平成が終わりに近づき、新しい時代が始まろうとしています。
新元号である令和は、英語で「Beautiful Harmony(美しい調和)」として紹介されました。
これから迎えようとしている新しい時代、美しい調和のために、私たち一人ひとりができることとは何でしょうか。
霊的叡知の宝庫であるインドの教えには、美しい調和を生み出すための術があふれています。
その一つに、瞑想中に実践されるアートマンジャリ・ムドラーと呼ばれるムドラーがあります。
両手を合わせるこのムドラーは、ナマステーの挨拶で手を合わせる、アンジャリ・ムドラーとも同一視されるムドラーです。
アートマンジャリ・ムドラーでは、両手を合わせ、手の平に少しくぼみを作り、空間を生み出します。
このつぼみのような手の形を、アナーハタ・チャクラがある胸のあたりで組むのがアートマンジャリ・ムドラーです。
祈りのムドラーとしても知られ、瞑想中に実践されることが多くあります。
右手と左手は、それぞれ左脳と右脳に繋がる身体の部位として伝えられます。
論理的で現実的な左脳、そして、直感的で空想的な右脳。
それぞれ異なる働きをする左右の脳の均衡が図られる時、私たちの心身は調和し、優れた能力を発揮することができると伝えられてきました。
右手と左手は、相反するものの象徴であり、それは、清浄と不浄、陰と陽、男性と女性、または自分と他者、さらには梵と我とも考えられます。
愛が満ちる場所として知られるアナーハタ・チャクラでその相反するものを合わせる時、とても大きな安らぎを感じる瞬間があります。
そこには、何よりも美しい調和が生まれるからに違いありません。
アートマンジャリのアートマンは「自己」、アンンジャリは「敬意」や「祝福」などの意味があります。
そして、ムドラーは自分自身の内なる世界から、その周囲まで、取り巻くエネルギーを改善し向上させる術として伝えられてきました。
このムドラーの実践を通じて、私たちは自分自身の神聖さを育みながら、その内に美しい調和を生み出すことができるはずです。
そうして一人ひとりの内に調和が満ちる時、世界は何よりも美しい調和に包まれるに違いありません。
新しい時代が幸せに満ちた時となるよう、古来から受け継がれるこうした霊的叡智の実践を意識的に取り入れたいと感じます。
皆様にも美しい調和がありますように、心よりお祈り申し上げます。
(文章:ひるま)
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