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雑記帳

ラーマーヤナの恵み

ヴィシュヌ神の化身であるクリシュナ神は、16の術を備えた完璧な神の化身として伝えられます。
一方で、そのうちの2つを隠していたといわれるのが、同じくヴィシュヌ神の化身であるラーマ神です。

ラーマ神は、コーサラ国の王子として、ダシャラタ王とカウサリヤー妃との間に生を享けました。
それには、羅刹王のラーヴァナを倒す目的がありました。
ラーヴァナによって乱された世界の秩序を正し、この地にダルマを回復させる必要があったからです。
そのラーマ神の行状記は、インドの2大叙事詩であるラーマーヤナにおいて綴られ、現代でも人々の心に生き続けています。

王子として生まれたラーマ神がラーヴァナを倒さなければならなかったのは、ラーヴァナに授けられたある恩恵に理由があります。
ラーヴァナは不死を求め、ブラフマー神へ大変な苦行を行なったことで知られます。
ブラフマー神はその苦行に喜ぶも、死は不可避であることからラーヴァナの要求を拒否しました。

すると、ラーヴァナは神々や悪魔、霊、動物といった存在には倒されないという不死に近い恩恵を求めます。
ブラフマー神はその要求を受け入れ恩恵を授けるも、ラーヴァナはそこに人間を含めていませんでした。
人間は弱い存在であると考えたからだといわれます。

そんなラーヴァナを倒すために、ヴィシュヌ神は王子であるラーマ神として化身します。
そうして生まれたラーマ神は2つの術を隠し、まるで人間のように生きたといわれます。

妻であるシーター女神がラーヴァナによって誘拐された時、ラーマ神は普通の人間として涙を流しました。
シーター女神を救い出すために、ラーマ神はハヌマーン神をはじめとする猿軍の力を借りる必要がありました。
そうして計り知れない悲しみや苦しみを経験するラーマ神の行状記は、私たちが生きる日々にぴったりと重なります。

ラーマ神が力の限りを尽くして倒したラーヴァナは、知識に卓越した存在でありながらも、感覚の制御を成し得ず、その傲慢さによってこの世界を恐怖に陥れた存在です。
ラーマーヤナは、そんなラーヴァナを倒すことができるのは人間だけであるということを伝え、私たち人間にかけがえのない教訓を示し続けています。

ラーマ神はラーマーヤナを通して、ダルマに沿った人間としての真の生き方を私たちに見せてくれています。
感覚が生み出す苦悩に揺さぶられる日々があっても、そんなラーマーヤナの教えに触れることで、私たちは感覚という内なる強敵を倒し、世界の秩序を守ることができるはずです。
この地に平和をもたらすことができるのは、私たち人間だけであるということをラーマーヤナはありありと示しています。

(文章:ひるま)

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