ヨーガでよく実践される木のポーズ。片足で立ってバランスをとるこのポーズは、自分の体の筋力や左右のバランスだけでなく、骨格の歪みにも気づくことができます。集中できていないのかぐらぐらと大きく揺れる時もあって、心の状態が反映されやすいポーズかもしれません。
木のポーズはヴリクシャーサナと呼ばれていますが、インドではドゥルヴァーサナとして学びました。ヨーガの流派などによって、アーサナの呼び方がさまざまに異なったりします。ドゥルヴァは、安定とか、不変とか、動かないという意味がありますが、ある幼い子供の名前でもあります。
ドゥルヴァの父には二人の妻がおり、一人は傲慢で、一人は優しいドゥルヴァの母でした。傲慢なもう一人の妻によって、幼いドゥルヴァは父の膝の上に座ることすら許されず、母に泣きつきます。母はドゥルヴァに言います。「他人を悪く思わず、ヴィシュヌ神の御足を拝みなさい。」と。
そして、ヴィシュヌ神の恩寵を求めドゥルヴァの苦行が始まります。一人になり森へ入り、片足で立ちながら仙人に伝えられたマントラを繰り返し唱え続けます。幼いドゥルヴァのそんな姿を知ったヴィシュヌ神は、ドゥルヴァに他の星が中心として回る最も大切な場所を与えます。ドゥルヴァが北極星となったのです。(シュリーマド・バーガヴァタム)
耐えがたい苦痛や困難にあっても、信じることで救われる、そんなことを伝えているよう。ドゥルヴァくらい強く信じることができれば、木のポーズで行うぐらぐら感も止まるでしょうか。
新月のディーワーリーが近づいて、真っ暗な夜空を見上げてみたいと思います。
(スタッフ:ひるま)
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