高く澄んだ夜空に浮かぶ月が美しい季節となりました。これから迎えるマールガシールシャ月(11月から12月)の満月は、あらゆる霊的性質を備えた神の化身として崇められる、ダッタートレーヤ神の降誕祭が祝福される時です。2017年は、12月3日に迎えます。
ダッタートレーヤは、ブラフマー神、ヴィシュヌ神、シヴァ神をあらわすといわれる3つの頭をもった姿で描かれます。普遍的な教えを広め、全人類を導く偉大な存在として崇められてきました。
そんなダッタートレーヤには、24のグルがいたと伝えられます。24のグルとは、大地、空気、空、水、火、月、太陽、鳩、にしきへび、海、蛾、蜜蜂、象、蜜蜂を集める人、鹿、魚、ピンガラー(遊女)、鳥、子ども、少女、矢師、蛇、蜘蛛、そして、虫でした(バーガヴァタ・プラーナ11編7章33-35節)。さまざまに動くこの世界のあらわれは、それを見つめるダッタートレーヤに、決して変わることのない真理を教えます。
そんなグルの中で、最初のグルとしてあらわれたのが母なる大地です。ダッタートレーヤは、人々が大地を掘り起こし、踏みにじり、とてつもなく重いものを積み上げるのをじっと見つめていました。それでも、大地は食物を生み出し、住処を与え、慈しみをもって私たちを育むことに、深い気づきを会得します。
ダッタートレーヤにとって、大地は、愛と忍耐、そして許しに満ちた存在でした。自分自身を傷つけるものがあったとしても、愛を持って接すること。いかなる状況をも受け入れ、自分自身の義務を果たすこと。身をもってそれを示す母なる大地は、ダッタートレーヤの最初のグルとなります。
私たちを育む大自然の力が神格化され、畏敬の念を持って崇められてきたインドの生活には、今でも学ぶべきことが多くあります。古代の生活がそうであったように、大自然の動きを見つめることは、豊かな日々を過ごすための優れた手段の一つです。
大自然が語る動きに耳を傾け、ダッタートレーヤのように、その一つ一つから学びを得る努力をしてみるのも良いかもしれません。それは、私たちを成長させ、より豊かな日々を授けてくれることと思います。次の満月が、皆様にとっても大きな祝福に満ちた時となりますよう、心よりお祈り申し上げております。
(文章:ひるま)
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