盛大な祝福が執り行われるインドの結婚式では、豪華に着飾った美しい花嫁の姿を目にします。
美しさだけでなく、強さを兼ね備えた女性たちの姿を目にすると、世界を生み出す根源的なエネルギーの偉大さを覚えることがあります。
そんなインドには、パンチャカンニャー(5人の処女)として崇められる象徴的な女性たちがいます。
神話の中で重要な役割を担うパンチャカンニャーは、苦難の中で自らの義務を全うしながら、強く生きる姿が崇められる存在です。
彼女たちの御名を唱えることで、全ての罪が清められると伝えられることもあります。
パンチャカンニャーとして崇められるのは、ラーマーヤナに登場するアハリヤー、ターラー、マンドーダリー、そしてマハーバーラタに登場するクンティーとドラウパディーです(クンティーの代わりにシーターとされる場合もあります)。
アハリヤーは聖仙のガウタマ、ターラーは猿王のヴァーリン、マンドーダリーは魔王のラーヴァナ、クンティーは国王のパーンドゥ、そしてドラウパディーはパーンダヴァの5王子たちの妻でした。
女性として、妻として、母として生きるパンチャカンニャーの人生は、誘惑、別離、束縛、抑圧、屈辱、義務、死、争いに溢れ、苦難に満ちています。
複数の夫を持ち、複数の肉体関係を持つ者もいます。
それでも、カンニャー(処女)として崇められるのは、肉体的な条件ではなく、献身的に生きる純粋な精神があるからでした。
苦難の中でも、常に全体と調和をしながら生きるパンチャカンニャーの姿は、さまざまに降りかかる状況を清く生き抜く術を学ばせてくれるものです。
変化する時代の中で、さまざまに捉えられる女性の立場ではあっても、それは宇宙の根源的なエネルギーとして、誰しもの内に存在するものに変わりありません。
性別や役割を越え、個の魂が歩む道のりを示すパンチャカンニャーの存在を胸に留め、強く生きることを学びたいと感じています。
「アハリヤー ドラウパディー クンティー ターラー マンドーダリー タター
パンチャカンニャーハ スマレーンニティヤーン マハーパータカナーシニーヒ」
(意味:アハリヤー ドラウパディー クンティー ターラー マンドーダリー、パンチャカンニャーを思い、罪を打ち消す)
(文章:ひるま)
参照:https://en.wikipedia.org/wiki/Panchakanya
コメント