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インド占星術

インド占星術における結婚相性診断:ダシャクータ(10の適合要素)解説

インドの伝統占星術(ヴェーディック占星術、ジョーティシュ)では、古来より結婚における二人の相性を詳細に分析するため、「クータ・システム」と呼ばれるホロスコープ・マッチング法が用いられてきました [1]。これは、二人の出生時の星図(クンダリーまたはジャータカ)に基づき、結婚生活の様々な側面に対応する複数の評価項目(クータ)における適合性を判断する手法です。このシステムは「グナ・ミラーナ(適合性の点数計算)」としても知られ、数千年にわたる歴史を持ち、重要な古典占星術文献にもその記述が見られます [2]。

最も広く知られているのは、北インドを中心に用いられる8つの主要クータ(アシュタクータ)で評価し、最大36点満点で採点する方法です [2]。一方、南インドではアシュタクータの要素に加えて、さらにいくつかの重要な要素を含めた合計10の要素(ダシャクータ、またはダス・ポルタム)を用いて、より多角的に相性を判断する方式が伝統的に重視されています [1]。

この記事では、主に南インドの伝統で用いられるダシャクータ(10要素)を中心に、各クータの意味、評価目的、計算方法の概要、そして結婚生活における重要性について、古典的な解釈と現代的な視点を交えながら詳しく解説します。

1. ディナ・クータ(Dina Kuta / ターラー・クータ)– 3点

意味・目的: 夫婦の日々の安寧、健康、そして幸福を司る要素です。「ターラー(星)・クータ」とも呼ばれ、二人の誕生時の月のナクシャトラ(※月の位置する星座区分、全27宿)の組み合わせから、運勢的な調和や困難な時期における相互扶助の可能性を探ります [3, 2]。結婚後の日常的な協力関係や精神的な支え合いの質を示します [2]。

計算方法: 主に妻側の誕生ナクシャトラを基点とし、夫の誕生ナクシャトラがそこから何番目に位置するかで吉凶を判断します(ナヴァ・ターラー・チャクラ法)[2]。妻のナクシャトラから数えて3番目(ヴィパット:障害)、5番目(プラティヤク:敵対)、7番目(ナイダナ:死・苦悩)に夫のナクシャトラがある場合は凶兆とされ、不和や離別の可能性を示唆します [2]。逆に、これらの位置を避け、互いのナクシャトラが適度に離れている方が良いとされます [2]。アシュタクータ方式では、この適合性に最大3点が割り当てられます。

重要性・効果: 配点は比較的高くありませんが、日々の生活における基本的な調和を示すため、伝統的に無視できないクータとされます [2]。適合性が高い場合、夫婦は喜びも困難も共有し、互いを支え合う円満な関係を築きやすいとされます [2]。不適合の場合、日常的な誤解やすれ違い、問題発生時の協力不足などが懸念されます [2]。

2. ガナ・クータ(Gana Kuta)– 6点

意味・目的: 夫婦の基本的な気質や性格、価値観の調和を示す重要な要素です。インド占星術では、ナクシャトラをデーヴァ(神々:穏やかで精神的)、マヌシャ(人間:現実的で活動的)、ラークシャサ(羅刹:意志が強く個性的)の3つのガナ(気質グループ)に分類します [2]。この組み合わせによって、長期的な関係における精神的な親和性や生活態度の一致度を判断します [2, 2]。

計算方法: 夫婦それぞれの誕生ナクシャトラが属するガナを特定し、その組み合わせによって評価します。一般的に、同じガナ同士(例:デーヴァとデーヴァ)は最も調和的で最高点(6点)が与えられます。異なるガナの場合、組み合わせによって点数が減少し、特にデーヴァとラークシャサの組み合わせは気質の衝突が大きいとされ、最低点(0点)となることが多いです [2]。ただし、他のクータ(特にラーシ・クータやストリー・ディールガなど)が良好であれば、ある程度緩和されるとの見方もあります [2]。

重要性・効果: 6点満点と配点が高く、長期的な関係性の安定と幸福感に大きく関わるため非常に重要視されます [4]。気質が調和していれば、互いの性質を理解・受容しやすく、年月と共に信頼と愛情が深まる理想的な関係が期待できます。不適合(特に禁忌とされる組み合わせ)の場合、根本的な価値観の違いから絶え間ない口論や不和が生じやすく、関係の破綻につながるリスクが高まると古典では警告されています [2]。

3. ヨーニ・クータ(Yoni Kuta)– 4点

意味・目的: 主に夫婦間の性的な相性、本能的な魅力、情愛の深さを示す要素です [3]。「ヨーニ」はサンスクリットで「子宮」や「根源」を意味し、ここでは生命力や生殖能力、性的エネルギーを象徴します。各ナクシャトラには特定の動物(ヨーニ)が割り当てられており、この動物同士の自然な関係性(友好、中立、敵対)から、二人の間の肉体的・感情的な引き合いの強さを判断します [2]。副次的に、家庭の豊かさや子宝にも関連すると考えられています [2, 2]。

計算方法: 夫婦それぞれの誕生ナクシャトラに対応する動物ヨーニを特定します。次に、その動物ペアの関係性に基づいて評価します。伝統的に敵対関係とされる動物の組み合わせ(例:猫と鼠、牛と虎、馬と水牛など)は0点となります [2]。同じ動物同士や友好関係にある動物の組み合わせは高得点(最大4点)が与えられます [2]。また、ナクシャトラ自体にも男女の性別があり、夫が男性ナクシャトラ、妻が女性ナクシャトラの組み合わせが最も望ましく、繁栄をもたらすとされます [2]。

重要性・効果: 4点満点。主に性的調和とそれによる精神的な充足、家庭の安定に影響します [2]。ヨーニの相性が良いと、互いに強く惹かれ合い、満たされた関係を通じて家庭に幸福と繁栄がもたらされると考えられます [2]。不適合(ヨーニ・ドーシャ)の場合、性的な不一致や欲求不満、感情的な距離感が生じやすく、これが関係全体の不調和や、ひいては経済的な問題にも繋がり得るとされます [2]。

4. グラハ・マイトリー・クータ(Graha Maitri Kuta / 惑星友好)– 5点

意味・目的: 夫婦間の精神的な親和性、友情、価値観の共有を示す要素です [4]。「グラハ・マイトリー」は「惑星間の友情」を意味し、具体的にはそれぞれの誕生時の月の星座(ジャンマ・ラーシ ※黄道十二宮)の支配惑星同士が、占星術的に友好関係にあるか否かを見ます [2]。これにより、思考パターン、コミュニケーションの円滑さ、相互理解の度合いを判断します [2]。

計算方法: 夫婦それぞれの月星座(ラーシ)を特定し、その支配惑星を割り出します(例:牡羊座=火星、牡牛座=金星)。次に、その惑星同士の自然な関係性(友好、中立、敵対)に基づいて評価します。支配惑星同士が互いに友好関係にあれば最高点(5点)、一方が友好で他方が中立なら中程度の点数、互いに敵対関係にあれば最低点(0点)となります [2, 2]。夫婦の月星座の支配惑星が同じ場合も良好とみなされます [2]。

重要性・効果: 5点満点。精神的な絆や相互理解に深く関わる重要な要素です [4]。この適合性が高い夫婦は、考え方や感じ方が似ていることが多く、自然と思いやりのあるコミュニケーションが生まれやすいでしょう [4]。共通の目標を持ちやすく、協力して人生を歩む上で強固な基盤となります。不適合の場合、感情的なすれ違いや意見の対立が起こりやすく、深いレベルでの共感や友情を育むのが難しい可能性があります [4]。

5. ラーシ・クータ(Rasi Kuta / バクータ)– 7点

意味・目的: 夫婦それぞれの月星座(ラーシ)の相互の配置関係に基づいて、結婚生活全体の調和、繁栄、そして特に家庭運、子供運、財運を評価する要素です [4]。北インドでは「バクータ・クータ」として知られ、アシュタクータの中でも特に重要な項目の一つとされています [4]。結婚後の家族としての幸福度や安定性に深く関わります。

※名称が似ている下記の「ラッジュ・クータ」とは全く異なる要素です。こちらは月星座(Rasi)の位置関係を見ます。

計算方法: 妻の月星座から見て、夫の月星座が何番目に位置するか(星座間の相対的な距離)で吉凶を判断します。伝統的に凶とされる配置は、互いの月星座が2-12(損失)、5-9(子に関する問題)、そして特に6-8(病気、対立、死別)の関係になる場合です [2, 2]。これらの配置は0点となり、深刻な問題を示唆するとされます [2]。逆に、1-7(対向:相互補完)、3-11(発展)、4-10(安定)などの配置は良好とされ、高得点(最大7点)が与えられます。同じ月星座同士も、ナクシャトラが異なれば基本的に良好とみなされます [2]。

重要性・効果: 7点満点と最も配点が高く、結婚生活の全体的な幸福度と繁栄を左右する極めて重要な要素です [4]。適合性が高い場合、経済的な安定、子宝、家庭内の調和に恵まれ、円満な結婚生活が期待できます [4]。不適合(バクータ・ドーシャ)の場合、古典的には経済的困窮、子供に関する悲しみ、深刻な不和、病気、さらには死別といった重大な困難が予測されるため、最も避けたい凶兆の一つとされています [2]。このクータの不適合は、他の要素が良くても結婚を躊躇させる大きな要因となります。

6. ヴァシャ・クータ(Vashya Kuta)– 2点

意味・目的: 夫婦間の相互の魅力や影響力、心理的な主導権のバランスを示す要素です [2]。「ヴァシャ」は「支配する」「魅了する」といった意味を持ち、ここでは互いが相手をどれだけ引きつけ、コントロールし合えるかという力関係を見ます [5]。理想的には、一方的ではなく、双方が互いに魅力を感じ、影響を与え合える対等な関係が望ましいとされます [5]。

計算方法: 各月星座(ラーシ)を特定のカテゴリー(人間、四足獣、水生生物、森の獣、昆虫など)に分類し、夫婦の星座カテゴリーの組み合わせによって評価します [5]。基本的には同じカテゴリー同士が最も調和的で満点(2点)とされます [5]。異なるカテゴリーの場合、その組み合わせによって点数が変動し、0点となる場合もあります [5]。例えば、獅子座(森の獣)は他の多くの星座を支配する力が強いとされ、特定の組み合わせでは一方的な力関係になりやすいと解釈されます [5]。

重要性・効果: 配点は2点と低いですが、古典(プラシュナ・マールガなど)では妥協すべきでない5つの重要なクータの一つに挙げられています [2]。これは、健全な夫婦関係には相互尊重とバランスの取れた影響力が不可欠であるという考えに基づきます [5]。適合性が高い場合、強い愛情の絆と協力的な関係が期待できます [2]。不適合の場合、一方が他方に過度に依存したり、逆に支配的になりすぎたりして、関係に不満や不均衡が生じる可能性があります。

7. マヘーンドラ・クータ(Mahendra Kuta / マヘーンドラ・ポルタム)

意味・目的: 結婚によって夫婦にもたらされる幸運、繁栄、長寿、そして子孫繁栄の可能性を示す、肯定的な指標です。南インドでは「マヘーンドラ・ポルタム」として重視され、古典ではさらに「マヘーンドラ(偉大な幸運)」と「ウペーンドラ(副次的な幸運)」に分けて解釈されることもあります [2]。特定のナクシャトラの配置関係によって、物質的な豊かさや子宝に恵まれるかを示唆します [2]。

計算方法: 夫の誕生ナクシャトラを基準として、妻の誕生ナクシャトラがそこから数えて4番目に位置する場合を「マヘーンドラ」(大吉)、7番目に位置する場合を「ウペーンドラ」(吉)と判断します [2]。例えば、夫がアシュウィニーで妻がローヒニーなら4番目にあたるため、マヘーンドラが成立します。マヘーンドラは「富と幸福、長寿」を、ウペーンドラは「子供(特に男子)の誕生」をもたらすとされます [2]。このクータは特定の配置が成立した場合にのみ吉兆をもたらすもので、点数計算には通常含まれません。

重要性・効果: 点数化されませんが、成立した場合の恩恵が大きいとされるため、非常に縁起の良い組み合わせとして伝統的に歓迎されます [2]。この適合がある夫婦は、周囲からの祝福を受け、物質的にも恵まれ、安定した幸福な結婚生活を送れると期待されます。特にマヘーンドラは財運と全般的な幸福、ウペーンドラは子孫の繁栄を約束するとされます [2]。古典では、他のいくつかのクータに問題があっても、マヘーンドラがあればその欠点を補うことができるとさえ言われています [2]。

8. ストリー・ディールガ(Stree Deergha / 女性長寿)

意味・目的: 妻から見た夫のナクシャトラの位置関係を通じて、主に夫の健康と長寿、そして結婚生活全体の幸福と繁栄を評価する要素です [2]。「ストリー・ディールガ」は「女性からの(星の)長さ・距離」を意味し、妻の誕生ナクシャトラから数えて、夫のナクシャトラが十分遠くに(後方に)位置することを吉とします [2]。これは、妻の持つエネルギーが夫を圧倒することなく、夫が健康で長生きし、家庭が安泰であることを願う観点からの評価です。

計算方法: 妻の誕生ナクシャトラから夫の誕生ナクシャトラまでの数を数えます。一般的に、この数が大きいほど良いとされ、伝統的には最低でも9つ以上、理想的には13または15以上離れていることが望ましいとされます [2]。距離が近すぎる場合、特に7つ未満の場合は夫の健康や寿命に悪影響を与える可能性があると考えられています [2]。

重要性・効果: 点数計算には通常含まれませんが、夫の幸福と長寿に関わるため、特に南インドでは重視される要素です [2]。この適合性があれば、夫婦関係は円満で、夫は健康に恵まれ、家庭全体が繁栄すると考えられます。逆に不適合の場合、夫の健康問題や短命のリスクが示唆されるため、懸念材料とされます [2]。ただし、他の占星術的要因(個々のホロスコープの強さ、他のクータの適合性など)も考慮して総合的に判断する必要があります [2]。また、ストリー・ディールガの適合は、ガナ・クータなどの不適合を緩和する効果もあるとされています [2]。

9. ラッジュ・クータ(Rajju Kuta / ラッジュ・ポルタム)

意味・目的: 夫婦それぞれの誕生ナクシャトラが属する特定の人体部位カテゴリーに基づいて、主に夫婦の寿命、健康、そして結婚生活の根本的な安定性を判断する、非常に重要な要素です。「ラッジュ」は「縄」を意味し、27のナクシャトラを人体に見立てた5つのグループ(シロー:頭、カンタ:首、ククシ:腹、カティ:腰、パダ:脚)に分類します [2]。このクータでは、夫婦のナクシャトラが同じラッジュ・グループに属さないことが絶対条件とされます [2]。同じグループに属する場合、深刻な問題(短命、離別、貧困など)を引き起こすと考えられています [2]。

※名称が似ている上記の「ラーシ・クータ」とは全く異なる要素です。こちらはナクシャトラの分類を見ます。

計算方法: 27のナクシャトラは、特定の順序で5つのラッジュ・グループに周期的に割り当てられます(例:[2]参照)。夫婦それぞれの誕生ナクシャトラがどのラッジュに属するかを確認し、異なるラッジュであれば適合(吉)同じラッジュであれば不適合(大凶)と判断します [2]。同じラッジュの中でも、どの部位が重なるかによって、具体的な凶意が異なるとされます [2]。例えば、同じ「首(カンタ)」のラッジュは夫の死(妻が未亡人になる)、同じ「腹(ククシ)」は子供の喪失、同じ「腰(カティ)」は極度の貧困、同じ「脚(パダ)」は離別や放浪、同じ「頭(シロー)」は妻の死、といった深刻な結果が示唆されます [2]。

重要性・効果: 点数化されませんが、南インドの相性判断では最も重要視される要素の一つであり、「ラッジュ・ドーシャ(不適合)」は絶対に避けるべき致命的な欠陥とみなされます。この不適合がある場合、他のクータがいかに良好であっても、結婚は推奨されません。逆に、ラッジュが適合していれば、結婚生活における最悪の事態(早すぎる死別や深刻な不幸)は回避されると考えられ、他の多少の不適合があっても許容されることがあります [2]。

10. ヴェーダ・クータ(Vedha Kuta / ヴェーダ障害)

意味・目的: 夫婦の誕生ナクシャトラ間に存在する特定の「相克(そうこく)」関係をチェックする要素です。「ヴェーダ」は「貫通」「障害」を意味し、互いに悪影響を及ぼし合い、結婚生活に障害や困難をもたらすとされるナクシャトラの特定のペアが存在します [2]。このクータでは、夫婦のナクシャトラがこの禁忌とされるヴェーダ・ペアに該当しないかを確認します [2]。該当しなければ吉、該当すれば凶(障害あり)と判断されます。

計算方法: 古典によって定められた特定のナクシャトラ・ペア(ヴェーダの関係)のリストに、夫婦のナクシャトラが合致するかどうかを照合します [2]。主なヴェーダ・ペアの例としては、アシュウィニーとジェーシュター、バラニーとアヌラーダー、クリッティカーとヴィシャーカ、ローヒニーとスヴァーティー、アールドラーとシュラヴァナなどがあります [2]。夫婦のナクシャトラがこれらのペアのいずれかに該当する場合、ヴェーダ・ドーシャ(障害)ありとみなされます [2]。該当しなければヴェーダなし(吉)です。これも点数化はされず、適合/不適合のチェック項目です。

重要性・効果: 点数化されませんが、潜在的な困難や障害を示すため、注意が必要な要素です [2]。ヴェーダの関係にあるナクシャトラ同士の結婚は、他のクータが良好であっても、最終的にこのヴェーダの悪影響が現れ、関係に不幸や悲しみをもたらす可能性があるとされます。古典的な解釈では「ヴェーдаは他の全ての吉兆を打ち消す」とまで言われることもあり、ヴェーダ・ドーシャがある組み合わせは避けるべきとされてきました。ただし、現代の占星術師の中には、他のホロスコープ上の強力な吉兆があれば、ヴェーダの影響は緩和されると考える人もいます。

地域・文献による違いと注意点

これまで主に南インド式のダシャクータに基づいて解説しましたが、インド占星術の結婚相性診断には地域や流派による違いが存在します。

  • アシュタクータ(北インド式): 北インドでは、上記の中から「ナーディー・クータ」を含む8つの要素(ヴァルナ、ヴァシャ、ターラー、ヨーニ、グラハ・マイトリー、ガナ、バクータ、ナーディー)で評価し、合計36点満点で適合度(グナ)を算出する方法が主流です [2]。一般的に18点以上が合格ラインとされますが、点数だけでなく各クータの内容、特にドーシャ(欠点)の有無が重視されます。
  • ナーディー・クータの重要性: アシュタクータに含まれる「ナーディー・クータ」は、人間の生理機能や体質に関連する3つのナーディー(アディ/ヴァータ、マディヤ/ピッタ、アンティヤ/カパ)の組み合わせを見ます。夫婦が同じナーディーに属する場合、深刻な不適合(ナーディー・ドーシャ)とされ、特に子供の健康問題や遺伝的な問題、不妊のリスクが高まると考えられるため、北インドではラッジュ・ドーシャと同様に極めて重要視されます [2]。南インド式のダシャクータでは独立した項目としては扱われないことが多いですが、考慮に入れる占星術師もいます。
  • 古典文献と現代: クータ・システムは、口伝や地域ごとの慣習を通じて発展してきた側面も大きく、全ての詳細が『ブリハット・パラーシャラ・ホーラー・シャーストラ』のような根本経典に網羅されているわけではありません [6]。しかし、『プラシュナ・マールガ』[2]やヴァラーハミヒラの著作の注釈など、後世の重要なテキストで体系化され、今日まで受け継がれています。古典『プラシュナ・マールガ』では、「ヴァシャ、マヘーンドラ、ヨーニ、ラーシ、グラハ・マイトリー」の5つは妥協すべきでないとし、「ガナ、ディナ、ストリー・ディールガ」が次いで重要であると述べています [2]。ただし、時代と共に解釈や重視する点は変化しており、例えば現代ではナーディー・ドーシャが遺伝的観点からより重視される傾向があります。

鑑定上の留意点:

  • 総合的な判断: クータ・システムによる点数(グナ)や各項目の適合性は、結婚相性を判断する上で非常に有力な指標ですが、これが全てではありません。点数が高くても、ラッジュ、ヴェーダ、ナーディーといった深刻なドーシャがあれば慎重な判断が必要です。逆に点数が低くても、個々のホロスコープにおける惑星の配置(特に第7ハウス支配星、結婚の表示体である金星、木星、火星など)や、ナヴァーンシャ(D9チャート:結婚生活の詳細を見る重要な分割図)、ダシャー(人生の運勢周期)などの要素によって、相性の問題が緩和されたり、逆に悪化したりする可能性があります。ホロスコープ全体の分析が不可欠です。
  • あくまで指標: インド占星術の大家、故 B.V.ラーマンも指摘するように、クータ得点はあくまで一つの目安であり、その本質は、各クータが象徴する夫婦関係の様々な側面(気質、健康、精神性、経済力など)における調和と課題を理解することにあります [2]。相性診断の結果は、二人が幸せな結婚生活を築くために、どのような点に注意し、どのような努力をすべきかを知るための貴重なヒントと捉えるべきです。
  • 現代の結婚観: 伝統的な相性診断は重要ですが、現代においては個人の自由意志、価値観の多様性、そして何よりも二人の間の愛情、尊敬、コミュニケーション、そして相互の努力が結婚生活の幸福を左右する大きな要因であることも忘れてはなりません [6]。

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参照サイト:

[1] 10 Porutham For Matches – Subhamastu: https://blog.subhamastu.co/kamma-marriage/10-porutham-for-matches/

[2] Marriage Compatibility: http://varahamihira.blogspot.com/2004/10/marriage-compatibility.html

[3] What is Kundali Match? | Understand Horoscope Match: https://www.drikpanchang.com/tutorials/jyotisha/kundali-match/kundali-match.html

[4] ज्योतिषी तथा वास्तुविद :- अमृत पौडेल 'शास्त्री' - About Kundali Match In ...: https://www.facebook.com/astroamrit123/photos/a.1421836097900306/2546177448799493/?type=3&locale=zh_CN

[5] Vashya Kuta in Ashtakuta Method of Match Making: https://www.drikpanchang.com/tutorials/jyotisha/kundali-match/ashta-kuta/vashya-kuta.html

[6] astrology - Which scripture deals with horoscope matching for marriage? - Hinduism Stack Exchange: https://hinduism.stackexchange.com/questions/10033/which-scripture-deals-with-horoscope-matching-for-marriage

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