バガヴァッド・ギーター第3章第3節

श्रीभगवान् उवाच ।
śrībhagavān uvāca |
シュリーバガヴァーン ウヴァーチャ
クリシュナは語った

śrībhagavān【男性・単数・主格】栄光ある方、神聖な神、威厳ある尊者。ここではクリシュナのことを指す。
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は]言った、語った

लोके ऽस्मिन् द्विविधा निष्ठा
loke ‘smin dvividhā niṣṭhā
ローケー スミン ドヴィヴィダー ニシュター
この世界には、二種類の成就(への道)がある

loke【男性・単数・処格】[〜において、〜のなかで]世界、地上
asmin【男性・単数・処格、指示代名詞 idam】[〜において、〜のなかで]これ、この、ここ
dvividhā【女性・単数・主格】二重の、二種類の
niṣṭhā【女性・単数・主格】[〜は、〜が]基礎、状態;専心;成就、完成;頂点、限度;終局、終末、大詰め(劇の)、死

पुरा प्रोक्ता मया ऽनघ ।
purā proktā mayā ‘nagha |
プラ− プロークター マヤー ナガ
以前に私によって説かれた、アルジュナよ

purā【副詞】かつて、以前に;前の生に;昔は、昔;初めに
proktā【女性・単数・主格、過去受動分詞 pra√vac】宣言された、教えられた、記述された;言われた、語られた;(対格)と言われた;〜であると宣言された、と称された、説かれた、いわゆる
mayā【男性・単数・具格、一人称代名詞 mad】[〜によって、〜をもって]私
anagha【男性・単数・呼格】罪なき者よ、穢れなき者よ。アルジュナのこと。

ज्ञानयोगेन सांख्यानां
jñānayogena sāṁkhyānāṁ
ジュニャーナヨーゲーナ サーンキヤーナーン
理論家(サーンキヤ)にとっての知識のヨーガによる(成就)

jñānayogena【男性・単数・具格、jñānayoga】[〜によって、〜をもって]知識のヨーガ、知識の道、智道、理論的なヨーガ
※jñāna-yoga:最高の境地(ヨーガ)に帰結する知識(jñāna)。絶対者(最高神)に関する知識に専心すること。シャンカラは「知識、すなわちヨーガ」と解する。(上村勝彦注)
sāṁkhyānām【男性・複数・属格、sāṁkhya】[〜の、〜にとって]計算する人、熟慮する人、サーンキヤ説の信奉者、理論家
※sāṁkhya:この場合は、思弁により最高存在を考察する人を指す。シャンカラ「アートマンを対象とする識別知を有する人々。」ラーマーヌジャ「アートマンのみを対象とする知性をそなえた人々。」(上村勝彦注)

कर्मयोगेन योगिनाम् ॥
karmayogena yoginām ||
カルマヨーゲーナ ヨーギナーム
修行者(ヨーギン)にとっての行為のヨーガによる(成就)

karmayogena【男性・単数・具格、karmayoga】[〜によって、〜をもって]行為のヨーガ、行為の道、行道;動作、活動;聖業の実践
※karma-yoga:最高の境地(ヨーガ)に帰結する行為。執着することなく行為そのものに専心すること。シャンカラは「行為、すなわちヨーガ」と解する。(上村勝彦注)
yoginām【男性・複数・属格、yogin】[〜の、〜にとって]ヨーガ行者、修行者、実践者

श्रीभगवान् उवाच ।
लोकेऽस्मिन्द्विविधा निष्ठा पुरा प्रोक्ता मयाऽनघ ।
ज्ञानयोगेन सांख्यानां कर्मयोगेन योगिनाम् ॥ ३ ॥

śrībhagavān uvāca |
loke’smindvividhā niṣṭhā purā proktā mayā’nagha |
jñānayogena sāṁkhyānāṁ karmayogena yoginām || 3 ||
クリシュナは語りました。
アルジュナよ、私は前に、この世界には、成就への道が二通りあると説いた。
すなわち、理論家(サーンキヤ)にとっての知識のヨーガによる道と、
修行者(ヨーギン)にとっての行為のヨーガによる道とである。

バガヴァッド・ギーター第3章第2節

व्यामिश्रेणेव वाक्येन
vyāmiśreṇeva vākyena
ヴィヤーミシュレーネーヴァ ヴァーキエーナ
あたかも曖昧な言葉によって、

vyāmiśreṇa【中性・単数・具格、vyāmiśra】まざった、混合した;(具格)と混合した・を伴った・与えられた;多様な;曖昧な(語);悩んだ、心の乱れた
iva【副詞】〜のように、〜と同様に、言わば
vākyena【中性・単数・具格、vākya】[〜によって、〜をもって]発生、発言、言葉;(法律上の)証明;明白な陳述;表現法;論証;文章

बुद्धिं मोहयसीव मे ।
buddhiṁ mohayasīva me |
ブッディン モーハヤシーヴァ メー
あなたは私の知性を惑わすかのよう

buddhim【女性・単数・対格、buddhi】[〜に、〜を]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定
mohayasi【二人称・単数・パラスマイパダ・現在・使役活用 √muh】[あなたは]混乱させる、困惑させる、当惑させる、知覚を失わせる、迷わせる;混乱に陥らせる;失敗させる
iva【副詞】〜のように、〜と同様に、言わば
me【単数・属格、一人称代名詞 madの附帯形】[〜の、〜にとって]私

तद् एकं वद निश्चित्य
tad ekaṁ vada niścitya
タッド エーカン ヴァダ ニシュチッティヤ
それゆえ、ひとつのことに決定して告げよ

tat【中性・単数・対格、副詞 tad】そこに;彼方に;そのように、その時に、すなわち、それゆえ
ekam【中性・単数・対格、eka】[〜に、〜を]一の;単独の、唯一の;一個の;同一の、共通の
vada【二人称・単数・パラスマイパダ・命令法 √vad】[あなたは〜せよ]言う、語る、述べる、話す、伝える、報告する、宣言する、言明する
niścitya【絶対分詞 nis√ci】決心して、決意して、決定して;確実にして、確信して、確定して

येन श्रेयो ऽहम् आप्नुयाम् ॥
yena śreyo ‘ham āpnuyām ||
イェーナ シュレーヨー ハム アープヌヤーム
それによって、私が至福を得られる(ひとつのこと)

yena【中性・単数・具格、関係代名詞 yad】それによって(by which)
śreyas【中性・単数・主格、比較級】より良い、より優れた、より幸せな
aham【単数・主格、一人称代名詞 mad】[〜は、〜が]私
āpnuyām【一人称・単数・パラスマイパダ・願望法 √āp】[私は〜だろう、私は〜するべき]到達する、獲得する、成し遂げる;遭遇する、蒙る、関係する、耐え忍ぶ;起こる

व्यामिश्रेणेव वाक्येन बुद्धिं मोहयसीव मे ।
तदेकं वद निश्चित्य येन श्रेयोऽहमाप्नुयाम् ॥ २ ॥

vyāmiśreṇeva vākyena buddhiṁ mohayasīva me |
tadekaṁ vada niścitya yena śreyo’hamāpnuyām || 2 ||
あなたは、あたかも曖昧な言葉で、私の知性を惑わすかのようです。
それゆえ、それによって至福を得られるような一道を、明確に説いてくださいませんか。」

バガヴァッド・ギーター第3章第1節

अर्जुन उवाच ।
arjuna uvāca |
アルジュナ ウヴァーチャ
アルジュナは言った

arjunas【男性・単数・主格】[〜は、〜が]アルジュナ
uvāca【三人称・単数・パラスマイパダ・完了 √vac】[彼は]言った、話した

ज्यायसी चेत् कर्मणस् ते
jyāyasī cet karmaṇas te
ジャーヤシー チェート カルマナス テー
もし行為より優れているならば、あなたの

jyāyasī【女性・単数・主格、比較級、jyāyas】より有力な、より強い;より優れた、より良い、より大きい;より老いた;より尊ぶべき、より顕著な
ced【接続詞】そして、;時に;〜もまた、さえも;もし〜ならば
karmaṇas【中性・単数・従格、karman】[〜から、〜より]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
te【単数・属格、二人称代名詞 tvadの附帯形】[〜の、〜にとって]あなた

मता बुद्धिर्जनार्दन ।
matā buddhirjanārdana |
マター ブッデルジャナールダナ
考えられた知性が、クリシュナよ

matā【女性・単数・主格、過去受動分詞 √man】と考えられた、見なされた、思われた、評価された;承認された、認可された、十分に考慮された;(属格)によって尊重された、尊敬された、好遇された
buddhis【女性・単数・主格】[〜は、〜が]知能、理解力、理性、知性、精神;識別、判断;沈着、機知;知覚;会得;意見、見解;信仰、確信;想定
janārdana【男性・単数・呼格】ジャナールダナよ。クリシュナの別名。名前は「人を悩ます者」の意。

तत्किं कर्मणि घोरे मां
tatkiṁ karmaṇi ghore māṁ
タットキン カルマニ ゴーレー マーン
どうして、私を恐ろしい行為に

tat【中性・単数・主格、副詞 tad】そこに;彼方に;そのように、その時に、すなわち
kim【中性・単数・主格、疑問代名詞 kim】何、誰、なぜ、どんな、どのように
karmaṇi【中性・単数・処格】[〜において、〜のなかで]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
ghore【中性・単数・処格、ghora】畏怖すべき、崇高なる;恐怖すべき、(苦痛等の)激しい
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私

नियोजयसि केशव ॥
niyojayasi keśava ||
ニヨージャヤシ ケーシャヴァ
あなたは駆り立てるのか、クリシュナよ

niyojayasi【二人称・単数・パラスマイパダ・現在・使役活用 ni√yuj】[あなたは]軛でつなぐ、(処格)に軛でつなぐ;(処格)に付着する・固定する;〜することを指令・激励・要求する;〜することを強制する・強いる;(職務)に任命する
keśava【男性・単数・呼格】ケーシャヴァよ。クリシュナの別名。名前は「美しい(長い)髪をもつ者」の意。

अर्जुन उवाच ।
ज्यायसी चेत्कर्मणस्ते मता बुद्धिर्जनार्दन ।
तत्किं कर्मणि घोरे मां नियोजयसि केशव ॥ १ ॥

arjuna uvāca |
jyāyasī cetkarmaṇaste matā buddhirjanārdana |
tatkiṁ karmaṇi ghore māṁ niyojayasi keśava || 1 ||
アルジュナは尋ねました。
「クリシュナよ、知性が行為より優れていると考えられるならば、
どうして私を恐ろしい行為に駆り立てるのでしょうか。