暗闇が広がる季節を明るく照らすディーワーリーの祝祭は、豊穣の女神であるラクシュミー女神の降誕を祝福する喜ばしい瞬間です。
ラクシュミー女神は一説に、ヒンドゥー教の創造神話である乳海撹拌を通じて、ディーワーリーの日に姿をあらわしたと信じられます。
この乳海撹拌を通じては、14の宝石が生まれ、ラクシュミー女神はその14の宝石のひとつに数えらています。
この14の宝石の中に、法螺貝であるシャンカがあります。
神の顕現であるともいわれる聖音オームの音を生み出すシャンカは、古来より、祈りの儀式において必要不可欠なものでした。
それは、あらゆる悪を打ち消し、世界の安寧や心身の健康を生み出すものとして、現代でも大切に受け継がれています。
その響きは、無意識のレベルで身体に浸透し、私たちを本質へと導く力を秘めているといわれます。
このシャンカを常に手にするのが、ヴィシュヌ神やその化身であるクリシュナ神です。
かつて、クリシュナ神と他の戦士たちがシャンカを吹き、マハーバーラタの大戦が始まりました。
そして、シャンカを吹いた戦士たちは皆、戦いに打ち勝ちます。
そのクリシュナが持つシャンカは、パーンチャジャニャと呼ばれます。
パーンチャジャニャは、クリシュナ神が倒した海に棲む悪魔、パンチャジャナの貝あるいは骨からつくられたということに由来があります。
そのパンチャジャナは、5大元素であったり、5種の存在(神々、精霊、人間、蛇、祖先)であったり、私たちが人生という大海を生きる中で向き合うべき事柄として、さまざまに捉えられるものです。
私たちは、日々を生きる中でクリシュナ神に心を定め、このパンチャジャナを手中に収めなければなりません。
その時、私たちは聖音であるオームの音を響かせることが可能になり、あらゆる悪を倒して本質という光の中で生きることができるはずです。
神々と悪魔が協力して行った乳海撹拌は、私たちが歩む霊性修行の道のりに例えられます。
そこで得る宝石は、私たちが霊性修行を通じて得る恩恵であり、幸福に他ありません。
その恩恵の中で豊かに生きることができるように、日々を霊性修行の場として生きることを努めたいと感じます。
(文章:ひるま)
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