ラクシュミー女神と箒

夕暮れが早まり、季節が冬へと進む時、インドの各地では煌びやかな光が溢れるディーワーリーが祝福されます。
このディーワーリーが祝福されるのは、新月の暗い夜。
暗闇が広がる時に祝福されるこの祝祭は、光の存在をいつも以上に強く感じる瞬間でもあります。

ディーワーリーは、ラクシュミー女神に深く関わりがある祝祭です。
ラクシュミー女神は、ヒンドゥー教の創造神話である乳海撹拌を通じ、ディーワーリーの日に姿をあらわしたと信じられます。
このディーワーリーを新年とする慣習もあり、祝祭を迎える前には、日本の年末のように住居や周囲の大掃除が行われます。

そんなディーワーリーにおいては、箒を購入することがとても吉祥な行為であると伝えられてきました。
購入した箒には、クムクム(朱粉)やハルディー(ターメリック)を捧げて礼拝を行う慣習もあります。
こうした行為にラクシュミー女神が喜び、豊かさがもたらされると信じられています。

幸福の女神といわれるラクシュミー女神は、清潔で愛や平和に満ちるところを好んで訪れ、豊かさをもたらすといわれます。
一方、不潔で憎しみや争いのあるところを好んで訪れ、貧しさをもたらすとされるのが、姉であり不幸の女神といわれるアラクシュミー女神です。

ディーワーリーを迎えるために掃除をするのは、住居や周囲の環境だけでなく、自分自身の内に蔓延るさまざまなネガティブな感情です。
実際に掃除をすることで清々しい気分を得られるように、箒の購入は心の汚れを取り除くことの象徴でもあるといわれます。

清らかな心を取り戻せば、意識は明瞭となり、目標が見えやすくなります。
目標を持つことは、願望を達成するために何よりも重要なことであるといわれるように、それは進む道に光を灯すことにも他ありません。
しかし、私たちは日々の中で無知の暗闇に飲み込まれ、目標を見失い、アラクシュミー女神を招きがちです。

ラクシュミー女神が降誕する吉祥なディーワーリーを迎える時、心身や周囲を清め、ラクシュミー女神を招き入れる努力をしたいと感じます。
自分自身の心と行為を見つめ直すことで灯る光は、私たちを真の豊かさに導いてくれるに違いありません。

(文章:ひるま)