2015年4月25日、世界の最貧国の一つであるネパールを、マグニチュード7.8の大地震が襲って以来、早くも1年が経とうとしています。
ネパールには、現代にも生きた女神として崇められるクマリがいます。さまざまな条件を満たした、初潮前の幼い少女から選ばれるクマリは、ドゥルガー女神の化身であるとも信じられる存在です。この生きた女神は初潮を迎えるとクマリではなくなり、一般の社会に戻るとされていますが、それまでは生きた女神として崇められ、外部との接触や、地面に足をつけることも禁じられるなど、特別な扱いを受けるとされています。
クマリとして最も長く在位していたDhana Kumari Bajracharyaの話を、震災後に掲載された記事より抜粋してご紹介いたします。
ネパールを大地震が襲った時、クマリとして最も長く在位していた生き神は、彼女の人生において初めて、外を歩くという思いも寄らない行いをしなければなりませんでした。
「私は、あのような形で自分の家を去ることになるとは思いもしませんでした。人々がもう伝統を尊重しなくなってきていることに、きっと、神々が怒っているのでしょう。」-Dhana Kumari Bajracharya
「私たちは皆のように、ただ家を去ることができなかったのです。私たちは彼女のことを考えなければならず、どうすればよいのか分かりませんでした。でも、自然がそうしろというときは、そうしなければならないのです。」-クマリの姪。
Dhana Kumari Bajracharyaは、1954年にクマリとなった後も初潮を迎えず、30年にわたって在位するも、歳を取り過ぎているという理由からクマリを退位させられました。
「私を退位させる理由はありませんでした。私は少し怒りを感じていました。私はまだ、私の中に女神が宿っていることを感じていたからです。」
強制的に退位させられた後も、生きた女神としての義務を感じ、Dhana Kumari Bajracharyaはクマリとしての生活を続けてきました。そしてあの大地震において初めて、自分の足で外を歩いたのです。
ネパールは、王政の崩壊など大きな変化を遂げているも、このクマリの慣習は廃れることなく続いています。震災後、Dhana Kumari Bajracharyaは、彼女のほとんどの時間を祈りに費やしています。
Nepal's earthquake forces 'living goddess' to break decades of seclusionより抜粋してご紹介しています。
世界が平安にあるよう、改めてお祈り申し上げます。
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