前回までで15個の子音が出てきましたが、
それでもまだ33個の子音の半分です。
新しい言語を学ぶとき、一番最初の難関が文字を覚えることで、
ここで挫折してしまう方も多いのですが、
英語では、同じ c という文字を、cake、candy、city、といった具合に、
カ、キャ、シ、と様々な読み方をしますね。
それに比べるとサンスクリット語の場合、デーヴァナーガリー文字は
गは必ずga と読むし、जは必ずjaと読む、という具合で、
発音と文字がほぼ一致するので、
実は初心者に優しい言語なのです。
(単語の意味がわからなくても)文字がわかれば
マントラや聖典を音で読むことができてくるので、
ぜひ覚えた実感を喜びにして欲しいと思います。
今回の発音/文字は次の5つです。
歯音 |
デーヴァナーガリー |
カタカナ |
IAST |
音声記号 |
備考 |
|
無 声 音 |
無気音 |
त |
「タ」 |
ta |
t̪ə |
日本語のタより舌はやや前 |
有気音 |
थ |
「タ」 |
tha |
t̪ʰə |
||
有 声 音 |
無気音 |
द |
「ダ」 |
da |
d̪ə |
|
有気音 |
ध |
「ダ」 |
dha |
d̪ʱə |
||
鼻音 |
न |
「ナ」 |
na |
nə |
このグループは歯音(しおん)と言われ、
歯の根元に舌を当てて発する音です。
カタカナではタ、タ、ダ、ダ、ナと便宜的に書き、
(太字は息を強く出しながら発音)
タ、ダ、ナは日本語とほぼ同じですが、日本語よりも若干前の方に調音点があるようです。
ローマ字(IAST)では、ta、tha、da、dha、naを使います。
二番目のथは tha と書くため、英語のthatやthree のth音と誤解されることがありますが、
息を強く出しながら発音する「タ」なので間違えないようにしてください。
歯音が入っている単語の例
तथागत tathāgata タターガタ(仏教の如来)
最初のタは無気音、次のタは有気音、最後のタは無気音、
जगन्नाथ jagannātha ジャガンナータ(「世界の主」の意味で、ヴィシュヌ、クリシュナと同一視される神)
「ナ」(鼻音)、「タ」(有気音)、
वेद veda ヴェーダ(聖典、知識)の「ダ」(無気音)
धर्म dharma ダルマ(秩序、法)の「ダ」(有気音)
नमस्कार namaskāra ナマスカーラ(「こんにちは」、ヒンディー語のナマスカールと同じ)の「ナ」(鼻音)
歯音のグループは日本人にも発音しやすいので、
特に無気音と有気音の違いを意識しながら口に出して読んでみてくださいね。
(文章:prthivii)
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