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チャイルド・スポンサーシップ

シーズインディア支援事業の活動報告

シーズインディア支援事業にご協力をいただいている皆様、温かいご支援をいただき誠にありがとうございます。

ご挨拶
インドでは過ごしやすい乾季が終わり、これから本格的な夏の暑さが続く季節を迎えています。
シーズインディアがある南インドのケーララ州では、6月下旬に雨季(モンスーン)が始まるまでの間は、高温多湿の厳しい気候が続く時期となります。
昨年は乾季の終わりから記録的な猛暑に見舞われましたが、今年は昨年ほどの暑さにはならないのではないかという予測も出ています。
これは、今夏にエルニーニョ現象が見られないため、熱波が発生するリスクが比較的低いとされているためです。
一方で、全体的な気温の上昇により、大気の状態が不安定になりやすく、例年よりも早い時期から激しい雨が降る可能性も指摘されています。
この時期の雨は恵みでもありますが、土壌が水分を多く含むようになることで、モンスーンが始まった際に土砂災害のリスクが高まる懸念もあります。
こうした状況の中、気候が少しでも穏やかで、自然と人々が共に平和に過ごせる日々が続くことを願いながら活動を行っています。

子どもたちの教育支援について
毎月の教育支援を行っている子どもたちは、間もなく新学期を迎えます。
先月までは進級試験を控えた大切な時期でしたが、どの子も真剣に学業に励み、集中して勉学に取り組む姿が見られました。

教育支援では、引き続き隔月で施設にて対面で生活物資を配布し、それ以外の月は各自が近隣の店舗で物資を受け取れるよう手配しています。
今回も充実した内容の支援物資を無事に届けることができました。
長引く物価高の中で、これらの支援が各家庭の暮らしを支えるとても大きな力となっています。

コロナ禍以降、インド全体で一時は7%を超えるインフレが問題となりましたが、現在では多くの州で5%を下回る水準に落ち着きつつあります。
しかし、ケーララ州では依然として6%を超える物価上昇が続いており、とくに食品価格の高騰が大きな要因とされています。
日々の支出の多くを食料品が占める経済的に厳しい家庭にとって、この状況は深刻です。
支援を受けている子どもたちの家庭も同様に困難な状況にあり、この支援物資が生活の安定につながっています。

ケーララ州における物価高の背景には、食品の多くを州外に依存しているという構造的な問題があります。
もともとケーララ州はインドの中でも特に自給率が低く、さまざまな理由から他地域からの輸入に頼らざるを得ない状況が続いています。

まず、ケーララ州は人口密度が高く、農業に適した土地が限られている上、都市開発の進行により農地が住宅や商業施設へと転用されてきました。
その結果、食料生産が減少し、需給バランスの悪化が価格上昇につながっているとされます。
また、熱帯気候の影響で、スパイスなどの特産物の栽培には適しているものの、米や小麦、豆類、野菜といった日常的な主食作物の栽培には向かず、多くを近隣州からの輸送に頼っています。
加えて、州内の高い識字率と教育水準も一因とされます。
高等教育を受けた若者たちは農業以外の職業を志す傾向が強く、農業従事者の数が年々減少しています。
これにより生産量が落ち込み、コストが上昇するという悪循環が生まれています。
さらに、ケーララ州は古くからアラビア海を通じた交易の拠点であったこともあり、物資の流通において「外から仕入れる」文化が根付いているという歴史的背景もあります。
近年では気候変動による天候不順が続き、農産物の収穫にも大きな影響が出ており、これも価格高騰の一因となっています。
このような厳しい状況の中、支援物資として栄養価の高い食材を届けることができていることは、子どもたちの健やかな成長を支えるうえで非常に大きな意味を持っています。

昨今では、教育分野における深刻な課題も浮き彫りになっています。
今年に入り、ある教師が職を得るため6年間も無報酬で働き続けた末に、自ら命を絶ったという悲しいニュースが報じられました。
こうしたケースは決して珍しいことではなく、ケーララ州では現在、約1万6千人もの教師が無給のまま勤務を続けているという報告もあります。
こうした境遇の教師は生活費を得るため、週末には家庭教師や配達業、運転手、建設現場での労働などに従事しているとも言われます。
教育制度への予算不足や行政の遅れが根本的な原因とされており、教育の質にも深刻な影響を及ぼしかねない状況です。

シーズインディアでは、こうした公立学校の教師への直接支援は行っていませんが、女性の自立支援の一環として洋裁教室を支援しており、その講師への給与支援を行っています。
また、施設内には就学前の子どもたちを受け入れるデイケアセンターも併設しており、専門の先生を配置することで、幼児期からの教育支援にも力を注いでいます。
州政府の財政難により、教育、農業、食料供給などさまざまな分野で課題が山積していますが、少しでも状況が改善されることを願い活動を行っています。

病院での配給について
現在も病院での食事配給は継続しており、パンやバナナなどの食事を入院患者の皆さまに直接お届けしています。
今年の初めには、新年を祝う特別な取り組みとして、小さなケーキを配ることができました。
ささやかな一切れではありましたが、受け取られた方々の笑顔に、私たちの心にも光が灯るようでした。

この病院に入院されている多くの方々は、厳しい経済状況の中で日々の暮らしを送っています。
日常生活だけでも困難な中、病気やけがで入院を余儀なくされれば、その不安や負担は計り知れません。
ほんのひとときでも感じられる安らぎや喜びが少しでも力となり、この一年を歩む支えとなればと心から願っています。

季節はすでに本格的な暑さを迎えつつあります。
最も暑い時期とされる4月から6月を前に、ケーララ州の一部地域ではすでに気温が38度を超え、警戒アラートが発令されています。
昨年ほどの猛暑ではないとはいえ、早い段階から暑さが続くことで、体調を崩す人々が増加することが懸念されます。
特に、経済的に困難な状況に置かれている方々の多くは、空調設備のない住環境での生活や、屋外での過酷な労働を強いられているのが現状です。
一日でも多く穏やかな日が続き、人々が健やかに過ごせることを願ってなりません。

災害支援について
災害支援募金を通じては、過去の災害で被災された方々を対象に、生活必需品の支援を継続的に行っています。
支援を受けている多くの方々は、他州から出稼ぎに来ている労働者であり、州政府からの公的支援を受けることが難しく、社会的にも孤立しやすい立場に置かれています。
そのような厳しい状況の中で不安定な生活を余儀なくされている労働者の方々に、少しでも安心と希望を届けられるよう、現在も支援に取り組んでいます。

2024年のケーララ州の降雨状況に関する報告によれば、州全体の降雨量の大部分を占める南西モンスーンが、平年比で13%も少なかったことが明らかになっています。
しかし、この降雨不足にもかかわらず、災害の発生件数は減少していません。
その背景には、局地的な集中豪雨など、異常気象の頻発があると指摘されています。
とくに昨年7月には、48時間で572mmという記録的な降雨により、壊滅的な土砂崩れが発生した地域があり、多くの命が失われました。

また、昨年は気温の上昇も深刻でした。
例年であれば比較的過ごしやすい12月から1月にかけても、すでに暑さが続いており、乾季の間は深刻な水不足にも見舞われました。
自然に恵まれたケーララ州だからこそ、異常気象の影響はより大きく、人々の暮らしに深刻な影響を与えています。
今年も引き続き、同様の気象リスクが予想されており、地域社会全体での備えと警戒が求められています。

ケーララ・モデル
近年、「持続可能な開発目標(SDGs)」という言葉を耳にする機会が増えています。
その中で、ケーララ州が他地域の模範となる優れたモデルとして注目されています。
ケーララ州では、SDGsの達成に向けた取り組みが地域レベルで効果的に実施されており、その成果は他の地域や国にとって大いに参考になると報じられています。

ケーララ州は、高い識字率、平均寿命の長さ、低い乳児死亡率など、優れた社会指標を誇っており、これらは「ケーララ・モデル」として世界的にも知られています。
これらの成果は、土地改革、社会福祉政策、教育・医療への継続的な投資といった、包括的で先進的な社会政策の積み重ねによるものです。

加えて、ケーララ州は地方分権を積極的に推進し、地域の自治体が住民のニーズに応じた開発計画を策定・実施できる体制を整えています。
このような地域主導のアプローチにより、地域の特性や課題に即した効果的なSDGsの推進が可能になっています。
こうした取り組みは、SDGsの地域展開を目指す他地域にとっても、非常に示唆に富んだ事例となると考えられています。

一方で、ケーララ州は現在、深刻な財政難に直面しており、その発展モデルの持続可能性には課題もあります。
税収基盤の拡充や産業構造の多様化といった抜本的な改革が求められており、今後の動向が注目されます。

なお、インドには「パンチャーヤト」と呼ばれる地域自治組織があり、災害時などには住民に密着した支援が可能な仕組みとして機能しています。
たとえば、豪雨災害が発生した際には、シーズインディアもパンチャーヤトと連携して支援活動を行うことがあります。
こうした地道な取り組みの積み重ねが、社会全体の厚生の向上に少しずつつながっています。
世界には経済格差や環境問題など、解決が容易でない課題が山積していますが、身近なところから一歩ずつ取り組む姿勢がやがて大きな変化につながると、シーズインディアでも考えています。

最後に
現在、ケーララ州政府は深刻な財政難に直面していると報じられており、その影響は州内の社会福祉政策にも及んでいます。
こうした動きは、社会的に脆弱な立場にある人々にとって、厳しい現実を突きつけるものであり、深い懸念を抱く状況が続きます。
しかし、厳しい財政状況の中にあっても、地域の持続可能な発展を目指し、さまざまな取り組みが引き続き実施されています。
教育、医療、生活支援といった基盤的な分野においても、地道な努力が積み重ねられています。

シーズインディアとしても、現地の状況に寄り添いながら、引き続き協力体制を強化し、支援が滞ることなく行き届くよう努めてまいりたいと考えています。
これからも現地の声に耳を傾けつつ、必要とされる支援を確実に届けていけるよう、力を尽くしていく所存です。
皆様の温かいお気持ちが必要な人々のもとに着実に届けられ、こうした一つひとつの施策が確実に実を結ぶことを心より願っています。

いつも温かいご支援を頂き、改めまして心より御礼申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

(スタッフ:ひるま)

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