霊的叡智の宝庫であるインドでは、神々のもとへ歩み寄る巡礼が、日常の一部に溶け込んでいます。
その歩みを通じて得る神々しい経験に魅了される巡礼者も多く、世界の各地から引き寄せられる人々が絶えません。
そのひとつが、2020年は6月23日に祝福されるラタ・ヤートラーです。
ラタ・ヤートラーは、インドの4大聖地のひとつである東インドのプリーにて、ヴィシュヌ神の化身であるジャガンナータ神が山車に乗り、街を練り歩く盛大な祝祭です。
宇宙の主と呼ばれるそのジャガンナータ神の姿をひとめ謁見しようと、2019年には60万人もの巡礼者が訪れたと伝えらます。
聖地プリーには、高さが65mにもなる圧巻のジャガンナータ寺院が屹立しています。
このジャガンナータ寺院は、インドの数ある寺院の中でも、とりわけ多くの神秘が伝えられる寺院のひとつです。
その寺院のてっぺんでは、ヴィシュヌ神の象徴であるスダルシャナ・チャクラが光彩を放ちます。
スダルシャナ・チャクラは、太陽の炎から生まれた、あらゆる悪を滅ぼす強力な円盤型の武器といわれます。
ジャガンナータ寺院のスダルシャナ・チャクラは、高さが3.5メートルにもなる大きさで、ニーラ・チャクラと呼ばれ崇められます。
ニーラ・チャクラは、ジャガンナータ神の礼拝において、とりわけ重要視される象徴のひとつです。
このニーラ・チャクラには、聖地プリーのどこから見ても、常にその輪が自分の方をむいて見えるという神秘が伝わります。
それは、ジャガンナータ神がその大きな目で常に私たちを見ているといわれるように、神々がどこからでも、私たちを見ているということを伝えているかのようです。
日々の歩みにおいては、神々の姿が見えず、その存在を遠くに感じ、悩み苦しむことが少なくありません。
今年は、多くの人々が集まる聖地への巡礼も難しいでしょう。
しかし、そんな今こそ、どんな場所にいても、神々が常に私たちを見ているという事実に気づく時であるのかもしれません。
人生という巡礼において、どこにいても神の存在に気づくことができれば、その恵みの中で幸せに日々を歩むことができるはずです。
(文章:ひるま)
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