ハタ・ヨーガ、そしてラージャ・ヨーガと共に、インドで多くの人々が実践するヨーガのあり方に、バクティ・ヨーガがあります。2015年は12月21日に生誕祭を迎える、聖典バガヴァッド・ギーターの中で特に熱心に説かれるヨーガの一つです。
バクティ・ヨーガは信愛のヨーガとも言われ、その教えの中では、神を心から愛する者こそが最高の修行者であると説かれます。そしてそのあり方には、9つの道があると伝えられています。(バーガヴァタ・プラーナ第7巻5章23~24節)
1、シュラヴァナ(神の物語を聞くこと)
2、キールタナ(神を賛美すること)
3、スマラナ(神を想うこと)
4、パーダ・セーヴァナ(神の御足を礼拝すること)
5、アルチャナ(神の姿を礼拝すること)
6、ヴァンダナ(神に敬意を表すこと)
7、ダーシャ(神の従者になること)
8、サキャ(神と友になること)
9、アートマ・ニヴェーダナ(神に全てを委ねること)
シュラヴァナは神の物語を聞くことです。神々の御名を耳にすること、聖者や導師の語る言葉を聞くこと、また聖典や経典を聞くことであり、ここに、バクティ・ヨーガが始まるとも伝えられます。
キールタナは神を賛美することです。神々を讃える詩句を美しい旋律と共に歌うなど、神々と繋がり、聖なる言葉を発する行いにより、自身の内にも神聖な響きが生み出されると伝えられます。
スマラナは神を想うことです。神々の御名を繰り返す行いなどを通じ、いつでも、どこでも、常にその存在を想うことで、神々と一体になることができると伝えられます。
パーダ・セーヴァナは神の御足を礼拝することです。インドでは、神々の存在を示す象徴として御足が崇められます。御足を礼拝することで、その実在を確信すると伝えられます。
アルチャナは、神の姿を礼拝することです。プージャーを通じ、神像や絵などを礼拝します。灯りやお香、聖水などの供物と共に、心を捧げることで、神々との繋がりを深めます。
ヴァンダナは、神に敬意を表すことです。地に額をつけひれ伏すなど、神々を敬愛するさまざまな行いは、苦難を生み出すエゴを払い、心に柔軟性と謙虚さを与えると伝えられます。
ダーシャは、神の従者になることです。疑いを持たずに神々を崇め、日常の行いの全てを神に捧げることで、個人としての慢心や無知を取り除くと伝えられます。
サキャは、神と友になることです。神々と個人の間に友のような関係を見出すことで、崇高な存在をより近くに感じ、深い繋がりが築かれると伝えられます。
アートマ・ニヴェーダナは、神に全てを委ねることです。これがバクティの最高の形であるとも伝えられます。
バクティ・ヨーガの9つのあり方は、私たちの日常の一瞬一瞬において、実践可能なものばかりです。その行いは、ヨーガの真の目的である心の平安や至福、そしてその源である神々との繋がりを与えてくれるに違いありません。来週には、聖典バガヴァッド・ギーターの生誕祭を迎えます。こうして与えられる機会を大切に受け止め、学びを深めたいと感じています。
(文章:ひるま)
参照:http://www.vedabase.com/en/sb/7/5/23-24
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