バガヴァッド・ギーター第3章第4節

न कर्मणाम् अनारम्भान्
na karmaṇām anārambhān
ナ カルマナーム アナーランバーン
行為を開始しないことにより

na【否定辞】〜でない
karmaṇām【中性・複数・属格、karman】[〜の、〜にとって]行為、作業;作用、職業;儀式;結果;運命(前世に行った行為の結果)、業
anārambhāt【男性・単数・従格、anārambha】[〜から、〜より](属格)の開始しないこと、企てないこと、着手しないこと;苦難のないこと【形容詞】企画しない、開始しない

नैष्कर्म्यं पुरुषो ऽश्नुते ।
naiṣkarmyaṁ puruṣo ‘śnute |
ナイシュカルミャン プルショー シュヌテー
人は行為の超越に達することはない

naiṣkarmyam【中性・単数・対格、naiṣkarmya】[〜に、〜を]活動の放棄、活動しないこと;行為の超越、超行為、超作、至為
※超作:善悪・利害を超越した行作、すなわちkarmayogaにもとづく行作。「無作」(akarman)とも異なる。(辻直四郎注)
※行為の超越:行為の結果を顧みないこと。行為の完成。(上村勝彦注)
※超行為:行為をしつつ、行為とその結果に執われない状態。(服部正明注)
※超行為:行為よりの離脱。すなわち、無行為を本質とする知識の実修は、行為の実修によって成り立つ。(宇野惇注)
puruṣas【男性・単数・主格、puruṣa】[〜は、〜が]人;人間;霊魂;個人の本体、普遍的霊魂、最高精神
aśnute【三人称・単数・アートマネーパダ・現在 √aś】[彼は、それは]到達する;達成する;遭遇する;捧げる;楽しむ

न च संन्यसनादेव
na ca saṁnyasanādeva
ナ チャ サンニャサナーデーヴァ
また、(行為の)放擲のみにより

na【否定辞】〜でない
ca【接続詞】そして、また、〜と
saṁnyasanāt【中性・単数・従格、saṁnyasana】[〜から、〜より](世を)棄てること;(行為の)遠離、放擲
※放擲:この場合は、「行為の放棄」という一般的な意味で用いられている。(上村勝彦注)
※行為の遠離:「行為の遠離」とは、欲望を動機とする行為を捨てることで、ラーマーヌジャによれば「知識の実修」を指す。(宇野惇注)
eva【副詞】実に、真に(強意を表す。しばしば虚辞として使用)

सिद्धिं समधिगच्छति ॥
siddhiṁ samadhigacchati ||
シッディン サマディガッチャティ
成就に至ることもない

siddhim【女性・単数・対格、siddhi】[〜に、〜を]完成、遂行、履行、完全なる達成、成功;成就、解脱
samadhigacchati【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 sam-adhi√gam】[彼は、それは]共に行く、近づく;獲得する、入手する;超える;学ぶ、研究する

न कर्मणामनारम्भान्नैष्कर्म्यं पुरुषोऽश्नुते ।
न च संन्यसनादेव सिद्धिं समधिगच्छति ॥ ४ ॥

na karmaṇāmanārambhānnaiṣkarmyaṁ puruṣo’śnute |
na ca saṁnyasanādeva siddhiṁ samadhigacchati || 4 ||
人は、行為をせずに、行為の完成に達することはない。
また、行為の放擲のみによって、成就に至ることもない。