シヴァ神の三叉槍

カールッティケーヤ神が持つ槍がシャクティの現れであり、知識を象徴するとも言われるように、神々と共に描かれるアトリビュートには、さまざま象徴が示されています。シヴァ神が手にする三叉槍もその一つです。三叉槍はトリシューラと呼ばれ、シヴァ神だけでなく多くの神々が手にするものであり、インドの文化の中では非常に重要視されています。
この三叉槍が意味するものには、「創造、維持、破壊」「現在、過去、未来」「ラジャス(激質)、タマス(鈍質)、サットヴァ(純質)」などさまざまなものがありますが、その中で「イダー、ピンガラ、スシュムナー」と伝えられることがあります。
「イダー、ピンガラ、スシュムナー」は、人間の体内にあるエネルギーの流れる代表的な3つのナーディ=経路として知られています。スシュムナーを中心に、イダーとピンガラが左右を巡り、それらはアージュニャー・チャクラ(第3の目)で一つに繋がると言われます。
これらの経路を流れるのは、私たちを生かす生命エネルギーそのものです。その経路が詰まったり、または滞ったりすることで、体だけではなく心にもさまざまな不調が生じると信じられていました。
スシュムナーは根源的なエネルギーであるシャクティが昇るための経路として特に重要視されるものであり、その経路をエネルギーが上昇することで霊的な目覚めが授けられるとも言われます。また、スシュムナーを取り巻くイダーとピンガラの均衡の乱れは、特に心身に多くの不調を引き起こすとされ、ヨーガやプラーナヤーマを通じ、経路の浄化と共に均衡を図る術が古くから実践されてきました。
イダーとピンガラは男性と女性としても捉えられ、この二つの存在によって初めて、創造が行われることを意味するとも言われます。そしてその二つの合一がもたらす解脱に向け、私たちは人生の中で上昇の道を歩んでいます。
三叉槍を持つシヴァ神は偉大なるヨーギーとしても知られています。その神聖なエネルギーは、誰しもの内に存在していることに私たちは気づかねばなりません。その気づきは心身に均衡をもたらし、私たちをどんな時も純粋に、そしてその中心に留めてくれるに違いないと感じています。
(文章:ひるま)
※2015年のマハー・シヴァラートリは2月17日です。