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インド音楽

39、リズムの克服:Layakari 

drums

インドの音楽を聴いた人は、古典音楽のみならず、民謡でも世俗歌謡でも、最近の映画音楽でさえも当たり前のように着けられる「大きく揺らすビブラート」や「コブシ」に強い印象を受けるでしょう。
この「旋律的/音程的アゴーギク」は、聴いて直ぐ分かるものですが、インド音楽の特徴には、もうひとつ「リズムのアゴーギク」があります。
これは、旋律的なものと比べて、ある程度の理解や訓練を積まないと完璧には受け止めきれないかもしれない高度なものを多く含みます。
その入門編が、「Ar-Laya/Ari-Laya(アール/アーリ・ラヤ)」と呼ばれるもので、端的に言うと「偶数に奇数(の3)をぶつける手法」です。

またも、日本の歌を例に挙げますと、かなり前ですがご記憶の方も少なくないと思いますが、大阪の歌手が歌ってヒットした”夢想花”という歌で、「飛んで、飛んで、飛んで、飛んで、飛んでー、回って..........」というフレイズがありましたが、あれが最も簡単な「Ar-Laya」の分かり易い例です。
つまり、八分の音符三つの言葉「とんで」、すなわち「1.5拍」を基の拍にずらして歌い、計算された回数、拍で終始する手法です。

しかしインドでは、これを数種類演じてみせます。
つまり、「1.5拍」の一種類で終らず「3拍、1.5拍、3連符、四分の3、6分の3、8分の3」をやってみせなければ「中途半端」ということになります。  前述の歌謡曲でやるならば、「とん、でと、んで」だけでなく「と、ん、で、と/ん、で、と、ん/で、と、ん、で/とん、でと、んで、とん/でと、んで、とん、でと/んで、とん、でと、んで/とんで、とんで、とんで、とんで/とんでと、んでとん、てとんで、とんでと/んでとん、てとんで、とんでとんで、/とんでとんでとん、てどんでとんでとん,.................」 まで演るわけです。

そして、これは「3」だけでは終らないのです。
以前、「3、7の秘数」を挙げてコメントを下さった方がいらっしゃいましたが、まさにその世界であり、4拍子や偶数の基本ビートには、「3、5、7、9」の数を当て込んで行くのです。
逆に、奇数:3には、2や4で束ねる手法を取りますが、これはアフリカでも、関連のカリブ・ブラジルでも行われています。が、「3、5、7、9」を偶数に組み込むのはインド古典音楽ならではのものではないでしょうか。

彼等インド人は、これを一旦「文字/言葉/韻」に置き換え、分かり易くして慣れてかえ数字に置換えています。例えば、四手拍子の間に五を言う」は、「はなかつお」に置換えます。それの「四つ束ね」は、「はなかつお、かづにたべ、たらうまい」に置換え、慣れてから「12345、12345、12345、12345」→「12341、23412、34123」にして行く感じです。
これら「リズム面のアゴーギク」を総称して、「Laya-Kari(ラヤ・カリ)」と俗称しますが、字義では「リズム式(風)」でありますから「リズム風リズム」ということになります。が、「リズムに於いてリズムを演る」というようなこの意味は、インド音楽では、「普通(並)じゃない」ということなのです。
同様に、「歌に於いて歌風に」「楽器演奏に於いて楽器風に」など、「歌に於いて楽器風に」や「楽器に於いて歌風に」よりも高度なものと考える、おそらくインドならではの感覚は少なくありません。

(文章:若林 忠宏

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