インド古典中もっとも有名なバガヴァッド・ギーターの原典講読です。
インドの霊的文化の支柱となる本書を、サンスクリット語の学習をしながらお楽しみください。
मत्तः परतरं नान्यत्
mattaḥ parataraṁ nānyat
私より高いものは他にない
mattas【単数・従格、一人称代名詞 mad】[〜から、〜より]私
parataram【中性・単数・主格 paratara(paraの比較級)】[〜は、〜が]より大きい、より多い、より高い
na【否定辞】〜でない
anyat【中性・単数・主格 anyat】他の、別の、異なる
किंचिद् अस्ति धनंजय ।
kiṁcid asti dhanaṁjaya |
キンチッド アスティ ダナンジャヤ
それは少しある、アルジュナよ
kiṁcit【中性・単数・主格 kiṁcid(不定代名詞 kim+cid)】幾分か、少し
asti【三人称・単数・パラスマイパダ・現在 √as】[彼は〜、それは〜]ある、存在する、実在する
dhanaṁjaya【男性・単数・呼格 dhanaṁjaya】[〜よ]ダナンジャヤ(アルジュナの別名)。名前は「富の征服者」の意。
मयि सर्वम् इदं प्रोतं
mayi sarvam idaṁ protaṁ
マイ サルヴァム イダン プロータン
このすべては、私において繋がれた
mayi【単数・処格、一人称代名詞 mad】[〜において、〜のなかで]私
sarvam【中性・単数・主格 sarva】すべての、一切の、各々の;全体の
idam【中性・単数・主格、指示代名詞 idam】[〜は、〜が]これ
protam【中性・単数・主格 prota(pra√veの過去受動分詞)】〜に繋がれた、〜で貫かれた、〜の上または中に固定された、〜にさし込まれた;(具格)によって浸透された
सूत्रे मणिगणा इव ॥
sūtre maṇigaṇā iva ||
スートレー マニガナー イヴァ
真珠が糸に(繋がれた)ように
sūtre【中性・単数・処格 sūtra】[〜において、〜のなかで]糸、紐、綱;(上位三カーストが左肩にかける)聖紐;墨縄;繊維;線;草案、計画;(繋ぎ合わせる糸=)簡明な規則またはスートラ;簡単な規則からなる;綱要書;経典
maṇigaṇās【男性・複数・主格 maṇigaṇa】[〜らは、〜らが]真珠
iva【副詞】〜のように、〜と同様に、言わば
मत्तः परतरं नान्यत्किंचिदस्ति धनंजय ।
मयि सर्वमिदं प्रोतं सूत्रे मणिगणा इव ॥७॥
mattaḥ parataraṁ nānyatkiṁcidasti dhanaṁjaya |
mayi sarvamidaṁ protaṁ sūtre maṇigaṇā iva ||7||
アルジュナよ、私を超越するものは、他に存在しない。
真珠が糸に繋がれるように、この世界はすべて私に繋がれている。
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