インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。
न मां दुष्कृतिनो मूढाः
na māṁ duṣkṛtino mūḍhāḥ
ナ マーン ドゥシュクリティノー ムーダーハ
迷える罪人たちは、私にない
na【否定辞】〜でない
mām【単数・対格、一人称代名詞 mad】[〜を、〜に]私
duṣkṛtinas【男性・複数・主格 duṣkṛtin(=duṣkṛti)】[〜らは、〜らが]罪人、悪人 【形容詞】罪を犯した
mūḍhās【男性・複数・主格 mūḍha(√muhの過去受動分詞)】迷った;進路を失った(船);〜について困惑した・混乱した・当惑した・不確実な;愚鈍な、愚かな、鈍い、低能な;途方に暮れた
प्रपद्यन्ते नराधमाः ।
prapadyante narādhamāḥ |
プラパディヤンテー ナラーダマーハ
彼らは帰依し(ない)、もっとも卑しい人々は
prapadyante【三人称・複数・アートマネーパダ・現在 pra√pad】[彼らは〜、それらは〜]入る;(路に)踏み入る;(対格)に来る、〜へ赴く、〜へ通う;(対格)の助力を求める、〜の保護を求める;(ある状態)に入る、〜を受ける、〜を経験する;到達する
narādhamās【男性・複数・主格 narādhama】[〜らは、〜らが]もっとも卑しい人、もっとも低い・価値のない人
माययापहृतज्ञाना
māyayāpahṛtajñānā
マーヤヤーパフリタジュニャーナー
幻力(マーヤー)によって、知識を奪われ
māyayā【女性・単数・具格 māyā】[〜によって、〜をもって]術、不可思議の力;策略、計略、狡計;詭計、詐欺;手品、妖術;幻像、幻想;幻影
apahṛta【apa√hṛの過去受動分詞】取り去られた、運び去られた;盗まれた、奪われた
jñānās【中性・複数・主格 jñānā】知ること;知識;真の知識、優れた知識;知恵;企図;仮定;意識;感覚器官
→apahṛtajñānā【男性・複数・主格、所有複合語】[〜らは、〜らが]知識を奪われた
आसुरं भावम् आश्रिताः ॥
āsuraṁ bhāvam āśritāḥ ||
アーシュラン バーヴァム アーシュリターハ
阿修羅のような状態に止まる
āsuram【男性・単数・対格 āsura】精神の、神の;幽鬼の、阿修羅の、幽鬼のような
bhāvam【男性・単数・対格 bhāva】[〜に、〜を]生成すること、生起すること、起こること;(―゜)に変わること、(処格)に変化すること;在ること、存在;永続、存続;〜である状態;あること・成ること;振る舞い、行状;状態、状況;階級、地位
āśritās【男性・複数・主格 āśrita(ā√śriの過去受動分詞)】〜に寄りかかる・によって支持された・頼る・庇護を求める・に献身した・服従する;〜にくっつく・執着した・に特有な;〜に依存する・基づいた;〜に関する;〜にしげしげ通った・住む・居住する・立つ・坐る・横たわる・休む・〜の上にある;〜に達した・到着した;〜の所有に帰した・属した;〜に頼った・を選んだ・に献身した・を獲得した;(報酬を)顧慮した
न मां दुष्कृतिनो मूढाः प्रपद्यन्ते नराधमाः ।
माययापहृतज्ञाना आसुरं भावमाश्रिताः ॥१५॥
na māṁ duṣkṛtino mūḍhāḥ prapadyante narādhamāḥ |
māyayāpahṛtajñānā āsuraṁ bhāvamāśritāḥ ||15||
迷える罪人たち、もっとも卑しい人々は、私に帰依しない。
彼らは幻力(マーヤー)によって知識を奪われ、阿修羅のような状態に止まる。
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