クラウンチャのアーサナ

シヴァ神の教えが記されたヨーガの聖典、ハタ・ラトナーヴァリーの中に、クラウンチャと呼ばれるアーサナがあります。
クラウンチャのアーサナは、水鳥のサギのように見えることから、広くサギのポーズと呼ばれます。
このクラウンチャは、インドの神話において、ある山を示す名前でもあります。
この山にまつわる神話からも、クラウンチャのアーサナが持つ意味を学ぶことができます。

クラウンチャのアーサナでは、まず背筋を伸ばし、両足を前に伸ばして座ります。
そして、左足は伸ばしたまま、右膝を曲げて足先を後方に向け、お尻の脇あたりで右足の甲を床につけます。
次に、左の膝を曲げ、左の足裏を両手で掴み、息を吸いながら左の膝を少しずつ真っ直ぐに伸ばし、顔の方へ近づけます。
背筋は伸ばしたまま、この姿勢を保持した後、息を吐きながら伸ばした左足をゆっくり下ろします。
右側も同様に行います。

クラウンチャのアーサナは、この真っ直ぐに伸ばした片足がサギの首に見えることから、サギのポーズと呼ばれてきました。
一方で、それはクラウンチャ山の聳え立つ絶壁のようだとも捉えられることがあります。

クラウンチャ山には、カールッティケーヤ神にまつわる神話があります。
ガネーシャ神の兄弟であるカールッティケーヤ神は、霊的探求の守り神であり、軍神として崇められてきました。
そんなカールッティケーヤ神が悪魔と戦っていた時、悪魔がクラウンチャ山に隠れ入ります。
すると、カールッティケーヤ神は手にしていた鋭い槍で、山を二つに切り裂きました。
そこで悪魔は倒され、山から悪魔を解放したと伝えられます。
そうして切り開かれたクラウンチャ山には、聳え立つ絶壁が生まれました。

クラウンチャのアーサナは、血流の改善、柔軟性の向上、姿勢の矯正など、さまざまな恩恵が伝えられます。
その実践を通じては、左右の心身と意識的に向き合う中で、左右のエネルギー・バランスに調和や均衡が生まれることを実感することができます。

私たちの身体に見られる左右の違いは、清浄と不浄、陰と陽、精神と物質、男性と女性など、相反するものの象徴です。
その相反するものが対立する時、内なる世界には悪質が生まれ、さまざまな困難に直面すると伝えられてきました。
その結合が究極の解脱としても捉えられてきたように、このアーサナを通じて得る、自身の内の相反するエネルギーの穏やかな調和と均衡は、私たちに内なる幸せを経験させてくれるものでもあります。

カールッティケーヤ神が山を切り開いて悪魔を倒したように、自分自身がカールッティケーヤ神となり、自らの身体を意識的に開いて、内なる悪質を倒す術を実践することが大切です。
そこで悪質は解放され、常に困難に打ち勝ち、真っ直ぐに道を歩むことができるはずです。

(文章:ひるま)