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雑記帳

108について

「どうして除夜の鐘の数は108なの?」
最初は誰もが疑問に思うかもしれません。煩悩の数、一年を表す数(4×9+8×9)など諸説あります[1]。
自然科学の世界では、数学的に調和のとれた美しい数、物理・天文学的に説明のつかない重要な定数が、数多く存在しています。たとえば、万物に作用する重力は、その値がわずかに異なるだけで、現在の宇宙や生命は存在しないと考えられています。私たち人間が誕生するまでには、宇宙の織りなす多くの神秘的な奇蹟が積み重なっています。
真理の探求者たちは、そのような奇蹟を垣間見るたびに、自然に対する畏敬の念を抱いてきました。たとえば、人間は、太陽の恵みなくして、生命を育むことができません。古代より人々が太陽を礼拝してきたのは、礼拝という行為によってのみしか、太陽を表現する言葉がなかったからと考えることもできます。
108と天文学
108は、天文学的に見ると、太陽と地球、地球と月を結びつける重要な数となります。太陽と地球の平均距離は、太陽の直径のおよそ107.5倍、そして、太陽の直径は、地球の直径のおよそ109.5倍となっています。また地球と月の距離は、月の直径のおよそ110.6倍となっています。地球の空では、太陽と月がおよそ同じ大きさに見えるのは、地球と太陽、地球と月の距離と直径の比がおよそ同じ大きさであることに起因します。広大な宇宙において、人間の宿る地球と、万物に恵みをもたらす太陽、そして生命のサイクルと関連の深い月の間に、このような関係があることは、とても興味深いことです。真理の探求者は、内なる神性を外部に投映し、自己(地球)から108のステップを経て、太陽や月に象徴される悟りの境地に到達できる、と考えたかもしれません。
現代の精密な観測によると、地球と月の距離は、1年に3.8cmの割合で、月が地球から離れていることが知られています[2]。互いの直径が変化せずに、地球と月が1年に3.8cmの割合で離れているとすると、およそ2億4000万年前は、地球と月の距離は、月の直径の108倍に一致します。この時代(より正確にはおよそ2億5100万年前)、地球史において史上最大とされる生物のペルム紀の大量絶滅が起こり、海生生物の96%、すべての生物種で見ても90%〜95%が絶滅したとされています[3]。この大量絶滅の際に、大気中に放出されたメタンと酸素が化学反応を起こし、酸素濃度が著しく低下しました。後に横隔膜を生じて、複式呼吸を身につけたグループが、この低酸素時代の危機を乗り越え、ほ乳類の先祖となったこと[4]は、興味深い一致と考えられるでしょう。
地球の自転軸は、コマの首振り運動のような回転をしているために、春分点・秋分点が黄道に沿って少しずつ西向きに移動しています[5]。この割合は、およそ72年で1°と言われています。自転軸が一周するには72年×360°=25,920年かかる計算になりますが、これは108の240倍となります。占星術では、黄道を12の星座に分け、それぞれの星座を2,160年(=25,920÷12星座)かけて移動すると考えますが、2,160年は108の20倍にあたります。
108と陰陽五行説
幾何学的に見ると、108は正五角形の内角となります。そして正五角形は黄金比と深い関係があります。黄金比は、線分をa, bの2つに分割するときにが成り立つように分割したときの比であり、その比はです。もっとも均整のとれた美しい比として、芸術や建築などにも活用されています。自然界においても、植物の葉の並び方や、巻き貝の中にも黄金比が見られます[6]。
正五角形の一辺と対角線の比は、黄金比に等しく、また正五角形の交わる対角線は、互いに他を黄金比に分けます[7]。さらに、正五角形の中心角は72°となりますが、中心角を三角関数で表すと、

となり、 は黄金比の逆数になっていることが分かります。
中国における木・火・土・金・水の五行思想、肝・心・脾・肺・腎の五臓、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感、稲・麦・粟・黍・豆の五穀、東・西・南・北・中の五方、頭・首・胸・手・足の五体など、5個1組の概念はごまんとあります。正五角形と108、そして黄金比の関係には興味深いものがあります。
108に纏わる数学的な一例をあげると、108は3の倍数を小さい方から9個足したものに等しくなります。すなわち、0 + 3 + 6 + 9 + 12 + 15 + 18 + 21 +24 = 108です。3ならびに9は、インドでは神聖な数と考えられ、ここでは偶数と奇数が交互にあらわれています。
さらに、0ではない最初の偶数と奇数に、それぞれの数をその分だけ掛け合わせると108になります。すなわち22 × 33 = 108、あるいは108 = 2 × 2 × 3 × 3 × 3 = 108です。
古代中国の陰陽思想では、偶数と奇数は、陰と陽に例えることができます。すなわち108は、女性と男性、吸気と呼気、空間と時間、精神と肉体などに例えられる陰陽思想に結びつき、上に述べた正五角形すなわち五行思想とあわせると、陰陽五行説と深い関わりがあります。
古代の天文学者や数学者は、このような神秘的な一致を発見して、108という数に特別な感情を抱いたかもしれません。108が基数として、自然界、宗教界にあまねく見られるのは、108が内宇宙と外宇宙を反映した、調和のとれた美しい数であるからでしょう。
真理の探求者たちは、直感的あるいは論理的に、108が人間の霊的進化と切っても切れない縁であることを見抜き、宗教思想に取り入れてきたと考えられます。そうしてみると、108が単なる自然数ではなく、人間の内宇宙と外宇宙を結びつける特別な数であると知ることができます。
参照:
[1] 除夜の鐘、http://ja.wikipedia.org/wiki/除夜の鐘
[2] 月、http://ja.wikipedia.org/wiki/月
[3] ペルム紀、http://ja.wikipedia.org/wiki/ペルム紀
[4] 大量絶滅、http://ja.wikipedia.org/wiki/大量絶滅
[5] 歳差、http://ja.wikipedia.org/wiki/歳差
[6] 黄金比、http://ja.wikipedia.org/wiki/黄金比
[7] 五角形、http://ja.wikipedia.org/wiki/五角形
※この原稿は、ハムサの会 会誌No.041 2012年11月号に掲載されました。

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