秋が深まった暗い新月の夜に祝われるディーワーリーは、光明と希望の象徴として私たちの心を温かく照らす祭典です。
この日は、戦いに勝利したラーマ神がアヨーディヤー王国に帰還する喜びを祝う時でもあります。
夜を照らす無数の灯火は、ラーマ神という正義の凱旋を導く光の象徴として、この世界を明るく照らします。
ラーマ神が王国を追われ、この日を迎えるまでには、実に14年という長い歳月がありました。
ラーマ神が王国から14年の追放を命じられた時、母であるカウサリヤー妃の心は深い悲しみに包まれました。
しかし、カウサリヤー妃は悲嘆を捨て去り、強い心でラーマ神を送り出します。
この時、カウサリヤー妃はラーマ神の側に常にダルマ(正義)が伴うように祈りを捧げました。
この祈りは、最高の徳を持つ者として、ラーマ神がその使命を全うする力を与え続けます。
カウサリヤー妃はこうして、旅立つラーマ神にその糧となる食べ物ではなく、ダルマという尊い力を授けました。
食べ物という物質的な糧はいずれ尽きるも、ダルマという精神的な糧は永遠に尽きることなく、人の心を支え続けるものだからです。
ラーマ神が直面する14年という長き試練の道のりには、肉体的な糧以上のものが必要であることを、カウサリヤー妃は母として理解していたに違いありません。
人生という長い旅路において、私たちも幾多の試練に直面します。
そんな時、私たちの心を支えてくれるのは、必ずしも目に見える物質的な糧とは限りません。
人生の大きな岐路に立たされた時、私たちを真に支えるのは、精神的な強さに他ないということをこの教えは示しています。
ダルマとは、正義や道徳を超えた、この世界の調和や秩序を意味します。
それは私たちの存在の本質に深く根ざした真理であり、この世界を生きる指針となるものです。
私たちが日々を歩む中で必要となるものは、その真理への眼差しを失わない心と、正義を貫く不屈の精神です。
ラーマ神の14年の歩みを支えたのは、カウサリヤー妃から授かったこの神聖なる恩寵でした。
それは、今を生きる私たちの歩みをも照らし続けています。
物質的な糧が尽きても、真理の光という精神的な糧は決して消えることはありません。
これこそが、カウサリヤー妃がラーマ神に、そして私たちに伝えようとした永遠の教えです。
私たちは、この不滅の叡智に導かれることで、人生の道を光の中で歩み続けることができるはずです。
(文章:ひるま)
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