स (tsa) = त् (t) + स (sa)
例  : ष्ण (ṣṇa) = ष् (ṣ)+ ण (ṇa)

しかし、元の文字とは大きく異なった形に変形するものもあります。
それらは個別に覚える必要があります。
一覧表では青い字で表示しています。

(kra) = क् (k) + र (ra)
*र ra が後ろの子音のとき、左払いの線がर raを表しています。च्र त्र प्र म्र
क्ष (kṣa) = क् (k) + ष (ṣa)
ज्ञ (j) = ज् (j) + ञ (ña)
द्म (dma) = द् (d) + म (ma)
*ट्(ṭ)+ म (ma)のように見えますが、द् (d)+ म (ma)なので注意してください。
 (śca) = श् (ś) + च (ca)
*श् (ś) が最初の子音のとき、e の筆記体に似た形に変わる場合があります。

r が最初の子音になるときは、r を示す記号が上に付きます。
र्क rka र्का rkā र्कि rki र्की rkī र्कृ rku र्कू rkū
र्के rke र्कै rkai र्को rko र्कौ rkau
र्कं rkaṃ のようにアヌスヴァーラが付いている場合はंṃを最後に読むので注意してください。

また、同じ発音の結合文字でも、いくつか異体字が存在します。
異字体がある結合文字は赤い字で表示しています。

例えば次の文字はそれぞれどちらも同じ単語で、後者がmangalフォントです。

(1)     brahman (ブラフマン)
(2)    aṅgiras (アンギラス)

個人的には、ヴィラーマを多用するmangalのフォントより
コンパクトに繋がっているクラシカルな結合文字の書体が好みですが
mangalのように元の形をはっきり残す書体の方が
初学者には読みやすいですね。

サンスクリット語は、基本的には単語をひとまとまりとして、
上の横線(śirolekha シローレーカ、頭線)で繫げて書きます。
(前後の音によっては、いくつもの単語を繋げて書くこともあります)

例:
गणेशाय नमः
(ガネーシャ神に帰依し奉ります)

IASTでは
gaṇeśāya namaḥ

となります。

(文章:prthivii)

サンスクリット語の文字の表し方(子音+a以外の母音の場合)

Close-up of the open Bible

前回まで、サンスクリット語の母音と子音の発音/文字を紹介しました。
でも、サンスクリット語を読み書きするには、もう少しだけ覚えることがあります。

これまでに出てきた子音の文字は、そもそもaを含んだ音を表していました。
例えばक は、ka と読みますが、ki とか、ku とかの a以外の母音のときには、
それぞれの母音を表す別の文字記号を付け加えます。

今回は、今まで出てきた文字のおさらいとともに、
子音に添えて母音を表す文字を覚えていきましょう。

次の表の三行目「添え字」は、子音に添えるときの母音文字で、
点線で表した丸は、その部分に子音の文字が入ることを意味していますが、
一番最初の् (文字の下に付ける右下がりの線)は、
子音だけを表すためのvirāmaと呼ばれる記号です。
(ヒンディー語ではこの記号をhalとかhalantと呼びます)

 

デーヴァナーガリー文字一覧表

母音

a

ā

i

ī

u

ū

e

ai

o

au

添え字

ि

子音

क्

k

का

कि

की

कु

कू

कृ

कॄ

कॢ

के

कै

को

कौ

ख्

kh

खा

खि

खी

खु

खू

खृ

खॄ

खॢ

खे

खै

खो

खौ

ग्

g

गा

गि

गी

गु

गू

गृ

गॄ

गॢ

गे

गै

गो

गौ

घ्

gh

घा

घि

घी

घु

घू

गृ

गॄ

गॢ

गे

गै

गो

गौ

ङ्

ङा

ङि

ङी

ङु

ङू

ङृ

ङॄ

ङॢ

ङे

ङै

ङो

ङौ

च्

c

चा

चि

ची

चु

चू

चृ

चॄ

चॢ

चे

चै

चो

चौ

छ्

ch

छा

छि

छी

छु

छू

छृ

छॄ

छॢ

छे

छै

छो

छौ

ज्

j

जा

जि

जी

जु

जू

जृ

जॄ

जॢ

ज़े

जै

जो

जौ

झ्

jh

झा

झि

झी

झु

झू

झृ

झॄ

झॢ

झे

झै

झो

झौ

ञ्

ñ

ञा

ञि

ञी

ञु

ञू

ञृ

ञॄ

ञॢ

ञे

ञै

ञो

ञौ

ट्

टा

टि

टी

टु

टू

टृ

टॄ

टॢ

टे

टै

टो

टौ

ठ्

ṭh

ठा

ठि

ठी

ठु

ठू

ठृ

ठॄ

ठॢ

ठे

ठै

ठो

ठौ

ड्

डा

डि

डी

डु

डू

डृ

डॄ

डॢ

डे

डै

डो

डौ

ढ्

ḍh

ढा

ढि

ढी

ढु

ढू

ढृ

ढॄ

ढॢ

ढे

ढै

ढो

ढौ

ण्

णा

णि

णी

णु

णू

णृ

णॄ

णॢ

णे

णै

णो

णौ

त्

t

ता

ति

ती

तु

तू

तृ

तॄ

तॢ

ते

तै

तो

तौ

थ्

th

था

थि

थी

थु

थू

थृ

थॄ

थॢ

थे

थै

थो

थौ

द्

d

दा

दि

दी

दु

दू

दृ

दॄ

दॢ

दे

दै

दो

दौ

ध्

dh

धा

धि

धी

धु

धू

धृ

धॄ

धॢ

धे

धै

धो

धौ

न्

n

ना

नि

नी

नु

नू

नृ

नॄ

नॢ

ने

नै

नो

नौ

प्

p

पा

पि

पी

पु

पू

पृ

पॄ

पॢ

पे

पै

पो

पौ

फ्

ph

फा

फि

फी

फु

फू

फृ

फॄ

फॢ

फे

फै

फो

फौ

ब्

b

बा

बि

बी

बु

बू

बृ

बॄ

बॢ

बे

बै

बो

बौ

भ्

bh

भा

भि

भी

भु

भू

भृ

भॄ

भॢ

भे

भै

भो

भौ

म्

m

मा

मि

मी

मु

मू

मृ

मॄ

मॢ

मे

मै

मो

मौ

य्

y

या

यि

यी

यु

यू

यृ

यॄ

यॢ

ये

यै

यो

यौ

र्

r

रा

रि

री

रु

रू

रृ

रॄ

रॢ

रे

रै

रो

रौ

ल्

l

ला

लि

ली

लु

लू

लृ

लॄ

लॢ

ले

लै

लो

लौ

व्

v

वा

वि

वी

वु

वू

वृ

वॄ

वॢ

वे

वै

वो

वौ

श्

ś

शा

शि

शी

शु

शू

शृ

शॄ

शॢ

शे

शै

शो

शौ

ष्

षा

षि

षी

षु

षू

षृ

षॄ

षॢ

षे

षै

षो

षौ

स्

s

सा

सि

सी

सु

सू

सृ

सॄ

सॢ

से

सै

सो

सौ

ह्

h

हा

हि

ही

हु

हू

हृ

हॄ

हॢ

हे

है

हो

हौ

デーヴァナーガリー一覧表.pdf

ु -u 、ू -ū 、 ृ -ṛ 、ॄ -ṝ は、
普通は子音文字の下に付きますが、
रु ru 、रू rū は横に付いています。
हृ hṛ、 हॄ hṝ は内側に付いていますので注意してください。

神に関連する単語をデーヴァナーガリー文字で表してみましょう。

अवतार  avatāra アヴァターラ(化身、自分をキャラ化した「アバター」(分身)の語源です)
महाकाल  mahākāla マハーカーラ(偉大なる黒い神=シヴァ神=大黒天のこと。カーラは「時」の意味も)
कामदेव  kāmadeva カーマデーヴァ(愛の神)
भगवत्  bhagavat バガヴァット(最高神、ヴィシュヌ神)
शिव  śiva シヴァ(シヴァ神)
हरि  hari ハリ(ヴィシュヌ神)
काली  kālī カーリー(カーリー女神、シヴァ神の妃とされる)
देवी devī デーヴィー(女神)
सीता  sītā シィーター(叙事詩「ラーマーヤナ」のヒロイン)

सीता  sītā を一般的にはカタカナで「シーター」と表記しますが、
実は、स् s にि i を添えたसि siは、「スィ」のような音になります。
日本語のシの音に最も近いのは、श् ś にiを添えたशि śi なのです。

歯音「サ」 saと言うときの舌の位置を保ちながら「イ」と発音するのと、
口蓋音「シャ」 श śaと言うときの舌の位置を保ちながら「イ」と発音するのと、
比べてみると音が変わることが分かると思います。

つまり、日本語のサシスセソの発音をデーヴァナーガリー文字で表すなら
स शि सु से सो
sa śi su se so
となります。

次回は、「結合文字」を紹介します。

前回に出てきた
सत्त्व sattva サットヴァという単語のなかの
त् + त् + व ( t + t + va )という三つの子音が続いた
त्त्व ttva の部分が結合文字です。

(文章:prthivii)

サンスクリット語の子音 その7

Close-up of the open Bible

サンスクリット語の子音の続きです。
いよいよ33の子音の最後になりました。

今回の発音/文字は次の4つです。

デーヴァナーガリー

カタカナ

IAST

音声記号

備考

口蓋音

「シャ」

śa

ɕə

日本語のシャと同様

反舌音

「シャ」

ṣa

ʂə

舌を反り上げて発音

歯音

「サ」

sa

日本語のサに近い

喉音

「ハ」

ha

ɦə

喉の奥で息を出す

visarga

気音

「ハ」*

h

*直前の母音によって変わる

anusvāra

鼻音

「ン」

鼻母音

歯擦音は、順番に、口蓋音、反舌音、歯音のグループに分けられます。
つまり、
शは、口蓋のあたりで発音する「シャ」、IASTではśa のように、sの上にアクセント記号を付けます。
日本語のシャと同じです。

षは、舌を反り上げて発音する「シャ」、IASTではṣaのように、sの下に点を付けます。
शよりも舌足らずな感じです。

सは、日本語の「サ」に似ていますが、もっと前の方で発音する乾いた音です。IASTではsaと書きます。

この三つをネット上などでは区別しないで全部  sa で現したり、
最初の二つを区別せず sha と書いている例がよく見られます。

例えば、ガネーシャ神をganeshaとかganesaとローマ字だけで書いてあったら、
そのsaやshaは本来の発音がशなのか、षなのか、सなのか、全く分かりません。
neも、反舌音のणे なのか、歯音のने なのか、分かりません。

ややこしいのは、インド人でさえそれらを区別せずにローマ字で書いていることです。
現代語でニュースやメールを読んだり書いたりする場合なら不都合は少ないかもしれませんし、
間違った書き方や言い方が時代と共に「正しい」とされてしまうことは、
身近な日本語でもよくあることです。

ですが、サンスクリット語でマントラや聖典を正しく知りたい人、読みたい人にとっては、
こうした表記方法の混乱は、とても困った状況なのです。

ガネーシャ神は、正しくはगणेश gaṇeśaと書きます。
(ṇe は ण にेを添えます。母音の添え字については後日)
デーヴァナーガリー、あるいはIAST で書いてあれば、
णे ṇe は反舌音のナ、श śa は口蓋音のシャであることが分かりますね。

表では便宜的にカタカナで読み方を表していますが、
サンスクリット語に関心を持つ方には、
こうした発音の違いを踏まえた表記法IASTや
デーヴァナーガリーを理解して欲しいと思います。

次に、ह haがあります。
日本語のハと似ていますが、やや口の奥の方で発する音。
気音のグループで、(摩擦音という場合もあります)
有気音扱いになります。

次のvisargaとanusvāraは、普通は子音には数えませんが、
単独で出てくることはない、特定の条件下で現れる発音です。

visargaは語末の -r や –s の音が変化した音。
直前の母音がaḥなら「アハ」、iḥなら「イヒ」、uḥなら「ウフ」のようになります。
デーヴァナーガリー文字では縦に点を二つ書いた形。
IASTではhの下に点を付けて、ḥと表します。
例えば देवः devaḥ(神は:男性名詞主格単数) デーヴァハ、のようになります。

anusvāraは語末の鼻音が変化した鼻母音。
デーヴァナーガリー文字では、文字の上に点を付けます。
例えば देवं devaṃ 、読み方はデーヴァン(神を:男性名詞対格単数)
この語尾は本来は –m ですが、後に子音が来ると-ṃになります。
カタカナでは便宜的に「ン」と書きますが、このṃをnと間違えないようにしてください。
普通は無意識にこの発音になっています。

これで、13(ॡを入れると14)の母音と33の子音を紹介しました。

もしかしたら、サンスクリット語のアルファベット順と五十音順、
似ている部分に気づいた方がいるでしょうか。

日本語では認識しない音を除いて、カタカナ表記で並べてみたとき、
ア、イ、ウ、エ、オ…、
マ、ヤ、ラ、ワ…、
のところは、とても似ています。

偶然の一致?

ではなくて、これは唐を経由してサンスクリット語学=悉曇(しったん)学を学んだ
僧侶たちによって五十音図が作られた歴史的な痕跡なのです。
サ行は、古代日本語ではチャあるいはツァのような口蓋音、
ハ行は、江戸時代初めまでパやファのような唇音だったことを踏まえると
ア・カ・チャ・タ・ナ・パ・マ・ヤ・ラ・ワ、
サンスクリット語と同じように、調音点の移動を考えた配列になっています。

日本人は知らず知らず、身近な五十音図を通してサンスクリット語の恩恵を得ていたんですね。

以下は、歯擦音、気音が入っている単語の例です。
口蓋音のशと反舌音のषの違いに注意してください。

शास्त्र śāstra シャーストラ(教典、論書)

पुरुष puruṣa プルシャ(人間、リグヴェーダに登場する「原人」、サーンキヤ哲学の「精神原理」)
(puは प् にुを添えます)

षष् ṣaṣ (数字の6)

सत्त्व sattva サットヴァ(存在、善性、サーンキヤ哲学の「純質」)
(त्त्व ttvaは、त् + त् + व という三つの子音が繋がった字形)

सरस्वती sarasvatī サラスヴァティー(現在の印パ国境付近をかつて流れていた川が神格化されたもの。弁才天。)
(स्व svaは、स् + व という二つの子音が繋がった字形)
(tī はत् にीを添えます)

次回は、子音+a以外の母音のときの文字の形を紹介します。

(文章:prthivii)

サンスクリット語の子音 その6

Background with ancient sanskrit text etched into a stone tablet

サンスクリット語の子音の続きです。
今までは5つずつ出てきましたが、今回は4つ。
子音ですが、半母音と呼ばれるグループです。(接近音、中間音とも)
これらは母音との関わりが顕著な発音で、そのことは後になって意味を理解できると思います。
ちなみに日本語のヤ行、ワ行も半母音です。

今回の発音/文字は次の4つです。

半母音

デーヴァナーガリー

カタカナ

IAST

音声記号

備考

口蓋音

「ヤ」

ya

日本語のヤと同様

反舌音

「ラ」

ra

舌を反り上げるラ

歯音

「ラ」

la

日本語のラに近い

唇音

「ヴァ」

va

ʋə

上歯と下唇を接触させる

有気音、無気音の違い、有声音、無声音の違い、鼻音はなく、
それぞれ順番に、口蓋音、反舌音、歯音、唇音のグループに分けられます。
今回は調音点のイラストはありませんが、以前の回の調音点を思い出しながら発音してみてください。

最初のयは日本語のヤとほぼ同じ発音です。IASTではyaと書きます。

次のरは、反舌音のグループに属していて、
舌を反り上げて発音するラです。IASTではraと書きます。

次のलは、歯音のグループに属しているように、
舌を歯に当てて発音するラです。IASTではlaと書きます。
カタカナではरとलの違いを区別せずに便宜的に「ラ」と書きますが、
英語のrとlの違いのように、舌の位置で発音が変わってきますので注意してください。

最後のवは、唇音のグループですが、いわゆる英語の「v」と同じように
上の歯を下唇に当てて発音する音です。
カタカナではヴァと書きます。
現代語ではこの文字を wa ワ と読む場合がありますが、
サンスクリット語ではヴァの音として読んでください。

また、व va と ब ba は文字の形も音も似ているため、
カタカナやローマ字で書くときに混同しやすく、
たとえばヴェーダ聖典の वेद veda を「ベーダ」と表記しているケースがたまに見られます。
(ve は व् にेを添えます。母音の添え字については後日詳しく)

アーユルベーダ、とか、リグベーダ、じゃなくて、アーユルヴェーダ、リグヴェーダ。
ベーダ、よりも、ヴェーダの発音の方が、深く神秘的な音に感じますよね。

半母音が入っている単語の例

यम yama ヤマ (ヤマ神=閻魔)
*リグ・ヴェーダでは人類の始祖、最初に死んだ人間ゆえに死後の世界への道を発見した冥界の王とされています。
当時、地獄の概念はなく、ヤマの居処は最高天と呼ばれています。

योग yoga ヨーガ (yo は、य्にोを添えます。)

राम rāma ラーマ (ラーマ神=二大叙事詩「ラーマーヤナ」の主人公ラーマ王子)

लोक loka ローカ (世界) (lo は、ल्にोを添えます。)

देव deva デーヴァ(神)
*このदेव devaという単語は漢文で「天」と訳されて、インド由来の神、大黒天や弁財天の名前に使われています。

देवलोक  devaloka デーヴァローカ (字義通りには「神の世界」=天界、)

次回は4つの子音(歯擦音、気音)を紹介します。
発音は次で一通り終わりますが、
子音+a以外の母音のときの文字の形、子音+子音の結合文字、と続きます。
だいぶゴールが見えてきましたよ。
デーヴァナーガリー文字とローマ字(IAST)を
眺めながら形に馴染んでくださいね。

(文章:prthivii)

サンスクリット語の子音 その5

Background with ancient sanskrit text etched into a stone tablet
サンスクリット語の子音の続きです。

今回の発音/文字は次の5つです。

唇音

デーヴァナーガリー

カタカナ

IAST

音声記号

備考

無気音

「パ」

pa

pə

有気音

pha

pʰə

無気音

「バ」

ba

有気音

bha

bʱə

鼻音

「マ」

ma

このグループは唇音(しんおん)と言われ、
上唇と下唇を接触させて発する音です。

パ、バ、マは日本語とほぼ同じ発音ですので、特に難しくはないですね。
カタカナではパ、、バ、、マと便宜的に書き(太字は息を強く出しながら発音)
ローマ字(IAST)では、pa、pha、ba、bha、maを使います。

唇音が入っている単語の例

पाप pāpa パーパ (悪、罪)の「パ」(無気音)
कफ kapha カ (粘液:アーユルヴェーダに基づく三つの体質のうちの一つ)の「」(有気音)
ただし現代語の発音では「カファ」と聞こえます
बल bala バラ (ちから)の「バ」(無気音)
महाभारत  mahābhārata (マハーーラタ、叙事詩の名前)の「マ」(鼻音)、「」(有気音)
ちなみに、ヒンディー語でのインドの国名は
भारत गणरज्य bhārata gaṇarajya (現代語読み ーラト・ガナラジャ)です。
मकर makara マカラ (伝説上の怪魚。ワニ、サメ、イルカ等と同一視される。占星術では山羊座に相当)
の「マ」(鼻音)

ここまで、25の子音を紹介しました。

次回は子音のなかで半母音(あるいは中間音、接近音)と呼ばれるグループを紹介します。

(文章:prthivii)