アダムの橋(ラーマ・セートゥ)

「王子として誕生したラーマは、神の仕事を遂行するために超人的な力を発揮し、インド洋を制御した。そして、対岸(ランカ島)に棲まう悪名高き王ラーヴァナを殺した」(シュリーマド・バーガヴァタム)
古い記事になりますが、かつてNASAが撮影した衛星写真に、ラーマーヤナの神話で登場したインドとスリランカを繋ぐ橋が、はっきりと映し出されていると話題になりました。

(出典:NASA Digital Image Collection)
以下にHindustan Times(2002, Oct.10)からの記事を紹介いたします。

NASAによって撮影された衛星写真が、インドとスリランカを結ぶポーク海峡にある不思議な古代の橋を明らかにしました。最近発見された橋は、アダムスブリッジと命名され、約30kmに渡って続いています。
橋の独特な湾曲や構造から、人工物であることが考えられます。古代の伝説や考古学的な考察から、橋の建設年とほぼ同時期の約175万年前に、スリランカに先住民が移住した証であるとされています。
これは、トレータ・ユガの時代(170万年以上前)の出来事であるとされるラーマーヤナの神話に、重大な見地を与えます。
この叙事詩では、至高神の化身であるラーマの指揮の下、ラーメーシュワラム(南インド)とスリランカの間に、橋が建築されたことについて述べられています。
この情報は、人類の起源に関心を持つ考古学者にとってはあまり重要ではないかもしれませんが、インド神話にまつわる古代史について、世界中の人々に知る機会を与え、宗教的な門戸を開いたことは確かです。

(註:橋の建築年代や長さ、また人工物か自然形成のものかなど、さまざまな議論があります)
現在は、温暖化による海面上昇で渡ることはできませんが、数百年前までは橋として機能していたという説もあるようです。ラーマーヤナに書かれているように、ラーマがハヌマーンとともにこの橋を建築し、ランカ島に渡って悪魔を退治したと想像するのは楽しいですね。
しかし2007年、このアダムの橋を横切る水路建設にともない、保守派から猛反発を受けたインド政府は、ラーマが実在した証拠はないとの見解を表明したようです。発展著しいインドですが、近代化にともなって、伝統的な宗教的価値感までが蔑ろにされるのは少し寂しい気がします。
ところで本日4月14日は、そのラーマーヤナの主人公であるラーマの誕生日です。ラーマーヤナで語られるラーマの栄光をあらためて見直してみるのもよいかもしれません。
参照:
・”NASA Images Find 1,750,000 Year Old Man-Made Bridge between India and Sri Lanka”,
http://www.lankalibrary.com/geo/ancient/nasa.htm(画像あり)
・”NASA Images Find 1,750,000 Year Old Man-Made Bridge”,
http://www.salagram.net/VWHIndia.html#LankaBridge
・”インドとスリランカをつなぐ7つの島”,
http://www.eorc.nasda.go.jp/imgdata/topics/2003/tp031016.html(画像あり)
・”Adam’s Bridge”,
http://en.wikipedia.org/wiki/Adam’s_Bridge(画像あり)