2016年は2月12日に、インドは春の到来を祝福するヴァサンタ・パンチャミーを迎えます。この日が生誕日として盛大に祝福される学問や芸術の女神サラスヴァティーは、純白のサリーを身にまとい、白い蓮に座し、白い白鳥を乗り物とするなど、その純粋さが際立つ女神です。
サラスヴァティー女神は、リグ・ヴェーダにおいて繰り返し讃えられるサラスヴァティー川の神格として崇められる存在でもあります。川は、インドでは古くから聖なるものとして崇められてきました。豊かな水とその流れが、あらゆるものを清め浄化すると捉えられてきたことに一つの理由があります。そんなサラスヴァティー女神は、学問や芸術の女神として崇められるなかで、私たちの言葉を清める女神でもあります。
私たちは、心の働きからさまざまに生じる思考や言葉、そして行いによって、自分自身の存在を純粋な本質から遠ざけ、そこにある永遠の至福を見失っていきます。自分自身を本質であらせるためには、常に清らかな流れを抱いていなければなりません。
学習の女神、言葉の女神、音楽の女神、芸術の女神として崇められるサラスヴァティー女神は、美しい流れを生みだすそれらの術を用いて私たちを清め浄化します。そうして磨かれる知性は、私たちを自分自身の本質へと近づけ、真の豊かさを与えてくれるものにも他ありません。
サラスヴァティー女神は創造神であるブラフマーの妻として、その創造に欠かすことのできない力であり、エネルギーそのものでもあります。女神の存在とともに生きることで、私たちから生み出される言葉や思考は清らかなものとなり、より大きな豊かさを創り出すことができるに違いありません。
大自然のあらわれを神々として崇めてきたインドの世界。その大きな世界のすべては、私たちの内なる小さな世界にも存在しています。自分自身の内に流れる清らかさを目覚めさせるためにも、サラスヴァティー女神を礼拝し、常に純粋さとともに、本質であれるよう一つ一つの行いを努めていきたいと感じています。
(文章:ひるま)
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