ドゥルガー女神の化身の中に、蜂の女神として崇められるブラーマリーという女神がいます。
ブラーマリー女神に象徴される蜂は、花粉を運び実りをもたらすように、生命の循環を司る存在です。
その姿は、人生における変容と再生を体現しており、私たちの内なる可能性を開花させ、豊かな人生へと導く象徴があります。
そうして繁栄の女神として崇められるブラーマリー女神には、悪魔のアルナースラとの闘いを描く有名な神話が伝わります。
アルナースラは厳しい苦行により、神々や悪魔、二本足や四本足の生物、そしていかなる武器にも倒されないという恩恵を手にし、ほぼ不死身の存在となりました。
アルナースラはその力を誇示し、世界を恐怖に陥れます。
神々はアルナースラを倒すことができず、ドゥルガー女神に助けを求めました。
すると、ドゥルガー女神はブラーマリー女神に化身し、蜂をはじめとする六本足の小さな昆虫を呼び寄せます。
昆虫たちはアルナースラに群がり、その体を刺し続けると、最終的にアルナースラを打ち倒します。
この神話から得られる教訓は、私たちの人生の歩みに多くの意味を持っています。
まず、アルナースラの没落は、肥大化した自我が自身の破滅を招くということを示唆しています。
ヒンドゥー教において描かれる悪魔の多くは、この大きな自我によって滅びの道を辿るように、それは何よりもの障壁となるものです。
この描写は、力や成功に溺れず、常に謙虚な姿勢を保つことで、真の強さが生まれるということを伝えています。
そして、ブラーマリー女神が小さな昆虫たちの力を借りて勝利したことは、小さな努力でも一貫して行えば、大きな障壁を克服できるということを示しています。
日々の規律と忍耐を持ち続けることで、最終的には大きな成果がもたらされるということを伝えています。
何より、ドゥルガー女神がブラーマリー女神に化身して困難に立ち向かったことは、人生の挑戦を克服するために内なる力を引き出すことの重要性を示しています。
アルナースラを倒すために想定にない六本足の生物が集められたように、障壁を克服する力を引き出すには、自分自身の内で柔軟な思考を持つことが欠かせません。
困難を成長の機会として捉えることで、私たちはより強く、より賢明になり、新たな道を切り開くことができるということを伝えています。
ブラーマリー女神の神話は、私たちに自我の抑制、小さな努力の積み重ね、内なる力の発見、そして柔軟な思考の重要性を伝えています。
これらの教えを日々の生活に取り入れることで、私たちは人生のさまざまな課題を通して変容を遂げ、霊的にも豊かに成長していくことができるはずです。
(文章:ひるま)
※ブラーマリー女神はラクシュミー女神の化身とされる場合もあります。
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