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インド音楽

191、アーユルヴェーダ音楽療法入門53 (用語辞典:ケ・コ・サ1)

カ行・コ
コーマル:
楽音の♭のこと。字義は「弱々しい/デリケート」

コーシャ:
人間(生命体)の心身を構成する段階・階層的な分類部分。字義は「鞘」
本来は、「体の階層」と「精神の階層」に大別できるが、近現代では混同している。また、「精神の階層」は「不二一元論(梵我一如)」を語るにも、「チャクラ論」「ドーシャ論」を語るにも極めて重要な概念であるにも拘わらず、知識に成り得ていない情報が行きかうばかりで、掘り下げる専門家が極端に少ない。

サ行・サ
「サン」は、日本語52音では「サ行の最後のン」と考えますが、インド語では、「サの上に点(Bindu)」だけで「サン(サム)」と読めてしまう(書けてしまう)ので、ヒンディー辞書では「サ」の次に登場します。本稿では、部分(主にBinduの語=S+.)を「サの前半=サ行サの前半」、部分(主にBindu以外の、例えば「S+N/S+Mの語」)を「後半」を基本に、やや脈絡無く分けざるを得ませんでしたことをお詫びと共に、お許しを請います。

サーダカ・ピッタ:
「Tri-Dosha(Dhatu)」のピッタの派生のひとつ。心臓と脳に働きかけ、気力を生み出すとされる。
現代科学・医学に照らせば、「活動エネルギー」「交感神経」「アドレナリン」などにあたる。
ちなみに「アドレナリン」は、「興奮・モチベイション・怒り」などの側面ばかりが語られるが「注意力・認識力・判断力」と、それが基礎にある「行動力」に欠かせないホルモンであり、バランスの問題である。

サーダナ:
「普遍的神としての宇宙」に対する「献身的修行」のこと。ヒンドゥー教徒の音楽家にとって、「音楽の修行・修練」のこと。後述する「サドゥー(出家・修行者)」にとっては「霊性修行」の意。

サンディー・プラカーシュ:
ものごとの「境界」。及び「線引きが出来ない境界の曖昧領域」。古典音楽に於ける旋法(Raga)の時間(象徴する時間帯、演奏すべき時間帯)の、日の出と日没(陰陽が混在する時間帯)。

サードラ:
1)古典音楽のリズム理論に於ける「10拍子の総称」。
2)現存(実践される)する最古の古典声楽様式「Dhrupad」の派生一様式。10拍子で歌われる。

サドゥー:
修行僧、出家修行者。サンニャースとほぼ同義だが、ブラフマン教~仏教・ジャイナ教~ヒンドゥー教の歴史的変遷の中で、その意味合いは大きく変化し、近現代、サドゥー、サンニャースにヨギをも加えて、その境目、分別をつけることは難しい。それでも「殆どのサドゥー(及びサンニャース)はヨギと言えるが、全てのヨギがサドゥー(及びサンニャース)ではない。殆どのサドゥーはサンニャースと言えるが、全てのサンニャースがサドゥーではない」ということは言える。
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後述するサンニャースとは、「俗世・物質的富・所有・契約の完全放棄」という意味では、全く同義であるが、サドゥーが、その主旨を「サーダナ(霊性修行)」としているのに対し、多くのサンニャースが「アドヴァイタ(不二一元論/梵我一如)に於ける悟り。及び修行階級の向上」を主旨としている(ことに偏る)点で異なる。現代では、ヨギも含め、きわめて多様化しているので、一概には言えないが、サンニャース諸派の中には「輪廻転生を否定する」や、極端なものには「苦行、瞑想も不要」という教義も在り得、事実存在するが、サドゥー諸派では「輪廻転生、苦行的修行」はその多くにとって基本的である。
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その発生の時代。即ちブラフマン教が廃れ仏教が隆盛し、また廃れつつある中で、ヒンドゥー勢力が隆盛し始めたAD1c.~6c.頃。思想・哲学のフィールドから生まれたサンニャースの系譜と、神秘主義・実践主義のフィールドから生まれたサドゥーの系譜には、明確な差異があった。つまり、前者が言わば「理論的/机上で成立する」のに対し、後者は、現世・現代社会に於いて非俗的に存在するという違いである。
また、ヒンドゥー教の隆盛期(4c.~7c.)には、知識層・バラモン階級と寺院・修道院を中心とした権威・権力が絶大であって、それに反発して民衆レベルで神秘主義傾向を強く持ってサドゥーが発展したという性格もある。この点に於いては、サンニャースのほぼ全てがバラモン階級から生じているであろうことに対し、サドゥーは必ずしもそうではないと言える。出家してしまえば、社会的階級から乖離出来るということだ。
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古代~中世に於けるサドゥーの基本は、「真理・真実の追究、穏健、独身、非暴力、非欲、非盗」などが基本にあったが、日本の熊野などにも多く渡来した「ナガ・サドゥー(裸形上人)」の一派やサドゥー化したシヴァ派の教条主義派、教条主義に偏って歪んだタントラ密教から生じたサドゥー様の一派などの中には、格闘技を行とする派も少なくない上に、しばしば武装集団化したものもあった。
一般にとって「サドゥー」は修行僧や裸形上人の総称のようになっていることも事実であろう。
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個人的なエピソード:或るバラモンの師匠が「もし道の向こうから、腰巻だけで上半身裸で髪・髭伸び放題の男が四人並んで歩いて来たとして。(インド文化に憧れているなどと言う)お前は、果たしてどいつが「聖者・修行僧」で、どいつが「自分だけ自分を聖者と思い込んでいる狂人」で、どいつが「単に貧しい物乞い」で、どいつが「修行僧(サドゥー)に身を隠している逃亡者か分かるんだろうな?」と訊いて来た。私(若林)は、「流石師匠たちは分別出来るのか!」と感動しながら「とんでもありません。全く分かりません!」と答えた。すると、師匠は「俺らにも分からん!」と返答した。

サカー:
ヴェーダ詠唱を教える学校。修行場、修行者の意味もあり、「聖なる」の意味合いで、人名にも用いられる。

サーラ:
物質や精神、元素(Guna)などが不安定で動き回る状態のこと。

サム/サーマ:
極めて多くの語彙を持つ単語。「Sam」「San」の区別がつかない場合が多い。(文字的には『Sの上に点』などのことが多い為)
(1):「真の」「唯一の」「一致」の意味合いで、接頭語的に用いられる。
サム:科学音楽~古典音楽のリスム・サイクル(Tala)の第一拍目。形而下の単純な現象としては、「リズムサイクルの節目(第一拍目=サイクルの終わりであり始まりである)に太鼓のビートや旋律の終止形が一致する場所」。やや、形而上的な意味合いでは、「(人間の演奏の有無に拘わらず、宇宙の波動として無限に繰り返される)リズムサイクルと人間の音楽演奏が一致する拍という意味の第一拍目」。
サムヒター:ヴェーダ経典の本編・本集。
サム・キヤー:精神原理。コーシャ論の最中心部と同義。
サーマ・ヴェーダ:ヴェーダ経典の詠歌典、音楽典。
サーマン:サーマ・ヴェーダ詠唱専門家。
サーマ・ガーン:サーマ・ヴェーダの詠唱。
サマージ:理解・認識・知識(情報の享受のレベルではない)の意。発展して、それを伝授する学校。組織。更に転じて、「研究会・研鑽会」的な意味合いの「協会」。ブラフマ・サマージなど。
ヒンディー語の日常会話でも「サマージ・ガエ(分かりました)」などと用いられている。
サムプラダーヤ:修道院。ヴェーダ時代から存在するが、古代末期(8c.頃)に発展した思想・哲学を研鑽する施設(組織)。ヴェーダの解釈によって様々な派が在り、しばしば互いに対立した。

サム/サーマ(2):「受ける」「承る」「順ずる」「実践する」の意味合いで、接頭語に用いられる。
サム・ヴァーディー:古典音楽の副主音。ヴァーディー(主音)と四度五度関係であることが多い。それは、七音を上下の二つのテトラコルドに分割した際、サム・ヴァーディーが主音ノテトラコルドの他方の中心音となるからである。
サム・ガット:ガット(器楽)を伴奏すること。すなわち、太鼓の演奏法。一般用語では一語とされ「伴」の意味。偶然の一致か、一般用語が音楽用語から来ているのか?は分からない。転じて「サンガティー:組織」という語もある。
サム・キールターン:1)キールターンを詠唱(合唱)すること。2)宗教歌の総称。
サンガム:協会、合流点。
サンギート:音楽。歌(ギート)が基本であることからの語と考えられる。
サンチャリー:古典音楽の展開部。一般では「派生的・展開」の意味。
サンスクリット:一般に古代インド言語のことだが、字義は「文化」。
サンプールナ:全体、全て、総体の意味。転じて「完全な、全て揃った」古典音楽では「サンプールナ・ジャーティー=全在型=七音全て用いる音階型」や「サンプールナ・ヴァディヤム=完全なる楽器=リズムも旋律も演奏出来る楽器(ヴィーナのこと)」

サンスカーラー:1)ヒンドゥー教徒と諸儀礼の総称。2)ア-ユルヴェーダの浄化法の総称。

サマーディー:至福、悟り、恍惚の段階。仏教の「三昧」。
サマーディー・インドリヤ:「感覚論」に於ける「専念」「超越的集中」

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何時も、最後までご高読を誠にありがとうございます。
本連載は、インドスピリチュアル・グッズweb-Shopのシーターラーマさんのご好意で長年連載を続けさせていただいております。皆様の応援も大きな支えです。少しでもお役に立てる内容がございましたら、ぜひ「いいね」の応援を下さいますよう。よろしくお願い致します。

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(文章:若林 忠宏

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