インドの一部地域や慣習では先祖供養の期間が続いています。この間は遠出を避けたり、賑やかなことは控えたりと、なんだか静まり返ったような雰囲気になることも。大きな祝祭の合間にあるので、余計にそう感じるのかもしれません。
この先祖供養の期間、よく見られることがあります。それは、カラスにご飯をあげること。小さいころから「カラス鳴きが悪いと…」と耳にしてきましたが、日本でもカラスは喪に関連するイメージがあると思います。一方インドでは、先祖供養の間にカラスにご飯をあげると先祖が喜ぶといわれます。
カラスは死の神ヤマの使いであるとか、さまざまに伝えられますが、よく言われるのは、ラーマ神とジャヤンタの神話。ジャヤンタはインドラ神の息子で、さまざまな戦いに加わっていました。
ある時、ラーマ神は、妻のシーター女神を突く一匹のカラスに気づきます。草を矢としカラスめがけて放つと、矢はカラスの片目に突き刺さり、カラスはその目を失いました。このカラスがインドラ神の息子ジャヤンタでした。カラスはラーマ神に許しを請い、ラーマ神はカラスを許し、カラスに捧げられた食事は先祖のもとに行くという恩恵を与えたといわれます。
食事を施すこと、特に先祖のお腹を満たすことは、私たち自身が幸せになるための大切な行いの一つとされているので、カラスのジャヤンタに与えられた恩恵は大きなものなのだと思います。
古くから伝えられてきた言い伝えを耳にすると、なんだか大きな世界をより身近に感じることができるように思います。外界はめまぐるしく変化しますが、こうした言い伝えを大切に守っていくことで、確かな喜びを見出せるように感じます。
(スタッフ:ひるま)
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