2022年は6月11日に、インドの一部の慣習において、ジェーシュタ・ガーヤトリー・ジャヤンティーが祝福されます。
ジェーシュタ・ガーヤトリー・ジャヤンティーは、ガーヤトリー女神の降誕祭として祝福される時です。ジェーシュタ月(5月〜6月)のシュクラ・パクシャ(新月から満月へ向かう半月)のエーカーダシー(11日目)がその時にあたります。
「ガーヤトリー」とは、もともと韻律の一種であり、8音節の句を3つ重ねた、合計24音節からなる詩形を意味します。後に、ガーヤトリーは神格化され、ガーヤトリー女神として崇められるようになりました。ガーヤトリー・マントラが記されたヴェーダは、「知識」を意味し、ヒンドゥー教においてもっとも尊ばれる聖典であり、ガーヤトリー女神は人々の無知を取り除くヴェーダの母として崇められています。
それでは、なぜガーヤトリー女神は、5つの顔を持つのでしょうか。4つの顔は4つのヴェーダをあらわし、残りの1つは最高神をあらわすといわれます。4つのヴェーダには、以下のマハーヴァーキヤ(格言)があり、これらをすべてあわせたものが、ガーヤトリーとなります。
サーマ・ヴェーダ:tat tvam asi(汝はそれである)
リグ・ヴェーダ:prajñānaṁ brahma(意識はブラフマンなり)
アタルヴァ・ヴェーダ:ayam ātmā brahma(自己はブラフマンなり)
ヤジュル・ヴェーダ:ahaṁ brahmāsmi(私はブラフマンである)
このことから、ガーヤトリー・マントラは4つのヴェーダの教えの真髄であり、ガーヤトリー・マントラを唱えることは、4つのヴェーダをすべて唱えることと同じ功徳があるといわれます。またガーヤトリーは、パンチャ・マハー・ブータ(五大元素)をあらわし、宇宙全体の力を通じて、ガーヤトリー・マントラを唱える個人の心と体を守り、偉大な力を授けると伝えられます。また、5つの顔は、生命を司る5つのプラーナ(生気)と、自己の本質を覆い隠す5つの鞘に対応します。すなわち、ガーヤトリー・マントラを唱えることは、生命力を活性化させ、自己の本質を覆い隠す鞘を取り除くために、非常に役立ちます。
ガーヤトリー・マントラは、あらゆるマントラの中で最も恩恵高く、光に満ちた知識を授けるマントラであるとされます。神への讃美であり、瞑想であり、祈りでもあるガーヤトリー・マントラは、真理を授ける無限の力を秘めています。
※ガーヤトリー・ジャヤンティーは、シュラーヴァナ月(7月〜8月)の満月に祝福される慣習もあります。
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