ヒンドゥー教の神々の中で最も畏怖される存在であるシャクティは、女神として女性的なエネルギーの象徴であり、宇宙のあらゆる存在や動きの背後にある動的なエネルギーをあらわします。創造を担い、変化を生み出すシャクティは、悪の力を破壊し、宇宙に均衡を取り戻す、世界に必要不可欠な存在です。
そんなシャクティには、母なる女神、強力な戦士、暗闇の破壊者など、数多くの名前や姿があります。ヒンドゥー教のあらゆる神格は、そうしたシャクティのエネルギーを有するため、女神たちはインド全土で広く崇拝されています。
強さ、豊かさ、力の原型として崇められるシャクティには、パールヴァティー、ドゥルガー、カーリーといった姿があります。強い母のように姿をあらわすシャクティを、神々との強い結びつきを得るために崇めることができます。
パールヴァティーは、ヒンドゥー教では破壊神として崇められるシヴァ神の妻であり、その背後にあるエネルギーです。パールヴァティーは、シヴァ神との間に2人の息子をもうけました。世界を恐怖に陥れるタラカースラという悪魔を倒したクマーラ(別名:カールッティケーヤ、スカンダ、ムルガン、スブラフマニヤ等)と、象の頭を持ち学問や障害除去の神として崇められるガネーシャです。
母なる女神であり、宇宙のエネルギーでもあるシャクティは、マハーデーヴィー(偉大な女神)として、あらゆる女神が一つになった存在です。ドゥルガーとなったシャクティは、強力な戦士として、悪魔マヒシャースラを始め多くの悪魔を倒しました。「黒き者」を意味するカーリーは、破壊神としてのシャクティです。ヒンドゥー教では再生と破壊をあらわし、その力は現実世界と霊的世界を守ると、インド全土に広まる帰依者から信じられています。
数多くの名前や姿を持つシャクティには、それぞれにまつわる多くの神話が伝えられます。カーリーにまつわる有名な言い伝えには、アスラ族の指揮官であるラクタヴィージャとの戦いの神話があります。ラクタヴィージャは、地面に滴り落ちる自らの血から無数の分身を生み出すことから、戦いに挑んだシャクティを困難に陥れていました。そして、シャクティは長く伸びた真っ赤な舌を持つカーリーとなり、ラクタヴィージャの血を吸いつくしてラクタヴィージャを倒したと言われます。カーリーは4本の腕と共に描かれ、2本の腕で武器とラクタヴィージャの頭を掴み、もう2本の腕で祝福を授けています。
全宇宙に浸透しているシャクティのエネルギーは、私たち自身の活力を生み出す原動力となります。精神と肉体の調和は、シャクティの恩寵なしに成し遂げることはできません。エネルギッシュな毎日を送るために、シャクティを礼拝することは、大きな助けになるでしょう。シャクティは、慈愛と恩寵に満ちた全人類の母であり、寄る辺を求める信者たちに、分け隔てなく救いの手を差し伸べてくれます。
(SitaRama)
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