2023年10月24日はダシャハラー(ヴィジャヤ・ダシャミー)の吉日です。
ダシャハラーは、悪から善へ、闇から光へと進む、人間の心を映し出す象徴的な祝祭です。
この日は、女神を讃える9日間のナヴァラートリ、その精神的な浄化の過程における終幕として、アーシュヴィナ月(9月〜10月)のシュクラ・パクシャ(新月から満月へ向かう半月)の10日目に祝われます。
祝祭の意義
ドゥルガー女神が悪魔マヒシャースラを打倒したとされるこの日は、同時にラーマ神が羅刹王ラーヴァナを倒した日でもあります。
言い換えれば、善が悪を克服する永遠の戦いの象徴とされています。
この日は「勝利の10日目」を意味するヴィジャヤ・ダシャミーとも呼ばれます。
また、ダシャハラーには「10の罪を取り除く」という意味があります。
人間の心の闘いを映し出すラーヴァナ
ラーヴァナは決して一次元的な「悪」ではありません。
彼は10の頭を持ち、これらは心を支配する悪質な感情や思考を表現しているとされます。
しかし、その頭は同時に4つのヴェーダと6つのシャーストラを象徴しており、彼が知識に優れた存在であることを示しています。
この矛盾する側面が、私たち人間の内面とどう繋がるのでしょうか。
善悪が交錯する心の中で
私たちの心の中にはラーヴァナのような矛盾した資質も、ラーマ神のような純粋で善良な資質も同居しています。
精神的な混乱や不安、焦燥は、しばしばこれらの内面の葛藤から生まれます。
ダシャハラーは、この葛藤を乗り越え、自分自身の内なる神性に気づく瞬間とも言えるでしょう。
五感の力、心の制御
ラーヴァナの10の頭は、5つの知覚器官と5つの行為器官にも象徴されます。
つまり、物事を知覚し、行動する能力そのものです。
この能力を制御しきれなかったラーヴァナは、一度も真の幸福に辿りつくことはありませんでした。
対照的に、ラーマ神はヴィシュヌ神の化身として、完全な自制心と高潔さで人々を導きました。
その資質に信仰を持つことで、心は浄化され、究極の真理に近づくことができると信じられています。
二つの顔、一つの真実
ダシャハラーは、9日間のナヴァラートリで清められた精神を称賛する日です。
それは単なる祝祭ではなく、自己の内なる神性と再び出会い、善と悪、知識と無知の狭間での究極の気づきを追求する機会でもあります。
この祝祭は、私たちが抱える矛盾と葛藤を超え、より高い自己に至る旅路の象徴として祝福されます。
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