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グル・プールニマー

飢えた犬と慈悲深き女性 – サイババが教えるウパニシャッドの真髄

サイ・サッチャリトラには、サイババの教えと奇跡的な体験を記した数多くの逸話が収められています。その中でも、第9章に記された一つの物語は、ウパニシャッドの深遠な教えを日常生活の中でいかに実践すべきかを、実に分かりやすく示しています。この物語は、単純な親切心から始まった出来事が、いかにして宇宙の真理への洞察へと導かれていくかを語っています。今回は、この心温まる逸話をご紹介したいと思います。

ある日、タルカド夫人がシルディに滞在していました。昼食の準備ができて料理が運ばれてきたとき、一匹の飢えた犬が現れて鳴き始めました。タルカド夫人はすぐに立ち上がり、パンの一切れを投げました。犬は大喜びでそれを飲み込みました。

その午後、彼女がマスジッドに行って少し離れたところに座っていると、サイババは彼女にこう言いました。

「母よ、あなたは私の喉まで豪華な食事をさせてくれました。私の悩める生命力は満たされました。いつもこのように行動しなさい。そうすればあなたのためになるでしょう。このマスジッドに座っている私は、決して嘘をつきません。このように私を憐れんでください。まず飢えた者にパンを与え、それから自分で食べなさい。これをよく覚えておきなさい。」

彼女は最初、ババの言葉の意味がよく分かりませんでした。そこで彼女は答えました。
「ババ様、どうやってあなたに食事を与えることができたでしょうか?私自身が他人に依存しており、お金を払って食事をいただいているのです。」

するとババはこう答えました。
「あの美味しいパンを食べて、私は心から満足し、まだげっぷが出ています。食事の前に見た犬、そしてあなたがパンを与えた犬は、私と一体なのです。同様に他の生き物(猫、豚、ハエ、牛など)も私と一体です。私はそれらの姿で歩き回っているのです。これらすべての生き物の中に私を見る者こそ、私の愛する者です。だから二元性と区別の感覚を捨て、今日のように私に仕えなさい。」

この蜜のような言葉を聞いて、彼女は感動し、目に涙を浮かべ、喉が詰まり、喜びは限りありませんでした。

この逸話は、ウパニシャッドの教えである「すべての生き物の中に神を見よ」という教えを実践することの重要性を説いています。ウパニシャッド、バガヴァッド・ギーター、バーガヴァタムはすべて、すべての生き物の中に神性を認識するよう私たちに勧めています。

サイババはこの逸話や他の数多くの例を通じて、ウパニシャッドの教えを実践する方法を実際に示してくれました。このようにして、サイババはウパニシャッドの教義の最高の解説者または教師として立っているのです。

ババは「すべての生き物の中に神を見る」という教えを、日常生活の中で実践することの重要性を強調しています。単に聖典を学ぶだけでなく、実際の行動を通じてその教えを体現することが大切だと説いているのです。

タルカド夫人がなぜ飢えた犬にパンを与えたのか、その動機は明らかではありません。しかし、彼女のその行為は、意図せずしてウパニシャッドの教えを実践することになりました。ババは彼女のその行為を称え、さらに深い教えを説きました。

ババは、自分が犬の姿をしていたのだと言います。つまり、すべての生き物の中に神が宿っているという考えです。犬や猫、豚、ハエ、牛など、あらゆる生き物の中に神の存在を認識し、敬意を払うべきだとババは教えています。

さらにババは、二元性と区別の感覚を捨てるよう勧めています。つまり、自分と他者、人間と動物、高貴な者と卑しい者といった区別をなくし、すべてを平等に扱うべきだという教えです。

これらの教えは、ウパニシャッドの根本思想である「梵我一如」(ブラフマンとアートマンの一体性)に通じるものです。個々の魂(アートマン)と宇宙の根源(ブラフマン)は本質的に同じであるという考えが、ここでは「すべての生き物の中に神を見る」という形で表現されているのです。

ババはこの教えを、抽象的な哲学としてではなく、日常生活の中で実践すべき具体的な行動指針として示しています。飢えた者に食べ物を与え、すべての生き物に敬意を払い、愛情を持って接するという単純な行為が、実は深遠な宗教的真理の実践につながるのだとババは教えているのです。

この物語は、高度な哲学的教義を、誰もが理解し実践できる形で示したサイババの教育方法の素晴らしい例と言えるでしょう。難解な聖典の言葉を、身近な出来事を通じて分かりやすく解説し、実践に結びつけるババの教育法は、多くの人々の心に深く響いたのです。

ウパニシャッドの教えを日常生活の中で実践することの重要性を説くこの逸話は、サイババの教えの本質を端的に表現しています。すべての中に神を見出し、愛と思いやりの心を持って生きることこそが、真の宗教的実践であるというババのメッセージが、この物語には込められています。

Reference:

Sai, Hemadpant. Shri Sai Satcharitra. Translated by N.V. Gunaji. Shri Sai Baba Sansthan Trust, Shirdi.

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