インドでは3月6日に、主に南インドのタミルナードゥ州においてマーシ・マガーとして祝福される重要な満月を迎えます。
この満月は、タミル暦でマーシ月(2月〜3月)の満月となり、ナクシャトラ(月の星座)がマガーとなります。この時、神の意識が地上を覆うと考えられ、タミルナードゥ州の多くの寺院でとりわけ盛大な祝福が行われます。
マーシ・マガーについては、ある神話が伝わります。大昔、創造の神であるブラフマー神は、アムリタである甘露と創造の種子を含む壺(クンバ)を聖なるメール山の頂上に祀りました。ある時、未曾有の大洪水が起こると、その神聖な壺は洪水によって流され、傾斜したクンバコーナムの地(タミルナードゥ州の聖地)に到達します。そこで、シヴァ神が壺に矢を放つと壺が割れ、中に入っていた甘露と種子があちこちにこぼれ落ちました。甘露は生命を育む大きな池となり、種子を通じては世界が再び創造されます。この日がマーシ・マガーの日であると伝えられます。
また、ナクシャトラのマガーには王冠の象徴があり、王とそれが生み出す誇り高い意識をあらわします。マガーはしし座でその支配星はケートゥ、支配神は祖霊に関わるピトリです。しし座は太陽が支配し、王の星座といわれます。この日の天体の影響は、繁栄、名声、権力を高め、人生における高い目標を決めることに役立つといわれます。
このマーシ・マガーの日にはアムリタの力が甦ると信じられることから、神々は近くの川や海に運ばれ、聖なる沐浴が捧げられます。その後、神々は神輿に乗って街を練り歩き、人々に祝福を授けます。この日の聖なる沐浴は救済を授けると信じられ、人々もまた川や海で沐浴を行います。それは、過去7回の輪廻転生によって蓄積されたカルマを取り除く、非常に有益な行いであると考えられています。
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