日々の生活においては、物を落としたり忘れたりして、紛失することが少なくありません。大切なものであれば、どうにか取り戻したいと強く思うことも多くあります。インドには、そんな失くしたものを取り戻すためのマントラが伝わります。
・कार्तवीर्यार्जुनो नाम राजा बाहुसहस्रवान् ।
तस्य स्मरणमात्रेण गतं नष्टं च लभ्यते ॥ १॥
・kārtavīryārjuno nāma rājā bāhusahasravān ।
tasya smaraṇamātreṇa gataṁ naṣṭaṁ ca labhyate ॥ 1॥
・オーム カールタヴィールヤールジュノー ナーマ ラージャー バーフサハスラヴァーヌ
タスヤ スマラナマートレーナ ガタン ナシュタン チャ ラビャテー
・意味:千の腕を持つ王であるカールタヴィールヤ・アルジュナのその御名を想うことで、失くしたしたものを手にする。
このマントラは、カールタヴィールヤ・アルジュナを讃える讃歌、カールタヴィールヤ・ドヴァーダシャナーマストートラム(कार्तवीर्य द्वादशनामस्तोत्रम् )の最初の節にあたります。カールタヴィールヤ・アルジュナは、ナルマダー川のほとりにあるマーヒシュマティーに都を持つ、古代のハイハヤ王国の伝説的な王でした。ダッタートレーヤ神を崇め、千の腕を持つとされます。
カールタヴィールヤ・アルジュナを讃える讃歌では、以下のように讃えられる聖句もあることから、失くしたものを取り戻すためのマントラとしてその讃歌が唱えられるようになったとされています。一説には、ダッタートレーヤ神が失くしたものを取り戻すための力を授けたとも伝えられます。
「クリタヴィールヤの息子である偉大なアルジュナの12の御名を想う者は繁栄に恵まれる。(中略)盗難などで富や財産を失うことはなく、失ったお金を取り戻すことも可能である」
また、単に「カールタヴィールヤ・アルジュナ」とその御名を繰り返し唱えることでも、失くしたものを取り戻すことができると信じられます。いなくなってしまったペットを見つけることに役立ったという報告もされています。
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