インド北部のジャンムー・カシミール州に位置するアマルナート寺院では、アマルナート・ヤートラーの時期を迎えています。
アマルナート・ヤートラーは、標高3888mのヒマーラヤ山中にある聖なるアマルナート洞窟を目指し、氷河に囲まれた険しい山道を登る巡礼です。
アマルナート洞窟には、シヴァ神の象徴であるリンガムが氷柱として現れ、人々はこの氷柱を拝むために巡礼に赴きます。
毎年6月から8月にかけてがこの巡礼の時期にあたります。
アマルナート寺院は51のシャクティ・ピータ(シヴァ神の最初の妻サティの身体の一部一部がある場所)の一つに数えられ、数あるインドの寺院の中でもとりわけ重要視される寺院です。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一旦はアマルナート・ヤートラーの中止が発表されましたが、その後に撤回され、7月21日から開始されると発表されていました。
しかし、7月に入ってからジャンムー・カシミール州での感染が拡大し、改めて中止が発表されています。
こうした聖地を巡る巡礼は、心身を浄化する究極の術とも言われます。
巡礼の間は完全な菜食となり、険しい道を通じ自然豊かな山々を歩む中で、新鮮な酸素が身体中を巡ります。
何よりも、それを達成するための深い集中力と精神力が培われ、余計なものが消え失せた清らかな心が生み出されると言われます。
そこには、神々に会うと言う純粋な目的があるからに他ありません。
しかし、近年では巡礼者の増加により、アマルナート洞窟に至る周辺地域の生態系へ悪影響が生じているという懸念も伝えられていました。
インドの聖典では、神に謁見すること(ダルシャン)は、非常に大きな功徳があるといわれます。
今年は、聖地へ赴いてダルシャンを受けることは難しいかもしれませんが、自分自身の内に神を見出し、その恵みの中で幸せに日々を歩む修練を努める時であるのかもしれません。
アマルナート寺院では、毎日朝晩、アーラティの様子を放映するライブ・ダルシャンを行っています。
Holy Aarti of Amarnath Ji Yatra 2020
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