177、アーユルヴェーダ音楽療法入門39(Tri-Doshaと精神構造)

「Tri-Dosha/三つのドーシャ」は、「万物の五大元素」と関連させる必要から、それぞれ二つの元素との関連が説かれます。「Vata」は、ブラフマン教の「風神」と同じ語ですから、基本は「風のエネルギー(及び効果・効能・作用)」を意味しています。「Pitta」は、「アグニ:火」と「ジャーラー:水」という一見相反する元素にちなみます。「Kapha」は、「ジャーラー」と「プリトゥヴィー:地」と、ピッタほどではないとしても、必ずしも共存し得るのか?と思わせる二つの元素に関わります。それに対し「ヴァータ」は、「ワーユ:天空/風」と「アーカーシャ:空」ですから、全く矛盾せず、相性も良いように思われます。実際、そのように説いているアーユル・ヴェーダ関係者も散見します。
しかしこれも、そもそも「ヴェーダの叡智」と「形而上の世界」のこと。現代社会の常識的感覚で「合点が行った」は、むしろハズレかも知れません。
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「三つのドーシャ」の役割は、私がしばしば紹介する「樹木図」のように、「幹」の部分から「枝葉」向かえば向かうほど、その意味・役割・関係性は、多様化して行きます。昨今、流行が一段と隆盛しているアーユル・ヴェーダですが、語る人々は、様々な要素をひたすら並べる一方で、一向に「樹木」の姿が見えてきません。なので、一旦、しっかりと、「三つのドーシャ」の基本を「幹から順に」理解する必要があると思われます。
まず、「ヴァータの幹」は、多く「ヴァータ=運搬」と説かれますが、「流れ」に尽きます。「ピッタの幹」は、「ピッタ=熱」と多くの専門家が説きますが、「熱」以前に「動き」です。原子が動いて始めて熱が出ることと同じです。そして、「カパの幹」は、「定着・留める」に尽きます。

ところが、これらの根本的な力は、生命体の生命維持の基本中の基本である「恒常性」に於いては、常に「相反する作用」でなくてはならないのです。このあたりが昨今のアーユルヴェーダ関係者の多くが決定的に誤解している点です。
つまり「過剰なピッタにはヴァータやカパ」「動いてくれないカパにはヴァータ」などのような説明だけでは「遠からずとも当たらず」なのです。人様の健康と人生に関わりますから、この「微妙なズレ」は、かなり大問題です。あまりに安直で短絡的なのです。

そもそも、生命と、それを創り出した宇宙の真理、そしてヴェーダの叡智は、そんな単純なものではないのです。
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確かに、構造的仕組みは、「過剰なピッタにはヴァータやカパ」「動いてくれないカパにはヴァータやピッタ」などなどですが、「三っつのドーシャ」それぞれの、根本的な「ひとつの幹」の基本の上に成り立つ「太い二本の枝」の「どれを立ち向かわせるのか?」まで考えなくてはなりません。でなくては、効果をコントロール出来ないからです。

例えば、「ヴァータの幹」は、「流れ」でした。
しかし、「ヴァータの太枝」は、実は、「冷やすこと」と「動かすこと」です。これに対し「ピッタの幹」は「動き」ですが、「ピッタの太枝」に至るとそれは、「熱・燃焼」と、実は「留まる」なのです。タイミングと量を間違えれば「ピッタ過剰の熱の動きの幹」に対し、「ヴァータの太枝の動かす力」をぶつけてしまったらどうなるでしょうか?

「ピッタの幹の動き」は、原子のように、ミクロの範囲を激しく動くもので、それは、電子レンジのようなものですが、「ヴァータの太枝の動かす力」は、体の隅々にエネルギー・滋養・栄養を運ぶほどの力があります。いわば「ピッタ」が「極超短波」であるのに対し「ヴァータ」は「極超長波」のようなものですから、この二者を合わせてしまったら? 打ち消しあってくれれば良いですが、逆なら大変なことになります。
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このようなことは、中医・漢方では、数百年前から言われています。故に「この生薬は○○に効く」と単純に言えず、今日の「漢方薬剤師のほとんどが理解しない(出来ない※):弁証論治」が存在するのですが、アーユル・ヴェーダでは、何時の時代か(大体分かっていますが)この論理が著しく欠落してしまっているのです。
(※)本来真逆の東洋医学・生薬を、まるで「西洋化学療法の局所対処療法」の薬のように、売る漢方薬剤師、ネットのサプリ販売者の何と多いことか。十年後には大問題になるように思えてなりません。
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加えて今回、数回に渡ってお話したいテーマは、「第一段階:Tri-Doshaの気質」についてと、それらと「第二段階:精神構造」と「第三段階:脳機能」の関係です。第三段階に至れば、それは即「身体」に大きく影響することは誰でも理解出来ると思いますが、第三段階が、第二段階、第一段階と積み上げられ移行していることを考える人が何故か極めて少ない(ほとんど居ない)のです。

つまり「気質が精神構造(指向性)を作り、それが脳機能に大きな制限を与えている(偏らせている)」ということです。そして、これは、「脳機能の偏った動きが、精神構造を逆に制限し支配し、それが気質を固定化させている」という「悪循環」を作り出し、状態はどんどん悪くなって行きます。
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故に、前述した「三つのドーシャの幹・太枝・枝葉」の役割・効果効能・力の理解とともに、それらをより正しくコントロールさせるためには、まず「気質~精神~脳機能」を正常化させる必要が極めて重要なのです。この為に唯一の、そして最も効果的な手段が「思考力の強化」です。何故ならば、「論理領域の思考」は、ほとんどの人がほぼ全く使っていないからです。つまり前述の「悪循環」の影響をほとんど受けていないということです。
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昭和の中頃まで、日本の小学校で歌われていた「バケツの穴」という、元はアメリカ民謡がありますが、「ナイフが切れない→研ぎなさい!→砥石に水が欲しい→バケツで汲みなさい!→バケツに穴が開いている→藁で塞ぎなさい!→藁は何で切ろうか?→ナイフで切りなさい!→ナイフが切れないんだけど→研ぎなさい!」という歌ですが、正に現代人の多くが、この「感情領域の思考による循環型思考」にハマっています。しかし、「(使わずにいた)論理思考」は、「ああ!なんだ!納屋にもうひとつ新品のバケツと新品のナイフが在ったじゃないか!」の世界なのです。

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(文章:若林 忠宏

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