心身の鍛錬法として、世界中に広まったヨーガ。
古代より、霊的な探求者たちによって実践されてきたヨーガは、現代を生きる私たちにも、その道筋を見せてくれます。
そんなヨーガの中で、自己探求の道を開くウシュトラーサナというポーズがあります。
「ウシュトラ」は、「ラクダ」を意味します。
ラクダのコブのように胸を突き出すこのポーズは、深く後屈をする難易度の高いポーズとして知られます。
このウシュトラーサナの実践は、自分自身と向き合うための長い旅路のように映ります。
日常生活の中で背中を反らせることが少ない私たちは、こうした慣れない動きに、まずは困難を感じます。
大きく後屈し、腰にかかる負担の中で、身体をどこまで伸ばしていいのか、恐れや不安が伴うこともあります。
そこではまず、自分自身の身体と心に対する理解を深めなければなりません。
ウシュトラーサナの実践では、胸が大きく開きます。
胸を開く動作は、愛情や感情、慈愛や受容を司るアナーハタ・チャクラに働きかけると伝えられてきました。
このポーズを通じて心を開く時、自分自身と向き合うための広い空間が生み出されます。
その空間の中で繰り返す後屈の鍛錬は、何よりも、自分自身の身体と心に対する信頼感を築くものでした。
実践を重ね、見えない恐れや不安が取り除かれていくと、伸び伸びと後ろに反ることが可能となります。
そうして背骨が柔軟になる時、エネルギーはより自由に流れ、人生を豊かに生きるための持久力や柔軟性が授けられます。
人生において厳しい状況に直面している時、または感情が塞ぎがちな時、このポーズの実践は特に難しく感じることがあります。
それはまるで、砂漠を行くラクダの旅ように例えられるかもしれません。
見えない目的地は、時に苦しい状況を生み出します。
しかし、その歩み自体に、私たちを成長させる大きな恵みがあるはずです。
自分自身の身体という小さな世界の中で、霊的な探求の道を歩ませてくれるヨーガのポーズを通じて、自己探求の旅に出かけて見るのも良いかもしれません。
(文章:ひるま)
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