ガーヤトリー・マントラは、聖音オームや他のマントラのコンビネーションによって、さまざまなバリエーションで唱えられています。
ガーヤトリー・マントラの本体は、リグ・ヴェーダに記されていますが、これは次の部分から成り立っています。
「タットゥ・サヴィトゥル・ヴァレーニャム・バルゴー・デーヴァッシャ・ディーマヒ・ディヨー・ヨーナハ・プラチョーダヤートゥ」(RV 3.62.10)
サーマ・ヴェーダでは、上記のマントラに次の3語が前置きされました。
「ブール・ブヴァッ・スワハ」
このように、すでに広く知られているガーヤトリー・マントラは、いくつかのヴェーダのマントラの組み合わせによって成り立っています。
「The Mystique of Om」では、さらに深くガーヤトリー・マントラのコンビネーションについて述べていますので、ここに紹介いたします。
1. 「オーム」がひとつ、マントラの前に置かれる場合、このジャパは「エーカパダ」と呼ばれます。
「オーム・ブール・ブヴァハ……プラチョーダヤートゥ」
このジャパは、糖尿病などの病に有効であると信じられています。
2. 「オーム」がマントラの前後に置かれる場合、このジャパは「サンプタ・ジャパ」と呼ばれます。
「オーム・ブール・ブヴァハ……プラチョーダヤートゥ・オーム」
このジャパは、精神的な病に有効であると信じられています。
3. 「オーム」が3回唱えられる場合は、「トリパダ・ジャパ」と呼ばれます。
「オーム・ブール・ブヴァハ・スヴァハ
オーム・タットゥサヴィトゥル……
オーム・ディヨーヨーナハ・プラチョーダヤートゥ」
このジャパは、唱える人に高い霊性の力をもたらすといわれます。
4. 「オーム」が5回唱えられる場合は、「パンチャパダ」と呼ばれます。
「オーム・ブーフ・オーム・ブヴァハ・オーム・スヴァハ
オーム・タットゥサヴィトゥル……
オーム・ディヨーヨーナハ・プラチョーダヤートゥ」
このマントラは、心臓疾患に有効であると信じられています。
5. 「オーム」が6回唱えられる場合は、「シャトゥパダ」と呼ばれます。
「オーム・ブーフ・オーム・ブヴァハ・オーム・スヴァハ
オーム・タットゥサヴィトゥル・ヴァレーニャム
オーム・バルゴー……
オーム・ディヨーヨーナハ・プラチョーダヤートゥ」
このマントラは、血圧や身体の主要な8部分に関する病を癒すといわれます。
6. 「ナーラダ・プラーナ」には、「マハハ、ジャナハ、タパハ、サティヤム」が前置きされたガーヤトリー・マントラが記されています。
7. 「オーム」は、ガーヤトリーを拡張する場合に使われることもあります。ガーヤトリー・マントラの最後に、次のジャパが続きます。
「オーム・アポー・ジョーティ・ラソームリタム
ブラフマ・ブールブヴァハスヴァローム」
8. また「エーカパダ」に次のようなマントラが追加されて、100語のガーヤトリー(シャタークシャラ)とされることがあります。
(a)「オーム・ジャタヴェーダセー・スナヴァム・ソーママラティ・ヤトー・ニダハティ・ヴェーダハ/サ・ナハ・パルシャダティ・ドゥルガニ・ヴィシュヴァ・ナヴェーヴァ・シンドゥム・ドゥリタティヤグニヒ」
(b)「オーム・トリャムバカム・ヤジャーマヘー・スガンディム・プシュティヴァルダナム・ウルヴァールカミヴァ・バンダナートゥ・ムリティヨールムクシーヤ・マームリタートゥ」
9. アムリタサンジーヴァニ・ガーヤトリーは次のように唱えられます。
「オーム・ブールブヴァハ・スヴァハ・オーム・トリャムバカム・ヤジャーマヘー・オーム・タットゥサヴィトゥルヴァレーニャム・スガンディムプシュティヴァルダナム・バルゴーデーヴァッシャディーマヒ・ウルヴァールカミヴァ・バンダナートゥ・ディヨーヨーナ・プラチョーダヤートゥ・ムリティヨールムクシーヤ・マームリタートゥ・オーム」
ガーヤトリー・マントラが、マハームリティユンジャヤ・マントラとオームによって、再構成されているのに気がつくと思います。このマントラは、究極的な死を避けるために使用されます。
10. 「トリプラナヴァ・ガーヤトリー」では、以下のように「オーム」が3回唱えられます。
「オーム・ブールブヴァハスヴァハ
オーム・タットゥサヴィトゥルヴァレーニャム
バルゴーデーヴァシャディーマヒ・ディヨー・ヨー・ナハ・プラチョーダヤートゥ・オーム」
このように、ガーヤトリー・マントラは、オームやその他のマントラと組み合わされて、目的別にさまざまに唱えられることがあります。ここでは、一例を紹介させていただきましたが、どれを唱えたらよいか迷ってしまうという方は、もっとも基本的で広く唱えられている「エーカパダ」を唱えられるのがよいかもしれません。
参照:
Jayant Burde, "The Mystique of Om", p92, New Age Books, India
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