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インド音楽

182、アーユルヴェーダ音楽療法入門44(用語辞典:カ-2-)

カルマ:
ブラフマン教、仏教、ジャイナ教、ヒンドゥー教に於ける「業」とその概念。
カルマ/業には、「A:現世に現れている前世の行為とその因果」「B:現世に(まだ)現れていない前世の行為の蓄積とその因果(そのうち徐々に現れる)」「C:死後と来世の為の現世の行為」の三大分類が説かれている。上記いずれの宗教でも、「C」が蓄積されて「B」になり、生まれるとともに、日々「A」として現れ、現世の姿に強力な影響を与える。その為に信仰・信心(及び修行、または祈祷)を持ち、しかるべき「C」を研鑽すると説く。しかし、いずれも「業(ごう/Karma)」と呼ばれることで、様々な混乱も生じる。

また、宗派や、団体によって「A」を「変えられない」「変えられないが、対処法がある」「一部変えられる」と説明が異なり、後者に偏って「期待感」を煽り、教団やグループに勧誘する「ご利益宗教」も少なくない。

その一方で、比較的多くの宗派~グループが「Bはまだ変えられる可能性がある」と説く。「解脱・梵我一如」に偏る宗派では、「C」に極端に偏り、「現実社会・個々の人間性」を(否定しないが)割愛する方向にあるが、自意識過剰(の過負荷の自作自演で閉塞感を抱く)・比較意識過剰・被害者意識によって厭世観を募らせた人々には歓迎される傾向が強い。

「業」の観念は、後期ブラフマン教で「輪廻転生思想」が定着(確立したことを証明する記述が見当たらない)した後に、大きく変化した。それまでは、死後は現世に於ける「業」によって「霊魂が宇宙に帰る」か「地獄界」に至る、言わば「天国と地獄論」であったと考えられている。後者に関しては明確な記述は未発見とも言われる。(多くの研究者や後世の文献が輪廻転生思想以降を説くことや仏教との混同で解説を混乱させていることも原因)。

「輪廻転生思想」の確立以降は、死後の霊魂は、「宇宙に帰る」と「輪廻転生し再び生まれる」の二つの方向が裁定された。この時点でも「地獄行き」は不明確で、ある意味「解脱」を由とすれば「輪廻転生」は不幸な道(悲しい審判)とも言える。しかし、ブラフマン教に於ける観念は、その後の仏教とジャイナ教に分かれてかなりの要素が継承されたとも考えられる。(ヒンドゥー教については後述するが、かなり混乱していてややっこしい)つまり、好意的に解釈すれば、ブラフマン教の観念を仏教とジャイナ教が分担して継承したということで、ヒンドゥー諸派の解釈も、仏教、ジャイナ教のいずれかの側面に倣っている。

仏教では、「地獄に落ちる」という観念を強力に説いた。厳密には、輪廻転生の先が「六道」に別れ、更に「三善道」と「三悪道」に分かれる、人間に生まれ変わるのは三善道の上から二番目で、三番目に「修羅道」がある。余談だが、ブラフマン教後期に分裂した「阿修羅神群」が、仏教ではここまで下位(善道の内だが人間以下扱いだ)に落とされたことを知る。

一方、ジャイナ教では、仏教で言うところの「人間道」に輪廻転生した場合の膨大な因果を細かく説いた。つまり、仏教が「来世」に着眼しているのに対し、ジャイナ教は「現世」に着眼しているとも言える。

上記AとBの「積み上げられた前世の行為」の結果は、「有益と有害の2種のカルマ」に分類され、それぞれが4種のサブ・カルマ(8本質(Prakriti)カルマ)に分類されるが、8種はものによって2~93のカルマに分類され、総数148カルマに至る。これらは、来世の「身体的本質」「精神的本質」「寿命」「知覚」「知識」「行い」「幸不幸」にどのように応報するかを細かく説き、全てに名称がある。

仏教はそこまで分類・細分化・概念化をしていない。基本は、「C:来世・六道審判の為の現世の行い」に着目して、善悪各十道、計20種である。基本的に「現世はさておき(最早諦めなさい的?)来世のことを考えましょう」的とも言える。この因果応報思想の為、この段階では「業」は、結果に至る「道」と解釈される。

数が少ない代わり、仏教では、この20種を異なる次元の6解釈で分類し名称を持たせた。この縦横の関係をごっちゃにして解説する例も少なくなく、混乱と難解さを招いている。ブラフマン教は、おそらくこのジャイナ教の「細分化・概念化」と、仏教の「整理と複数の見方」の双方を持っていたと考えられ、これは科学音楽の分類と見事に一致する。

ヒンドゥー教諸派は、大雑把に言えば「仏教とジャイナ教の中間のやや仏教より?」の解釈が多い印象がある。仏教よりは細分化されるが、ジャイナ教と比べれば遥かに少ない種類が、上記の「A」「B」「C」のそれぞれに3種ほど説かれ、その3種は、「純粋カルマ」「攻撃的なカルマ」「悪のカルマ」に分けられる。この二番目が仏教・ジャイナ教とは大きく異なるヒンドゥー(言うまでもなくブラフマン教から継承したものだが)ならではの感覚である。

二番目の「攻撃的(Rajasika)なカルマ(Sakam-Karma)」は、現代人のほとんどの人間のほとんどの行為であろう。「好意の行為:良かれと思って行う」「悪気の無い(絶対そうは思わない~気づかない)悪行」「皆がやっているからやるという行為」などは全て「Rajasika」であり、或る意味「愛する」も「攻撃」の類と解釈する。「助ける」「世話する」に関しては、「利己の有無」を論理的に厳しく検証すれば「純粋(Sattva)カルマ(Nishkam-Karma)」に昇華し得る。

いずれにしても、「現世の行い」の是非・善悪を説いたテーマであるが、例えば輪廻転生を否定するアブラハム三教では「天国行か?地獄行か?」で、「善行を由とする理念(ほどなく道徳も加えられた)」を説いた(導いた)が、仏教は、輪廻転生の先に六道(六段階)を説き、言わば「現世のカルマ」によって、死後の六道を選択させる手法を取った。ジャイナ教は、現世のスタートの時点で前世の因果を148種も説いた。無論、ジャイナ教も現世の精神性と行為によって「宿命的業」を克服出来ると説く。これと比較すると近代ヒンドゥー教諸派では、ジャイナ教が引いたブラフマン教の「宿命的業」を強調したきらいがあり、ある種の「念仏宗教/ご利益宗教」に偏った例が多く見られる。現に、ヴィシュヌ・プラーナなどでは、善悪は、30の善神と15の悪神に象徴されるが、このヒンドゥー独特の「比喩」が理解されない場合、個々の人間の「業」と切り離され「善神に依存する」という傾向に陥りやすい。これらの原因のひとつにはニャーヤー学派などの論理が理解されなくなったこともあるに違いない。

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(文章:若林 忠宏

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